GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
どうも混沌の魔法使いです。今回はマタドール戦後の話を書いて行こうと思います。神魔や魔人サイドに勿論暗躍組みの視点も書いて行こうと思っています、それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
リポート7 鮮血のマタドール その5
私はマタドールを退けた人間の姿を見て満足げに笑いながら、3騎士にも尋ねた
「どうかな?彼は君達の御眼鏡にも叶ったんじゃないかな?」
私の問いかけにブラックライダーが口を開く
「……良き男だ……仲間の為に己を……捨てる覚悟を持つ……良き魂の男だ」
「ふん、それは蛮勇と言うのだ。愚かな事だ」
「良く言うな?赤いの……あのような気質の男を好むのはお前だろう?」
ホワイトライダーの突っ込みにうるさいと怒鳴るレッドライダー。口では厳しい事を言っているが戦いを見ていて、1番反応をしていたのはレッドライダーだ。横島には当然強い興味を抱いているだろう……それは私も同じ事だが……
(神魔のしかも神族と魔族の魂を同時に取り込む……ありえないな)
神魔の魂の容量は膨大だ。それこそ人間の器に入る物ではない、それは分霊でも同じ事だ。しかし横島はそれを受け入れて見せた。それも神族と魔族相反する二つの魂を1つにし、己の力とした。無論制御など出来るわけも無く、暴走に近い形だったが……
(素晴らしい、素晴らしい逸材だ)
神魔の魂を納める霊具を作るだけでも桁違いの能力だと言うのに、更に言えば人間が2柱の魂を取り込むなんて普通に考えれば不可能だが、それをやって退けた。そして……恐らく神殺しへと至る可能性も十分。ベルゼブルもまさかここまでやるなんて思っていなかったのか驚いた表情をしているのが面白かった。まさに規格外の男……本当に面白いと思う
「……今代の神殺し、そして英雄……となりえる素質は十分」
「いや、あの男ならば、その善意で神魔すらも仲間とするだろう……清濁を飲み込む度量を持っている。我らの同胞に相応しい」
「軟弱だッ!己の力で戦えぬ者は弱者だッ!!」
ブラックライダー達も横島に興味を持ったようだが、今は不味いな。3騎士相手ならば今の手加減した姿でも戦う事は出来るが、ここに魔人姫まで加わると手加減などと言うことは出来ない。人間界を下手すれば消し飛ばしかねない……それにオーディンと龍神王に軍を引くように命じたのも私……ここで戦いを始めるわけにはいかない
「しかし今は彼はまだ未熟。それにマタドールとの戦いで負傷している事もある、ここは君達を楽しませた事、そしてこの私の顔を立てて退いてはくれないか?」
神魔の正規軍だって引くように言って出撃させていないと言うとブラックライダーはふむと呟き
「確かに……我等が居て神魔が来ないのは……お前が止めたからだろう……良かろう、明けの明星。ここはお前の顔を立てよう」
「待て。姫に供物としてあの男を捧げるべきだろう、あの気質……姫も気に入る筈だ。弱っているなら丁度いい、ここで捕らえてしまうべきだ」
「しかし、ここで争うわけにもいくまい。前回は姫が目障りと言う理由で神魔と争う事にしたが、今は判らない」
目障り、そんな理由で神魔が壊滅的な打撃を受けたとしてベルゼブルが殺気を放つが、それを手で制する。ここで私とベルゼブルが戦い、神魔全体と魔人の全面戦争へと舵を切らせるわけにはいかない
「……この場は退こう。明けの明星、蠅の王……いずれまた会おうぞ」
不機嫌そうなレッドライダーと中立の立場のホワイトライダーを連れて去っていくブラックライダーを見送っているとベルゼブルが私の足元に膝を付いて
「ルイ様。今回の一件はいかように?」
「……そうだね」
横島は神魔にとっても切り札となりえるが、それと同時に魔人の器としての力を示してしまった。過激派の神魔に知られれば戦力として引き込もうとするだろう、魔人となる前に排除しようと言う物も居るだろう。だが幸い私の結界で神魔の偵察部隊はこの戦いを知らない、神魔で知っているのは小竜姫とメドーサだ。私が直接赴けばその問題も解決するか……後は内密に最高指導者に話を通しておけば問題無い、最高指導者は横島を殺すつもりが無いのだから、あの2人に話を通すのが1番早い
「ベルゼブル、君はこの場で何も見なかった。良いね?」
「はっ」
私の決定に逆らえないベルゼブルは短く返事を返す、ベルゼブルにじゃあ行こうか?と呟くと最高指導者の元ですか?と返事を返され違うよと笑いながら
「君が高城って名乗って人間のホテルにいるだろ?ちょっとそこに居る人間に言いたい事があるんだ、案内してくれるよね?」
物凄く嫌そうな顔をしているベルゼブルに命令だよと言うと、わ、判りましたと震える声で返事を返され、私は笑いながらベルゼブルと共に横島達が泊まっているホテルへと向かう事にするのだった……
見ていたモニターの電源を切り、振り返ると絶句しているアスモデウスとアスラの姿が視界に入る。だが私も驚愕し、計画が狂った事に舌打ちをした
(まさか退けるとは……まだ甘く見ていたか)
マタドールの復活に巻き込まれ、全員とは言わないが横島の仲間が何人か死ぬ計算だった。それも恐らく力の弱い、伊達雪之丞か、ピエトロ・ド・ブラドーは間違いなく死ぬ。そして他の人間も死にはしないが、それに近い重症を負うと予想していた。そして横島はマタドールへとの強い憎悪を抱き、そこを基点にこちら側に引き込む予定だったんだが……完全に計算が狂った。まさかマタドールが回復魔法を使えるなんて思っていなかったし、何よりも神魔に対して不戦の誓いを立てるなんて計算なんて出来る訳も無い
「どうする?魔人が暴れ回り、我達から視線を逸らさせると言う手段はもう打てないんじゃないのか?」
アスラの言葉にそう判断するのはまだ早いと口にする、マタドールは不戦の誓いはしたが、他の魔人については全く情報が無い。恐らくは以前のように単独行動を始めていると見て間違いないだろう
「暫くは様子見だ。魔人が復活した。それだけで神魔にプレッシャーを与える事が出来る」
魔人の恐怖は神魔ならば忘れる事など出来る訳も無いだろう。それは魔人が封印された後も同じ、神魔の魂に刻まれているのだ、魔人に対する恐怖と言う物は……復活が出来るはずの最上級の神魔が今なお復活していないのは、魔人に殺されたから。魔人は神魔を殺す力を持った第3勢力だ、私達の事を警戒していたとしても、魔人に対する警戒を緩める事は出来ないのだから
「それよりも今はもっと考えるべき問題がある」
「横島忠夫だな?」
アスモデウスの言葉にその通りだと頷く、私の結界を砕きこの顔に拳を叩きこんでくれたあの男。特異点らしき能力を持ち、必要不可欠の人材なのだが、まさか神魔の力を取り込み融合させるなんて思っても居なかった
「あれは脅威だな、制御の出来ていない今の内に殺すべきではないか?」
アスラの言う事は最もだ、神魔の力を吸収し、己の力とする。そしてその力は人間でありながらマタドールに匹敵するほど……危険度からすれば排除するのが最も得策だろうが、特異点を失う訳には行かない
「殺すのは駄目だ、あれは捕獲する方向で考える」
今後神魔の警戒は強まり、横島にも護衛が着くことは判っている。捕獲することが難しいことも重々承知しているし、逆に私達が捕まる危険性もあるが、その程度のリスクを恐れていては世界を変えるなんて事は出来ない
「横島は時期を見て捕らえる。今はまだ泳がせておく」
横島の成長速度は凄まじい、そしてまだ力の底も見えていない。今後より強くなる可能性を考えれば、もっとも強くなった所で捕獲し、こちらの力とする方が得策だ
「お前がそう言うのなら我は反対はしないが、良いのか?お前の御執心の魔人姫のほうは?」
アスモデウスの言葉に深い溜息を吐く、マタドールの復活と共に魔人姫の元へ向かったのだが、そこは既にもぬけの殻。やっと眠っている姿ではなく、動いている姿を見ることが出来ると思っていたのだが……姿を消しているのなら今は諦めるしかない。
「仕方ない事だ。だがいずれ会う事もあるだろう、焦る事は無い」
こうして蘇ったのだ、動き出すのは間違いない。だから探し回るのではなく、動き出すのを待てば良い。そうすれば嫌でも会う事が出来るのだから焦るまでもない……最高指導者に匹敵する力を持っているのだから、動き出せば直ぐに判る
「それよりもだ。次の仕事に取り掛かるぞ、アスラ」
「む?我か?殺戮か?」
殺戮か?と言う馬鹿に違うと怒鳴りながら、アスモデウスに当面の計画を伝えアスラと共に人間界へ向かうゲートで移動しているとアスラが不機嫌そうに呟く
「破壊ではないなら、我に何をさせるつもりだ?偵察などには我は向かんぞ」
「そんな事は判っている。私としても申し訳ないとは思っているんだ」
アスラの力を十全に使える場は戦場以外ありえない。だがアスラの力を雑兵の神魔に使う必要は無い、寧ろ集団戦法で消耗した辺りで同じくインドの神魔をぶつけられて捕らえられる訳には行かない
「だから少しでもお前のフラストレーションを発散できる相手と戦って貰おうと思ってな」
「ふん、我が満足出来る相手など……「日本の荒神。英雄殺しそして神殺しの神獣でも物足りんか?」
面白いように顔色を変えるアスラ。丁度それと同時に目的地に到着する、人間が愚かにも木を伐採している現場。ここは決して手を触れてはいけない神域だと言うのに……だがそれだから好都合と言える
【貴様ら何をしにきた】
私とアスラの気配を感知したのか、即座に山の神が現れる。鋭い4本の牙を持つ、白い猪……その姿を見てアスラの顔が獰猛に歪む、私達を睨み付けている山の神を敢えて無視して話を進める。実際私は確信しているアスラなら負ける訳が無いと
「あれを我に倒せと?」
「そうだ。この極上の霊地。畜生のものとするには些か惜しい」
今私が研究している物を形にするにはもっと大量の霊力が必要だ。霊地を確保する必要がある、そして私が目をつけたのは……日本の神獣の住処だった。霊地を奪い、あわよくばその神獣も手にすると言う計画だが、いかんせん、日本と言う土地では私やアスモデウスは本来の力を発揮できない。だからこそインドの神であるアスラを連れて来たのだ
【我を畜生と呼ぶか。小童……この乙事主をッ!!!】
私の言葉に怒りの咆哮を上げる乙事主。その霊力は流石に凄まじい、思わず気圧されるがアスラは逆に笑みを深め拳を握り締め
「下がっていろ、お前は邪魔だ」
「ああ、判っている。後は任せたぞ」
アスラにそう声を掛け、転移でその場を後にする、その直後に響いた凄まじい轟音にそのまま居たら私も巻き込まれていたなと冷や汗を流しながら、研究を進める為にアスモデウスがいるアジトではなく、私専用の研究施設へと向かう
「後は報告待ち……そして……」
振り返る私の視線の先には高密度の魔石を惜しげもなく溶かし、描いた魔法陣とその中心に安置された聖遺物を見て笑みを深める。魔人は確かに有益だが、戦力とするには弱いなんせ私の指示に従わないのだから味方などと考える訳にはいかない、だから呼び寄せるのだ、星と人間から望まれた存在を……神魔に匹敵する力を持つ最上級の霊を英霊を呼び起こすのだ
「英霊召喚の時は近い……」
魔法陣に蓄積していく魔力にその時は近いと確信した、だが今はまだ早い。魔人の復活であちこちのマナや霊力が弱くなっている今召喚するのは得策ではない。次の満月その時を待つべきだ、そう判っているのだが私の理論が正しかったのか?と試したいという気持ちもあり
「科学者と言うのは厄介だな」
理論を試したい、実験したいと言う気持ちが強すぎる。そんな気持ちを静める為に今はまだ早いと呟き、英霊召喚への未練を断ち切るためその場を後にし、もう1つの研究室へと足を向けるのだった……
マタドールと人間の戦いを見届けた所でぺイルの忠告に従い、余が封印された場所を後にし、今の人間の社会と言うのを見たが凄まじい成長を遂げているなと感心した。山よりも高い建物に、夜も明かりが消えぬ街……人間の成長とは本当に凄まじい、ぺイルが用意してくれたかなり高い建物(ホテルと言うらしい)の最上階で街の明かりを見ながら背後に控えているぺイルに声を掛ける
「ずいぶんと人化が上手くなったな」
顔色こそ死人のようだが、黒いスーツとか言う服に身を包んだぺイルの姿はどこから見ても人間だろう。ただあの馬がブレスレットの姿になっているのは正直驚いたが、何故生き物が無機物になるのか?それは正直かなり謎だ。だが本人が良いと思っているのならばまぁ余が言う事では無い
「お褒めに預かり光栄です」
余がそんな事を考えているとも知らず、褒められたと思ったぺイルが頭を下げながら、余の手にしたグラスにワインを注いでくれたのでそれを口にする。昔のワインよりも遥かに美味いな、嗜好品も進化をしているのかと感心する。魔人となった時点でその者は時間も場所も超えて余の場所に来る。そしてその間に人間としての身体を失い、骨だけの体になる。そして自らの本能に従い、己を形作っていく。マタドールは闘争を、ヘルズは速さを、だいそうじょうは救済を望み様々な姿に変化したが、ぺイルにしろレッド、ブラックにしろ全員が揃いの黒いローブ。後は僅かな装飾だけでマタドールやヘルズエンジェルと異なり馬に乗っていないと見分けが付かない。そんなぺイルが今人の姿をしている事に正直驚き、そして人間だけではなく配下もまた成長していたのだと感心した
「それで姫様。横島はいかがでしたか?」
「うむ!気に入った」
あの奇妙な力も面白いが、勝てぬと判っているのに仲間の為に立ち上がり戦い続けたその闘志と護ると言う意思は凄まじいと正直感心した。人間は何処まで言っても己が一番の筈だ、それは決して悪い事ではない。人間として当然の本能だ、誰しも死にたくないと思うのは当然の事なのだから
「ではお迎えに上がりますか?」
「ぺイル、お前は少しばかり事を急ぎすぎるぞ?」
確かに十分に気に入った。手元に置きたいとも思った、だがそれと同じくらいまだ早いと思った。魔人と化した後は技術的な物はいくらでも身につけることが出来る。だがその力は魔人と化す前の強さで決まる
「成長するのを待つのも偶にはいい物だぞ?なんなら余が直接赴いても良い」
寧ろこの目で直接見てみたいと口にするとぺイルはそれが余の望みならばと頷く、良いものはこの目で見て愛でるに限る。ぺイル達は余が望むものを献上してくれるが、それではつまらないと思うのもまた事実
「近いうちにあの男を見に行く、手筈を整えよ」
畏まりましたと頭を下げるぺイルを見つめていると、ホテルの中に直接転移して来る気配を感じる
「……馳せ参じるのが……遅れて申し訳ありませぬ……ブラックライダー……参上いたしました」
「今もなお美しい我等が姫様……再び予言を授ける為……ホワイトライダー……参上いたしました」
「貴女に害為す全てを破壊すると誓いし剣を振るう為……レッドライダー……参上いたしました」
馬に乗らずローブ姿で参上した3人の配下もまたぺイル同様骸骨ではなく肉を持った姿をしている事に笑みを零しながら、棚から4つのグラスを手にする。それを見たぺイルを手で制し、4つのグラスにワインを注ぎ
「余自ら入れた、心して口にせよ。そしてこれからも決して変わらぬお前達の忠誠を願う」
差し出されたワインに驚いた表情をしつつ受け取るぺイル達を見て余もグラスを手にし口をつける姿に笑みを零しながら、余もグラスに口をつけ、これから何をするかなっと美しい夜景を見ながら、かつての神魔との戦いよりも愉快な事をしよう。人間を滅ぼすや神魔と戦い続けるのも良い、だがもっと愉快な何かを見つけることが出来そうなそんな予感を感じるのだった……
ルイ・サイファーの圧倒的な神通力と魔力に当てられ、意識を失った私とオーディンが目を覚ましたのは全てが終わった後で執務室ではなく医療室のベッドで目を覚ました。襲撃ですか?と血相を変えてたずねてくる部下に頭を振りながら
「違う、ルイ・サイファーだ。あの方が訪れて、私とオーディンの兵を下げろと命じた」
ルイ・サイファーの名前はある意味禁忌とされている。神魔の両方の最高指導者を経験し、そして今の情勢を知りつつ関係無いと宣言し中立宣言。神魔の要請も蹴り続けたところか、鬱陶しいの一言で交渉に当っていた一団の基地を完膚なきまでに破壊した
「直ぐにオーディンと最高指導者の元へ向かう。暫くは混乱すると思うが落ち着いて状況整理に当ってくれ」
敬礼し走り去っていく部下を見送り、同じく目を覚ましたオーディンと共に最高指導者の謁見の間に向かう
「なるほど、どうして動かんかったか気になっとったけど……ルイ様かぁ……」
「あの方が動けば仕方ないですね、ご苦労様でした。龍神王、オーディン」
私とオーディンの報告を聞いた最高指導者は2人揃って頭を悩ませているようだった。最高指導者である2人よりも権力を持ち、そして実力も上……厄介すぎるお方だ
「魔人の復活の方はどうなっておりますか?」
「途中までは追跡に成功したけど、振り切られたそうや」
「そうですか……」
私とオーディンが意識を失い指示を出せなかった。やはりその影響は大きいだろう
「ですが仕方の無い事です。ルイ様が動いたのならば抗えるわけも無いですから、とりあえず偵察部隊からの報告を纏めてください。暫くの間は私とサッちゃんで指示を出します」
「気にしなや、ルイ様の悪ふざけは今に始まった事じゃないでな」
私とオーディンを気遣ってくれている最高指導者2人に頭を提げて執務室に戻ると
「やあ、良く私との約束を護ってくれたね」
ルイ様がにこやかに笑いながらティーカップを手にし私達を迎え入れた。余りに自然な姿に一瞬呆けたが、ルイ様を前に気を緩める事など出来る訳も無い。即座に意識を切り替える
「そうそう君達が約束を護ってくれたから、私からのプレゼントだ」
そう笑うルイ様の背後を見ると若い神魔が折り重なるように倒れていた。それを目を見開いているとルイ様は口元を少しだけ上げ笑いながら
「横島忠夫の排除を考えていた若い神魔だ。もう少し自分の配下はしっかりと締め付けておくんだね」
人間如きと馬鹿にしている神魔は多いんだからね、彼を失う事は避けるべきだよ?と笑うルイ様
「ご忠告感謝いたします」
「うん、それで良いよ。心の中で何を考えていても笑える、それくらいの腹芸はしてくれないとね」
その言葉に顔を歪めかけるが、それすらもルイ様は楽しんでいる。それが判っているから必死にそれを耐える
「ルイ様、態々お越しになられたと言うことは何か他に用事があるのでしょう?我と龍神王の何の御用でしょうか?」
オーディンが頭を下げながら尋ねるとルイ様はその顔に微笑を浮かべたまま
「ベルゼブルは日本におく、私から横島忠夫の護衛としてね」
「「な!?」」
真の蠅の王は魔界の重鎮だ、そんな存在を護衛としておく!?その言葉に思わず絶句する中ルイ様は優雅な素振りでカップを机の上に置き、日傘を開きながら
「これは私の決定だ。それを覆す事は許さない、そして横島忠夫を見殺しにしてみろ?お前達を殺すぞ」
その優雅な素振りからは想像も出来ない圧倒的な怒気と殺気を放ちながら
「あれは私も気に入った。玩具として優秀だ、だからくだらない所で死なれては困る。お前達も信用出来る護衛なり英霊を配置する事だ、良いな?今回は見逃すが次暗殺騒動など起してみろ?死ぬのは貴様達だ」
有無を言わさない口調に頷く事しか出来ない私とオーディンを見て、それで良いと笑ったルイ様はそのまま消えて行った……分身なのにあそこまで芸の細かい事をすると思わず感心したが
「おい、なんでルイ様が横島を気に入ってるんだ?」
「知る訳無いだろう……?我の陣営だから書類がぁ……」
魔人の問題もあると言うのに、ルイ様の命令にベルゼブルの人間界への配置……オーディンの仕事量がどれだけ増えるかなんて判りきっているの項垂れているオーディンになんと言えば良いのか判らず。とりあえず今私に出来る事として
「書類整理、手伝おう」
「……すまない」
そんなことしか出来なくてすまないと謝り返しながら、外で待機していた部下に書類を運び込んでくれと指示を出し2人で深い溜息を吐きながら執務室の椅子に腰掛けるのだった。頑張れとデフォルメの似顔絵つきの置手紙と紅茶のポットに私と
オーディンが激しい殺意を抱いたのは言うまでも無い……だがその後に激しい頭痛を感じて、監視されている!?と私とオーディンが執務室を必死に調べたのだが、当然それらしき物を見つける事は出来なかった
リポート7 鮮血のマタドール その6へ続く
次回は横島サイドとアシュ様のサイドを書いて行こうと思います。暗躍しているガープ達の動きもどうなるのか楽しみにしていてください。乙事主は名前はもののけ姫から、ネタとしては古事記などにある英雄・神殺しの猪となります。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い