GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は横島の修行の経過と、横島に会えない事でポンコツ化しつつある蛍を見ている美神と、少しだけ白竜寺の面子を書いていこうと思っています。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その5

 

リポート1 始めの1歩 その5

 

「ふう……やっと終わった」

 

私の背丈よりも遥かに高い3つの書類の山を見ながら大きく背伸びをする。GS試験のガープに関する報告書を国連GS本部とバチカンに送り、ガープのアジトとして利用された白竜寺をどうするか?と言う問題。結構時間が掛かったけどやっと終わった

 

「まだノスフェラトウのが残っているんだけどねぇ」

 

次の問題はノスフェラトウに関することだが、とりあえずこれは後回しにして、面会者との話をするべきだ

 

「ごめんなさいね、結構バタついてるのよ」

 

かれこれ1時間近く座って待っていてくれた3人の青年に謝る

 

「いえ、気にしないでください。忙しいのは判ってましたから……陰念先輩?陰念先輩?会長さんの仕事が終わりましたよ?」

 

東條修司が腕組をして眠っていた陰念を揺すると

 

「……ん?んあ?そうか……大分長かったな」

 

首を鳴らしながら姿勢を直す。まだリハビリ段階って聞いてたけど、松葉杖こそ必要としているが、自分でもう出歩けるようになっているなんて恐ろしい回復スピードね

 

「……ママに似ている」

 

……1人なんかおかしい事を言ってるのがいるのは気にしない方向で行きましょう。これ以上心労を積み重ねるような真似はしたくないので

 

「今日来ていただいたのは白竜寺の今後について話し合うためです」

 

GS養成所としての資格が剥奪されるのは決まっているが、その後どうするか?と言うのはまだ決まっていない。その為に現段階で白竜寺で最も長く修行していた陰念と伊達雪之丞を呼んだのだ。東條は陰念の付き添いとして同伴して貰っている

 

「一応兄弟子が何人かいたはずだが?どうなった?」

 

言いにくいことよね……でもまぁいずれは判ることだから

 

「白竜寺を卒業したGSは白竜寺との絶縁を公表したわ。多分頼ることは出来ないと思うわよ?」

 

ガープに操られていたと言うことを考慮し、被害者として話を進めていたんだけど、自分の実績に傷が着くと思ったのかGS試験終了後から1週間も経たない内に絶縁するとGS協会に書類が届けられた

 

「ふん、まぁそんな事だろうと思っていたがな……それで?俺達は今後どうなる?それに入院していると聞く勘九朗はどうなっているんだ?」

 

陰念がそう尋ねて来る、外見は粗暴だが、かなり頭は切れるみたいね……東條君は一生懸命手帳にメモをしているし……伊達は

 

「その長い髪も美しい。やっぱりママに似てる」

 

……この子はガープに操られていたほうが良かったんじゃないかしら?少なくともそっちのほうがまともに見えるんだけど……とは言え、冗談でも口にして良い言葉ではないのでその言葉を飲み込む

 

「鎌田勘九朗については心配しないで、私も詳しくはないけど生きているとは聞いてるわ」

 

ドクターカオスが預かっているから詳しい事は知らないんだけど、命に別状は無く手術に耐えるだけの体力が戻ったら手術すると聞いていると説明してから

 

「白竜寺の事に戻るわね。今のままだと白竜寺は解体されるけど、そうなるとあの霊地も一時的に国の所有物になるし、それに貴方達の住む所が無くなるわ」

 

白竜寺で修行している子供は基本的には孤児だったり、親との確執があり親と暮らすことが出来ない子供が団体生活を行いながら、勉学を学び、GSとしての知識を学び独り立ちしていくことを目標として開設された修行場だ。今も40人近くが暮らしていることを考えると解体と言うのは避けないといけない、それに霊地としても優秀なので出来ればGS協会の管轄に置いておきたいと説明し、その上で

 

「とりあえず私から言えるのは、解体されて全国の孤児院に散らばる、これはまず無しの方向で行くつもり。んじゃあどうするかって言うと……これ絶対に他言しちゃ駄目よ?」

 

当事者だから話すが、本当なら隠し通しておきたい話なのよね……だから絶対に他言無用よ?と前置きしてから

 

「ガープの襲撃の事もあって、近い内に天界から何人かの英霊が東京に派遣される事が決まっています。その英霊の1人が駐在する場所として白竜寺を指名しているの」

 

英霊と聞いて目を見開く陰念と東條君。まぁこの反応は当然よね

 

「えっと英霊っての過去に偉業をなして人間霊から精霊になったって言う……?」

 

「ええ、そうなるわね。よく勉強してるじゃない」

 

英霊は今のGS教本には記されていない。何故なら英霊が下界に降臨するだけの事件が起きていないし、降臨する必要も無い。だがガープが動いているのならその対策として派遣される事が決まっている

 

「寺を指名すると言うことは仏教関連の英霊か?」

 

「ええ。そうなるわ、えーとっと確か……」

 

天界から送られてきた資料の中に誰が来るか?と言うのが合った筈……それを探していると

 

「ここね!悟空に聞いたGS協会って言うのは!」

 

……なんかものすごく嫌な予感がするんだけど……会長室の扉が開きそこから白い法衣を着た女性が姿を見せる

 

「神代琉璃ちゃんね?小竜姫から聞いてるわ!これからお世話になるわね!この子達が私の弟子?」

 

……いや、いや待って、待って……まだ来るって聞いてないんだけど……

 

「えっと貴方は?」

 

東條君がそう尋ねると法衣の女性は穏やかに笑いながら

 

「あたしは玄奘三蔵!これから貴方達のお師匠様として修行をつけるわ!よろしくね!」

 

三蔵法師……まさかのあの西遊記の偉人。そんな女性を目の前にして思った……もう駄目だ。これは私の許容範囲を超えている……っと

 

「じゃ、東條君。陰念君……彼女を白竜寺に案内してあげて、そこからは彼女の指示に従うこと」

 

悪いと思ったが2人に丸投げすることにするのだった……なお伊達は

 

「……こっちもママに似ている、なんて美しい……」

 

玄奘三蔵様を見てママに似ていると呟いていた。それを見て、私は溜息を吐きながら

 

「ごめん、あと頑張って」

 

さー修行よ!修行!功徳を積んで立派な仏教徒になるのよー!と叫んでいる三蔵様とママに似ていると呟き思考停止している伊達を東條君達に押し付け会長室から追い出したのだが、その時の陰念君と東條君の恨めしそうな目は暫く忘れられそうに無かった……

 

 

 

神宮寺さんの屋敷で修行を始めて3日経った。蛍やシズクに会えないのは寂しいが、成長しているという実感を得ることが出来ていて、今度の除霊試験は合格できそうな手ごたえを感じていた

 

「はい、そのまま両手・両足に霊力を維持……そうですわね、10分で良いですわ」

 

俺は今水の上で霊力による干渉で水面に立ちながら、両手に霊力を展開していた。水の上に立つだけだけでも必死なのに、更に両手から霊力を放出してそれを10分維持しろとか……ほんとマジ厳しい……蛍や、シズクの教え方と違ってスパルタだが、教え方が俺に合っていたのか出来る事が徐々に増えてきている

 

「こら!集中が乱れていますわよ」

 

「っととと」

 

神宮寺さんの声を聞いて足元を見ると、右足が沈んでいたのでそちらに意識を向けると右足が徐々に浮かんでくる

 

「よろしいですわ、これが霊力のコントロールの基礎です。実践で水の上を走るなんて真似はしませんが、瞬発力の強化や蹴りの強化など応用が利きます。しっかりと覚えなさい」

 

うっすと返事を返す、心眼を身に着けていると心眼が補助してしまうので心眼も外しているので本当に必死だ、後2分で10分っと言う所で

 

「みーむ!みーむ!」

 

「うきゅー!うきゅー!」

 

チビとモグラちゃんが前足を振って応援しているのを見て、思わずくすりと笑ってしまったのだが

 

「っ!?冷てえ!!!」

 

その一瞬で集中力が途切れ、俺は水の中へと落ちるのだった……

 

「うーさむう……」

 

「クウ」

 

タマモの狐火のまえで暖まりながらそう呟く、今日は大分良い感じだと思ったんだが……流石に集中力が途切れると駄目だな。タマモにも気をつけなさいって言われてる気がすると思い苦笑する

 

「まぁ霊力のコントロールは妥協点ですわね、5分持てば良いと思っていたのですが……よく持ったほうですわね

 

神宮寺さんが褒めてくれた事に驚いていると神宮寺さんは穏やかに笑いながら

 

「両手足から霊力を放出し、なおかつ水面に立つ。これプロのGSでも難しいですのよ?私は魔法でやりますが、霊力だけでやるのは緻密な霊力コントロールが必要になり、並のGSでは出来ない技術ですわ」

 

そ、そうなの?そんな事を言われても俺には全然実感が無いんだけど……

 

「でもこの3日で横島。貴方の霊力の方向性が見えて来ましたわ」

 

俺の霊力の方向性……これは修行を始める時に聞いた、霊力にはある程度の方向性があると

 

 

例えば美神さんなら道具を仲介する事で、霊力の出力や形状を変える集束型。破魔札や、精霊石に霊体ボウガンに霊力を共有して破壊力や貫通力を上げるという戦闘スタイルをとるらしい。威力が上がる反面破損率が上がる為、道具が嵩張るのが欠点らしいが、道具さえあれば安定した戦いが出来るのが利点らしい

 

エミさんなら自身の身体や、歩法などを組み合わせ霊力を増幅し、対象に向けて呪いと言う形で放つ、放出型。ちなみに神宮寺さんも放出型らしいが、集束も出来るらしい、詠唱や歩法を使うのでどうしてもタイムラグが発生し、護衛や事前に詠唱し遅延させるや、ある程度の威力の低下を覚悟し、無詠唱や歩法の省略をするなど頭を使った戦い方が要求されるらしい

 

眼鏡を外した唐巣神父やピートに雪之丞のように道具を使わず、直接手足に霊力を集束して戦う。霊波格闘型、道具を扱う集束型と違うのは、道具を仲介しないでダイレクトに霊力を扱える事と身体能力の強化にあるそうで、霊波を手足から放出する事ができるので、集束と放出のハイブリッドらしいが、威力も安定度も下がり、卓越した術者で無ければこちらもタイムラグが発生し、格闘の補助程度になるのが難点らしい

 

ある程度の型と言うのは最初だけで、慣れてくれれば集束も放出も扱うと言うのが当たり前。そこから派生するのは例を挙げれば切がないそうだが、大まかに分けるとこの3つに分かれるらしい。じゃあ俺はどんなタイプなんだろうか?

 

「横島。貴方の霊能は圧縮・形状変化だと思いますわ」

 

あ、圧縮?それに形状変化?教えて貰っていない事なのでどういうことか判らず困惑していると

 

「霊力の篭手、そもそもこの時点で私は貴方の霊能が圧縮であると読んでいました。そもそも霊力にしろ魔力にしろ物質化させるのは非常に困難ですわ。見習いの段階でそれが出来る、それすなわち、貴方の霊力の方向性が圧縮であるという証明ですわ。そして霊力の翼なども考えると、1度圧縮した物の形状を変えると言う事も出来るでしょう。今までは無意識で使っていたと思いますが、これを意識して使えるようになれば戦術は大きく広がりますわ」

 

た、確かに……意識して篭手を変化とかさせた事はなかったな……じゃあもしかして

 

「篭手を変形させて剣とかにも出来るって事ですか?」

 

心眼を頭に結びながら尋ねる。神宮寺さんは理論上はですがと前置きしてから

 

「ガープを殴り飛ばしたあの篭手。あれは恐らくアレで完成しているので今から形状を変えようとするのは無理でしょう。ですがその前に使った霊力を拳に収束する、あの形態でしたら恐らく形状変化出来ると思うので、目標としては左腕を形状変化が自在に出来る篭手。右腕を高火力の篭手と言う形にする事ですわね」

 

左右で役割分担するのか……でも確かにそっちのほうが扱いやすくなるかもしれないな

 

「それと、先日の話は覚えていますか?」

 

先日の話?……あ、なんか寝る前に言われてたな……少し考えてから

 

「俺の霊力に魔力が混じってるって奴ですか?」

 

詳しくは判らないが、俺の霊力に魔力が混じっており。怒りや憎しみなどの負の感情で活性化し、暴走する危険性があると言われたのは覚えている。なんで俺の中に魔力があるかは判らないが……

 

「そうですわ。良いですか?自分の意思で魔力をコントロールするのは非常に難しいです。今後時間を見てそれも指導して行きますが、この1週間では教える事が出来ません。応急処置として封印を施しますので、心眼抵抗しないでください」

 

そう言って神宮寺さんの指が額に伸ばされる。暫くすると軽い静電気見たいのが走った感覚がした……これが封印って奴なのかな?

 

「これで暫くは大丈夫でしょう。しかし、決して怒りに身を任せたりしないこと。魔装術で暴走した陰念よりも遥かに酷いことになりますわよ」

 

あれよりも酷い、想像するだけでも怖いので何度も頷く。絶対に魔力にしろ、霊力にしろ暴走しないように気をつけよう。魔力についての注意が終わるとまた霊力の形状変化とかの話に戻ったのだが、正直難しすぎて全然理解出来ない

 

「みみー」

 

「すぷーすぷー」

 

チビとモグラちゃんは難しい話に着いて来れず、丸くなって眠っている。出来れば俺も眠りたい所だが……そんな事をするとどうなるのか想像するだけでも恐ろしいので、判らないなりに自分なりに理解しようと努力していると

 

【それは確かに得策かも知れんな。最終的には左右を自在に切り替えて展開できるようになれば、更に戦術は広がるな】

 

ウーン?そうは言われても、背中に翼の出る篭手は右腕じゃないと出来ないし、最終的にって言われてもいつになるか判らないな……

 

「では昼食を挟んで今度は陰陽術ですわ」

 

その言葉に思わずうげっと呻いてしまう。陰陽術は座って教本を見て、数式?見たいなのを延々と書くだけだし、神宮寺さんの話は難しくて全然理解できない。懇切丁寧に教えて貰っているのに理解出来ない自分の脳の残念さに思わず溜息を吐きそうになった時

 

「くひひ!大分絞られてるみたいだねえ」

 

「のわあ!?ひ、柩ちゃん?」

 

いつの間にか俺の後ろに居てくひひっと笑っている柩ちゃんに俺は驚き、タマモ達を抱えて思いっきり後ずさるのだった……

 

 

 

ど、どうやって入って来たんですの?私の結界をすり抜けて入って来たしか思えない柩に驚いていると柩は

 

「やぁやぁくえす!ずいぶんと頑張っているみたいだね!くひひ、プリティなボクも手助けに来てあげたよ」

 

「帰れ」

 

やっと横島を見て動揺しなくなったのに、何が悲しくて柩と一緒に横島の修行を見なくちゃいけないのか?と思い帰れと言うと柩はくひひっと笑いながら近寄って来て

 

(とても良い情報が未来視出来たから、態々教えに来て上げたのにそんな事を言うんだね。ボクは構わないさ、芦蛍にその情報を流すだけさ)

 

それをされると非常に辛い……ニヤニヤ笑っている柩に殺意を覚えながらも、情報は欲しいので仕方なく、本当に仕方なく

 

「特別に許可しますわ。横島、午後からは柩も一緒に貴方の修行を見ますので、では昼食としましょうか」

 

「ボクも頼むよ♪お昼食べてないからね」

 

図々しくも自分の分も昼食を用意しろと言う柩に心底殺意を抱きながら、妖精メイドに1人分の昼食の追加の指示を出し、妖精メイドが昼食が終わるまで休憩となったのだった……

 

「え!?そ、そうなの?柩ちゃんの未来視ってずっと暴走してるの?」

 

ボリボリと錠剤を齧っている柩を見て食欲を失った私ですが、横島はそんな柩を心配してどうしてそんなに薬を飲んでいるのか?と尋ねていた

 

(なんか面白くないですわね)

 

横島が柩を気にかけているのを見ていると胸がざわざわして不快感もそうだが、面白くない。今まで感じたことの無い感覚に眉を顰める

 

「そうなんだよ、だから薬で抑制しているんだけどね?くひひ、本当何とかして欲しい物さ、じゃないとボクも20歳くらいで死んじゃうからねぇ……まぁ短命なのは自覚してるけどさ」

 

「いや駄目だろ!?そんな簡単に諦めたら駄目だろ!?」

 

横島に怒鳴られて目を丸くしている柩だったが、嬉しそうに笑いながら

 

「ああ、ボクの事を純粋に心配してくれた人間は随分と久しぶりだ。心配してくれてありがとう」

 

いつもの不気味な笑い声ではなく、年相応の笑みを浮かべる柩を見て、顔を赤くしている横島を見て

 

「昼食は終わりですわ!それと今日はもう休みなさい!」

 

思わず横島にそう怒鳴りつけ、私は書斎へと足を向けるのだった……だがこんな妙な雰囲気でまともな講義が出来る訳もなく、18時まで予定していた講義を14時で終わりにし、今日はもう自由にしなさいと言って私は自室へと逃げるように引き返すのだった……

 

 

 

うーん、この反応は流石のボクも予想外……ちょっとくえすをからかってやろう程度に思っていたんだけど、かなり怒らせてしまったようだ

 

「柩ちゃん……俺なんかしたかなあ?やっぱ馬鹿だから神宮寺さんの言ってる事を半分も理解出来ないから怒らせちゃったのかな?」

 

うん、それは違うよ?と即答する。くえすはただ面白くなかった、それだけだ。ボクを気に掛けている横島を見て、面白くなくて、そして腹立ちを覚えた。それは余りにも幼い感情の発露。嫉妬と呼ばれる物だ

 

(くひひ♪本当に面白いね)

 

魔法の後遺症で感情のいくつが正常に機能していないくえすがここまで感情を露にした。それはボクからすればとても喜ばしく、そして面白い物だ

 

「横島。君は気にしなくて良い。親友のボクがくえすと話をしてくるよ」

 

親友所か、お互いに人に好かれていないGSってだけの腐れ縁なんだけどねぇと心の中で呟いていると

 

「いや、俺も行くよ。謝らないと」

 

まぁ横島の言っている事も判るんだけど、きっと今ボクと横島が一緒に居ると更にくえすの嫉妬心を刺激するだけなので止めておいた方が良い。しかし嫉妬しているなんて横島に説明したら、それこそくえすが憤怒するので

 

「女性の部屋に押しかけるほど失礼なことは無いよ。大丈夫さ、ボクがちゃんと宥めておくから君は部屋で待っていると良い」

 

そこまで言われると流石の横島も着いてこようと思わなかったのか、部屋で待ってると消沈した様子で呟き、狐達を抱えて階段を昇って行った

 

「さーて、ボクは我侭な魔女様を慰めに行きますか」

 

このままだとくえすはきっと大変な事をしでかすだろう。それこそ魔法をいくつも使って横島を自分の屋敷の中に閉じ込めるくらいはするだろう。感情を上手く制御できていないくえすの感情の爆発だ。どうなるか考えるだけでも恐ろしい、それのフォローをしておかないとね

 

「くえすー?くえすー?扉くらい開けたまえよ」

 

くえすの部屋の扉を叩くが反応がまるで無い、生命反応は感じているので、部屋の中にいるのは間違いないんだけどね

 

「良い事を教えてあげるからさぁ?話くらい……くひひ♪良い反応だね」

 

扉が勝手に開く、これは入って来いって言う事だね……まあー確実に荒れているくえすと話をするのは正直めちゃくちゃ怖いんだけど……

 

「やるしかないよねえ……」

 

確実に途切れていたくえすの人間としての未来を繋いでくれた横島。だけどそこから先は不鮮明でいつまた途切れるかも判らない不確定な物だ。なんせくえすの未来はガープに連れ去られ、魔族となる事で決まっていた。それを変えたのは横島だ、だがそれを変え続けることは横島だけでは出来ない。周りの環境、そしてくえす自身が変わって行かなければ容易くくえすの未来はまた元に戻るだろう

 

「ま、どうせ10代で死ぬ身だ。くえすとあのお人好しの為に頑張ろう……」

 

ボクはもう自分の死ぬ年齢も場所も知っている、ボクが最後の夜光院となる事も知っている。だから死ぬまでの後数ヶ月から1年未満……勝手に友達だと思っているくえすと、あのどこまでのお人よしの馬鹿の為に頑張ろうと呟き、ボクはくえすの部屋へと足を踏み入れるのだった……

 

 

 

くえすの事務所に横島君が研修に行って3日経った……琉璃の所で住所を聞いて、くえすの事務所に行ったけどくえすの事務所は結界がめちゃくちゃ張られてて進入不可能。なおかつ電話も出来ないのでどうなっているのか判らないという状況だった

 

(ちゃんと修行してるのかしらねぇ)

 

横島君は女好きなのでくえすと2人きりって状況でちゃんと修行しているのか?とかは確かに気になってはいる、気になっているんだけど……それ以上に今私が気にしないといけないのは今の事務所の状況である

 

「……」

 

「蛍ちゃん?蛍ちゃーん?大丈夫?」

 

事務所のソファーに腰掛けて全く動かない蛍ちゃんや

 

【ぶつぶつぶつ……】

 

なんか小声でエンドレスで呟いているおキヌちゃん、そして

 

「…………なんだ?」

 

普段の4割り増しで敵意むき出しにしているシズクをどうするか?って言う問題だ。横島君が居ないってだけでシズクはやる気無し、蛍ちゃんは注意力散漫。おキヌちゃんはポルターガイスト能力の低下……正直言って戦力外レベルになってしまっていた。それでも2日は頑張ってくれていた、だが3日目になると明らかにやばい感じになってしまった

 

(これ依存に近いわよね。大丈夫かしら……)

 

どうも私の見た所では全員が全員依存に近い。こんなんで本当大丈夫なのかしら?と不安に思ってくる、例えば蛍ちゃんと横島君が付き合えば良いと思っていたけど、そうなった場合のシズクとかの反応がめちゃくちゃ怖い

 

「本当。協力してくれて助かるわ、ノッブ」

 

そんなわけで今私の除霊の助手として協力してくれているのはノッブだ。現代日本を楽しむ為に成仏しなかった彼女は大分霊力とかを失っているらしいが、それでも英霊は英霊。並みの雑霊なんかよりも遥かに強く、沖田ちゃんも協力してくれているので何とか除霊以来をこなす事が出来ていたが

 

【む?後にしてくれんか?このポンコツが】

 

【かふっ、沖田さんはポンコツじゃ……無いですよ?】

 

吐血してる沖田ちゃんを看護しているノッブ。意図的に吐血を我慢していたせいか、昨日の除霊の後盛大に吐血し行動不能になってしまった

 

(不味いわね……)

 

今日の夜の除霊はかなり厳しい、何とかして蛍ちゃんとシズクにやる気を出せることは出来ないかなぁ……ぺらぺらと保留になっている除霊物件を確認する。その中で1つやたら目を引くものがあった

 

(スライム……か)

 

某ゲームのせいで弱いと思われているスライムだが、実際は増殖するわ、巨大化するわ、水に溶けるわで非常に厄介な軟体魔法生物だ。それが住み着いているホテルからのスライムの駆除の依頼……報酬はスライムの駆除の適正価格の5000万の半分の2500万……その代わりに駆除すれば貸切でホテルの2泊3日の宿泊。露天風呂に温水プールもある高級ホテル。食事は3食高級食材を使った和・洋・中の食べ放題、しかも近くの遊園地のフリーパス……人数の指定も無い。全員で行って慰安旅行にしても良いと思える好条件だ

 

(これ案外良いじゃない)

 

スライム駆除はちゃんと万全の準備を整えればそう難しいものじゃない、寧ろ簡単な部類になるだろう。なんせこっちには水神のシズクがいる、スライムが水の中に居ても見つける事が出来るのだから

 

「ねえ?蛍ちゃん?シズク」

 

声を掛けても反応0なのが悲しいわね、横島君が居ないと本当魂が抜け落ちたみたいな顔してるし蛍ちゃん……もうこんなのになるくらいならさっさと付き合ってしまえば良いのにと思いながら

 

「横島君が戻って来たらさ、この依頼受けてみない?高級ホテルに住み着いたスライムの駆除」

 

うん……やっぱりこの段階じゃ反応ないわね

 

「スライムを駆除すれば貸切で2泊3日の宿泊、しかも露天風呂と温水プールは使い放題。食事は3食全部高級食材を使った和・洋・中の食べ放題」

 

ノッブと沖田ちゃんが反応する。ノッブは大丈夫だと思うけど、沖田ちゃんの場合エミとかの助っ人要請があるからついてくるのは難しいわよね……同行できるなら連れて行ってあげても良いけど……ぴくりと僅かに反応を示した蛍ちゃんとシズク

 

「んでしかも近くの遊園地のフリーパス付き、依頼って言うより慰安旅行でどう?まあまずは今週の依頼を完遂してからに……「美神さん!なにやっているんですか!?早く準備しましょう!」え、ええ……」

 

弾ける笑顔を向けてくる蛍ちゃんと無言で水を大量に溜め込み始めるシズク。

 

【今なら私呪いも行けそうです!】

 

ポルターガイストが復活し、呪いまで行けそうですと叫ぶおキヌちゃんに頭痛を感じながら、これで今日の依頼は何とかなるわねと思いつつ、依頼を出しているホテルにその依頼を受けますという旨の連絡を入れる、幸いにも他にも引き受けるとい言うGSが居なかったのですんなりの依頼を受ける事が出来た

 

(まぁ何か悪い顔してるけど、私には関係ないし)

 

もう何か凄い悪巧みしている顔をしてる蛍ちゃん達を見て、今くえすの所で研修を受けている横島君にきっと災難が起きるだろうけど頑張ってと心の中で呟き、今夜の除霊に必要な道具の確認をするのだった……

 

リポート1 始めの1歩 その6へ続く

 

 

 




くえすが嫉妬して、柩が感情を発露しだしたくえすに喜び、横島が知らない所で何か危険なフラグが立ちました。やる気が完全回復しましたが、横島はもしかするとピンチに追い込まれるかもしれないですね、いろんな意味でね?それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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