GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
リポート1 始めの1歩 その3
私は心の底から助けてと叫びたかった……蛍ちゃんに考える時間を与えないように除霊を多く入れ、2回の除霊を終えて事務所に帰ると
「……待っていたぞ、美神。どういうことか説明してもらおうか?」
髪の先が蛇のようにゆらゆら揺れ、水の剣を手にしているシズクがそこにはいた……思わず完全に停止してしまった
「美神さん?どうし……じゃっ、私は帰りますので!!!」
【私は夕食の買出しがあるんで!?】
「逃がさないわよ!?」
事務所を覗き込んで逃げようとする蛍ちゃんとおキヌちゃんを咄嗟に捕まえる。ただでさえシズクは怖いのに、こんな状態のシズクと2人きりなんて冗談じゃないわ
「私だって嫌ですよ!?めちゃくちゃ怖いじゃないですか!?」
【怒ったシズクちゃんは怖いんですよぉ!お願いだから放してください】
逃げようとする2人を逃がす物かと捕まえていると
「……っとと入れ、そして説明しろ」
有無を言わさないシズクの口調に私達は声を揃えて、ハイっと返事を返しシズクの前に座るのだった……
「……そう言うことか……ちっ、忌々しい」
横島君の中にソロモンの魔力があるので、それの抑制の修行の為にくえすに預けることになったと説明すると、シズクは不機嫌そうに舌を鳴らす、どうかした?と尋ねる。するとシズクは不機嫌そうに
「……繋がりを断ち切られた、水を仲介して横島の所に跳べるが、それも出来そうにないな」
水神であるシズクの力を断ち切る!?シズクの言葉に私達が驚いていると
「……それに特化すれば神宮寺なら出来るだろう。あれは人間だが、人間じゃない。限りなくこちら側に近い」
神魔の領域に足を踏み入れている……神宮寺の実力は知っていたが、まさかそこまでとは
「シズク。横島の様子とかも判らないの?」
「……今の所は無理だな、時間をかけて繋がりを辿って見るが……多分結界で干渉を完全に拒絶していると思うぞ」
……私もしかしてめちゃくちゃやばい相手に横島君預けちゃった?
「美神さん。もしかして神宮寺の事務所の場所とか知りません?」
「……ごめん、知らない」
事務所を開設したとは聞いているけど、場所までは……東京都内くらいしか判らないわ
「……だが歩いて行ったのだから、横島の家に近いのでは?」
確かにその可能性もあるが、くえすがそんなあまい手段でこっちの介入を妨害しようとしているなんて思えない、もしかすると歩いているうちに転移魔法で移動しているとか、結界を張っている可能性とかも十分考えられる
「時間も時間だから明日琉璃に場所を聞いてみるわ」
正直打つ手が何も無いので、私は疲れたようにそう呟くことしかできないのだった……
神宮寺さんに地下に来るようにと言われたが、場所が判らず屋敷の中をうろうろと歩き回る
「なあ?タマモ。元来た道判る?」
クウンっと鳴きながら首を振るタマモ。駄目かぁ……やっべえ、こんな豪邸の中歩いたの初めてだからどこがどこかサッパリ判らない……一応心眼にも聞いてみるが
【すまない。この屋敷の中は過度の霊力で満たされている。私も殆どこの屋敷の中を把握できていない】
マジで?戻る事も出来ないが、目的地に進むことも出来ない。完全に困り果てていると
「……くえす様がお呼びです。どうぞこちらへ……」
いつの間にか俺の横に立っていたやたら顔色の悪いメイドさんがそう声を掛けてくる。抜群のプロポーションの美人なのだが
(なんだ?なんか違和感が)
何かと言うことは出来ないが、妙な違和感を感じながらそのメイドさんに案内されながら廊下を歩いていると
「……この先の階段を降りて行ってください。そこでくえす様がお待ちになっております」
あれ?俺いつの間に階段を下りたんだ?俺達2階にいたはずだよな?そんな疑問が頭を過ぎるが神宮寺さんが待っているので進むしかないか……
「案内して……あ、あれ!?」
俺を案内してくれたメイドさんにお礼を言おうと思ったのだが、メイドさんの姿がない。数秒目を逸らしただけなのに!?俺が混乱しきっていると心眼が
【落ち着け横島。あれは人間じゃない、恐らくは精霊や妖精の類だ。恐らく契約してこの屋敷の家事をさせているのだろう】
魔法使いってそんな凄い事も出来るんだなあ、俺は改めて神宮寺さんの凄さを感じながら地下へを続く会談に足を向けるのだった
「みむう」
「うきゅ」
まだぷるぷると震えているチビとモグラちゃんを抱き抱えて、階段を下りるとめちゃくちゃ広い部屋に出た
「遅いですわよ?迎えには会いませんでしたか?」
豪華な椅子に腰掛け読んでいたであろう本を閉じながら尋ねて来る神宮寺さんに
「あーすんません、チビとモグラちゃんが何かに怯えてて」
ずっと震えっぱなしのチビとモグラちゃんが可哀想で、途中で階段に座り込んでチビとモグラちゃんをあやしていたのだと説明しながら、頭の上のタマモを膝の上に乗せる
「ああ。それは無理もないですわね……ここは霊脈の上ですが、まだ完全に浄化が済んでいないので邪気が溜まりやすい立地になっています、それを敏感に感じ取って怯えているのでしょう。弱い妖怪ですから」
軽い感じに説明されたが、それってめちゃくちゃ不味い状況なんじゃ……
「ああ、問題ありませんわ。明日にでも完全に浄化は済ませますわ、さてと、では横島。貴方が教本にしている物があればそれを見せてください。それで指導の方向性を決めるので」
俺は神宮寺さんに言われた通り、陰陽術の本と妖怪図鑑を神宮寺さんに差し出し、椅子に座って怯えているチビとモグラちゃんの頭を撫でながら、大丈夫大丈夫と何度も何度も声を掛けるのだった……
震えているグレムリンの幼生と土竜を撫でている横島を見つめながら、横島が教本として私に差し出した物を確認する
(これは……私が落札出来なかった……)
古今東西の妖怪の事を記した生きた文献。これを作った呪術師は人間よりも化け物を愛した。だから様々な妖怪と契約を結び、その当時にしては不可能だとされていた海外に渡り、その先でも神や精霊と契約を結び。その契約を元に書き記された全書……これを書き起こした人物は既に死んでいるが、その男と契約した者達は今も生きている。それらが今もなお全書に記し続けているのだ。男が描いた夢……怖れ、敬い、そして愛するべき人間の隣人を全ての人に伝えたいと言う願いを叶える為に
「あ、神宮寺さん。その本、なんか勝手にページが増えたりしてるんですけど、なんでか判ります?」
「それはそう言う特徴の物だからですわ。大事にしておきなさい」
本当なら私だって欲しい代物だが、この本が私を拒絶している。きっと横島とこの書物を書き起こした人物の性質が似ているのだろう、既に横島を主と認めているのでここに介入するのは不可能だ。どうしても気になったのならば、頼んで調べて貰えば良いだろう
「さてと。ではこちらはっと」
稀少な陰陽術の文献。私は西洋術師なのでお門違いだが、何かに応用出来るかもしれない。そんな期待を込めながらページを開き……
「横島?これは写本ですわね?」
期待していた平安時代の文字ではなく、慣れ親しんだ文字並んでいるのを見てそう尋ねると
「え?あ、はい。なんか俺が見たら駄目だって言って取り上げられています。確かー高島って言う陰陽術師が書き記した本らしいっす」
高島……ですか、気のせいか名前の響きが似ていますわね。それにしても横島が見てはいけないとは……
(魂だけの転生でしょうか?)
横島の一族に霊能者が居ないのは確認している。可能性は限りなく低いですが、魂だけの転生でしょうか?と推測をしながら写本を横島に返す、真作ならば得る物もあっただろうが、写本ではそんなのは期待出来ないので見るだけ無駄だ
「では横島。今貴方が出来るものを見せてみなさい。落ち着いてゆっくりと」
GS試験でも見たが、確認の為に使える物を見せてみなさいと言うと眼魂とか言う球体を取り出すので
「それは十分に見ましたので結構です」
え?そうっすか?と笑う横島に溜息を吐く、あんな私の常識を壊す物をこんな近くで見るつもりはないと思っていると
【イーヒーヒー♪】
「あ、こらー!ジャック!戻れー!」
球体が変形してかぼちゃ頭になって天井近くを飛び回る。私はそれを見て頭痛を感じながら
「好きにさせておけばいいですわ、まずは私の言った事をやってみなさい」
このままではどんどん脱線すると思い、先に使える霊能力を見せるようにと呟くのだった……
神宮寺と言う魔女の屋敷は異質すぎる建物だった。人間界にしては異常なほど霊力に満ちていた、チビとモグラが落ち着かなかったのは、今まで暮らしていた横島の家とはまるで気配が違うから
(刺々しいな……この屋敷は)
近寄るものを拒絶する棘を持つ屋敷。しかし不思議な事にその棘は横島には向いていない、それは何故か?恐らくだが、神宮寺が横島に心を許しているからだろう
「サイキックソーサー!」
横島がそう叫ぶと、突き出した右手に6角形の霊力の盾が姿を見せる。いかんいかん、考え事をしていて横島の補助をしてなかった。少しだけ横島のチャクラの通りを良くする
「それは芦蛍も使っていた物ですね?」
「うっす、最近出来るようになりました」
蛍に教えられたと言うとその眉が小さく動く、目つきも鋭くなってるので不機嫌になっているのだと見るだけで判る
(お前は本当に変わった男だな)
見るからに訳ありと言う感じの女ばかりに好かれているなと苦笑していると
「んで……こう」
サイキックソーサーを握り潰すように拳を作ると、横島の肘までが霊力に包まれる
「それは伊達と戦った時とは違うものですね?」
「大本は同じだと思うっす、でもちゃんと握り込まないとアレにならないんですよ」
あの霊力の鎧とこの篭手は根本的には同じものだが、何がどうなったのか威力や能力がまるで違う
「んでこれをこうして、握り込んで行くと……」
凄まじい音を立てて今度は肩まで霊力の鎧で包まれる。神宮寺は興味深いですわねと呟き
「なるほど、面白い能力ですわ、それで陰陽術の方は?」
「えーと火と水、それと雷はギリギリってレベルでですね。制御は正直あんまり上手に出来てないんで、練習中です。水は最近霧を使っての撹乱と、水のレンズを屈折させて分身?見たいなのが出来るようになりました」
あ、思いつきで武器に札張って使ったら、大変な事になりましたと笑う横島に頭痛がしたのか額を揉み解しながら
「大体判りましたわ。明日から本格的に修行に入りますので、今日はとりあえず自由にしなさい」
神宮寺が手を叩くとメイド姿の妖精が姿を見せる。横島がうおっと呻いて驚いているが、恐らくこの屋敷にいる間は結構見るので早い内に慣れた方が良いぞと助言する。
「横島を部屋に案内しなさい、時間になったら浴場と食堂に案内しなさい。横島も横島で勝手に動き回らないこと、よろしいですわね」
勝手に出歩くなと念を押された後。修行の方針を考えるので部屋で呼ばれるまで休みなさいと言われた横島は思い出したように
「あ……その、GS試験の時に借りた指輪どっか行っちゃって……そのすいません」
そう言えば、あの霊力の篭手が具現化した時にあの指輪も粒子分解されて、横島の体内に吸収されていたな
「そうですの。まぁ別に構いませんわ、実験で作った物ですから大した物ではありませんし……気にしなくて良いですわ」
嘘だな、あれにはかなり緻密な魔術術式が刻まれていた。とても貴重な霊具だったはず、それを大した物ではないから、気にしなくて良いと言えるとは……かなり懐の広い女のようだな
「失くしちゃってすいません、今度何か埋め合わせをするんで……安物しか、買えないっすけどね。おーい!ジャック!部屋に戻るぞー」
【イッヒッヒー♪】
天井近くを飛び回っていたジャックを呼んでから立ち上がる横島を確認してから、妖精メイドは1度神宮寺に頭を下げてから、横島の案内を始めた
「判りました。どうぞ……こちらへ」
「え、あ。はい!じゃあ神宮寺さん!また後で」
妖精メイドに案内され地下室を後にし、横島の部屋へ戻る
【どうだ横島?ここでの生活には慣れそうか?】
チビ達のブラッシングをしている横島に尋ねる、すると横島は困ったように笑いながら
「なんかあの妖精メイドさんには慣れそうにないわ。ぽっと出てくるからめちゃ怖い」
【そうだな。私でも感知出来ないしな】
急に出てくるあのメイドには驚くなと横島と笑いあいながら、この長い1週間をどうやって過ごすのかを横島と冗談を交えながら話すのだった……
なお横島がくえすの家に泊まり込みで修行となった初日
「あげは、横島がいないと寂しいの」
「わかるでちゅ、あげはもヨコチマにあえないと寂しいでちゅ」
自分よりも遥かに年下のあげはに慰められている蛍を見た優太郎は当然ながら絶句し
【え?まじこれで終わり?】
「……文句あるのか?」
横島がいないならとまともに料理する気の無いシズクはたくあんを切り、味噌汁を用意しただけで終わり
【はぁ、横島さん……】
「おキヌちゃーん?鍋噴いてるわよ?」
【え?っきゃああ!?ごめんなさい!ぼんやりしていました】
おキヌは横島がいないので注意力散漫になっていた……
横島がいない、それだけでかなり致命的な悪影響が出ている事を、当然横島は知る由もないのだった……
リポート1 始めの1歩 その4へ続く
横島君が居ないだけで、蛍達に致命的な打撃が与えられました。想い人不在は恋する乙女には死活問題レベル、しかも
それが自分の目的のためには手段を選ばないくえすの元って言うので心配と不安がとんでもないって感じです。まぁくえすの心境は次の話でも書きますが、ぽんこつ可愛い?ってのになるかもしれないですね
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い