GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は久しぶりに仮面ライダーの話となります、しかし相手はガープクラスの魔人マタドール、霊力が減少している状態で勝てるのか?そこを楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

 

 

リポート7 鮮血のマタドール その3

 

香港でマタドールが復活したと同じタイミングで人間界に封印されていた魔人達がいっせいに覚醒した。それは神魔にとって凄まじい衝撃を巻き起こした、2度と目覚める事の無かった災厄の存在が目覚めた。それはアスモデウス達以上の脅威が目覚めたと言う証であり、神魔に凄まじい騒動を巻き起こした

 

「……ふむ、拙僧は封印されたはずだが……こうして目覚めたと言う事は再び人類に救済を与えよと言う事か。ならば拙僧はその天命に従うのみ……南無阿弥陀仏」

 

富士山の近くで目覚めた袈裟を着込んだ骸骨はお経を唱えながら、空中に溶けるように消えて行き……

 

「ヤーハーッ!!最高の気分だ!!俺は世界最高の速さを手にしてやるぜぇッ!!!」

 

アメリカで目覚めた巨大なバイクに跨ったライダースーツを着込んだ骸骨は、高笑いをしながらバイクから炎を撒き散らしながらハイウェイを疾走する。その動きを確認した神魔は一斉に魔人に対しての対策を取る為に動き出すのだった……

 

「魔人が目覚めたと言うのにどいつもこいつも!」

 

「落ち着け龍神王」

 

「だがオーディンよ!」

 

「それは判っている。だからこそ落ち着けと言っている」

 

神魔の正規軍の司令はそれぞれ集まり、魔人対策についての話し合いを行っていた。だがその結果は保身に走った神魔が多く、それに対して龍神王とオーディンは激しい怒りを抱いていた

 

「魔人の脅威を知っているからこその対応だ。だがルイ様が3柱の魔人をベルゼブルと共に押さえている」

 

「ルイ・サイファーがだと!?」

 

驚愕の声を上げる龍神王にそうだと返事を返す。我としてもルイ様を信用するのは危険だと判っているが、神魔の両方の最高指導者を経験したと言うその実力は圧倒的だ。だがその反面ルイ様の危険性は十分に承知している、信用する事が出来ない人物でもある

 

「だが足止めをしてくれている事に関しては感謝しよう。その間に我達は我達に出来る事をする!斥候部隊に大僧正とヘルズエンジェルの追跡を命じる!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

我の指示を聞いて出撃していく斥候部隊。凶悪な存在だからこそ、どこをねぐらにしているのかそれを知り自分達が有利な条件で戦闘に入れるだけの備えをする必要があるのだ

 

「香港で原始風水盤を止める為に戦っている人間、そして小竜姫とメドーサに増援を出す、第一師団・第二師団出撃準備!」

 

 

敬礼して出撃準備のために走って行く総隊長達を見送り、我と龍神王は下界の様子を見るために呼んだヒャクメに状況確認を頼む

 

「香港の映像を映してくれ、状況次第では我等が出る」

 

部下達では駄目だと判断したら我等が出る。そう口にした瞬間、周囲の気温が下がった

 

「それは駄目だね。オーディン、龍神王。君達がここから出ることは許可しない」

 

ルイ様……いや、あれは分身か!?分身が我達を見て笑いながら

 

「この場は私に任せて貰おう、なに人間達は死なせはしないさ。だから君達は決して動くな、動いたら……殺すよ」

 

その圧倒的な魔力と神通力の前に我も龍神王も喋る事が出来ず、頷く事しか出来なかった。ヒャクメにいたっては白目を向いて泡を吹き気絶してしまった

 

「そこのヒャクメ族には悪い事をしたね、謝っておいてくれ、ああ、そうそう動かそうとした部隊も戻すんだ。いいね?」

 

そう言って消えて行くルイ様の姿を見て、我と龍神王は背凭れに深く腰掛け出撃中止命令を出した。

 

「ルイ様が何かを企んでいるようだな」

 

ルイ様の圧倒的な魔力と神通力を伴った殺気に意識を保つ事が出来ず、我も龍神王も背凭れに背中を預けたまま意識を失ってしまうのだった……

 

 

 

今までは眼魂を使えば、互角もしく同等に戦う事が出来ていた。だがマタドールには全く通用しなかった

 

「がっはっ!」

 

腹を膝で蹴り上げられると同時に、剣の柄で頭を殴られ地面に叩きつけられる

 

「ニーニョ。その程度か?私の買いかぶりだったのか?面白い力だと思っていたのだが、その程度なのか?」

 

マタドールの挑発にも似た声にうるせえっと叫びながら、ガンガンブレードを突き出す

 

「良し、そうでなくてはつまらない」

 

下から振り上げられた紅い布にガンガンブレードを絡め取られ、隙だらけの腹にマタドールのつま先が突き刺さる

 

「げぼおっ!」

 

その凄まじい威力の蹴りに肺の中の空気を強制的に吐き出され、マタドールから蹴り飛ばされる

 

(つ、強すぎる……時間稼ぎも何も出来ないじゃねえか……)

 

今までは劣勢に追い込まれる事はあった……だがここまで圧倒的なまでの力量さを見せ付けられたのは初めてだ

 

「ふむ。本気ではないか、ならば……ニーニョ。君の仲間を殺そう、そうすればニーニョ。君はもっと私に力を見せてくれるだろう?」

 

1番近くにいた神宮寺さんに歩み寄っていくマタドールにガンガンブレードを変形させ、マタドールの顔目掛け銃弾を放つ

 

「ほう?そんな玩具も持っていたか。だが……それでも私には届かないな」

 

判っていた。ウィスプでは勝つ事が出来ない……別の眼魂に手を伸ばすと心眼の叫びが脳裏に響く

 

【止めろ!別の眼魂を使うな!ウィスプが最も負担が小さいのだぞ!】

 

ウィスプの負担が少ない事は判っている。だが自分の事を護ろうと消極的になってマタドールには勝てる相手ではない

 

【アーイッ!シッカリミナー!シッカリミナー!!!】

 

心眼の制止を振り切りシズク眼魂を取り出し、ベルトのバックルを開き眼魂を押し込む水色のパーカーが飛び出し、俺の回りを飛び回る

 

「変身ッ!」

 

【カイガン!シズク!唸れ水龍!渦巻く水流!】

 

水色のパーカーを装着すると同時に、ガンガンブレードが変形し切っ先から水で出来た刀身が現れ、3つ叉の槍へと変形する

 

「ほう?まだ面白い力があったか、ならばまだ君の仲間を殺すのはやめよう」

 

神宮寺さんに向けていた剣を俺に向けて構えなおすマタドールに槍の切っ先を向ける

 

「はっ!!」

 

「良い踏み込みだが、遠いな」

 

全力で踏み込み、一気に間合いを詰めて槍を突き出すがマタドールは紅い布でその切っ先を防ぎ、反撃に振り下ろされた剣が肩に叩き込まれるが……

 

「ぬ?」

 

その刀身は俺を切り裂いたが、水の身体へと変化するシズク魂には物理はダメージとならない

 

「今の俺は水だ!お前に水を切り裂く事が出来るか!」

 

困惑しているマタドールに蹴りを叩き込む。鉄板でも蹴り飛ばしたような鈍い感触が足に帰ってくるが、マタドールを弾き飛ばす事には成功した。

 

「このおッ!!」

 

槍全体に水を纏わせ、圧倒的な水流を伴った一撃をマタドールに叩きつけようとするが

 

「悪くないコンビネーションだが、届かないな」

 

「嘘だろ!」

 

俺の渾身の一撃を紅い布を上空に投げ片手で受け止めたマタドールは、反撃にと剣を突き出してくる。だが水になっている俺には……

 

「うあああああ!?な、なんで!?」

 

水になって居る筈の俺を簡単に切り裂くその一撃に思わず叫び声を上げてしまう。するとマタドールは何を驚く事がある?と笑いかけながら

 

「卓越した剣士ならば水を切る事など容易い。残念だったなッ!!」

 

「う、うわああああ!!」

 

胸を横一文字に切り裂かれ大きく弾き飛ばされる、地面を転がっている内にシズク魂からウィスプ魂に戻される

 

「驚きはしたが、その程度の小細工。1度見れば十分だ」

 

ゆっくりと降りてきた紅い布を片手で掴み、油断無く構えるマタドール。変身しているのに全然届かない、かすり傷をつけるのがやっとだなんて……

 

(シズク魂で水になれば美神さん達が起きるまで時間稼ぎ出来ると思っていたのに……)

 

だがここで倒れる訳にはいかない、美神さん達が目を覚ますまでは……なんとしても耐えてみせる。立ち上がろうとした瞬間肩と肘のアーマーが爆発する、その凄まじい激痛に思わず苦悶の絶叫を上げる

 

「……う、うあああああああ!?」

 

【横島!もう限界だ!変身を解除しろ!反動を抑える事が出来ない!】

 

アーマーから火花が散り全身に激痛が走る。こんな反動は初めてだ……だけどこんなので立ち止まる事なんて出来る物か……火花を散らし続けるアーマーに眉を顰めながら立ち上がり牛若丸眼魂を取り出す

 

「まだだあ!!行くぞ!牛若丸ッ!!!」

 

【あ、主……わかりました!!】

 

【止めろ!もう眼魂を使うな!!!】

 

心眼がそう叫ぶが止まる事なんて出来る訳もない。マタドールへと走りながら俺は牛若丸眼魂をベルトに押し込む

 

【アーイッ!シッカリミナー!シッカリミナー!】

 

「変身!!」

 

【カイガン!牛若丸!シュバッと八艘!壇ノ浦ッ!!!】

 

「おおおおおおおッ!!!」

 

「今度は剣士か、面白い。だが付け焼刃が私に届くと思っているのか?」

 

俺は両手でガンガンブレードを握り締めマタドールへと駆け出していくのだった……

 

 

 

面白い、ここまで粘るか……たった1人で……体の限界なんてとっくに超えているだろう。だが立ち上がり続けているのは、強靭な精神力……惜しむらくは……出会いが早すぎたと言う所だろう

 

(もう少し遅ければより良い戦士となっていただろう)

 

後1年……いや、半年あれば違っていただろう。誰かを護ろうとする強い決意、身体の限界を凌駕するその精神力……正直賞賛に値する

 

(目覚めさせるべきか……)

 

私の放った風の魔法には付与した効果であの人間達は目を覚ます事は無い、先ほどの攻撃を防ぎ、傷を癒すのに相当な魔力を消耗したので魔法を使い続けるのは私にとって相当な負荷となっている……無論私としてはあの人間達を傷つけるつもりは無かった。傷つける振りをすればその闘志を燃やす、そして少しずつ、少しずつだが私を押し込んで来ている。恐ろしいスピードで成長している……その早すぎる成長速度に思わず笑みが零れる。今ここで目覚めさせ、横槍を入れられるのは面白くないか……まだ若い同胞へのハンデとして、魔法を維持することを決める

 

「おおおおおッ!!!変身ッ!」

 

【カイガン!メドーサ!非情の邪心、忠義の蛇神ッ!!!】

 

紫色の上着へと変化する。手にしていた剣が槍へと変化し、先ほどの水色の時よりも鋭い突きが連続で放たれる

 

「ふふふ、良いぞ、だがまだだ!まだ足りないぞッ!!」

 

スパーダでその切っ先を受け流す、だが先ほどよりも一撃がかなり重くなっていた。この短時間で……本当に恐るべき成長速度に正直驚愕する

 

(もっとだ。もっとその力を見せてくれッ!!)

 

心が歓喜する、神魔と戦っていた時よりも心が躍る。もっともっとその動きを見せてくれ、その力を私に見せてくれ

 

「ニーニョ!良いぞ!もっとだ!」

 

「おおおおッ!!」

 

攻撃の勢いを徐々に、徐々に増させていく。だが先ほどまでは見切る事が出来ず、直撃していた攻撃が全て槍で弾き飛ばされる

 

「いつまでも俺を舐めるんじゃねぇッ!!!」

 

「ははははは!!!楽しい!楽しいなあ!なぁ!ニーニョ!お前は楽しくないのか?」

 

これほどまでの強さを持つのに何故戦いを楽しまない?私がそう尋ねるとニーニョはふざけんなと私に怒鳴り返しながら

 

「戦いが楽しい訳ないだろうが!傷ついて!誰かが悲しんで!そんな物が楽しい訳あるかぁッ!!!」

 

「ぬっぐお!?」

 

突き出された拳に反応出来ず殴り飛ばされる。素晴らしい、私の予想を上回り、恐ろしいスピードで成長を続けている

 

(素晴らしい、素晴らしいぞ!ニーニョ)

 

才能がある者を見るのは好きだ。そしてそれが強い決意を持ち、私を乗り越えようとするのを見るのは更に好きだ……だが

 

「才能溢れる者をこの手で潰すのもまた、私の楽しみなのだよ!!血のアンダル……」

 

「させるかあッ!!!」

 

【ダイカイガン!メドーサ!オメガドライブッ!!!】

 

地面に突き立てられた槍から、紫色の光が放たれた瞬間。私の動きが急激に遅くなっていく……いや違う!これは!

 

(身体が石になっている!?)

 

紫色の光が当っている場所が恐ろしい勢いで身体が石になっていく……

 

【アーイッ!シッカリミナーッ!シッカリミナー!!!】

 

ニーニョの周りに緑色のパーカーが踊っている。更に姿を変えると言うのか!?これで4回目の姿の変化、その都度に違った能力を発揮している、ニーニョの持つ能力に心底驚愕する、どれだけの引き出しを持っているのか?それすらも想像出来ない。だがその都度に強くなっていくニーニョに既に私は魅せられていた。だからこそ、この手で倒すと決めた。目覚めて直ぐ、これほどの戦いが出来た。その幸運つまらない幕引きなどで終わらせるつもりは無い

 

「変身ッ!!!」

 

【カイガン!小竜姫!触れるな逆鱗、怒れる竜神ッ!!!】

 

民族衣装の衣装が施された姿に変化したニーニョ。姿が変わったからから遅くなっていた動きが徐々に戻って行く

 

【ダイカイガン!小竜姫!オメガスラッシュッ!!!】

 

「おおおおおおおッ!!!」

 

手にした剣には緑色の光が収束し、凄まじい勢いで突っ込んでくるニーニョ。だがッ!既にボロボロのニーニョの動きは遅い、だがそれは甘く見れば己が両断され地面に倒れ付す……その光景を私は見た

 

「来るが良いニーニョ!!!お前の力を見せてみろ!」

 

まだ身体の動きは鈍いが、避けや守りに回れば両断される。それを悟っていたからこそ、引くのではなく、私は前に踏み出した。

 

(魔法を維持するのも止めだ!)

 

あの人間達を眠らせていた魔法を解除し、その魔力を全て石化しつつある私の手足の治療に回す、そのおかげかスパーダを握っている右手の石化が足よりも先に解除される。これでニーニョを迎え撃つ事が出来る!スパーダを構え駆けて来るニーニョを見て悟った。受け止める事は出来ないと……ニーニョの気力は恐ろしいほどの充実している。そして何よりも覚悟を決めている。刺し違えても私を倒すと覚悟をしている、ならば気力で押し込まれたら私は両断される。それだけの覚悟をニーニョは持っている……

 

「魅せてやろう、我が奥義を!血のアンダルシアッ!!!」

 

故に私も全力を持ってニーニョの一撃を真っ向から打ち破るだけだ!

 

「おおおおおおッ!!!」

 

私の放った真紅の一撃とニーニョの一撃がぶつかり合い、この空間に凄まじい爆発音が響き渡った……

 

 

 

 

全身に走る激痛と痺れに顔を歪めながら身体を起した瞬間。凄まじい爆発音が響き渡り、そちらの方に視線を向ける、そこには眼魂を使ったのか変身した横島の姿とマタドールの姿があった

 

「うッ!うあああああああッ!!!!」

 

横島の悲鳴と絶え間なく続く爆発音。横島はマタドールの剣に弾き飛ばされ、火花を放ちながらプラットフォームの壁に叩きつけられる

 

「ごはっ!!う……ううう……」

 

【オヤスミー】

 

地面に倒れこむ間の数秒に変身が解除され、倒れた横島を見て思わず横島の名前を叫びながら立ち上がる。それは私だけではなく、小竜姫様やメドーサさん、それに美神さんも同じだった。地面に倒れた横島の姿と周囲の破壊の後を見ればどれだけの間横島が1人で戦っていたのかを一目で判ってしまった

 

「みむうう!むみー!!」

 

「うきゅー!うきゅきゅー!!」

 

「コーン!ココーン!!!」

 

結界の中に閉じ込められているチビ達が必死に横島を呼んでいるが、横島はぴくりとも動かない。完全に意識を失っているようだ、早く手当をしないと不味い事になる。それは判っているのだが、マタドールに背を向けた瞬間殺されそうで横島の元へ向かう事が出来ない。なんとかして一瞬でも良いからマタドールの注意が逸らされないと向かう事など出来そうにない

 

「……横島に手を出したな……ッ!」

 

シズクにいたっては完全に切れてる。髪が伸びて竜の様に動く姿は非常に恐ろしい……恐ろしいと言えば神宮寺も良い勝負だけど

 

「……」

 

表情こそ冷静だが、その身体から漏れ出している殺意と魔力を見ればシズクと同じかそれ以上に切れているのは一目で判る。寧ろ私も同じなのだが、シズクと神宮寺が切れているからか、頭には来ているのだが、どこか冷静になっていた。マタドールがシズクと神宮寺に気を取られた隙に横島の元へ走ろう、そう考えて何時でも走り出せる準備をしていたのだが、マタドールはシズク達には何の興味もない。そう言いたげな素振りをしながら、横島への視線を逸らす事無く

 

「私はもうセニョリータ達に興味はない。ゆえにこれ以上戦うと言うのならば……命を捨てる覚悟をして貰おうか」

 

マタドールが放っていた殺気が一気に強まる。既に物理的に干渉してくるその殺気に思わず後ずさりかけるが、それを耐えマタドールを睨みつける

 

「横島さんは1人で頑張ってくれました。だから私が退く訳には行かないでしょう」

 

「ここで引いたら神魔として余りに情けないだろう?私を舐めるんじゃないよ、骸骨がッ!」

 

静かな口調だが、完全に目が据わっている小竜姫様と最初は冷静だったが、激情を抑える事が出来なかったのかメドーサがそう怒鳴りながら

 

「蛍!美神!横島の手当てをしな!こっちは私と小竜姫が引き受ける!」

 

メドーサの一喝にマタドールの視線が横島から逸れた。美神さんとアイコンタクトを交わし横島の方に走ろうとした瞬間。強烈な寒気を感じ足が止まる。私と美神さんの目の前を通過した風の刃はプラットフォームの壁を切り裂く

 

「誰がニーニョに近づいて良いと言ったかね?ニーニョは私の戦利品として連れて帰ることにした、もうお前達の仲間ではない」

 

「ふざけんじゃないわよッ!横島君は私の弟子よ!あんたなんかに渡すわけが無いでしょうが!」

 

美神さんの怒声に続くように叩きつけられたときの衝撃で立ち上がる事が出来ていなかったマリアとテレサが横島を護るようにその前に移動し、雪之丞もピートも額から血を流しながらも立ち上がり

 

「おうこら、骸骨。人のダチを物扱いするんじゃねえよ」

 

「その通りです……貴方には渡しはしない」

 

【こやつの行く末はワシが見届けると決めた。奪わせはしない】

 

私達が横島を護ろうとしているのを見たマタドールはやれやれという感じで肩を竦めたと思ったら、凄まじい怒気を放ちながら

 

「言いたいことはそれだけか?イディオータ(馬鹿者共が)……ッ!!」

 

その凄まじい怒気に飛び出そうとしていた小竜姫様達の動きが止まり、魔法の詠唱をしていた神宮寺の詠唱が止まる、それは一瞬にも満たない隙だったが、マタドールには十分すぎる隙だった。ゆったりとした素振りで剣を構えるマタドール、その切っ先から溢れる凄まじい魔力と殺気にあれを使わせたらいけないッ!咄嗟にそう判断し、霊波砲やシズクの水に神宮寺の雷、小竜姫様とメドーサがマタドールへと肉薄したが、マタドールは詰まらなそうに鼻を鳴らし

 

「消し飛べ、目障りだ……血のアンダルシアッ!!!!」

 

凄まじい速度で振るわれた紅い衝撃を伴う斬撃はマタドールに迫っていた全ての攻撃を弾き飛ばし、私達全員を飲み込んでもまだ勢いを緩める事無くプラットフォームの壁を完全に砕き、私達を隣のプラットフォームに弾き飛ばした所でその勢いを止めた、つ、強すぎる。マタドールの圧倒的な強さに恐怖しながら横島の姿を探す

 

(よ、良かった……無事だ)

 

ノッブとおキヌさんが護ってくれたのか、2人の姿がぼやけているが、横島が無事だった事に安堵の溜息を吐く……だが事態は更に最悪の方向へと進んでいた

 

「か、監督!?これも演出ですか!」

 

「当たり前だ!!踊るGSの最大の見せ場だ!撮影を続けろッ!!」

 

立ち入り禁止区域である筈の地下プラットフォームに何故か居た映画の撮影チームと役者達の動揺した声が、プラットフォームの中に痛いほどに響き渡るのだった……

 

 

 

隣のプラットフォームからやけに凄まじい音が響いてくるな?と思っていたら突然プラットフォームの壁が砕け散り、人間が吹き飛ばされてくる

 

(な、なんやこれ!?これも映画……そんな訳無いやろ!?)

 

これだけ離れているのに漂ってくる血の匂い、そして苦しそうに呻いている姿を見て、とてもこれが映画の撮影とは思えない。思わず撮影に同行してくれている霊能者を見ると顔を真っ青にしてがたがた震えながら

 

「に、逃げろ!悪魔だ……皆殺される!早く逃げろぉッ!!!!!」

 

そう叫んだ霊能者が真っ先に背中を向けて走り去る中。監督は馬鹿やろう!と叫び

 

「本物ならなお好都合だ!話の整合性は後で整える!撮影を続けろ!!」

 

撮影を続けろと叫ぶが、本物の悪魔が居るのに撮影なんて出来る訳が無い。悲鳴を上げて逃げていく役者仲間とスタッフに続いて俺も逃げようとしていると、舞い上がっていた砂煙が晴れ倒れている青年の姿が視界に飛び込んできた。赤いバンダナに青いGジャン……

 

「横っち!?」

 

瓦礫の上で倒れている横っちを見て、思わずそう叫ぶ。いやそれだけじゃない、女性は少女も倒れている

 

「誰か!誰か手伝ってください!」

 

見た所全員重傷を負っている様に見える。俺だけじゃなくスタッフもそれに気付いたのか何人かが走り出し、倒れている女性を助け起している。それならっと俺は横っちを!小学生の時の渾名を叫んで駆け寄ろうとした時。俺の足はまるで地面に縫い付けられたように動かなくなった……それ所か指一本動かす事が出来ない

 

「ニーニョ。君はそちらに居るべき存在ではない」

 

砂煙の中から姿を見せたのは美しい装飾が施された緑色の衣装に身を包んだ骸骨だった。その骸骨は動く事の出来ない俺の横を悠然と通り過ぎ、倒れている横っちに声を掛ける

 

「感じるだろう?判るだろう?ニーニョ。君は私に対し、恐怖は抱いていないはずだ……そう、君が感じているのは親しみ。それであるはずだ」

 

この骸骨は何を言っている……横っちが骸骨に親しみを感じるわけが無い

 

「うる……せぇ……」

 

「そう嫌ってくれるな、まだ未熟な同胞よ。お前は我らの末席に座る素質を秘めている、我ら魔人となるべく素質を持っているのだからな仲良くやろうじゃないか」

 

魔人?骸骨の言葉に思わず耳を傾ける。横っちがなんでこんな所に居るのか判らない上に、理解出来ない話をする骸骨に考えが纏まらない

 

「ふ、ふざけるな……横島は人間だ……お前達の仲間なんかじゃない」

 

髪をショートボブにした少女がスタッフの手を振りほどき、立ち上がりふざけるなと叫ぶ

 

「何を勘違いしているか知らぬが、私もかつては人間だった。魔人とは、外部的要因で神魔の力を得て転生した者を指す。そしてあらゆる時代、場所を超え魔人姫の元へ集う。ニーニョ……君は人間だが神通力と魔力を持ち合わせている、ゆえに君は我らの同胞となりえる素質がある」

 

「うちの助手になに言ってくれるのよ……誰があんたなんかに「黙っていたまえ」あうっ!?」

 

立ち上がった緋色の髪をした女性が苦悶の悲鳴を上げて倒れる。そして今度は瓦礫の中から氷と炎が骸骨に向かう、目の前で繰り広げられている光景に何が起こっているのか判らないが、あの骸骨が横っちを攫おうとしているとしていて、あの人たちがそれを阻止しようとしている。と言う事は判った

 

「やれやれ。往生際が悪いな、お前達は敗れた。敗れた者の意思等何一つ通る事は無い」

 

肩から提げた紅い布で氷と炎を弾き飛ばす骸骨はそのまま虚空に手を伸ばす。

 

「あぐっ!」

 

すると突然空中から赤髪の女性が姿を現し、骸骨によって首を絞められていた。骸骨はそのままゴミでも捨てるように女性を背後に投げ捨てる

 

「超加速状態なのに何で!?」

 

どこかで見た女性がそう叫ぶと骸骨はやれやれと肩を竦め……消えた……

 

「超加速なら私も使える。大したことはない、こんな物は只の子供騙しだ」

 

「あぐっ!?」

 

骸骨の膝蹴りが叩き込まれ、女性が転がっていく……これはどう見ても映画なんかじゃない、本物の戦いだ

 

「ニーニョ。君がこちら側に来ないと言うのはきっと彼女達が居るからだろう、ならば私は彼女達を1人ずつ殺していくとしよう。そうすれば君を縛る物は無くなり、新たな枷が君に嵌められる。憎悪と言う鎖がね……」

 

骸骨の言葉を聞いて横っちが立ち上がろうとしているのは判るが、動く気配は微塵も無い。このまま見ていればあの人たちが殺される。何とかしないといけないと判っているのに、骸骨の気配に飲まれて動く事が出来ない

 

「君には憎悪が足りない、殺意が足りない、憎しみが足りない。私とて無抵抗なセニョリータを殺すのは趣味ではないが、それが君の覚醒を促すと言うのなら……躊躇いは無い」

 

手にしている細身の剣を振り上げ、倒れている女性の首に振り下ろそうした瞬間

 

「止めろオオオオオオオッ!!!!!」

 

横っちが雄叫びを上げながら立ち上がる。だがその両眼は血のような真紅に光り輝いていた

 

「止めろと言うがな?君は敗者だ。敗者はただ奪われるだけ、それともニーニョ。君は私を倒せるというのかね?その限界をとっくに超えている身体で?」

 

そう言われて横っちの身体を見ると、ここから見てもボロボロで破けたGジャンとGパン。そして額からは血を流し、立っているのがやっとと言う感じだ。それは横っちを護ろうとしていた人達も同じで立ち上がるなと叫んでいるが横っちは、ふらふらの足取りで骸骨の方へ歩き出す

 

「限界……が……なんだって言うんだ……皆……お前が……傷つけた……ッ!!!俺の……仲間をッ!!!」

 

「それがどうしたと言うのだ?ニーニョ?弱き者に生きる資格はない、弱き者は全てを失うのがこの世の摂理だ。だから弱いお前は……仲間を失うッ!!」

 

骸骨が倒れている女性に剣を振り下ろそうした瞬間。横っちの姿が消え、肉を裂く嫌な音が響く

 

「よ、横島!?」

 

振り下ろされた剣は横っちの肩を切り裂いていた……夥しい血液が横っちの身体から流れる。その余りに凄惨な光景に思わず意識を手放しかけてしまうが、必死に離れかける意識を保つ

 

「仲間は……皆は……失わないッ!俺は……お前を……殺すッ!!!!」

 

「吼えるなよニーニョ。その身体で何が出来る?お前は仲間を失い、私への憎悪だけを持ちただ1人生き延びるのだ、それがニーニョの運命」

 

「そんな運命誰が決めたぁッ!!!」

 

「うぐっ!?」

 

横っちの拳が骸骨の顔面を捉え、骸骨が吹っ飛ばされる。今の内にとスタッフの皆に目配せをして、倒れている人達の元へ走る。俺は横っちが庇っていた女性に手を貸そうとするが

 

「横島!もう戦っては……行けない!貴方では!そちら側に踏み込めば戻る事が出来ない!止めなさい!横島ッ!!」

 

俺の手を振りほどき、横っちに止めろと叫ぶ銀髪の女性。それだけじゃない、スタッフに抱えられている全員が止めろと叫ぶ。だが横っちは振り返ることをせず

 

「銀ちゃん……だよな。違ったら……すまん。神宮寺さんを……頼む。いや神宮寺さんだけじゃない美神さんや蛍。皆を……頼むわ」

 

「……横っち……ああ、任せえ。スタッフの皆と協力して安全な所まで運んでみせる」

 

何年も会っていなかった。だが横っちは俺だと気付いてくれた、髪を染めて昔と全然違う俺だと言うのに気付いてくれた、そして俺に任せてくれた……俺はその信頼に応えたいと思った。だから

 

「横っちの頼みだから、貴女を連れて行きます」

 

「放せッ!横島!止めなさい!もう霊力を使ってはいけない!!横島!」

 

止めろと叫び、俺を殴りつける神宮寺と呼ばれた女性を無理やり抱え上げ、横っちから離れる。女性とは思えない力で暴れるその力にそれだけ横っちを気に掛けているが判る、でも横っちから俺は頼まれた。だから俺は彼女を安全な所に連れて行く責任がある。それに姉妹だと思われる揃いの服を着ている女性は足が折れているようで動く事が出来ないでいるし、俺と同年代ぽい2人組みは頭を打っているようで動く気配が無い。早く安全な場所に連れて行かないと危険だ

 

「そこの!手伝ってくれ!わしの娘を運ぶのを手伝ってくれッ!!」

 

老人が手を振り叫んでいる。それを見て力自慢のスタッフが駆け寄っていく、これであの人達は大丈夫だと判断し俺は暴れている女性に落ち付いてくださいと叫びながら、その人安全な場所に連れて行こうとしていると横っちの今までに無いくらい怒っている声が俺の耳に飛び込んできた

 

「限界だって言うなら……その限界なんざ……超えてやる!!!」

 

「ほう……ならやってみろ。もう1度、お前の力を見せてみろ、ニーニョ」

 

横っちが何か丸い物を取り出すと、腰と左腕に何かが現れていた事に気付いた

 

【止めろ!横島!もう眼魂を使うな!もうお前の霊力はッ!】

 

「判ってる!だけどなあ……俺は!皆を傷つけられて、黙って引き下がれねぇんだよッ!!!」

 

どこかから聞こえる女性の声も横っちを止めているが、横っちは手にしている球体を腰のベルトに押し込む

 

【アーイッ!シッカリミナー!シッカリミナー!!】

 

緑色のパーカーか?それが横っちの周りを踊り始める。それを見た神宮寺と呼ばれた女性が暴れ始める

 

「放せッ!これ以上横島に霊力を使わせたら死ぬ!だから放せッ!!!」

 

鬼気迫る表情でそう怒鳴られ、思わず抱えていた手を放してしまう。横っちが死ぬ……再会したばっかりなのに?言われた言葉が理解出来ず茫然自失となる

 

「またそれかね。それはもう見飽きた…「言っただろうが!限界なんざ超えてやるッてなあッ!!!!」

 

【アーイッ!バッチリミナーッ!!バッチリミナーッ!!!】

 

骸骨の言葉を遮り、横っちは左腕の機械にも球体をはめ込む、すると紫色のパーカーが現れ、横っちの周りを踊りだす

 

「あっ!ぐあっ!あああああああああああッ!!!」

 

そのパーカーが踊る度に、横っちと顔の無い鎧を纏った姿が交互に変わっていく、だがその度に横っちの身体に紫電が走り、横っちの苦悶の悲鳴がプラットフォームの中に響き渡る。俺は何かとんでもない事をしてしまったのでは?その事に今初めて気付いた。俺が抱えていた女性は俺を振りほどき、横っちの方に走り出す

 

「横島さん!駄目です!そんな事をしたらッ!っう!?」

 

「ち、近づけない!止めろ!横島!そんな事をしたらお前の身体がはじけ飛ぶぞッ!!!」

 

「横島!やめて!お願いだから!そんなことしたら駄目ッ!!」

 

「止めなさい!横島君!聞こえているでしょう!止めろ!馬鹿!この横島ッ!私の言う事を聞きなさい」

 

「……くそっ!なんだこの霊力はぁッ!!!」

 

「止めろと言っているでしょう!私の声が聞こえないんですのッ!!」

 

いろんな人がスタッフを振りほどき、横っちを止めようと駆け寄るが、何かに弾き飛ばされ近づく事が出来ない

 

【アーユーレデイ?】

 

「う、ああ!うぐっ!うああああああああ!!!!うがああああああッ!!!!……変……ッ身ッ!!!!」

 

【シンガン!小竜姫!マガン!メドーサッ!!ゲンカイガンッ!!!Wドラゴンッ!】

 

横っちの身体が鎧に包まれ、紫と緑のパーカーが螺旋状に回転しながら上昇していく。そしてそれは何時の間には1つパーカーへと変化していた……それは凄まじい光を放ちながら横っちの身体に被さり、翡翠色に輝く光の壁が現れそれがゆっくりと横っちの身体を通過していく

 

【願うは必勝、剣舞の双竜!マスタードラゴンッ!!!】

 

「覚悟しやがれマタドールッ!!!お前は俺が殺すッ!!!」

 

上半身にはパーカー、肩回りと腰周りには金属だろうか?リアスカートのような物が巻かれていた。肩と背中には竜の翼と牙を連想させる鎧……そのとても横っちとは思えない、それこそどこかの特撮の中から飛び出て来たようなその姿に思わず目が丸くなるのが判る。マタドールと呼ばれた骸骨はそんな横っちの姿を見て、暫く無言だったと思ったら急に頭を抱えて笑い出した

 

「ふっふははははは!!光と闇を1つに!ふははははっははッ!!そうか!それがお前の力かッ!!!来い!ニーニョ!!ここで見極めてやるッ!お前が真に魔人と足りえる者かをなぁッ!!!」

 

全身から紫電を放ちながら空中から現れた2振りの刀を持って駆け出す横っちと、そんな横っちを見て高笑いしながら走り出す骸骨。2人が手にした剣が交差した瞬間、凄まじいまでの衝撃がプラットフォームを駆け回る

 

「「「「う、うわあああああッ!?」」」」

 

「「「「きゃああああああッ!?」」」」」

 

その余りに凄まじい衝撃は骸骨と横っちを除き全員がその暴風に弾き飛ばされ、全員の悲鳴が地下に響き渡るのだった……

 

 

リポート7 鮮血のマタドール その4へ続く

 

 




マスタードラゴンはゴーストドライバーとナイトランターンに小竜姫とメドーサ眼魂を使用しての暴走形態です。ドライブで言うデッドヒートと似た状態です。能力は高いですが、変身者に凄まじい負担を与える暴走モード、次回はマタドールとの決着となります。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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