GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
どうも混沌の魔法使いです。今回は香港到着とホテルまでの話と小竜姫とメドーサ。そして原作と違う原始風水盤の設置場所を探す為の準備の話を書いて行こうと思います。少し短くなると思いますが、後半で盛り返して行こうと思っているのでご容赦ください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
リポート6 原始風水盤を発見せよ その3
私達は美神さんと一緒に飛行機で香港へ向かいました。飛んで行くことも出来るのですが、力に制限が掛かる以上温存する方向の方が良い美神さんとそしてメドーサが言ったので、初めて飛行機とやらに乗ることになったのですが、空港で荷物を回収しているメドーサを見つめる。かつては罪人、今は同僚……その事にまだ慣れないので警戒している自分に気付き小さく溜息を吐く
(メドーサと一緒に仕事ですか……)
いえいえ、彼女はもう罪人ではなく、私達の味方。偏見を持ってはいけませんね。変な偏見を持つとそれが軋みとなって、それは大きな乱れとなります。ガープが暗躍しているかもしれないのに、私情を挟む事は出来ません
「そんなに肩に力を入れたら、成功する仕事も失敗するよ?まずは落ち着きな」
私の肩をぽんっと叩いて、私に小さく行くよと声を掛け歩き出す。纏まって行動していると見つかる可能性が高いので、前ワルキューレが取っていたホテルではなく、別の高級ホテルで合流する手筈になっている。その理由は1度拠点にした場所だ。使い魔などで監視されている可能性があるので、あえて街中のホテルに宿泊の予約を入れたと美神さんが言っていた。資金は経費としてGS協会が出してくれるんだから、遠慮しないで行きましょうと笑う姿は記憶に新しい。遠くの方で集まっている美神さん達を見ながら、私とメドーサは空港を後にした
「それでベルゼブル閣下はもう香港へ?」
「さあねえ……私も判らないよ。あの人は人の話を聞くタイプじゃないしね。それに普段は全身甲冑に鎧兜、素顔は私みたいな下っ端は知らないしね」
ベルゼブル閣下。魔界の最高指導者に次いでの権力を持つ魔神。偽の蠅の王の制裁に訪れると聞いてましたが、メドーサもベルゼブル閣下の姿を知らないのですか……もし知っているのなら、断られる可能性が高いですが協力してくれないか?と駄目元で頼んでみようと思ったんですが……そうも行かないみたいですね。
(ブリュンヒルデが動けないのが辛いですね)
日本にガープに対応出来る神魔が居なくなる。それを危険視したブリュンヒルデは協力したいですが残りますといって日本へ残っている。彼女のルーン魔術はガープにも通用するので出来れば協力して欲しかったのですが……帰る場所が無いと言う自体になっても困る上に、優秀な霊能者を攫われても行けない。なのでブリュンヒルデには日本に残って貰った
「まぁあれだ。ベルゼブル様が実は女で横島が偶然街で会って連れて来る。なんて事がなければいいさ」
「そうですね」
……なんか物凄く嫌な予感がする。お互いに何故か無言になりながらホテルを目指して歩き出すのだった……なおこの発言が後に本当の事になるなんて、私もメドーサも予想もしてなかったのだった……
やっと香港に戻って来たか……白竜寺を救う為。今度はあんなミスは出来ねぇ……絶対なんとしても成し遂げる
「あー良かった。チビ、モグラちゃん、タマモー。海外に行くのはこれだからやだなあ……貨物室でごめんなあ」
……俺の覚悟を根こそぎへし折る横島の声に苦笑する。その手の中にはケージがあり、チビ達が入っているのだが、それを大事そうに抱えている横島。空港で大分渋った挙句、美神が航空会社に無理を言って貨物室ならと許可を出されたのだが、そんな事でごねるくらいなら最初から置いてきた方が良かったのではないか?と思う
「置いて来ても良かったんじゃないのか?あの動物」
一応俺達のリーダーと言う事になっている美神にそう尋ねると美神は苦笑しながら
「置いてくると横島君が落ち着かないみたいだからね。仕方ないのよ、それにチビとかも普通に強いから役に立つと思うわよ?」
そう言うもんかねぇ……とは言え、俺は今回は美神の指揮下に入るんだから、美神がOKって言うのなら俺が文句を言うことじゃないな……ケージからチビとモグラを取り出して頭の上乗せて、タマモを抱き抱える横島を見て、こんなんで大丈夫なのか?と正直不安になった
「……なんでそんなに早足で歩くんだ?」
「その台詞。そのまま返そうか」
俺とピートは早足でホテルを目指して歩いていた。地図を見ながらの移動なので、出来ればゆっくり移動したいのだが……それが出来ない理由もあった。その理由は一言で言えば、横島の側に居ると命の危険があると本能的に悟ったからだ
「へーなんか色々あるなあ」
「みーむう!みみー!」
「うきゅー!!」
「ココーン♪」
観光気分なのかタマモ達と香港の街並みを見て楽しそうに歩いている横島。それは良いだろう、通り過ぎる人も微笑ましい物を見ているような表情だ。だが問題はその後ろにあった
【「「「……」」」】
無言で歩いている蛍や、くえす、シズク、そして1人だけ浮いているキヌの4人の桁違いの怒気のオーラだ。心臓の悪い人間なら死ぬんじゃないか?と思うほどに禍々しいオーラだ。周りに居る奴らもとんでもない美人揃いなのに、そのオーラに恐怖して誰一人声を掛けようとしていない。そしてそのオーラに気付いていないのは横島1人と言う状況だ……なんで気付かないんだ!大体お前の事だろうにと叫びたくなった
(慣れた方がいいですよ?横島さんの側は大体こんな感じです)
(お前苦労してるんだな)
その疲れきった表情を見て、俺は何も言えず早くホテルで原始風水盤についての話し合いを始めたいと思った……難しいことを考えるのは苦手だが、この空気よりも数倍良い
「ん?人が多くなって来たな。シズクはぐれるとやばいから手を繋ぐか」
「……そうだな」
人が多くなって来たという理由とシズクと手を繋ぐ横島。それで蛍達の纏う空気が更に険悪になる
「急ぎましょう。目立たないつもりが目立ちすぎだから」
疲れたように呟く美神に頷き、急ぐぞと横島に声を掛け俺達はホテルへと歩き出したのだった……
なお雪之丞達は横島の取り合いで不機嫌だと思っていたのだが、実はそうではなく
(なんですか、この纏わり付くような死の気配……私達を見つめている?)
(この感じ……あの時の……)
くえすと蛍は自分達を見つめている何者かの気配を感じ取り、全神経を使って周囲を警戒しているのが理由だったりする……
ホテルに到着し部屋に結界を張った所で漸く一息つく事が出来ましたわね……
「本当なんだったのかしら、あの視線は」
「さあ?ただ小竜姫やメドーサが気付かなかったと言う事は私達だけに向けられた視線でしょうね」
芦蛍はやはり余り好きではないが、能力は優秀だ。それならば自分の好き嫌いで話をしないと言うのはあまりに愚か……ただ同室にチェックインする派目になったのは正直予想外でしたが、その代わりホテルのワンフロア全てを貸しきる事が出来たので私達の話を一般人に聞かれることがない。そう思えば良いですね……荷物をベッドの上に乗せながら
「さてと……では美神達と合流しますか。今日の方向性を話し合う必要もありますし」
「そうね。あの視線の事も話しておく必要があるしね」
あの視線が何者かは判らないが、あれだけの死の気配を感じたと言う事はかなり力のある存在である事は間違いない、警告の意味も込めて話をしておく必要がある。香港のホテルと言う事でそれほど期待はしてなかったのですが、街中でしかも香港全体を見渡すことの出来る高級ホテル。談話室などもある本格派の高級ホテルだ、経費で泊まると言ってましたが、神代琉璃はきっとその経費で地獄を見ているのだろうと思いながら談話室に向かう
「そーれ。チビー」
「みーむー♪」
談話室では横島がチビ達とボールで遊んでいた。カーペットの上をボールを追いかけて走って行くチビの余りにほのぼのした姿に力が抜けるが、それで良かったかもしれないと思った。敵の拠点のある香港。そして到着と同時に感じていた死の気配……それらで必要以上に警戒していた力が良い感じに抜けた
「くえす、蛍ちゃん。こっち」
奥の方で小竜姫達と座っている美神に呼ばれそっちへ歩き出す。伊達雪之丞、ピエトロ、横島の姿が呼ばれていないのは外で動かすのを避ける為か……それとも頭が良くないので話しても理解出来ないと判断したからか……それとも両方でしょうか?と考えながら空いている椅子に腰掛ける
「さてと、じゃあ今後の方向性だけど……原始風水盤が設置されている場所を見つける事が最優先だと思うわ」
出来るなら針の強奪もと言う美神。だが1度奪われた物を2度奪うことが出来るだろうか?そんなの考えるまでも無い不可能だ。以前よりも遥かに強力な警備が敷かれていると見て間違いない
「ベルゼバブの奴は馬鹿だ。自分で原始風水盤を設置できるような知性は無い、間違いなく裏にガープが絡んでいるぞ?」
メドーサが美神の計画を無謀だと呟く。だがそれは当然の事だ。仮に奪うことが出来たとしよう、ただ奪わせる事を囮としてガープが考えていたら?そうなったら逆に奪われている可能性もある、ガープを殴り、魔力を宿した横島忠夫を……
「それについて私と蛍から報告がありますわ。香港に到着してからやけにしつこい視線を感じています……しかしそれは私達にむけられた物ではありません」
「横島さんですね?」
小竜姫がそう尋ねてくる。その視線を私も蛍も感じていたが、それは私達に向けられた物ではない。あの人混みの中横島だけに向けられた視線だ
「となると横島君はまだ向こう側に狙われているって事か……うーん……となると、横島君はホテルに待機させるとして……針の奪取は諦めて原始風水盤を破壊する……それが一番かしら……」
それが確かに最善だろうが……そうなると問題が2つ生まれる。原始風水盤がどこに配置されているのか?それが判らないと言うとまた原始風水盤の本体を設置される危険性だ。最善は針の破壊なのだが……それが難しいとなると妥協案で本体の破壊と言う案が出るが、そうなるとガープが香港に来る危険性もある……正直言ってかなり不味い状況だ
「……しかしあまり時間を掛けることも出来ないぞ?満月が近い」
シズクが忌まわしげに呟く、満月……魔の眷属が1番力を高める日……原始風水盤を探すのに時間をかけていたら満月の日を向かえることになるだろう。そうなると起動と同時に原始風水盤は最大の力を発揮する……それは避けなければならない
「一応明後日にはドクターカオスが合流することになってるけど……合流する前に設置場所は見つけておきたいわよね……分かれて行動するって言う選択肢もあるけど……もし向こう側に見つかれば完全にアウトだし……」
「殺されるか、人質か……どっちにせよ悲惨な目に合うでしょうね」
折角小竜姫とメドーサが居るのに力が制限されていては意味が無い。もし可能なら2人をリーダーにして分かれて行動出来れば良いのですが……神魔は人間界で活動するには大幅に力を制限される。現在は蓄えている霊力を消耗して人間サイズで行動していますが、蓄えている霊力を消費しきれば装飾品か何かの姿になると聞いている。そんな状態で戦闘すればその1回で行動不能になるだろう……そうなると一気に形勢が不利になる。霊力を回復する手段……それを何とかしなければならない
「霊力の回復が難しいですからね」
「ああ、力を制限して等身大で活動しているが、それがないと強制的に妙神山に戻されるか、人形サイズだ。なんとかして霊力を安定して回復出来ればまた違うんだが……」
私達がどうやって小竜姫とメドーサの霊力を回復させるか?それで悩んでいると
「霊力っすか?そんなに悩まなくても良いと思いますよ?」
にへらと笑う横島が私達の話し合いに参加してきて、机の上に眼魂を置くとそこから黒い着物姿の幽霊が飛び出してきて
【横島!これは良いぞ!霊力に満ちているし、中は茶飲み部屋!菓子も茶もある!素晴らしい環境じゃ!】
あ、眼魂って一体……何なんですの?考えても判らない物質に頭を抱えたが、眼魂が小竜姫とメドーサの活動時間の短さを解決してくれるかもしれない……そんな希望が私達の中に生まれるのだった……
邪魔をしてはいけないと思い、チビ達と遊んでいたのだが、ボールが転がって行ってしまったのでボールを拾いに行くと、美神さん達が霊力を回復する手段が無いと悩んでいる小竜姫様とメドーサさんの話を聞いて、おキヌちゃんにボールを渡して、少しチビ達の面倒を見ていてと頼んで話に割り込むした。Gジャンから、出発前に優太郎さんとカオスのじーさんに返して貰ったブランクの眼魂を2つ机の上に乗せて
「シズクちょっとごめんな?」
「……うん?どうした?」
もう1つシズク眼魂を取り出してシズクに謝ってから眼魂を頭の上に乗せると、シズクが眼魂の中に吸い込まれる
【……む?氷の部屋?……それにこれは天然水か……うん、悪くない】
チカチカと光る眼魂を指差しながら小竜姫様とメドーサさんに
「眼魂に対応してる幽霊とか神様は眼魂の中に入れるみたいなんですけどね?なんか霊力とか満ちてる上に、好みの内装になるらしくて」
ノッブちゃんが香港香港と騒ぐのでどうしよう?と思っていたら、八兵衛が眼魂に入っていたのを思い出して実験したら出来た。中では霊力が回復するし良い事尽くめらしい
「と言う訳なので、小竜姫様とメドーサさんが眼魂を作れば霊力回復するんじゃないですか?」
ちょっと待ってと言って話し合う美神さん達を見ていると、シズクが眼魂から出てくる。その手にはアイスクリーム……眼魂から中の物を持ち出せるのか……新たに判明した事に正直かなり驚いた
「……アイスクリームが入っていた、食べるか?」
「え?あ、うん。ありがとう」
差し出されたバニラアイスを齧る。うん、普通のアイスクリームだ……本当眼魂の中ってどうなっているだろうか?
【余り考えないほうがいい。考えても判らないからな】
心眼の言葉にそりゃそうだと頷いていると小竜姫様とメドーサさんが眼魂を掴む。話し合った結果眼魂を作ることで決まったのかブランクを握り締めながら
「作るってどうすればいいんですか?」
「それを教えて貰わないと困るんだけど」
小竜姫様とメドーサさんの問いかけにはシズクが答えてくれた。なんせ俺は作る時は一杯一杯、どうやって作るのか?なんて覚えていない
「……神通力と霊力を全開で放出すればいい。ただ足りないと失敗する」
何度も何度もスカッパーになった経験から全力でやれとアドバイスをするシズク。小竜姫様とメドーサさんがブレスレットを外して霊力を眼魂に吸収させているのを見ていると、神宮寺さんが何かを思いついたように
「それって人間でも出来るんですかね?」
「さ、さー?それはどうだろう?」
今までは幽霊と神様だった。人間で出来るのか?それなんて考えたことも無かった。だけど人間だから多分無理じゃにですか?と呟きながら、チビ達のほうを見る
【もうちょっとで横島さん、戻って来ますからねー?もう少し大人しく待っててくださいね?】
「む」
「きゅー」
おキヌちゃんが頑張ってるけど、チビもモグラちゃんも言うことを利く気ゼロ。半泣きになっているおキヌちゃんが可哀想になってきた
「と言うか。神宮寺、どうやっても人間は眼魂に入れないでしょう?あれはあくまで精神体が主になる、神族や幽霊だから出来るんじゃないの?」
「それは判っていますわ。魔力を眼魂に注ぎ込めばなる可能性があるのでは?と言う話ですわ」
人間では無理だが、魔力だけならどうですか?そう考えると可能性はあるのか?……いや、でもそれで神宮寺さんの魂が眼魂に入り込んでしまったら身体は死んでしまうのでは?寧ろそっちの可能性が高いんじゃ?っとそんな事を考えているとバシっと言う音が響き振り返ると美神さんが見たことも無いような顔をして、あははっと乾いた笑いをしながら
「横島君。成功したみたいよ?」
驚いた表情で振り返る美神さんが指差す机の上には、緑と紫の眼魂が転がっているのだった……
本当に眼魂になっちゃった……目の前の2つの眼魂を見て数回瞬きしてから
「えーと大丈夫ですか?」
「ええ、全然大丈夫です。日本風の庭園のある部屋ですね、あら……お茶とお菓子まで……」
「こっちはあれだね。虎の敷物と大きな背もたれの椅子、おっとワインセラーまである」
……眼魂の中ってどうなってるのよ……私は思わず天井を仰ぎ見てしまった。横島君のベルトの力を引き出す為の道具だと思っていたのに、中身がそんなことになっているなんて思っても見なかった
【あ、ワシ。霊力やばいから眼魂に戻るぞ?なんか用があったら呼んでくれ】
「それじゃあ、話し合いの邪魔をしたら駄目なんで戻ります。方向性が決まったら教えてください」
そう笑って眼魂の中に戻って行くノッブ。横島君は信長眼魂とシズク眼魂を拾い上げて、Gジャンのポケットの中に戻し、シズクと手を繋いで離れていく。なんでシズクまで連れて……いやまぁあれは仕方ない、正直シズクは基本的に横島君の味方だから、私達と話し合いをするよりかは横島君の側を選ぶのは判りきっていた事だから……
「とりあえず蛍ちゃん。くえす、今日はまだ日暮れまで時間があるわ、小竜姫様の眼魂と私が、メドーサの眼魂をくえすが持って、私の方は蛍ちゃん、それとノッブ。くえすのほうは雪之丞とピート。それで分かれて一応調査をしましょう」
満月までは今日を除いて後3日。それまでに原始風水盤の設置場所を見つけ出し、原始風水盤の起動を阻止する必要がある。それに1度原始風水盤の針が奪われた事で恐らくかなり警戒している筈。正直3日で見つける事が出来るか?と言う不安はあるが、香港の何処かにあるのは間違いない。霊脈の位置を調べて、それを辿って行けば見つけられる可能性は十分にある
「私は構いませんが、そちらは2人で大丈夫なんですか?」
雪之丞とピートの2人を連れて行けと聞いてくえすが大丈夫か?と尋ねて来る。以前なら絶対こんな事聞かなかったのに……横島君と出会った事でここまで変わったのねと思いながら大丈夫だと返事を返す
「シズクは水があれば跳んで来れるし、見ている事も出来るからね。ノッブもいざとなれば眼魂から出て来てくれるから戦力にはなるわ、だから一応こっちのほうが戦力は上の筈よ。シズク、判ってると思うけど、遊ばせる為に香港に連れて来たんじゃないからね。横島君を護りつつ、こっちの様子も見ててよ」
「……判ってる」
「え?俺護られる側なの?」
横島君は間違いなくガープのターゲットになっている。くえすと比べてまだ戦闘経験も足りなければ、知識も足りない。連れ回して攫われる危険性を考えれば、最初からシズクを付けてホテルに残したほうが安全と言うものだ。キョトンとした顔をしている横島君に信長眼魂を貸してと言いながら横島君の役目を説明する
「良い、今回はガープが動いているとは言い切れないけど、その可能性があるわ。貴方はガープを殴り飛ばし、そしてあいつの計画を破壊した。狙われている可能性高いの、とりあえず少しの間はここで待機。でもちゃんと仕事はやって貰うわ」
地図と原始風水盤の針が包まれていた針。そしてダウジングの為のペンデュラムとこの為に購入した携帯電話を机の上に置く
「ここに私とくえすの霊力を込めたクリスタルを置いて行くわ。これを地図の上に置けば、私達の動きとリンクするわ。これとダウジングを使って私達の進む方向を指示して頂戴、陰陽術と組み合わせれば貴方がこの中で唯一の完全索敵タイプなんだから」
私とくえすは補助程度の索敵能力だが、ペンデュラムに陰陽術そして地図と霊力の残滓の残った道具。これだけあれば知識が足りないとしても道具を使いこなし横島君なら間違いなく索敵タイプとして私達のフォローをしてくれるだろう。練習なしの一発勝負だが、今まで何度もこんな状況で横島君は霊力を覚醒してきた。だから今回もその可能性に賭けて見たいと思ったのだ
「おキヌちゃんは電波が通じない時の連絡役。良いわね?」
【は、はい!任せてください】
敵地の中で歩き回るというのは精神的にも肉体的にも負担が掛かる。そしてそんな状態で敵に遭遇すると浮き足だち、全滅する危険性が出てくる。それを避ける為には後方で支援してくれる人材が必要になる
「初めてで不安だと思うけど、大丈夫。横島君なら出来るわ」
スライムを見つけた時も、レギオンに襲われた時も横島君の言葉によって助けられた。だからこれは横島君にしか任せることが出来ない
「……っ!判りました。俺も頑張ります」
自分がどれだけ重要なポジションを任されたのか理解したのか、私の差し出したペンデュラムを両手で握り締め返事を返す。その代わりに差し出された信長眼魂をポケットに入れる。これで私の方の備えは万全ね……それに横島君にこの様子なら大丈夫そうだと判断し、私達は横島君とシズクをホテルに残し原始風水盤の設置場所を探す為にホテルを後にするのだった……
そして美神達が原始風水盤の設置場所を探して行動を始めた頃。香港の外れでは……
「ここが香港か……」
誰も居ない廃工場に現れた人影。鎧に兜と現代には相応しくない姿をしたその人物は辺りを見回し、誰も居ないのを確認してから篭手やプレートメイルに手を伸ばす。するとそれらはまるで最初から存在しなかったかのように粒子へと変わっていく……勿論腰に挿した剣でさえ粒子となって消えて行く……そして最後に兜に手を伸ばし、それを魔力へと変換しながら
「我の名を騙る痴れ者の制裁とでも理由をつけねば魔界を出る事も叶わぬからな」
ふうっと溜息を吐きながら兜を完全に消し去り頭を振るう、すると兜の中に隠されていた美しい金髪が姿を現す。廃工場の窓から差し込む夕日が金髪に当たり、柔らかな光を放つ……あれだけ重厚な鎧を着ていたとは思えない細身の人影は遠くに見える街並みを見つめ楽しそうに笑いながら
「さてと、少しばかり人間界を楽しむかな」
その人物は帽子を被り、楽しそうに笑いながら廃工場を後にするのだった……
リポート6 原始風水盤を発見せよ その4へ続く
横島は捜査には参加せず。ダウジング等を駆使して美神達のフォローに回ります。そして新しく眼魂が2つ「小竜姫」「メドーサ」眼魂。韋駄天から大分間をおいての神霊眼魂の追加です。これが使用されるかどうかを楽しみにしていてください
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い