GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
リポート11 新たな一歩 その2
朝のチビとうりぼーの散歩の為に起きて顔を洗おうと思い自室を出る。すると目の前を掛けて行く小柄な影
「チビノブ?」
【のっぶ?のぶのぶ!!】
頭に三角巾を巻いて、手には雑巾。腰にははたきと完全掃除姿のチビノブに声を掛けると、おはよーと言わんばかりに手を振るチビノブ
「みーむう!」
「ぷぎー!」
「うん、おはよう。シズクの手伝いか?」
チビとうりぼーの挨拶の後におはようと声を掛けると、チビノブは首から提げた何かを差し出してくる
「うん?何なに……メロンパン?」
【のぶのぶ!】
よく見るとお手伝いでサイン1つ、10個でメロンパンっとシズクの文字で書いてあった。3つシズクのサインが入ってるのを見て、判ったと頷き、忠夫とサインすると嬉しそうに笑い、首からまたその紙を下げて雑巾で廊下の掃除を始めるチビノブ
(……なんだろうな。俺の家って今後どうなるんだろう?)
美神さんの言う通り俺の家がどんどん魔窟になるのではないだろうか?と雑巾をスケボーのようにして滑っていくチビノブを見て、俺は初めて自分の家が大変な事になっていると自覚するのだった……
「今更じゃない?」
「今更じゃないか?」
「今更だと思うんですジャー」
「やっぱり?」
朝のランニング中に合流した雪之丞とタイガーにも同じ事を言われてしまった。だけどなぁ、足元のうりぼーを抱き上げて
「でもこんなに可愛いんだぜ?」
「ぷぎゅう!」
小動物の癒しのパワーを知ってしまうと、そしてその円らな瞳を見てしまうと駄目なんだとうりぼーを蛍達に向けながら言うと、こっちにむけるなと言うので、そのパワーはやはり絶大だ
「多分、俺魔窟になっても良いから小動物は拾い続けると思う」
チビもうりぼーも喜ぶしと言うと、拾うなよっ!と言う雪之丞の突っ込みが聞こえたので、とりあえず嫌がらせにうりぼーに増えて雪之丞を取り囲めというと
「止めろ!そんな目で俺を見るな!!」
「「「「「「ぷぎぷぎッ♪」」」」」」
やめろおおおっと嘆く雪之丞を見ながら、俺は振り返り
「んで?俺と蛍と心眼に相談って何?」
珍しく朝のランニングに参加してきたタイガーが合流した時に俺達に相談だと言っていたので、それが何なのか?と尋ねると
「昔は出来た霊能が今は出来ないんですジャー、その事でどうすれば良いか教えて欲しいんですジャー」
珍しく深刻な顔をしているタイガーに、これは真面目に相談に乗らないとと思い、俺は額に心眼を巻きながら姿勢を正したのだった……
ワッシの悩みは結構深刻だった。母国のジャングルで修行し、少しでも感覚を取り戻そうと思っていたのだが、ある程度は出来るのだが進展は無く、朝の横島さんのランニングの時間に迷惑だと思ったのですが、押しかける事にしたのだ
「昔は横島さんみたいに霊力の物質化が出来たんジャ。じゃけど、今はこの有様ですけん」
手首までを物質化した霊力で覆っているがそれだけだ、それを攻撃に転用出来るようには思えない
「俺はがーってやっとぐーってやってるからなぁ?」
「擬音じゃ判らんですじゃ?」
ワッシは横島さんみたいに感覚でやるタイプではない、何かアドバイスを求めたが、横島さんはすまん、力になれないと謝ってくる
「イヤイヤ、ワシが急に押しかけたですから、気にせんで下さい」
何かのヒントになればと思っただけだからと横島さんに言っていると、心眼がワッシを見つめながら
【ふむ、心の持ち方ではないか?何か過去にあったのだろう?それがあるからこそ、霊力の集束が阻害されている】
ワッシの内面を見つめているよな、心眼の視線に思わず身震いがし、それから昔の事が脳裏によぎる
「大丈夫か?冷や汗出てるぞ?」
心配そうに尋ねてくる横島さんがこっちに手を向けてくるのが怖かった。横島さんはそんな事をしないと判っていたのに、恐ろしかった。慌てて立ち上がり、横島さんから距離を取る
「いや、大丈夫ですのジャー。自分でもそんな気はしていたんジャ、こうして面を見て言って貰えて良かったんジャ」
自分でも判っていた事だった。それを他人から指摘される事で、やっぱりそうだったのかと納得したワッシ
「また困ったら相談に乗って欲しいんジャー」
無理にそう笑い、心配そうにしている横島さんから逃げるようにその場を後にするのだった
(怖い、ああ……そうだ。ワッシは他人が怖いんじゃ)
ワッシは頑張った。村を襲っている悪霊から皆を守りたくて頑張った、だけど村の皆がワッシにしてくれたのは事は何だ?
悪魔だと攻め立て、石を投げ
お前のせいでとワッシを罵倒する村の女達
悪魔の子は死ねと追い立てる村の住人と全てが終わった後にやってきた霊能者……
(ああ……ワッシは怖いんじゃなあ……)
横島さん達はそんな事をしないと判っているのに、その時の恐怖がワッシの心を強く蝕んでいるのだと……
(じいちゃん……ワッシは……ワッシはどうすればいいんじゃ……)
皆の助けになりたいという気持ちは嘘じゃない。でも今のままでは助け所か足手纏いにしかならない……
「……ワッシは……どうすればいいんじゃ……」
やりたい事は判っている、それなのに恐怖で前に進む事の出来ない自分が情けない……ワッシは憂鬱な気持ちになりながらエミさんが借りてくれたマンションへと足を向けると
「タイガー。今日は朝から夜まで仕事なワケ、朝食を食べたら出発するわよ」
「……ありがとうございます」
ワッシが考え込みすぎてしまう事を知っているエミさんが仕事だから準備しろと言う。その言葉に感謝し、水で無理やり飯を流し込み、エミさんの車に乗り込むのだった……
なおタイガーが帰った後の広場では
「みむー♪」
「ぴぎゅ♪」
「この野郎!馬鹿にしやがって!!」
高速移動するチビと大きくなったり小さくなったり増えたりするうりぼーに突かれた雪之丞が発狂し、なんとか捕まえようとしていたのだが
「みーむ!!」
「くそおおッ!!!」
「ぷぎゅうっ!」
「んごふっ!?」
チビにおちょくられ、うりぼーに背後から突進され、完全に遊び道具にされていたりするのだった……
珍しく学校に来ていた横島さんと昼休み屋上で昼食を取っていると横島さんが気になる事があるんだけどと前置きしてから
「精神状態で今まで使えてた霊能力が使えなくなるとかあったりするのか?」
横島さんに尋ねられた事に僕は少し考えてから
「ありえますね」
と返答をした。横島さんの質問。それは精神状態で霊能が使えなくなるのか?と言うものだった
「そもそも霊能とはその人の魂の力です、精神が弱っていれば当然力は弱くなりますし、発動しなくなる物もあります」
僕も半吸血鬼とコンプレックスを持っていた時は碌に力を使えなかったと言うと
「じゃあピート。お前はどうやって克服したんだ?」
「時間としか言いようが無いですね。僕はこれでも横島さんの倍以上生きているんですよ?」
精神が弱った事での霊能の使用不可。これは非常にデリケートな問題で、そして下手をすると一生治らない可能性もありますと言いながら弁当箱を置いて距離を取る
「なんでそんなに怯えているんだ?」
「いえ、アンちゃんとシルフィーの料理と思うと怖くて怖くて」
アンちゃん?と首を傾げている横島さんに、ああ、そうでしたねと笑っているとシルフィーが
「アンちゃんはお兄ちゃんの事が大好きな吸血鬼ハンター見習いの子だよ?」
【それは大丈夫なのか?】
心配そうに尋ねてくる心眼さんに、大丈夫だと信じたいですと返事をしながら身体をヴァンパイヤミストで霧にしながら蓋を開けると
【キシャアアアアアア!!】
「うわあああ!?がお!?ぼごおおおおお!?」
弁当箱の中身が奇声を上げて口の中に飛び込んで来た。弁当なのに熱いし息も吸えない。恐ろしい弁当の襲撃にやはり大丈夫じゃなかったと落胆する
「ピートおおおおおお!?」
「お兄ちゃん!?」
横島さんとシルフィーの絶叫を聞きながら、僕は意識を失うのだった……
「美味しかったです」
「美味しかったの!?」
喉越しとか、その他もろもろなのは最悪だったが、味は良かった。横島さんが美味しかったの!?と驚いてるけど、僕自身も美味しいと感じた事に正直驚いていた
「おかしいね?私は普通に料理をしてたんだけど……?」
「え?シルフィーちゃんじゃないの?」
横島さんがシルフィーの料理じゃないの?と驚いているが、シルフィー自身はそこそこ料理は上手なのだ
「アンちゃんは料理は大して上手じゃないんですが、色々混ぜたがるんです」
「料理させないほうがいいんじゃないか?」
僕もそう思いますと苦笑しながら底に穴が開いている弁当箱に恐怖を感じながら、布巾で弁当箱を包むのだった
「じゃあ友達が呼んでるから、私は先に行くねー」
そう笑って屋上から出て行くシルフィー。父さんのおかげで以前までの暴走の傾向は一切無い
「横島さん、正直聞きますけど、今のシルフィーってどう思いますか?」
シルフィー本人がいないので正直に教えてくださいと横島さんはうーんっと唸りながら
「やっぱり違和感があるな」
襲ってくるのは嫌だったし、血を吸おうとするのには困っていたけど……今のシルフィーちゃんはなんか嫌だと言う横島さん
「そうですか……」
異界の神を呼び出そうとしていたから精神を封鎖したと聞いたが、やっぱり違和感を感じるのかと頷く
「なんでそんな事を聞くんだ?」
不思議そうにしている横島さんに僕はどうしても気になってと言いながら
「僕は実は不思議に思っていたんです。確かに横島さんは父さんを助けてくれましたし、僕達兄妹にも余り偏見がありません。それは嬉しいですが、そこまで執着する物なのかと思うのです」
それが嬉しくて横島さんに恋をしていると思いはしたが、それだけではいくらなんでも理由が弱くないだろうか?僕と同じ時間を生きてきたが、シルフィーはそれほど惚れっぽい性格ではなく、むしろ恋愛否定派だった
【だがシルフィーの行動は正直目に余っていたぞ?】
「ええ、それは僕は思います」
初恋だからと言う言葉で簡単に片付ける事は出来ないと思う。僕自身も横島さんに強い信頼を抱いている事から何か、何かもっと別の理由があるんじゃないかと思ったのです
「もしブラドー島に戻る事があれば、調べてみようと思います。僕とシルフィーの過去に何か理由があるんじゃないかって」
それを調べればもしかするとシルフィーが横島さんに拘る理由も判ると思う。
「まー俺にそんなに迷惑が掛からなければ良いよ。別にシルフィーちゃんは苦手だけど、嫌いって訳じゃないんだし」
「そう言って貰えるとありがたいです」
横島さんと僕とシルフィーに何か関係性があるとは思えないんですが、何かあるんじゃないかと思うんですよねと横島さんと話をしていると予鈴が鳴り始める
「っとやべえ、急いで戻るぜ」
「そう……!」
慌てて走っていく横島さんの背中と重なるように何かを見た。ずっと前にこれと同じようなことがあったような……何だ?僕は今何を見た?
「ぼんやりしてると遅れるぞ?」
「え。あっ!はい!今行きます!」
横島さんの言葉に判りましたと返事を返し、後を追って走り出したのだがあの一瞬に見た何かがどうしても脳裏を離れる事は無かった。
(白昼夢……かな?)
寝ぼけていたのだろうか?と思いながら僕は教室に向かって走り出すのだった……
なおその日の夕方シルフィーにとってある運命の出会いがあった
「うーん、気になる」
横島が気になって仕方ないシルフィーはこっそりと横島の後を付けていたのだが
「駄目ですわ。なってないですわ!」
「え!?誰!?」
「横島様の隠密的にすら見える献身的な後方警備をしている者です!貴女はなってないですわ!ですから教えてあげます!隠密的にすら見える献身的な後方警備のやり方を!」
「え!?それってストー「隠密的にすら見える献身的な後方警備ですッ!」え、あ、は、はい!!」
運がいいのか、悪いのか、シルフィーは偶然清姫と遭遇し隠密的にすら見える献身的な後方警備について教えられる事になる。そして後日トトカルチョにストーキングヴァンパイヤ&ドラゴンっと言う初の連立の組み合わせが追加される事になる……
学校を終えた横島と合流して美神さんの事務所に向かうと、冥子さんが待っていて、また面倒事か思ったんだけど
「明日から1週間。横島君と蛍ちゃんは冥子の所に新人研修ね」
え?新人研修?私と横島の声が重なる。冥子さんを見るとおどおどしていて、大丈夫か?と不安になる。研修じゃなくて、私達が面倒を見るんじゃ?と思っていると美神さんが
「勘違いしてるかもしれないけど、冥子は優秀なGSよ?まぁ……冥子は除霊はご存知失敗続きだけど」
「ひどいわ~!!!」
「本当の事だから黙ってなさい。索敵・事前調査・霊地の浄化はGSの中でもトップクラスなのよ?」
えっ!?っと私と横島の驚愕の声が重なる。冥子さんと言えば式神暴走で大惨事と言う印象しかなかったんだけど
「そもそもねー、冥子を前線に出すのが間違いなのよ。冥子の本質はフォローに特化してるからね。私とは真逆のタイプだから、2人にとっても良い勉強になるわ」
今後後方特化のGSと組む事があるかもしれない、だから今のうちに勉強って事ね
「横島君~蛍ちゃん~よろしくね~」
にこにこと笑う冥子さんによろしくお願いしますと頭を下げ、早速私と横島は冥子さんと共に美神さんの事務所を後にした
「所で冥子ちゃんの事務所ってどこにあるの?」
「私の事務所?無いわよ~?」
私と横島の動きが完全に止る中。冥子さんはにこにこと笑いながら
「前はあったんだけど~いつのまにか更地になってたわ~」
それはぷっつんしたのが原因なんじゃ?本当に冥子さんの所で研修して大丈夫かしら?と不安が強くなった
「だけど~大丈夫よ~六道の屋敷の離れが今の私の事務所だから~」
……冥華さんの膝の元で研修……凄く嫌な予感がするわね。とは言え、美神さんが決めてしまったから断る事も出来ない。私は不安を抱きながら冥子さんの後ろを歩くのだった
「えっと研修の時間は朝9時から~17時で休憩1時間の7時間ね~1日日当8000円になるわ~」
研修契約について説明してくれる冥子さんの話を聞いているのは私だけだ、横島はと言うと
「や、やめえええ!!!」
「わんわん!!」
「!!!!!」
「ぶもおおおお♪」
式神の中に埋もれていた。人外に好かれるのは知ってるけど、出来れば話をしている間は式神を召喚しないで欲しかった
「研修中にメインになるのは~霊視による除霊現場の事前調査と~GS協会からの依頼の霊地の浄化ね~後偶に除霊かなあ~」
美神さんと除霊する時は基本的に悪霊を倒す事がメインだ。アフターフォローは初めてだから勉強をさせて貰いましょう、私と横島にとってプラスだから美神さんも研修をOKした筈だから、しっかりと勉強させて貰おう
「それとシズクちゃん~とかチビとかうりぼーは当然連れて来ていいわ~ショウトラちゃんとかも喜ぶし~」
「わ、判りましたああ……やめえ!本当に舐めるの止めてええええ!」
【私の攻撃が効かない!がんばれ横島!】
何を頑張るんだ!?と叫ぶ横島に苦笑していると、離れの扉が叩かれる
「冥子はん、明日の……君達は……」
着物姿の鬼道政樹が離れに入ってきて、私と式神にもみくちゃにされている横島を見て
「はいはい、話の邪魔をしない」
ぱんぱんっと手を叩くと式神は名残惜しそうに冥子さんの影に入って行く、私は荒い呼吸を整えている横島に駆け寄り、大丈夫?と声を掛けながら背中を撫でるのだった
「僕は今冥子はんの所で保護観察処分中でなあ……今回の研修にも参加するように言われてるんや」
晴れやかな表情で笑う鬼道先生。その顔は私の知っている鬼道先生の表情に近く、かなり落ち着いているように見えた
「えっと参加って言うと、鬼道も勉強中なのか?」
「違うで、どっちかと言うと講師側やな。冥子はんを含めて」
保護観察の人間が講師?鬼道先生は私の疑問に気付いたのか苦笑しながら
「夜叉丸は流石に没収中やけど、僕は符術も得意なんやで?んで符術の講師を今冥子はんにしてるんや、興味があれば教えたるで」
そう笑った鬼道先生はまだやる事があるで、これでっと頭を下げて出て行った
「マー君に教わるんなら~符術の講義もしてくれるって~」
「符術って陰陽術みたいな物なの?」
横島がそう尋ねてくる、確かに札を使う面では同じ術って言えるけど、厳密に言うと違う。どうやって説明しようか考えていると冥子さんが穏やかに笑いながら
「陰陽術は自然の力を借りて~符術は自身の霊力を使うのよ~陰陽術は制御が難しくて高出力、符術は制御は簡単だけど威力が弱い~簡単に言うと~陰陽術がバイクで~符術が自転車なのよ~小回りが利くから補助程度に覚えておくと便利かもね~」
判りやすい説明になるほどなと横島が納得している。もしかすると今まで駄目な所ばかり目についていたけど、冥子さんは恐ろしいほど優秀な人だったのかもしれないと私は冥子さんの評価を改めるのだった
冥子ちゃんの所で研修の話をし、夕食に誘ったんだけど、あげはちゃんと蓮華さんが待っていると言う蛍と判れて数分後
「横島様ぁ!会いに参りました!!」
清姫ちゃんが突撃してきた。竜族のお姫様なのに、本当に良く抜け出してくるなあと苦笑しながら
「今からチビとうりぼーを迎えに行って散歩に行くんだけど、一緒に来る?」
普段は駄目と行っても学校についてくるのだが、雪之丞と遊んで疲れたのか家に帰ると眠ってしまったチビとうりぼーを迎えに行ってから散歩に行くんだけど一緒に来る?と尋ねると
「行きます!横島様から誘われるなんて感激ですわ!」
清姫ちゃんに苦笑しながら1度自宅に帰ると玄関でチビとうりぼーがリードを持って待機していた
「良し、散歩行くぞー!」
「みーむう!」
「ぷぎー!!!」
嬉しそうに返事を返すチビとうりぼーの首輪にリードを付けて。俺は清姫ちゃんと散歩に出掛けたんだけど
「よ、横島様ぁ!た、助けてええ!」
「ぷぎゅー♪」
「うりぼー!ストップ!ストップだ!!!」
散歩がよっぽど嬉しいのか、全速力で走るうりぼーとうりぼーのリードを握っている清姫ちゃんの助けを求める悲鳴を聞いて、俺は必死に走りながらうりぼーに止るように声を掛け続けるのだった
「怖かった、怖かったです」
「ごめん、大丈夫だった?」
清姫ちゃんがリードを持つと言ったんだけど、まさかあんなに暴走するなんて思ってなかった。散歩開始数分後にエキサイト開始。そこからの全力疾走はめちゃくちゃ早かった、まさしくロケットスタートと言わんばかりの勢いだった
「みーむ!みみーむ!みむッ!」
「ぴぎゅう……」
チビに怒られて文字通り小さくなっている。今後うりぼーの散歩は気をつけよう、あのダッシュ力は脅威過ぎる。そのまま逃げられるととても捕まえれるとは思えない
「怪我とかしてない?大丈夫?」
地面に座り込んでこっちを見つめている清姫ちゃんに大丈夫?と尋ねる。清姫ちゃんはぷくうっと頬を膨らませて、外見通りの素振りで怒った様に俺を見て
「足が痛いですわ」
ぷうっと頬を膨らませている清姫ちゃんの前にしゃがみこみ、うりぼーの事を謝りながら
「おんぶで良い?」
「はい!」
嬉しそうな声と同時におぶさって来る清姫ちゃんに苦笑しながら、うりぼーとチビのリードを手に俺は来た道をゆっくりと引き返していくのだった……なお家に帰った後一悶着待っている事を今の俺は当然知る由も無いのだった……
「……おか……なんでこいつがいる?」
玄関に迎えに来てくれたシズクだが、一緒にいる清姫ちゃんに眉を吊り上げ、清姫ちゃんは清姫ちゃんで
「遊びに来たのです!そんな事も判らないですか?」
と煽りに煽りまくる。まさに水と油と言わんばかりに仲が悪い、2人におろおろしているとノッブちゃんがリビングから顔を出して
【とりあえず風呂に入って汗を流せ、その2人は……是非も無いね!!】
お手上げと言うポーズをとるノッブちゃんに確かにその通りかもと思い
「……お前は横島の迷惑を考えない」
「まな板が何か言ってますね、何年経っても貧相すぎですね!」
「……そうか死にたいのか、覚悟は出来ているのか?」
「はっ!返り討ちですわッ!!!」
文字通り火花が散っている清姫ちゃんとシズクの前を通り、俺はチビとうりぼーを抱えて風呂場へと逃げるように向かうのだった……なお俺の家が吹き飛ぶという自体は起きなかったのだが、風呂上りにお互いの頬を掴んでごろごろ転げ回っている清姫ちゃんとシズクと、吹き飛んでいる家の扉に俺が絶句したのは言うまでも無い
そして翌日
「なんでシズクと清姫がいるの?」
「いや、うっかり鬼道が居るって言ったら着いて来るって……」
面倒事になったと天を仰いでいる蛍にごめんと謝りながら、背後で人を殺せるような眼光を放っているシズクと清姫ちゃんを見てどうしようと思いながらも、解決策など出てくる訳も無く
「くう?」
「ぷぎゅ」
「みむ!」
抱き抱えているチビ達に視線を向けて、俺は自分では解決出来ない問題から逃げるという選択肢を取り。鬼道が死なず、六道の屋敷が吹き飛ばない事を心から祈るのだった……
リポート11 新たな一歩 その3へ続く
冥子の所に研修ですが、鬼道も居ると聞いて保護者とストーキングドラゴン同伴となりました。鬼道の命が心配になる布陣。タイガーは悩み、ピートは横島に誰かの影を見た、これも後半の伏線としたいと思います。タイガーは後編になると思いますが、ピートは比較的直ぐ。そのフラグを回収すると思います。次回は鬼道が再び竜娘コンビとエンカウント、鬼道の命運をお楽しみに!
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
-
サイドまたは視点は必要
-
今のままで良い