GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
リポート6 原始風水盤を発見せよ その5
サタンやあのお方が気に掛けている横島の自分勝手な正義感の所為で、折角見つけたベルゼバブを見逃す羽目になった……
(不愉快だ。実に不愉快だ)
メドーサと小竜姫が私を見て驚いた表情をしていた。確実に私の素性に気付いただろう、私に関わってくれるなと命令したがそれもどこまで従うか判らない。折角人間界で日頃の疲れを癒しながら、私の名を騙る愚か者を見つけて殺せばいいと思っていたのに、どうしてこんな事になってしまったのか……運が悪かったのか、それとも宇宙意思の干渉か……どっちにせよ面倒な事になってしまった
(顔を隠していたのが不幸中の幸いか)
私の姿は鎧甲冑姿でしか知られていない。魔力で私だと気付いたが、確証は無い。恐らくそんな感じだろう……
「だがまぁ。あいつらと居ればベルゼバブの事も判るか」
ベルゼバブを倒すと言うのはあくまで人間界に来る為の名目だ。とは言え人間の姿をしている以上寝床と食事を取る事が出来る場所を確保出来たと思えば……
「べ、べ、ベルゼブル様。休暇中申し訳ありません……」
「なんだ」
考え事をしている中。部下が震えながら転移してきた、ここは既に結界を張っているので外の連中には判らないと思うが……こいつめ何を考えて転移してきた?私が睨みつけると部下は懐か手紙を取り出し
「あ、あのお方からの勅命で参りました。どうぞお確かめください」
「判った。御苦労」
消えて行く部下を見送り、手紙の封に押されている刻印を見て
「またあのお方に振り回されるのか……」
翼を模した「L」の刻印。一応息抜きで人間界へ来たが心労を溜める結果になりそうだ……私は深く溜息を吐きながら手紙の封を開けるのだった……
入浴と夕食を終え、明日も早いからと言う理由で横島君達をホテルの部屋に帰らせてから。私とくえすは横島君が連れて来た高城麗華と名乗る人物について小竜姫とメドーサに尋ねる事にした。私は判らなかったのだが、くえすとシズクが言うには間違いなく神魔。しかもガープクラスの最上級クラスとの事だ、何か知っているのでは?と尋ねるとメドーサが重い口を開いた
「高き館の主様だ。それ以上は言えないよ」
……高き館……ってそれ!?冗談であって欲しい、嘘だと言って欲しかったが2人の反応を見れば本当なのだと判ってしまった。思わず座っていた椅子からずり落ち、自分でも判るくらい上擦った声が出てしまう
「はぁ!?な、ななな、なんでそんな大物が居るのよ!?」
大物も大物。それこそバチカンが動き出してもおかしくない。それほどの大物だ、蠅の王……ベルゼブル。なんでそんな大物が人間界に……っとそこまで考えた所で思い出した。原始風水盤の針を奪っていた魔族は俺こそが真の蠅の王ベルゼバブと名乗っていた事を……そこまで思い出せば後は簡単な話だ
「なるほど、自分の名を騙る俗物の排除と言う事ですか?」
「そうなるのかね。かつての神魔大戦の折に最上級神魔と契約して魔装術を得た魔族は多い。大体は発狂して自滅したんだけど……どうもあいつは自分こそが真の蠅の王だと思い込むことで自我を保っていたみたいでねぇ」
迷惑もいいところ何だけど……そんな大御所なら保護しなくても自分で何とかしたと思う。横島君はベルゼバブから逃げて来たと言っていたけど、それはベルゼブルの邪魔をしたって事になる。横島君が制裁を受けたりしないか心配する
「ベルゼブル閣下は大変気難しい方として有名です。なのであの方の言う通り過度に干渉しないように」
「私はそのつもりだけど……」
横島君がどうするか判らないわよ?と呟くと、全員頭を抱える。そして考えて出た結論は
「とりあえず横島があの方を怒らせない事を祈るだけだね」
「神魔でも横島さんの才能は高く評価されているのでよっぽどでなければ大丈夫だと思うんですが……」
横島君だからそのよっぽどをしそうで怖いのよね……私は深く溜息を吐きながら
「とりあえず今日はもう寝るわ。後3日しかないから、急いで回っていかないといけないしね」
満月まで後3日で壊すべき結界の基点は10箇所。ゾンビや罠で一筋縄で行かない上に、反応の強い弱いで場所の特定も難しい、連戦と言うことも考え、体力・霊力共に万全で挑みたい。竜神の装備と言う手もあるとは聞いているが、その反動も大きい。使い所を間違えば、行動不能になるから容易に切れる札ではない
「ですわね。小竜姫、メドーサ。貴女達も眼魂で休んで霊力を回復させておいて欲しいですわ、いざと言う時の為にね」
やるべき事は、これでもかとある。だからベルゼブルの事は後回しにし、取り合えず今は原始風水盤の場所を隠している結界を破壊する。それだけに専念するわと2人に声を掛け、私とくえすは明日に向けて身体を休める為に部屋へと向かった。そして翌朝、私は予想外の物を談話室で見ることになった
「ほう?ダウジングの精度としては規格外だな。貴様は」
「そうなの?俺判んないぞ?」
……横島君の側にベルゼブルが居て、横島君の動きを見て興味深そうに見つめている。小さく笑みを浮かべているのがやけに印象的だった。そんな事を思わず考えてしまうほどに私は混乱していた、自分で構うなと言っておきながらなにをしているのだろうか……
「あ、美神さん。おはようございます。えーと、とりあえず今朝からダウジングした場所を美神さんと神宮寺さんの持ってる地図に印をつけておいたんで最初はそこから回って見てください」
私に気付いた横島君がおはようございますと笑うので返事を返しながら、横島君から差し出された地図を受け取ると、確かに1箇所印が打ってある。そこが今日の目的地と言うのは判ったけど、一体何時から横島君はダウジングをしていたんだろう?今朝の7時30分……注意書きもしてあるので1時間やそこらではないと思うけど
「俺が5時30分に起きて、走りこみに出かけるときにはもう起きてたぜ?」
雪之丞が欠伸をしながら呟く、これで少なくとも5時には横島君が起きていた事になる
「……私が5時に起きた時はもうベッドは冷え切っていたぞ?」
同室のシズクの言葉で横島君は今日少なくとも4時ごろには起きていた事が判る。私達の視線が集まっていることに気付いたのか横島君は誤魔化すように口笛を吹き始める
「横島君。今日は許すけど、次は無いわよ?休むのも大事なことだからね?」
「……うっす」
直接動いていないから、少しでも私達に情報を伝えようとしてくれるのは判るけど、無理をされたら意味が無い。ここはキツク注意をしておこうと思っているとベルゼブルがそれはどうかな?と呟き私の話に割り込んできた
「己の意思で動いている人間を止める権利は誰にも無い。私はお前達が何をしているなんてなんの興味も無いが、自分に出来ることを全力でやろうとしているこの馬鹿は好感が持てるぞ」
ベルゼブルの言葉に嬉しそうな顔をしている横島君を見て、蛍ちゃん達が面白くないという表情をしているのを見て慌てて蛍ちゃんのほうへ走る。ベルゼブルを攻撃したそれだけで私達全員が殺されかねないので蛍ちゃん達を暴走させないようにしないといけない
「横島君!じゃあ私達はレストランで食事をしたらそのまま街に出かけるから!また情報よろしくね!」
慌ててそう叫ぶと蛍ちゃん達の背中を押して、私は談話室を後にした。なんで朝からこんなに気疲れしないといけないんだろう?と考えながらも、時間が無いのでレストランで軽く朝食をとり昨日から借りているレンタカーで街の外へ向かう
「あの高城って言うのは出来るだけ怒らせないように」
運転しながら蛍ちゃんにそう話を切り出すと、蛍ちゃんは眉を顰めながら頷き、私が驚くことを口にした
「……判ってますよ、なんか高位の神魔って言うのは何となく……」
蛍ちゃんの不貞腐れた言葉に驚いていると蛍ちゃんは窓からホテルの方角を見ながら、でも面白くないんですと呟く
(横島君がくえすの所に行ってから嫉妬深くなったわね)
精神面のケアも師匠の務めだが、私は正直恋愛の経験も無いので助言出来る事も無い。なんか助言出来れば良いんだけどなぁと思いながらも、禄に言える事も無い事に気付き
「とりあえず、あんまりあの人を怒らせないように、どうせ直ぐに別れる事になるんだからね?まずは原始風水盤の起動の阻止。そしたら皆で香港で観光でもしましょう?」
「そうですね……」
明らかに空返事と判る蛍ちゃんの言葉、もう本当にそんなに不安になるなら早く告白でも何でもすれば良いのに……私はそんな事を考えながら、横島君が印をつけてくれた最初の場所へハンドルを切るのだった……
蛍からの通信鬼で現在の状況を聞き、今必要だと霊具の作成をドクターカオスと2人で徹夜で行っていた
「カオス。もう少ししたら休めよ?無理は良くないから」
「はい、テレサと軽食の準備をしたのでもう少ししたら持ってきますね」
助手として私とドクターカオスの手伝いをしてくれている、マリアとテレサ。2人のおかげでかなりスムーズに準備を進める事が出来ている
「ベルゼバブ対策に殺虫スプレーの強化って役に立つのか?」
ドクターカオスの問いかけに苦笑しながら返事を返す
「ベルゼバブは魔族としては格の低い虫型魔族ですから、殺虫スプレーでも少し強化すれば十分に効きますよ」
満月まで後3日。今日で準備をし、明日の昼に香港へ向かい、夜に合流する。捜査に当てれる時間は1日と半日。しかもスムーズに合流できた場合でこれだ、予定通りに合流出来る保証も無く、かなり厳しいスケジュールで動いている。だが準備もなしにガープが暗躍している可能性がある香港に向かう訳には行かない。原始風水盤が起動してしまう事も考慮し、発見するだけではなく、機能を停止させる道具の用意も平行し不眠不休でここまでやってきたが、マリアとテレサの言う通り適度な休憩も必要か……2人の言葉に甘えて休憩しようかと考えていると突如部屋の温度が下がったような寒気が走った。そして部屋の中に充満するオーラに冷や汗が流れる……
「……ドクターカオス。非常に危険です、超高位の神魔の出現を確認……逃走を推奨します」
「……うあ」
マリアとテレサがその圧倒的な魔力に当てられて、機能を停止する。ドクターカオスが冷や汗を流しているのを見ながら私は手にしていた工具を机の上に置き
「ルシファー様。お戯れが過ぎますよ」
振り返る事無く背後に居る人物にそう声を掛けた。魔神ルシファー、サタンが魔界統一に乗り出す理由となった魔神。かつては神界ではもっとも位の高い天使として、魔界では最高位の堕天使として、そしてキーやんとサッちゃんが最高指導者となる前に両方の最高指導者を経験したと言う経歴を持ち、そして最高指導者に飽きたと言って魔界に争乱を起すだけ起こしたら隠居宣言した。その際でサッちゃんは魔界統一に乗り出したのだ、その騒乱を収める為にそしてルシファーは今楽隠居として神魔両方の陣営にフラリと現れてはトラブルを巻き起こして去っていく。そんな相手が突然現れた、嫌でも警戒心が強くなる
「ルシファーと言う名は良くない、良くないな。アシュタロス、今の私はルイ、ルイ・サイファーさ」
楽しそうに笑う声が聞こえたと思うと目の前に腰掛けている。以前遠目で見た時は男性の姿をしていたが、今はドレス姿の女性の姿をしている
「ああ、これかい?前は子供や老人の姿もしていたんだが、うん。飽きたからね?ここで女性の姿をしてみたんだよ、美しいだろう?」
確かに美しいだろう、だがそれに関しては何も感じない。何故ここに現れたのか?それだけが脳裏を埋め尽くす
「ルイ様「ああ、ルイで良いよ。様なんていわれるとうっかり殺しかねないからね」
にこにこと笑っているが、殺すと思えば私達なんか瞬きしている間に殺される。心の中でも様づけをすれば不愉快と言う理由で殺されかねない……となりのドクターカオスにも小声で絶対に様付けを心の中でもしてはいけないと警告していると、ルイはドクターカオスを見て楽しそうに笑い始める。その笑顔に不吉な物を感じているとルイは嘲笑を浮かべながらドクターカオスに声を掛けた
「ヨーロッパの魔王だったね。人間の癖にと思ったが、うん。中々良いじゃないか?永い時の中、その目で何を見た?人の死かな?不死を悔いたか?愛した者を失う喪失を何度繰り返した?」
ん?私にその時の気持ちを教えてくれないか?と挑発する様に笑うルイにドクターカオスは冷や汗を流したまま
「後悔はしておらん、ワシは今まで生きた事で助けたいと、幸せになって貰いたいと願う者の力になれる。故に後悔などしておらん」
マリアとテレサを護る位置に移動しながらハッキリとした口調で言い切った。ルイはそれを見て楽しそうに笑いながら
「うん。やっぱり人間は良いね、何時だって神魔を超えるのは人間だ、だから私は人間に試練を与えたくなるよ……特にそう……今神魔が注目している横島忠夫にもね?」
横島君の名前を聞いて思わず椅子から立ち上がろうとしたが、凄まじい重圧を感じてそのまま椅子に逆戻りなる
「そんなに警戒しなくても良いじゃないか?今は何もしない、何もしないさ。まだ彼は弱い、私が望む存在になるか、それをゆっくりと見極めさせて貰う。今回尋ねて来たのは私の部下。ベルゼブルを彼の護衛につける、それを伝えに来ただけだよ」
一応この場所は君の管轄だからね。神魔全てを騙し、ただ1人の人間に幸福な未来をと望む君の顔を潰すわけにはいかないだろう?と小さな声で呟かれる。ルイは全てを知っている……相変わらず規格外の存在だ。同じ魔神でも圧倒的に格が違う
「もしベルゼブルが来たら、友好的に迎えてやってくれれると助かるよ。じゃ、私はこれで」
現れた時と同じ様に忽然と消えるルイ。それから数分後やっと身体に纏わり付いていた重圧から逃れる事が出来た
「ルシファーか、なんとも恐ろしい奴じゃな。寿命が縮んだわ」
過剰魔力にオーバーヒートしているマリアとテレサの手当てをしているドクターカオスを見ながら、私はこれからどうするかを本気で悩んだ。横島君がルイに目をつけられた……それは何よりも恐ろしい事だ。あのお方なら口笛を吹くような手軽さで人間を魔族へと変えるだろう……
(どうした物か……)
私の権限で護る事が出来るなら何の心配も無いのだが、相手は私よりも遥か上の権限を持つルイ……サッちゃんでさえも意見する事が出来ないそんな規格外の存在。GS試験で目立ちすぎたのがルイの耳にも届いたのだろうか?それとも神魔の動きを見て興味を持ったのだろうか?どっちなのかは判らないが、どっちにせよ状況はかなり悪いな……どうした物かと悩んでいると
「も、ももも!申し訳ありませんんんッ!!!ルシファー様に代わって私が謝ります!ごめんなさいいいいッ!!!」
魔法陣からスライディング土下座で飛び出てきたルキフグスを見て、私とドクターカオスが何とも言えない表情になったのは言うまでも無いだろう……
香港とか言う街を覆っている結界の存在は感知していたし、それが日ごとに弱くなっているのも判っていた。正直結界は目障りだったが、壊すのも面倒な上に、姫の目覚めが近い。それを向かえる準備をしなければならないのにそんな些事に時間を掛けている暇は私には無かった
「ふむ……これは……なるほどなるほど」
GS試験と言う場所が姫の目覚めに関係すると黒いのと白いのに聞き見に行った時に見た者達の気配がする。大方原始風水盤の起動の阻止に来たという辺りか……
「原始風水盤を起動させるのを邪魔されては困るな」
正直原始風水盤にはそこまで興味が無いのだが、起動する事で竜脈の流れが変わり、姫の封印が緩む。その一瞬を待っている私にとって原始風水盤の起動を妨害されるのは非常に迷惑な事だった。なんせ原始風水盤が起動さえすれば竜脈は乱れ、同胞達を封じる鍵となっている剣闘士が目覚めるだろう……そうなれば後は連鎖的に同胞達は目覚めていく、だからそれまでは原始風水盤の起動を阻止される訳には行かない
「やれやれ、仕方あるまい」
指を鳴らし、何度か私を襲いに来た馬鹿な蠅の魔族を呼び出す、その数は4体……全て私の鎌で思考能力を奪い、私の指示を聞くように調整した者達だ
「散れ、そして適度に見つかり、気配を感じたら逃げろ。そして明後日の朝、原始風水盤の元へ向かえ」
頷き散っていく蠅の魔族。まぁ大して役に立たんが、人間相手では早々倒せる相手ではないし、無駄に機動力はあるので場所を特定されず逃げ回る事が出来るだろう。これで探索や探知をしてる相手の感覚を潰せるので間違いなく時間は稼げる
「邪魔はする、邪魔はするが、その後は手伝おう」
ガープとか言う魔神が姫の回りを探っているのを知っている。本当ならこの手で抹殺してやりたいが、原始風水盤を起動するまでは殺す訳には行かない、なんせ姫の目覚めに関係しているのだから、自分の感情で処分する訳には行かない。それに人間には人間の都合もあるだろう。満月の日の朝に知れば当然向かうだろうが、準備する時間なども考えれば日が沈むまでに起動を阻止する事は不可能。ならば邪魔をした分は侘びとして原始風水盤の場所を教えてやっても良い。私に私の都合があるように、向こうにも向こうの都合があるのだからな。懸念としては封印から開放された馬鹿が何をするかだが……あいつの性格を考えればそこまで問題は無いだろう
「まぁあの馬鹿が何をするかは判らんが、行き成り殺すという事は無いだろう」
戦いを好み、満足できる戦いをする為に相手を育てることもする馬鹿。だから原始風水盤の起動を阻止しに人間が向かったところで行き成り殺すという事はない。手足の1・2本は失うだろうが、死にはしないのだから安いものだろう。
「後で死のうが、生きようが、全て姫の気持ち1つなのだから」
姫が目覚め、何を望むか?その結果しだいでは人間達は全て滅ぶ。だから今死のうが、後で死のうが、それに際は無い。何故なら全ては
「我らが姫の思うがままに……」
神魔がそれを阻止しようと動こうが、人間が終焉に抵抗しようが、姫が滅べと言えば滅ぶ。栄えよと言えば栄える……それだけだ。姫が目覚めればそれだけで人間にはもう出来る事など何も無いのだから……
横島さんの指示で順調に結界の破壊は進んでいた。この調子ならば満月の日までに原始風水盤の場所を特定できる。そんな風に考えていたのですが……結界の基点を8箇所潰した所で暗礁に乗り上げてしまっていた
「今日も駄目そうね」
「……すんません」
昨日の夕方。今まで100%の的中率を誇っていた横島さんのダウジングがその精度を失い始めたのだ。地図の上で回り続けるペンデュラム、偶に場所を示すが、そこに結界の基点がない。恐らく、探知に特化した者がこっち側に居ることに気付き、妨害をしているのだと思うのですが……それが判ってもこっちに出来る事は殆ど無い。寧ろ8箇所結界の基点を潰す事が出来た、それだけでもかなりの成果だ。
「また空振りですわね。向こうもこっちの動きに気付いたと見て間違いないでしょうね」
反応があった場所を見に行っていた神宮寺さん達が戻ってくるが、やはり空振りだったと告げる、美神さんと神宮寺さんで交互に反応のあった場所を見に行って戻ってくる。これで4回目だ……
「厄介だね。特定させて、場所を移動する。結界の起点を隠しに来ているのは判ったけど、鬱陶しいよ。これは!」
メドーサが不機嫌そうに怒鳴る。残っている結界の基点は4箇所、満月までは後2日の猶予を残しているが、場所を特定する事が出来ず、更に結界の基点を守っている悪魔やゾンビの事もあり、分散して調べる事も出来ず完全に手詰まりになっていた
「すんません、役立たずで」
申し訳無さそうに言う横島さんだけど、そんな事はない。ぶっつけ本番でよくここまで頑張ってくれた。8箇所も結界の基点を見つけてくれた、それは十分すぎる働きだ。起点の破壊で相手が防衛手段を打って来た、それだけ横島さんのダウジングの精度が高いと言うことだ
「横島は凄く頑張ってくれたわよ。ただ向こうも対策を立てて動いて来てるだけ、8箇所結界の基点を破壊したんだから特定する事だって不可能じゃないんだから」
蛍さんが励ますように横島さんに言う。しかしその通りだ、12箇所の基点を使っての結界。その内の8箇所を潰しただけでかなり結界としての効力は弱まって来ている筈だ。危険性はあるが、起動の前の準備段階での魔力放出で場所を特定できる可能性もある。その場合時間制限がかなり厳しくなるが、準備や装備を万全にして強行突破すると言う作戦も取ることが出来ますね……ただ出来ればそれは最終手段にしたいですが……
「となると結界の起点を破壊するんじゃなく、直接原始風水盤を潰しに行くって事か?そっちのほうが手っ取り早くて俺は良いけどな。チマチマ基点潰しをやってるのは性に合わない」
「それも可能性の1つだと思いますが、僕達で原始風水盤を破壊する事が出来るのですか?そう言うのに詳しい方は神魔側でいらっしゃるなら呼んでからのほうが安全なのでは?」
ピートさんと雪之丞さんが意見を出してくれる。どっちもある意味正解なのだが、どちらも間違いでもある
「美神さん。柩ちゃんに電話で聞いてみるのはどうですか?」
「無理。そう考えて電話したけど、電話出てくれないわ」
横島さんが別の可能性として予知能力を持つ夜光院柩さんの名前を出すが、電話に出てくれないのでは話にならない。ヒャクメに調べてもらう事も考えましたけど、ヒャクメの強すぎる探知能力では逆探知から、精神攻撃をされる可能性があるのでそれも出来ない
「とりあえずこっちからGS協会とカオスに電話してくる。そういう関連に強いって言ったらカオスくらいしかいないし」
美神さんがそう言って談話室から出て行くのを見送り、その間も原始風水盤をどうするか?の話し合いを続けるのですが、やはり良いアイデアは浮かんで来ない。起動する前に破壊、もしくは針を奪いたいのですが場所の特定が出来ない
「竜脈の近くだとは思うんですが……」
「香港は竜脈が張り巡らされてる。竜脈を辿るって言うのも難しいだろうね……」
【シズクの探知では無理なのかの?】
「……水に魔力が染み出していれば何とかなるが、それも無いからな……かなり難しい」
基点を潰しているので結界の出力が弱まっているのだ。何とか見つける手段はあると思うんですが……
「カオスが明日にはテレサとマリアと一緒にこっちに合流するって、時間までは判らないけど色々準備をして来るって言ってるから今日は休みましょう」
電話を終えた美神さんが戻ってきて、今日は休みましょうと告げる。私はその言葉の後に続いて
「確かにそうした方が良いかも知れないですね。時間に追われながらの除霊は精神的にも肉体的にも凄まじい疲労となります。明日もしドクターカオスが来て、原始風水盤の場所を特定してくれる可能性がある事を考えると、万全な状態で迎えるようにするのも大事な事です」
時間的余裕は無い。だが今何も手がかりが無い状態で動き回るなら、体力と霊力の回復に努めましょう。無理をしてガープの罠に掛かって全滅する可能性を考えれば、ドクターカオスと合流してから考えるのも1つの手段だ
「そうと決まれば今日は休むわよ。どっかの高級レストランでも行って良い物食べましょ?」
こういう時こそ、気持ちの余裕が大事だ。いざ原始風水盤の場所を特定出来た時の事を考え、今日一日休養に当てる事に決め、私達はホテルで見つけた観光ガイドを手にホテルを後にするのだった……
リポート6 原始風水盤を発見せよ その6へ続く
次回はかなり話を動かして行こうと思います。少なくとも原始風水盤が起動する辺りまでは書いていこうと思っています。原作では美神が囚われていたり、唐巣神父は土角結界とかに取り込まれる。などのイベントがありましたが、今回はそう言うイベントは無いので若干物足りない感じになっておりますが、横島の方向性や、今後絡んでくるルシファー一派を出したかったので、そこはご容赦ください。なお蝿の王はロリ系の女王様気質と言う事でネギ魔のエヴァをモチーフに考えております。それでは大きな盛り上がりを見せるリポート7を楽しみにしていてください、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い