GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
リポート9 神の山を捜索せよ その6
神域から持ち帰った装飾品をセーフハウスで美神さん達と調べながら、肩の上に乗せた透明な通信兵鬼でお父さんにも同じ情報を送る。美神さん達の知識が劣っている訳ではないが、魔族の観点からも調べて欲しいと思ったからだ
「……うーん。やっぱりこれ、どこかで見たことがあるぞ?どこだったか?」
机の上に並べた装飾品にシズクがしきりに首を傾げる。どこかで見たことあると言っているのだが、それを思い出せないでうんうん唸っている。シズクが見たことがあると言うことはやはり神族の持ち物であることは間違いないので、それを思い出して貰うのを待っていよう。なお横島は専門的ない知識がないこともあり、現在はシャワーで山の中を駆け回り、汚れているチビ達を洗っている
「神の眷属……年代的には相当前。巫女やシャーマンではないでしょうね」
「うん。それは私も思う、仮に巫女やシャーマンがいたならあの神域にそれらしい痕跡があるはずだしね」
巫女やシャーマンの可能性はないと思うと言うくえすと美神さんの言葉。これは私も感じていたことだ、山の奥深くの神域。通常ではたどり着けないその場所は石の祠こそある物の自然その物だった。もし巫女やシャーマンがいて、神と交信していたのなら僅かでも人間が作った道の痕跡がある筈だが、それもない。それから導き出される答えは1つ
「つまりこの装飾品は人間の物ではないって事ですね?」
「多分ね。装飾品にこれだけ神通力が残っているって事を考えると、低級の神か、眷属を人型に変化させて戦っていたかだと思う」
かなりの骨董品であるはずの装飾品がそのまま残っている。それは通常ではありえないので、神に属する何者かの装備と見て間違いないだろう、私は机の上の装飾品を見て
「剣とナイフ……どっちのものなんでしょうね」
この山の支配権を賭けて戦い勝利し、この山の神となり、現代まで生きていた山神と、あの祠のある場所に残された巨大な狼の頭蓋骨と牙。どっちがどっちの眷属の装備だったんでしょうねと呟く。強大な神通力を持ち、残っていた骨と牙から。この山にいたのは、おそらく神獣。それもかなり年月を生きた規格外の存在で、なおかつその性質は荒神に近く、人間の味方ではない。それが私達の調査で判った事だ
「荒神で巨大な動物……該当するのが多すぎるわ」
「ですよね。それに長い年月を生きて、神格得た動物っていうのも考えられますし……」
「まぁ結論を言えば特定は出来ないって事ですわね」
調査をしても判らない事が多すぎる、この山の支配権を掛けた神獣同士の争い。妙神山に匹敵する神域がある。そして山神に仕える化け猫の妖怪の一族……調査をして、判ったのが特定不能って言うのは本当に何の意味があったのか?と思うレベルだが、逆に言えば神族や魔族にも見つからず、ひっそりと暮らしていた神獣っと考えると神話や伝説に出てくるような神ではなく、長い間生きて神格を得た動物っていう可能性が高い
「猫の神獣ですかね?」
「まー緋鞠とかの事を考えるとその可能性が高いんじゃないかしら?狼の骨もあったし」
犬科の狼と長い年月を生きた化け猫の縄張り争いじゃない?と美神さんが笑う。私も同意見だ、だって猫の神様なんてそれこそエジプト神話ですよねと美神さん達と話をしていると、シズクが思い出したと手を叩き
「……そうだ。人間嫌いで神嫌いの乙事主の眷族の面だ」
「「「え?」」」
私と美神さんとくえすの言葉が重なる。乙事主?……それって日本神話や古事記に出てくる猪の神様じゃ……
「それってあのヤマトタケルを瀕死にした?」
「……ああ。そうだな、神殺しと英雄殺しの……猪……猪?」
シズクの言葉が途切れ途切れになり、まさかと最悪の予想が脳裏をよぎり、私達の中に重い沈黙が降りる中、リビングの扉が開き
「よーし、じゃあうりぼー、チビ、タマモ。ドライヤーしような?」」
「ぴぎー♪」
「みーむー♪」
「コン♪」
横島がお風呂で綺麗にしたチビ達を抱えて戻ってくる。その腕の中にいるうりぼーを見る。猪だ、間違いなく猪でとっさに全員で頭を寄せて
(ね、ねえ?シズク。あれ……じゃないわよね?)
(……わ、判らない。だが神通力は感じないぞ?)
(し、新生してまだ神通力が目覚めていないだけでは?)
(だ、大丈夫ですよね?普通の猪の妖怪ですよね?)
まさかあれが生まれ変わった乙事主じゃないよね?と美神さん達と話をする中。横島が鼻歌交じりでうりぼーにドライヤーを掛け始める、
「ぷぐぎゅううーーー♪♪」
「もー何やってるんだ?ドライヤーに息吹きかけて面白いのか?」
「ぷぎゅううううーーー♪」
ドライヤーの風に向かって息(?)を吐きかけて、エコーする声に上機嫌なうりぼーに何やってるんだよ?と苦笑しながらブラシで毛並みを整えている横島を見て、どうか普通の猪の妖怪であって欲しいと心の底から祈るのだった……
翌日。緋鞠と合流してから私達は山の奥へと再び足を向けていた、しかし今回の目的地は神域ではなくガープがこの山で何をしていたのか?それを調べる為の捜索だった。
『その近くの川を下流へ……えーっと多分2キロぐらい進んでください』
「2キロね。了解」
ガープの残した魔術の痕跡を求め、横島にセーフハウスでダウジングして貰いながらの山の捜索だが、原始風水盤のこともあり、横島の索敵能力は非常に高い、そもそも昨日の神域探しに横島を連れて行ったのは神域を見せるという目的と、チビ達の探索能力を買っての事であり、横島自身がガープや魔人に狙われていることを考えると安全な場所に残すのがベストであり、連れ回すのは細心の注意を払う必要がある。なんとも困った存在でもあるのだから……横島の指示通りに進んでいるとどう見ても普通では乗り越える事の出来ない巨石が姿を見せる
「緋鞠。ロープお願い」
「心得た」
横島は地図でダウジングをしているのであり、進める進めないは判らない。目の前の巨大な岩を上るのは骨なので緋鞠に登って貰いロープを縛り付けて貰うのを待ちながら目を閉じて意識を集中する
「……どう?何か感じる?」
「まだ遠いですが、魔力の波長をうっすらを感じますわね」
進んでいる方向が正しいのか?それを知る為に魔力を辿ってみた。結界か何かで隠されているが、魔力の波長を感じる。方角的にはこの方角で間違っていないようだ
「じゃあ方角はこっちで良いのね。しかし、これ厳しいですね」
蛍が呼吸を整えながら呟く、悪霊の数は少ないのだが、山の起伏が激しい。川と言っていたが、実際は急流で進むのもかなりの体力を要した
「ほれ、上って来い」
岩の上から降ろされた縄梯子を見て、今行きますわと返事を返し私は縄梯子に手を掛けるのだった
『そこからえーっと……反応が強くなってますけど、何かありますか?』
「何かと言うか、何も無いわよ?本当にあってる?」
『はい、そっちの方向であってますけど……周りに何か無いですか?』
横島の案内で進んできたのだが、今私達がいるのは崖の手前。その先と言われても何も無い、無線機で美神が周りを調べてみるから少し待ってと声を掛けているのを見ながら、崖ぎりぎりの所まで足を進めると、妙な気配を感じる。振り返り同じように周辺を調べていた蛍に
「蛍。貴女は幻術系の術師でしたわね。解術は出来ますか?」
一緒に捜索すると言うことで聞いたのだが、蛍は本来は幻術などに特化したタイプで、道具使いとしての姿はフェイクらしい。元来幻術使いや、魔法使いは後方待機だ。それを隠すと言う意味ではいい隠れ蓑を選んだと思いながら尋ねると
「ちょっと待ってくれる?」
崖の方から手を伸ばした蛍は閉じていた目を開き
「美神さん。幻術で隠されてますけど、道があります、見えないから怖いと思いますけど、私の後を着いて来てください」
蛍の姿がゆっくりと消えていく、幻術の中に足を踏み入れたと言う事ですか……しかしここまで近づいても察知出来ない幻術……ガープが何かしたと見て間違いないですわねと思いながら、私も崖の方へと足を踏み出したのだった……
「み、見えないって言うのは、怖い物じゃな」
「緋鞠さんは霊視は出来ないの?」
怯えながら着いてくる緋鞠に美神がそう尋ねる。幻術は最初だけで、中に入ってしまえば霊視で山の中を歩いているのが判った。だから怯える必要など無いのだが
「霊視?なんじゃそれは?」
「……どうも彼女も横島君と同じタイプみたいね」
優秀な力を持っているが、頭で理解して使っているのではなく。感覚で使うタイプ、多分刀に霊力を通して振るうのも感覚で使っているだと判った
「妖怪だけど、望むならGSって道もあるかもしれないわよ?」
「……いや、結構。私が今望むのはこの山の平和を確保することじゃからな」
そうっと少し残念そうに呟く美神。今有力なGSが少ないことから、妖怪をGSするのは気分的に嫌だけど、戦力確保のために説得しようとしたんだろうなと思っていると先頭を歩いている蛍が
「これ……何?」
その呆然としている声が聞こえたと思った瞬間。周囲の幻術が解除され山の中の光景が視界に現れる、だが私はそれを気にも留めず、足元に描かれた真紅の魔法陣を見て
「……これはなんですの?」
今まで見たことのない魔法陣に困惑の声を上げながら、その場にしゃがみこみ魔法陣を調べ始めるのだった……
横島君のダウジングによってたどり着いたその場所は異質としか言えなかった。昨日の神域と似ているのだが、その方向はまるで逆……深い闇の中にいるような重苦しい気配に満ちている
「蛍と美神、それと緋鞠は精霊石の結界の中にいるべきですわ。この空間は人間が踏み入れてはいけない場所ですわ」
くえすの忠告を聞いて、昨日の神域と逆なのだと判断し精霊石で結界を作りその中に隠れる。本当なら詳しく調べたい所だけど、ここはくえすに任せよう
『何か見つけましたか?』
「ええ。ガープの実験の後を見つけたわ、これから調べてそっちに帰るから。じゃあ無線を切るわ」
気をつけてという横島君にありがとうと返事を返し無線の電源を切る。
「ここからだと難しいと思うけど、現場写真を撮るわよ」
「はい。判りました」
蛍ちゃんにポラロイドカメラを渡し、結界の中から写真を撮る。画質はそれほど良くはないけど、これでも十分魔法陣の全容が判る。範囲はかなり大きい物で、森林を切り倒し描かれている。魔法陣は真紅に輝いており、血もしくは狂神石で描かれていると思われる
「……だめですわ。時間切れです」
くえすの小さな呟きが聞こえた瞬間。魔法陣の輝きは失われ、魔法陣そのものが消え去った
「な、なんじゃ?なにが起きているんじゃ?」
理解できないと困惑している緋鞠さんには悪いけど、説明している時間が無いので結界の中から出て
「調べて何か判った?写真は全部じゃないけど、撮れてるけど?」
「私も見たことの無い魔法陣ですが……恐らく」
ドレスの裾を払いながら立ち上がったくえすは鬼気迫る表情で告げた
「何かを召還する魔法陣……この規模だと恐らく、神霊や、英霊を呼び寄せるための物でしょう」
神か英霊を呼び出すための魔法陣……!?その言葉に思わず絶句する。ただでさえ強いガープ達の下へ英霊が召喚される、それはなんとしても避けなければならない事態だった
「ど、どういうことじゃ?判る様に説明してくれ」
緋鞠さんが私達の顔を見て、危険な状態なのだと判ったのか判るように説明してくれと言う
「ごめんなさい、詳しく説明している時間は無いの。ただこの山の神を殺した相手がこの山に来る事はもう無いわ、それだけは安心して」
神獣が死んだことにより、霊脈が機能を失い召喚術を失敗させた。だがそれはほんの少しの時間稼ぎにしかならない、他の霊脈で同じ事をガープがやろうとするのは間違いないのだから
「私達はすぐ東京に戻るわ。協力してくれてありがとう、詳しく説明出来なくてごめんなさい」
「何か、この国で起きようとしているのか?」
「起きようとしているのではなく、もう起きているのですわ」
「緋鞠さん、色々ありがとう。私達はやることがあるから、また縁があれば会いましょう」
くえすの魔法陣でセーフハウスに飛びながら、緋鞠さんに別れの言葉を告げ、私達はその日の内に東京へと引き返していくのだった……
1人残された緋鞠は美神達の姿が消えてすぐ、セーフハウスへと走ったが美神達の姿は無く、セーフハウスの机の上に置かれていた手作りの竹竿と
【ケイ君にさよならを言えなくてごめんと伝えてください、横島。 追伸 これはケイ君へのプレゼントです】
残された手紙と釣り竿を手に取り重い足取りでセーフハウスを出た緋鞠は蒼く澄んでいる空を見上げ
「誰か私に何が起きているのか教えてくれ……」
何をすればいいのか、どうすればいいのか?それが今の緋鞠には判らなかった。山で暮らし、山を荒らす人間と戦い、山神へと祈りを捧げて生きていた緋鞠には今何が起きているの知る由も無く、自分が何をすれば良いのか判らず深い溜息と共に山の中へと消えていくのだった……
ガープが何かをしていたと言う山の捜索に向かった蛍につけていた通信兵鬼が先に戻ってきて、兵鬼が持っていた写真を見て
「ついに動き出したか……」
ガープが聖遺物を集めていたのは英霊を召喚する為だと判っていた。だが英霊は元来人類の危機にのみ召喚される星の抑止力であり、そう簡単に召喚出来る者ではない。横島君のそばにいる牛若丸と信長が異質なのだ
「この規模の魔法陣とあの山の霊脈……呼び出そうとしていたのは神霊か?」
なんにせよ、これは早く最高指導者に報告しなければならない。私は写真を手に、人間界を後にし最高指導者の下へと跳ぶのだった
「ガープは既に英霊召喚を可能としていたのですか……」
「こりゃあ不味いって物じゃないで」
アポイトメントも無いが、緊急事態だと告げるとすぐに会議室に来てくれた最高指導者に写真を見せながら
「英霊の座には干渉出来ないのですか?」
最高指導者としての力で英霊の座に干渉出来ないのか?と尋ねる。だが2人の返事は望んだものではなく
「英霊の座は私達とは概念が違いますからね」
「元々星の抑止力やし、魂の牢獄と似た性質やけど、似て比なる物だから干渉は出来るけど、ナイチンゲールみたいにこっちの言う事を聞いてくれない相手が出てくるかも知れへんし」
ナイチンゲール?それは知らないが、どうも最高指導者も英霊召喚を試みたのだろう。結果はどうも失敗らしいが……むしろ私が望んでいたのは2人が干渉して英霊召喚を阻止の方なのだが……
「ただ英霊召喚を可能としていても、この魔法陣では制御は出来ないでしょう」
「そやな」
「どういうことですか?」
私も写真で見ただけだが、これは魔法陣としては十分に成立している、十分な魔力さえあれば召喚が可能なのでは?と尋ねると最高指導者達は
「それだけでは足りないのですよ、確かに呼び寄せることは出来るかもしれないですが」
「呼び寄せても制御出来るかは別問題や、仮にも英霊と呼ばれ人類史にその名を刻まれた英傑がそう簡単に操れると思うか?」
2人の問いかけにあっと呟く、確かに召喚は出来るかもしれない。だがその先は?呼び出せても従うとどうして思い込んでいた
「恐らく神代琉璃も気付くでしょう、彼女は神卸の巫女としては知識も技術も非常に高い」
「呼び出せると制御できるは別物やと証言してくれると思うで」
その言葉に思わず安堵の溜息を吐く、英霊の戦闘力ばかりに気を取られていて大事な事に気付いていなかった。英霊にも意思がある、おいそれと操れる訳が無いのだ
「案外召喚しても、反逆されてるかもしれないですよ」
「そやなー、ワイもそんな気がするわ」
「そんなに楽観視して大丈夫なんですか?」
思わずそう尋ねると最高指導者の2人は真剣な表情をして
「確かに後にガープが支配する英霊が現れることでしょう。失敗してもそのままにするなんて愚かな真似はしないでしょうからね」
「ただそうなれば、星も動くし、宇宙意思も動くって事や」
「抑止力が動くと言う事?」
その通りと笑う最高指導者。星の抑止力と宇宙意思をそう簡単に欺くことは出来ない。よく知っているはずだと言われれば、確かにその通りだ
「こっちも対策は練ります。英霊の座に呼びかけてみることも考えております」
「だから英霊に関してはこっちに任せ」
その言葉によろしくお願いしますと返事を返し、会議室を後にしようとすると肩をすごい力で掴まれた
「そうそう、アシュタロス。いい加減にトトカルチョが動かないと面白くないんですよ」
「だからいい加減に蛍を少し刺激してくれへんかなー?具体的には横っちとのデートとか?」
真面目な話をしていると思っていたのに……ッ!!とは言え、私の肩を掴んでいるその力と目力が凄くて、何とかしますと言って人間界へ戻り
「と言う訳で、蓮華。何かアイデアは無いかな?」
「なんで姉さんと横島の恋愛を賭けにしてるんだよ……」
崩れ落ちる蓮華に蛍に聞いてくれと言うと、姉さん何考えているんだ。私には姉さんが判らないと嘆いている蓮華に私も判らないと呟きながら、横島君と蛍の恋愛が進むようにと蓮華と話し合うのだった……
山の捜索を頼んでいた美神さん達が血相を変えて、会長室に飛び込んで来たので整理していた書類を机の中にしまい
「6人分のお茶を用意してくれる?」
秘書にお茶を用意してくれるように電話で頼み。捜索内容の報告に耳を傾ける前に
「横島君?抱きかかえてるの何?」
頭の上にタマモ、肩の上にチビはいつも通りなんだけど、何故か小さな茶色い何かを抱えている横島君にそう尋ねる
「うり坊のうりぼーです。なんと、増えて、大きくなって小さくなる妖怪です!あ、保護妖怪申請いいですか?」
「ぷぎゅ♪」
前足をピコピコ振るうりぼーを見ながら、後でねと引きつった声で返事を返し
「美神さんって事務所を幽霊屋敷とかにするつもりですか?」
「するつもりはないのよ?ただ横島君がね……」
ちょこちょこ動き回るうりぼーを抱きかかえて大人しくしてろよー?と言う横島君を見て、美神さんも蛍ちゃんも大変ねと思うのだった
「魔法陣……ですか、確かにこのサイズだと神を召喚出来るでしょうね」
ポラロイドカメラの写真を見て、そのサイズと術式を見て確かに神を召喚する為の魔法陣だけど
「そんなに心配することは無いですよ。今の段階では」
えっと驚いた表情をする美神さん達に魔法陣の写真を机の上に並べて説明する
「神卸の魔法陣って言うのは非常に膨大な物になるんですけど。緻密かつ、精確性が必要になります。こことここ、線がぶれてますし、術式の文字が途切れ途切れになってます。これから仮に召喚に成功したとしても制御出来ないですよ」
勝手に制御下を離れ好き勝手するだろう。無論敵になる可能性もあるが、召喚された段階でガープに反逆する可能性が高い
【えっとでもノッブと牛若丸の事はどうなるんですか?】
「信長はノスフェラトウに関する抑止力、牛若丸は多分現世に残っていたのを操っただけで、直接召喚はしてないと思うわ」
おキヌさんの質問にそう答えながら魔法陣を見つめる。今の段階では危険性は低いが、いずれどうなるかは判らない
「ではもし悪神と呼ばれる者が召喚されたらどうするのですか?」
「……自分で言うのもなんだが、悪神や邪龍は多いぞ?」
くえすとシズクの質問にうーんっと唸りながら、その可能性は高いけどと前置きしてから
「でもそういう存在はガープ達よりも上位の存在だわ。そんな存在が分不相応に呼び出したとすればどうなると思います?」
「怒り狂う?」
「それで済めばいいですけどね」
確実にその怒りの方向はガープに向くだろう。下手をしたらそれで向こうの陣営は壊滅的な打撃を受けて自滅するだろう
「えーとつまりガープは馬鹿?」
【お前、時々とんでもないことを考えるな】
横島君の質問と心眼の突っ込みに苦笑しながらも頷き
「魔術の専門家でも召喚術は別物だからね。今頃もしかすると失敗して大変なことになってるかもね」
楽観的観測だが、そうなっていてくれれば、ガープの動きが鈍くなり。その間に反撃の準備を整えることが出来ると思いながら
「とりあえず今の段階ではそう危惧することもないですが、とりあえず三蔵法師様に連絡を取って神族に伝えて貰いますね。今回はお疲れ様でした」
ゆっくり休んでくださいと声をかけ、机の中から保護妖怪申請書を取り出し横島君に差し出す
「はい、じゃあこれ。ちゃんとサインして提出してね」
「はい!ありがとうございます!!帰ったらうりぼーの家も用意しないとなー」
「ぴぎー♪」
横島君の腕の中で嬉しそうに鳴くうりぼーを見て思わず笑いながら
「あ、そうそう。捜索で疲れていると思うけど、横島君。今週の日曜日憑依に対しての防衛術を教えるから、時間を空けておいて」
「え?あ。はい判りました」
手帳に日曜日に用事と書いている横島君を見ていると美神さんが
「良いの?休みなのに」
「約束は約束ですし、やっと時間が取れましたからね」
いつまでも横島君の憑依に対する防御が低いままだと大変なことになるかもしれないので、その前に対策を授けておきたいんですよ。何かが起きてからじゃ遅いから
「ごめんね。横島君の事お願いね」
「……琉璃なら信用出来るか、横島のことを頼む」
美神さんとシズクの言葉に任せておいてくださいと笑いながら、受け取った捜査記録を机の中にしまい
「では後の事は任せてください。本当にお疲れ様でした、ゆっくり休んでください」
後はこっちと神族で引き受けますと美神さん達に声をかけ、出て行く美神さん達の姿を見送り
「とりあえず、聖奈さんからね」
電話を手にし、魔界正規軍から横島君の護衛に来ている。聖奈さん事ブリュンヒルデさんに連絡を取るのだった……
そして一方魔界では……とんでもない事が起きていた
「ぐああああああああッ!?」
「ふぐっ!?お前!召喚したら制御出来るとか言ってなかったか!?」
「つ、強い……これが別の次元に隠居した神の力か!」
【■■■■■■■■■ッ!!!】
魔法陣から現れた巨大な悪霊にガープとアスモデウスそしてアスラはフルぼっこにされていた。如何にソロモンの魔神と言えど、異なる時空に隠居していた神を強引に呼び出し、その怒りを買えば対処する力を持たなかったのだ
「ぐっ!神霊を呼び出すには情報が……足り……げぶっうっ!?」
「ポンコツか!?ぐはっ!?ぐふうう……」
「ごばあっ……アスモデウスを鈍器……にするだと……」
アッパーを喰らい動かなくなるガープと、巨大な掌で押しつぶされたアスモデウスをアスラに振り下ろし、アスラが意識を失った所でその巨大な悪霊は膨大な神通力を撒き散らしながら、その巨体を小さくして行き
「全く、無理やり呼び出して何を考えているのかしら……まぁ良いわ、せっかく現界したんだから少し外を見てみようかな。私の世界もないし……今なら制約も働かないわよね!」
うん、そうしましょうと笑った何者かはフードつきのマントで顔を隠し、魔界から姿を消すのだった……
「なにこれ!?何があったの!?」
神界と魔界でガープに英霊召喚の気配があると聞いて警戒態勢に入ったことを聞き、それを伝えに来たセーレが気絶しているアスモデウス達を見て絶叫するのだった……そしてその日から3人の治療および、壊滅的打撃を受けた研究施設の復旧などでアスモデウス陣営の動きが止まったのは言うまでもない
別件リポート 娘と父と妹の認識の違いへ続く
と言うわけで神の山捜索は今回で終了となります。アスモデウス陣営が自滅し、召喚した神は姿を消しました。そしてトトカルチョを進めろという最高指導者ですが、そんな場合ではないんですけどね。次回は蛍の認識と、アシュ様と蓮華の認識の違いとギャグメインで書いていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い