GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はバイクの免許の試験や、六道でのマルタさんとの出会いなどを書いて行こうと思います。その次は「石神」「セイレーン」などの話を纏めて1つにして、その次で神獣が死んだ山の調査と進めて行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その5

 

 

リポート8 戻って来た日常 その5

 

目覚まし時計がなる少し前に目を覚ました。試験って事で緊張していたのかもしれない、目覚ましが鳴るまでは布団の中でまどろんでいようと思い。タマモを抱きなおそうとした時……

 

(んお?)

 

もこもこした毛皮の感触ではなく、ふにっとした柔らかい感触をぼんやりとした意識の中で感じて目を開き

 

「!?!?!?」

 

俺は思わず声にならない悲鳴を上げた。腕の中にいたのは見慣れた子狐ではなく、人間の姿をしたタマモだった。予想外に加えて、心の準備も出来てなかったのでうろたえていると

 

「うーん、うるさい。ちょっと静かにして……」

 

「ア、ハイ」

 

薄く目を開いたタマモの静かにしてという言葉と凄まじい目力に思わず敬語で返事を返す。タマモが腕の中でもぞもぞと動いて、丁度良い位置を見つけたのかまた穏やかな寝息を立てるのを見て

 

(寝起きだったから驚いただけか?)

 

寝起きで美少女のタマモの顔が直ぐ近くにあり、動揺したが……意識がハッキリしてくると普段の子狐のタマモと同じ感じに思えてくるので不思議だ。寝ている間に精霊石を取ったのかな?と思ったが、首に精霊石のペンダントもないし……最後の尻尾が増えてきたのかな?と思いながら朝のランニングの時間まではこのままで良いかと思い、気持ち良さそうに眠っているタマモの姿を見て笑みを零すのだった……

 

「……なんで私……人の姿になってるの?」

 

「さぁ?」

 

目覚ましでタマモも起きたのだが、自分が人間の姿になっているのに今気付いたらしく、ベッドに腰掛けなんで?と尋ねて来るが俺が知るわけも無いので、さぁ?と返事を返すとタマモは自分の身体を確認するために立ち上がる

 

「んー無意識に服込みで変化してるわね……私寝る前に何してたっけ?」

 

パーカーに膝丈のスカート、若干吊り目も満月の時や、精霊石のペンダントを見につけている時と同じだ。なんで私人の姿になってるの?と不思議そうにしているタマモを見ていると、部屋の扉が開き

 

「……横島まだ……なんで人の姿になっているんだ?狐」

 

俺がまだ寝ていると思ったのかシズクが起しに来て、人間の姿をしているタマモを見て驚いた表情をしている。シズクのそんな顔は珍しいなと苦笑しながら、ベッドの横の机の心眼に手を伸ばすのだった……

 

「クオン……」

 

「しゃーないって、落ち込みすぎや」

 

顔を洗って、いざ朝食と言う段階でタマモは子狐の姿に戻ってしまった。尻尾も垂れて、声にも元気が無いのを励ますが、溜息交じりの鳴き声にどうした物かとこっちが溜息を吐きそうになる。

 

【恐らく霊力が一時的に高まっていたのだろう、尻尾が戻る前兆か、それとも尻尾は戻らないが、霊力を高いレベルで維持出来るようになる予備段階なのかもしれないな】

 

心眼も励ますように言うが、タマモは俺の膝で丸くなったままだ。よっぽど狐の姿に戻ったのが嫌なんだろうなと思いながら、鮭の塩焼きに箸を伸ばす。今日は朝からバイクの試験に、お昼から六道女学院で何か会う人があるとかで今日は結構忙しいので、タマモが心配だけど構っている時間が無い

 

「みーむ♪みーむむー♪」

 

上機嫌でりんごを齧っているチビ。良く見ると輪ゴムを使って背中に剣を背負っている、勿論俺はそんな事をしていないので、チビが自分でやったんだろうな。予想外の進化に喜ぶべきなのだろうか?俺はそんな事を考えながら、膝の上で不貞腐れているタマモの背中を時々撫でながら、試験大丈夫かなあっと思いながら朝食を進めるのだった

 

【主殿ー頑張ってくださいねー】

 

【バイクは良さそうじゃな、馬の変わりになる。頑張って来いよ】

 

【バイクは馬なのですか?】

 

【現代の馬じゃな、鉄の馬だ】

 

なんとそれは凄い、じゃろじゃろっとなんとも気の抜けた会話をしている牛若丸とノッブちゃんに苦笑しながら

 

「じゃ、行ってくる」

 

「……頑張ってな」

 

【私も付き添いは出来ぬ、頑張って来い】

 

心眼はカンニングになる可能性があるという理由で今回は予備のバンダナを頭に巻いていて、心眼はスカーフのようにシズクの首から下げられている

 

「みーむーみーむーみーむー」

 

「……何時準備したの?それ」

 

「みむう?」

 

爪楊枝に紙を張って、旗のように振るっているチビ。何時準備したのだろうか?そしてどうやって爪楊枝に貼り付けたのだろうか?と言う謎は残るが、応援してくれているのは良く判ったのでありがとうなと声を掛け、俺は自転車で教習所へ向かうのだった……

 

「……なんか拍子抜けだったな」

 

GS免許を提出するとまず教習所は合格するらしい。何故ならば、除霊などの現場は交通の便が悪いのが常識なのでバイクなどを使う人が多いらしい。教習所はまさかの一発合格で、後は試験場での適正試験と技能試験で中型二輪免許が貰えるらしい

 

「バイクを使うGS多いんだなあ……」

 

美神さんの運転する車で現場に行く事が多いが、フリーのGSはバイクを使う人が多いらしい。なので教習所はほぼ合格らしい、後は試験場かぁ……

 

「蛍に教えてもらおうかな」

 

技能試験でどんな事をするのかとか聞いてみよう。バイクの免許を取って一緒にツーリングしようと言う約束をしているので早くバイクの免許を取りたい……あ

 

「……バイク買わないとな」

 

免許があってもバイクが無いと駄目じゃん……中型二輪のバイクの値段ってどれ位するんだろう?それも蛍に相談してみよう

 

「ってやばっ!」

 

お昼から六道女学院で人と会うと聞いていたので、あんまりたらたらしていると昼も食べている時間が無い。結構頭を使ったので、腹が空いている。早く家に帰って飯にしようと思い、自転車で家へ向かうのだった……

 

 

 

お昼からアポイントメントを取っているので、13時までには事務所に来るようにと蛍ちゃんと横島君に伝えてあったんだけど、蛍ちゃんは30分前に事務所に来た。書類を纏めていた私はペンを走らせながら

 

「そんなに焦らなくても良いのよ?」

 

除霊の仕事ではないので準備をする事も無い。10分前くらいで良かったのにと言うと蛍ちゃんはいえ、実は相談がありましてと言う。蛍ちゃんが私に相談……横島君の事かしら?私は書類を1回机の中に戻し

 

「おキヌちゃーん、お茶お願いねー」

 

【はーい、判りましたー】

 

出発まで時間があるし、お茶でも飲みながら話をしましょうと声を掛け、私はソファーに腰掛けている蛍ちゃんの前に座る

 

「それで相談って何?」

 

「えっとですね……これなんですけど」

 

蛍ちゃんが差し出して来たのはバイクのカタログ。それを見て何を相談したいのか判った

 

「横島君のバイクね。確か中型二輪だっけ?それなら……これとかいいんじゃない?」

 

あんまり大きいのだと初心者じゃ乗りにくいだろうし、そこそこの大きさのバイクを勧めたら?と言うと蛍ちゃんはいえそうじゃなくてですね……と呟き、カタログのページを捲っていく

 

【お待たせしました。あれ?美神さんと蛍ちゃん、なに見てるんですか?模型ですか?】

 

おキヌちゃんが不思議そうに尋ねて来るけど、それは私も同意見だ。カタログの最後のページの方にバイクの素体として紹介されているエンジンやフレームを見せられても、良いんじゃない?とかとてもじゃないけど、言う事は出来ない

 

「これで横島にバイクを作ってあげようと思って、美神さんのGS免許で安く買えるんですよ!手伝ってくれませんか?」

 

「……作るの?バイク?」

 

「はい!私機械弄り好きなんで!私のバイクも自分で組み立てたんですよ!」

 

弾ける笑顔の蛍ちゃんに苦笑する。そう言えば、蛍ちゃんのバイクって見たこと無い形だと思っていたけど、自作だったのね……結構前からどこのメーカーだろう?って思っていた疑問が解決した。自作バイクなら見た事が無くて当たり前よね

 

【バイクをプレゼントするんですか。きっと横島さんも喜ぶと思いますよ】

 

「手作りのプレゼントは喜ばれやすいから、きっと喜ぶわ」

 

嬉しそうに笑う蛍ちゃんとおキヌちゃんだけど、手作りのバイクを貰って果たして喜ぶだろうか?とは思ったが本人がそう言うのなら駄目とは言えず

 

「判ったわ。協力してあげる」

 

「ありがとうございます!お父さんとドクターカオスも手伝ってくれるって言ってるんですごいのが出来ると思いますよ!」

 

……どんな魔改造バイクが生まれるのかと尋ねようと思ったのだが、丁度そのタイミングで横島君とシズクが事務所に来たので、尋ねる事が出来なかった。それに

 

「教習所一発でした!次は試験場ですって!」

 

「本当。良かったわね!」

 

【おめでとうございます】

 

教習所を受かったと喜んでいる横島君を不安にさせるような事をとても言う事が出来ず、少し温くなったお茶を一気に飲み

 

「じゃあ六道女学院に行きましょうか?」

 

バイクの話題を強引に打ち切り、そろそろ時間だから六道女学院に行きましょうと声を掛け私達は事務所を後にするのだった

 

「それで美神さん。冥子ちゃんに何のようなんですか?あ、それとも冥華さんですか?」

 

膝の上にタマモとチビを乗せて尋ねて来る横島君。六道女学院だから冥子か冥華おば様ですか?と尋ねる横島君に違うわと返事を返しながらハンドルを切る

 

「琉璃から霊能力に詳しい人が新しく六道女学院の教員になったって聞いたから、横島君と蛍ちゃんを紹介しようと思ってね。私も何か霊能力のヒントを得れるかもしれないし」

 

英霊に会いに行くとは言えないので、多少誤魔化して伝える。人間としていると聞いているので、変に敬語とか使うわけにも行かないし……ちょっと面倒よね

 

「それで横島。なんでチビ背中に割り箸の剣を背負ってるの?」

 

【可愛いですけど、横島さんがやったんですか?】

 

「いや、昨日割り箸で剣を作ってやったら、自分で輪ゴムで背中に背負ってた」

 

「みっむ!」

 

後部座席から聞こえてくる和やかな声を聞きながら、六道に居ると言う聖女マルタってどんな人なのか?聖女って言われるくらいだからやっぱり穏やかな人なのだろうか?私みたいにお金の事を気にする人間とは相性が悪いかしら?そんな不安を抱きながら向かった六道女学院で私が見たのは

 

「はい!そこ!無駄口聞かない!そっちはペースが落ちてるわよ!サボらないッ!!」

 

「「「はいっ!お姉様ッ!!」」」

 

美しい紫色の髪を腰元まで伸ばし、赤いジャージと竹刀姿の女性……あ、あれが……英霊?ちょっと……いや、かなり私の想像と違うんだけど……横島君や蛍ちゃんは走りながらもその女性に熱い視線を向けている生徒に気付き、絶句していて。シズクはシズクはふうっと小さく溜息を吐きながら

 

「……何時の時代も女だけの社会は怖いな」

 

「「え?昔もこんなのあったの?」」

 

「……知らないほうがいい、閉鎖空間と言うのはな。危険なんだ」

 

……私もこの学校の卒業生だけど、確かに異性と触れ合う機会が少ないので同性に走る同級生って少なからずいたわね……思い出したくない黒歴史を思い出しそうになり顔を歪めていると竹刀を手にしている女性が振り返り

 

「ん?あー!琉璃と冥華から聞いてるわ!美神令子と芦蛍、それと横島忠夫ね!もう少しで授業が終わるから待っててくれる?」

 

その女性が私達の名前を呼んだ事で、私達にまで熱い視線が向けられ授業が終わるまでの10分間。私と蛍ちゃんは居心地の悪い物を感じながら、指差されたベンチに腰掛け授業が終わるのを待つのだった……なお横島君はそんな視線に気付かず、シズクはその視線を完全に無視し

 

「……良い天気だな」

 

「だなー、日向ぼっこには最適かもしれん」

 

ベンチに並んで腰掛け、膝の上にタマモとチビを乗せてのんびり日向ぼっこと言う感じで、その視線に気付いていない2人が羨ましいと思ってしまうのだった……

 

 

 

これが横島忠夫か……授業も終わったので、話の為に教員控え室に迎え入れ冷たいお茶などを用意しながら、横島を観察してみる。見た感じは普通、普通過ぎる。でもその周りを見ると、異常とも言える霊力を纏っている

 

(うーん……異端者って感じなのかな……)

 

霊力なのは間違いないのだが、その霊力の質が少しおかしい。だから妖怪や幽霊に好かれるのだろうか?

 

【はぁ……横島さんの側は落ち着きますねぇ】

 

「ちょっとはーなーれーなーさーいッ!!」

 

巫女服の幽霊を引き離そうとしている短い黒髪の少女と、その少女に挟まれておろおろしている横島。報告書では女好きって聞いてたけど……こうしてみるとそうは見えない。寧ろ女好きならば、幽霊とは言え美少女に抱きつかれても嬉しいはずだ、霊能があるから抱きしめた感触とかするだろうし……女好きだけど、迫られるのは弱いのか、それとも自分の側にいる女性にはそう言う邪な視線を向けるのが嫌なのか、私の観察した印象では変わった奴。それが私の横島忠夫に対する初見での感想だった

 

「じゃあ初めまして、私はマルタ。先日から六道女学院の体育教師として赴任してるわ」

 

「どうも初めまして、美神令子です。こっちは私の弟子の横島忠夫君と芦蛍さん、こっちの幽霊がおキヌちゃんで、横島君の隣の少女が水神のシズク」

 

私と握手をしながらメンバーの紹介をしてくれる美神。琉璃の紹介では私が英霊だと伝えているので、私の正体は知っている筈だ。後私に気付いていそうなのは……シズクとあのバンダナかしらね。とは言え、その2人も私の正体を言おうとはしない。横島に危害を加えないのなら様子見と言う所だろうか

 

「えっと、マルタさんでしたっけ?霊能に詳しいと美神さんに聞いてますけど、どんな事が専門なんですか?」

 

ここで聖句とかって言うと今の格好っと違いすぎるでしょって突込みを受けそうね。私は少し考えてから拳を握り

 

「霊力を手足に収束しての近接戦闘術よ。基礎体力とかが必要になるから、今は生徒にランニングとかをさせてるけどね」

 

杖や聖句を使うのも得意だけど、今は体育教師として赴任しているので、近接戦闘術の教師よと言うとシズクがこっちを見て

 

「……近接戦闘か……ふーん」

 

観察するようにこっちを見つめている。もしかして龍族だから、私の事を知っているのかしら?シズクは暫く私を見つめていたが、そのうち視線を逸らして、膝の上の狐を撫でている横島の方を向いて

 

「……中々筋が良さそうだ。横島も近接を修行するべきだから話を聞いておいて損はないし、指導を受けるのもいいと思うぞ」

 

【シズクの言う通りだな。美神や、蛍に霊能を教わるのも良いが近接を磨くのも必要だ。知識ではなく、己を鍛える事もこれから必要になる。良い指導者に出会えたな】

 

私が英霊だと気付いているからの言葉だろう。現に私は横島の護衛権指導を最高指導者から命じられている、それに向かい合って座っていると良く判る。向上心や、やってやろうって言うのがひしひしと伝わってくる

 

「どうする?今から私1時間休憩だから暇だけど、折角来たんだから訓練していく?」

 

「良いんですか?休憩時間なんでしょう?」

 

蛍が口では申し訳ないと言っているが、その目が爛々と輝いているのを見てやる気満々だというのは良く判る

 

「体術、体術かぁ……やっぱり必要だよなぁ……」

 

横島は横島で腕を組んで何かを考え込む素振りを見せている。膝の上ではグレムリンが同じ様に腕を組んで唸っているのが見える、なんとも人間味に溢れるグレムリンだ。あんなグレムリン見た事がない

 

「えっとマルタさんが良ければ、指導して貰えると嬉しいっす」

 

「私は全然OKよ。じゃあ、早速行きましょうか」

 

どうやって接触するかなあっと思っていたので向こうから来てくれたのは正直ありがたい。それにガープに襲われる可能性を考慮して、自分で自分を守れる程度の能力は必要だ。それを強制するのではなく、自分で決めてくれたのだから挫折する心配もない。フィンガーグローブを控え室の戸棚から出して横島と蛍に渡す

 

「ある程度は手加減してよ?まだ成長途中なんだから」

 

「判ってるわ、心配しなくていいわよ」

 

口調も容姿も似ている美神の言葉に心配しなくてもいいわよと返事を返してグランドに出たんだけど……訓練に熱が入って来た頃

 

「姉さん。はんぱ「姉さん言うなあッ!!!」へぶろっ!?……」

 

「よ、横島ぁッ!?」

 

【横島さはーんッ!?」

 

「ちょっと手加減しろって言ったでしょ!?なにやってるの!?」

 

「みむー!!みむううーーーーッ!」

 

「ココーン!?」

 

「……治療の準備だ。全く、何をしてくれるんだお前は!」

 

横島が姉さんと呼んだのに反射的に拳を振るってしまい、宙を舞う横島に全員の悲鳴が上がり、そして私に向けられた冷めた目に凄まじい居心地の悪さを感じ……

 

「ごめんなさい」

 

自分の非を認め素直に謝罪するのだった……なお完全に余談だが横島はどさりと地面に落ちたが、けろっとした表情で立ち上がってくれたことで、わずかに批難の視線が弱まり、やりすぎたと思っていた私は心底安堵の溜息を吐くのだった……

 

 

 

 

横島達がマルタに出会っている頃……ドクターカオスはと言うと……滅多に見ない真剣な表情で地下の研究室にいた

 

「さて、勘九朗。ワシの声が聞こえるかの?」

 

コンコンとガラスが叩かれる。かなり時間を有したが、勘九朗の容態はかなり回復して来ているといえるじゃろう。それでもこの培養槽の中から出れば確実に死ぬじゃろうが、確実に死ぬというあの容態から、ここまで回復しただけでも十分奇跡的じゃな

 

「身体を移し変える件で話が合って来た。とは言え、まだメタソウルの準備が出来ていないので直ぐ出来ると言う訳ではない」

 

移し変える身体の準備は出来た。勘九朗の好みに合わせ、身長160ちょい、髪は肩元まで、胸は小さめとかの本当にかなり細かい所まで要求があって身体を作るのにも時間が掛かった。人道的には認められる物ではないが、GS試験でのガープ襲来の被害をかなり抑える事が出来たのは勘九朗の働きによる物が大きい。だからそのまま死なせる訳には行かないと思ったのでこれくらいの苦労はしてやってもいいだろう

 

「メタソウルの素材も数日の間に準備する。少なくとも今月中にはメタソウルの準備も終わる、だからこそ問うぞ?鎌田勘九朗……今まで生きたという証を全て捨て、新しい人間として生きる覚悟はあるか?」

 

19年と言う時間は決して短い物ではない。ワシのように不完全な不老不死となり長い年月をかけて少しずつ老いて行く身だから言える。今までの己を捨てる覚悟はあるかと

 

「念の為に、本当に念の為じゃが……お前さんの今の身体と同じ素体も用意してある」

 

女として生まれ変わる事を望んでも、躊躇うかもしれない。そう思って余計なお世話と思われるかもしれないが、男と同じ身体も準備したと言うと、激しくポッドが叩かれる

 

「覚悟は出来ている。そう言いたいんじゃな?」

 

ポッドの中で何度も頷く勘九朗。この返事が来る事は判っていた、きっと勘九朗の決意は変わらないと……

 

「判った。ではメタソウルの生成が終り、次の満月の晩にお前さんの魂をメタソウルに移す。そうそう、戸籍に関して何じゃがな」

 

鎌田勘九朗と言う存在は死ぬので、そのままでは生きていても死んで居ると言う状態になる。それに人間と同じ機能を持つアンドロイドとは言え、年を取るという概念はない。だから普通に人間の中で生きていく事は不可能に近い、更に言えば同じ存在と言えるマリアとテレサじゃが、勘九朗の頼みで日本人系の顔立ちにしたので姉妹と言うのも無理がある

 

「ワシもだいぶ悩んだんじゃがな?御主が慕っておるメドーサの妹か、娘として戸籍を作る事になる。無論、メドーサの秘書として行動を共にする事もあるじゃろう。それで良かった……聞くまでもないか」

 

ポッドの中で嬉しそうに何度も何度も頷く姿を見れば、それで良いと言っているのが良く判る

 

「では無理をさせてすまなかったの、もう少し眠っていてくれ、ワシは戸籍やメドーサとの話を進めておくのでな」

 

勘九朗にそう声を掛けて、地下の研究室を後にし応接間に向かう。そこで待っていたメドーサが

 

「どうだい?勘九朗は私の家族になることを了承してくれたかい?」

 

「凄まじく嬉しそうじゃったよ」

 

ワシの言葉にそうかい……っと安心した表情を見せるメドーサ。余りに人間らしさの強い姿に、神魔もまた変わって行くんじゃなと当たり前な事を考えながら、メドーサに魂をメタソウルに移し変える手術の流れ、素体にメタソウルを組み込むまでの流れを説明する。

 

「手術の日に連絡するから、出来れば来てやってくれると嬉しいんじゃが?」

 

「判ってるよ。何とか都合をつけて付き添いに来るよ、今抱えている案件を全部片付けてな」

 

ゆっくりしている時間は無いから行くよと言って家を出て行くメドーサを見送り、ワシは机の上の電話に手を伸ばす。マリアやテレサのメタソウルとは違う。今まで生きて来た人間の記憶や技術を完全に転写するするには今までのメタソウルとは根本的に質量が変わってくるし、かなり緻密な計算も必要になってくる。その間は霊具の作成の依頼を受ける事が出来ないという旨の連絡をGS協会と厄珍そして美神に伝え、勘九朗の魂を受け入れるメタソウルの大きさや計算を始めるのだった……そしてそれが終わった時。

 

鎌田勘九朗が死に、新しく生まれ変わる日はもう直ぐそこまで近づいているのだった……

 

 

 

リポート8 戻って来た日常 その6へ続く

 

 




次回でリポート8は終わりです。その後は山猫の妖怪が住んでいた山の話を少し改造して、イベントを増やして行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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