GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回も基本的にほのぼのした話を書いて行こうと思います、ちょっと不穏なフラグも用意しますけどね。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その2

 

 

リポート12 束の間の平穏 その2

 

昨日ヒャクメが尋ねてきて、柩ちゃんが欲しいと言っていたチョーカーを初めて見たんだけど

 

「これやばくね?」

 

【私はやばいと思うぞ】

 

だよなと心眼と呟きあう。俺の目の前にあるのは精霊石が埋め込まれた黒革の首輪……このデザインにした神族がおかしいのか、それともチョーカーを要求した柩ちゃんがおかしいのか?俺にはその判断がつかなかった

 

「俺にはこれが首輪にしか見えない」

 

【誰がどう見ても首輪にしか見えないと思うぞ?】

 

つまり俺の見間違いではないと……俺はそれを柩ちゃんが見に着けている光景を想像して。そして俺が渡した事を知られれば

 

「逮捕案件かな?」

 

【……弁明の余地はあると思う】

 

中学生の柩ちゃんに高校生の俺が首輪を渡す。普通に逮捕案件に思える、だがこれがあれば柩ちゃんの暴走している霊能力を抑制出来るようになるので機会を見て何とかして渡したいなと思いながら箱の中に戻して引き出しの奥にしまう

 

【それで横島。今日はどうする?】

 

「そうだなぁ……」

 

研修の後。少しの間身体を休めるようにと言われていたのでランニングや修行は中断している、美神さんの除霊の手伝いはノッブちゃんが同行してくれる。それに俺が美神さんの心配をするなんて10年早いと思う。何の心配も無いだろう、しかし今日は何をするかなあ?昨日はうりぼーのベッドを作って……じゃあ今日はどうするかと考えているとチャイムが鳴る

 

「とりあえず見に行ってみるか」

 

シズクが出れないかもしれないと思い部屋を出て玄関に向かい、そこで俺が見たのは

 

【ノブ?ノブのぶ?】

 

マジックハンドで玄関を開けたチビノブが応対しているんだけど、のぶのぶ言ってるだけなので、お客さんの困惑した声が聞こえてくる

 

「ごめん。私には何を言ってるか判らないんだけど?」

 

「テレサ?ごめんごめん、チビノブ。おいで」

 

のぶう……応対出来なかった事に落ち込んでくるチビノブの頭を撫でながら

 

「テレサ何の用事?」

 

「あ、ああ。シズクに料理を教わりに来るついでに伝言があって来たんだけど……横島。その小さいの何?」

 

チビノブを抱き抱えている俺を見てそう尋ねてくるテレサにそう言えば紹介してなかったなと思いながら

 

「ノッブちゃんが影分身したら出てきた。チビノブだ、可愛いだろ?」

 

【ノブノブ♪】

 

「あ、ああ。可愛いけど、横島の周りは何時見ても凄いな」

 

そう苦笑するテレサを招きいれリビングに向かう。リビングでチビと遊んでいたうりぼーを見て

 

「また可愛い動物が増えてるね」

 

「ぷぎゅう♪」

 

テレサを見て愛想良く鳴くうりぼーに微笑むテレサにうりぼーだよと名前を教えながらキッチンを覗き込んで

 

「シズク、テレサが尋ねて来てるけど?」

 

「……ああ、料理を教えるって話をしていたな。少し待ってくれと伝えてくれ」

 

何かを作っているシズクにわかったと返事を返す。一体何を作っているんだろうな?ゼリーの型とか置いてあったけど……

 

「ちょっと待ってくれってさ、先にカオスのじーさんの伝言を聞くよ。なんだって?」

 

カオスのじーさんの伝言を先に教えてくれるか?と尋ねる。テレサは人懐っこく擦り寄ってくるうりぼーを嬉しそうに抱きしめながら

 

「うん、ほら前にタケルの道具をコピーしたの壊れちゃっただろ?」

 

そう言えばそうだな。修理して届けてくれるって聞いてたけど、もしかして修理が終わったのかな?と思っているとテレサは

 

「結構複雑で安定して使えるようにするのは時間が掛かるから、どれか1つに絞り込むって話でどれを修理する?」

 

あー何を修理するって言われてもほとんど使った記憶が無いから、どれって言われても困るな……

 

「ちなみにカオスのじーさんはどれが良いって言ってた?」

 

「ん?電話の機能とか色々あるトカゲデンワが一番良いんじゃないかって」

 

連絡とかそういうのがあるから便利だと思うよ?と笑うテレサ。他のは?と一応聞いてみたが、攻撃用の武器のハットクロックと悪霊捜索に使えるムササビランタンと聞いて、その中なら電話とかが出来る道具の方が良いなと思いトカゲデンワを最優先で修理して欲しいとお願いする

 

「……待たせたな。羊羹を冷やしていたんだ、じゃあテレサ。今日も料理の勉強をするか」

 

「うん!よろしく!」

 

嬉しそうに笑うテレサ。料理の勉強をするのに俺がいたら邪魔になると思い

 

「じゃあシズク。俺は散歩にでも行って来るよ」

 

気をつけてなと笑うシズクに判ってると返事を返し、俺はタマモとチビとうりぼーを連れて散歩に向かうのだった……

 

「さてと、タマモ。これな~んだ?」

 

「コン!コン!!!」

 

ポケットから精霊石のペンダントを見せる。すると大はしゃぎで跳ね回るタマモに苦笑しながら、その首にペンダントを下げてやる

 

「ありがと♪んー!やっぱりこっちの姿のほうがいいわ~」

 

背伸びして気持ち良さそうに笑うタマモにどういたしましてと笑いながら

 

「うりぼーとチビの散歩しながらふらふらするだけど良い?」

 

「帰りに油揚げ買ってよね?」

 

悪戯っぽく笑うタマモに判った判ったと返事を返し、チビとうりぼーの散歩をしながら俺とタマモはのんびりと歩き出すのだった……

 

 

 

横島にしては気が利てるわねと心の中で呟く、心眼にうりぼーにチビにシズクにチビノブにノッブ。最近横島の家はがやがやと騒がしく落ち着かないし、満月の日に限って雨降るし……しかも何故か私はやたら眠くて寝ちゃうし、とにかく最近踏んだり蹴ったりだった。チビとうりぼーの散歩と言うのは正直アレかなって思うけど、一緒に居れて言葉を交せるのは本当に嬉しいわね

 

「ずいぶん楽しそうだなタマモ?タマモもやっぱり散歩好きか?」

 

……1つ気の利いた事をしたと思ったらこれだ。女好きなのに、致命的な所でどこかズレている

 

(いやまあ、ズレてるから良いのかしら)

 

もしこれで普通の感性をしていたらとっくの昔に蛍と交際していただろう。だからズレていて良いのかと思いはしたが、やるせない気持ちになったので

 

「あいだあ!?な、なんで足を踏むんだよ!」

 

「もう少し女心を知りなさい、このバーカ♪」

 

女心って何だよとぶつぶつ言っている横島にくすりと笑いながら、足元からこっちを見ていたチビとうりぼーに目配せする

 

「みーむうー♪」

 

「ぷぎゅー♪」

 

チビとうりぼーが歩き出し、リードがグイっと引かれる。横島がとっととっと言ってバランスを崩したのでその手を握り

 

「しょうがないわね、チビとうりぼーは散歩したくてしょうがないみたいよ。行きましょう?」

 

「あーうん、なんか納得いかないけど、良いか。行こうぜ」

 

私の手を握ったまま歩き出す横島。ちらりとこっちを見たチビとうりぼーに小さくウィンクすると小さく鳴いて動き出す

 

(ま、のんびり散歩って言うのも悪くないかもね)

 

やたらめったら女の人に飛び掛る横島よりも今の落ち着いている横島のほうが好感が持てる。ただちょっと私よりもチビとうりぼーとかに優しすぎよね、そこが正直あんまり面白くないけれど……今が凄く楽しいから良いかと小さな声で呟く

 

【……】

 

心眼がこっちを無言で見つめてきているのに気付いて口元に指を当ててシーっと言うジェスチャーをすると、心眼はすっと消えていった。言いたい事があっただろうけど、黙ってくれた心眼に感謝しながら2人でのんびりと広場に向かって歩く。熱くも無く、寒くもない丁度いい天候で実に良い散歩日和だ

 

(横島の側は相変わらず良い所なんだから、早くあんたもこっちに来なさいよ。シロ……)

 

今はまだ人狼の里に居るであろうシロに心の中でそう呟いていると横島がこっちを向いて

 

「タマモー、移動のクレープ屋だってよ。どうする?寄るか?」

 

広場のほうで移動式のクレープの屋台が出ているのに気付いた横島が私にそう声を掛けてくる。私は少し考えてから

 

「当然寄るわよ!買ってくれるんでしょ?」

 

おう!っと笑う横島と一緒にクレープの屋台に並ぶ

 

「はー結構あるんだなあ」

 

横島が感心したように呟く、値段は一律400円とかなりお買い得で、イチゴにチョコにブルーベリーとにかく種類が豊富だ

 

「おっちゃん、なんでゴーヤとアボガドのクレープがあるんだ?」

 

「健康志向ってやつだな。ちなみに売れたことは一度も無いぜ!」

 

バンダナをしてにかっと笑う店主。どうしてそんな味を作ろうと思ったんだろうか?と首を傾げながら

 

「ストロベリー1つ」

 

「はいよ、ストロベリー1つね。注文はこれで終わりかい?」

 

店主が横島にそう尋ねる。横島はあんまり甘いものを食べないのでうーんっと唸りながら、それほど甘くないチョコレートを頼もうとすると、チビとうりぼーがメニューの写真の上に立つ

 

「お?フルーツクレープ食べたいのか?」

 

「みむうー♪」

 

「ぷぎゅ♪」

 

これこれっ!って言う仕草をしているチビとうりぼーに横島は苦笑しながら

 

「フルーツミックス1つで」

 

「はいよ、ちょっと待ってな?」

 

慣れた手つきでクレープを焼く店主。まずは私の方から焼きあがり、差し出されたストロベリーのクレープを受け取り

 

「ベンチで待ってるわね?」

 

「おう。先に食べててもいいぞ」

 

そう笑う横島に待ってるわよと呟き、近くのベンチの腰掛けて待つ。それから数分で横島が私のクレープよりも大分大きいクレープを持ってやってくる

 

「大きくない?」

 

「でかいよ、これは」

 

こんなに大きいとは思ってなかったと苦笑する横島だが、チビとうりぼーはフルーツがたくさん入っているのを見て大興奮と言う感じだ

 

「クレープ食べたってことは内緒で」

 

「はいはい、判ってるわよ」

 

シズクやノッブも食べるって言ったら困るもんねーと笑いながらクレープを齧る。思ったより甘くなくて、イチゴの酸味が良く利いていて美味しい

 

「みむう♪」

 

「ぷぎー♪」

 

チビとうりぼーも横島から与えられる果物に満足そうだ。今日は散歩に来て正解だったわねと笑いながら、横島と並んでクレープを頬張ばって居ると

 

「こんにちわ、ちょっと良いかしら?」

 

赤のワンピースと黒いミニスカート姿の高校生くらいの少女が声を掛けてくる。緑色の目と金髪から日本人じゃないかもしれない、横島がミニスカートの下から見える太ももに目を引かれているのに気付き、肘打ちをわき腹に叩き込みながら

 

「なんか用?」

 

不機嫌ですって言う素振りを見せ、刺々しい口調でそう返事を返す。だが目の前の少女はくすりと小さく笑いながら

 

「少し道に迷ってしまったの、逢引の邪魔をしては悪いと思うんだけど助けてくれないかしら?」

 

逢引?と首を傾げる横島に対して、私はな、なぁっと上ずった声を上げてしまう

 

「ちなみにどこへ?」

 

「GS協会よ、近くまでで良いから案内してくれるかしら?」

 

駄目よ断りなさいと心の中で念じるが、チビやうりぼーやモグラとの生活で煩悩が弱まりつつある横島は邪気の無い笑顔で笑いながら

 

「いいですよ。近くまで案内しますよ」

 

「ありがとう。助かるわ」

 

案内する事を了承してしまい、私は逢引と言われて混乱した事を悔い、チビとうりぼーが慰めるように肩に前足を乗せてくる。こいつはやっぱり困ってる人を見捨てられない奴なのよね……はぁっと私は溜息を吐きながらこれも横島らしさだから仕方ないわねと呟くのだった……

 

 

 

面白い人間と言うことで直接接触を取ってみようと思い。神通力などを完全に隠し人間の姿に擬態して接触してみたけど

 

(変な人間ね)

 

人間である事は間違いない。間違いないのだが、その魂が実に複雑に入り混じっている。竜気に妖気に……これは何かしら?へんな魂が混じっている。人間か?と言われるとそうではないという印象を受ける

 

「あの?何か?」

 

「え?ああ、うん。気にしないで」

 

知らないうちに顔を見つめていたのか、それに気付いたのかどうしました?と尋ねてくる人間になんでもないわと笑いながら

 

「さっきバンダナに眼が浮かんでいるように見えたけど、気のせいだったみたいね」

 

「そ、ソウデスカー」

 

引き攣った顔で返事を返す人間。どうもこの人間は人騙すとか、嘘をつくとかが少し苦手なのかもしれないわね

 

「まぁそれはいいわ、それでどうしてGS協会に用があるの?」

 

人間を護るように前に出る妖怪に思わず笑みを浮かべる。人外が人間を護る、そんな珍しい光景を初めて見た。それに

 

「みむう?」

 

「ぷぎゅ?」

 

こっちを観察するように見ているグレムリンと猪もだ。契約で縛り付けている訳ではない、ただただ単純に強い絆。それがこの人間とこの人外達を結んでいる。私の世界が合った時もこんな人間は居なかったわねと思いながら

 

「日本へ留学する予定なので見たいと思ったのよ」

 

今の世界の情勢は調べて全部頭に叩き込んでいる。退魔師や巫女は全てGSと括られる様になったとか、唯一神を崇める宗教が最有力とか。そういうのを調べた、そして私が自由な理由も判った。まさか自分が属する神話が廃れており、それに伴い神性の低下をしているなんて思っても無かった

 

「えっと……なんて呼べばいいですかね?」

 

ああ。自己紹介をしてなかったわねと苦笑するが、内心は笑みを浮かべる。この人間がこう質問してくると予想して名乗らなかったのだから

 

「リンって言うのよろしくね」

 

「リンさんですか、どうも、俺は横島です。こっちはタマモ、それとチビとうりぼーです」

 

邪?変わった名前で全然邪な感じはしないけどと思いながらよろしくねと返事を返す。しかし2匹の小さい妖怪の名前が適当な様な気もするが

 

「みーみー」

 

「ぴぐ!」

 

その名前を気に入っているみたいだから別に良いか。本人が気に入っているなら別に良いか

 

「タマモ?どうかした?」

 

「いえ、別に?」

 

ただ邪の隣の人外は怪訝そうな顔をしている。神通力とかは全部隠したつもりだけど……探知されたか?と考えたのだが、ふてくされたようにも見えているので逢引を邪魔されたのを怒っているのだと思い、小さくごめんねと呟き

 

「じゃあ、GS協会までお願いするわね」

 

判ってます。こっちですと笑い歩き出す邪の後ろを歩きながら

 

「邪って変わった名前ね?」

 

「ん?変わった?俺の名前は横島ですよ?」

 

「だから邪でしょ?」

 

……なんか意思疎通が出来てない?私は首を傾げていると、横島はああ、日本語は上手くても字は知らないパターンかと呟き、手帳とペンを取り出して

 

「これで横島です。邪じゃないですよ?」

 

「あら、ごめんなさい。私は邪だと思っていたわ」

 

イントネーションの違いですかねえと笑う横島にごめんなさいともう1度謝り、私は横島とタマモに案内されながら東京と言う街と現代の人間の観察を再開するのだった……

 

「リンさんもGSになるんですか?」

 

「どうかしらね?霊能力があるからって一応留学するってだけよ。今日本に留学で来る生徒が多いの知らないの?」

 

知らないですねーと呟く横島。おかしいわね、結構どこの国でもそういう話は出ていたんだけど……これを理由にしようと思っていたから、知らないと言われるのは想定外だった

 

「美神か蛍にでも聞いてみたら?横島ってそういう新聞とか見ないでしょ?」

 

「かな?GS新聞。俺も取ったほうが良いかな?」

 

なんだ、ただ横島の情報収集能力の問題かと安心する。これがあんまり知られて無い情報だと疑われる原因になっちゃうし良かった

 

「そういう横島はGSなのかしら?」

 

「見習いですけどね。一応GSです」

 

見習い?横島が?その言葉を聞いて思わず横島を見る。内包している霊力は桁違いだし、人外から護られている横島が見習い……正直信じられないと言うか、現代のシャーマンはよっぽどみる目が無いのかしら?と思う

 

(現代は神代の時代よりも厳しいのかしら?)

 

私の時代ならば間違いなく優秀なシャーマンとして重宝されたはずだけど……現代だと認める基準が違うのかしら?

 

「いやー、俺はまだ勉強中ですからねえ。知識が足りないらしいです」

 

「知識ね……まぁそれなら勉強すれば大丈夫なんじゃない?」

 

知識不足で見習い扱い……か。じゃあ知識をつけたらどうなるのかしらねと考える。現代の人間にしては規格外の霊力を持っていて、人外と親しくなる能力を持つ横島。それを長所として伸ばしたらきっと面白い事になると思う

 

「あ、リンさん。あそこがGS協会ですよ」

 

考え事をしている間にGS協会についてしまったようだ。会って話をして、横島の人間性とかを知ろうと思ったんだけど、この短時間だと面白い人間としかわからなかったわね

 

「ありがとう、これ。お礼に上げるわ」

 

小瓶に詰めた青い砂を手渡す。太陽の光に当てて綺麗ですねーと笑う横島が私のほうを見て

 

「これなんですか?」

 

「私の地元のお守り。ご利益があるから大事にしなさい」

 

ありがとうございますと笑う横島と別れ、GS協会の方に歩き出そうとしたんだけど

 

「おい、女神よ」

 

むっとした少女の声に呼び止められる。私は溜息を吐きながら

 

「何かしら?」

 

「あれは余が面白いと思い見ていた者だぞ!なぜ横槍を入れる?」

 

横島に声を掛けたのが気に入らないと怒る少女。だけどそんなのは私には関係の無い話だ

 

「偶然会って、偶然話をしただけよ」

 

お互いに不戦の契約をしただけで、それ以外はお互いに何も取り決めなどしていない。どんな人間に興味を持とうが、それを咎められるいわれは無い……無いんだけど

 

「信じられぬ」

 

GS協会に潜り込んで調べようと思っていたけど、この様子だとずっとついてくるわね。それに我侭な女帝だから何時契約を無かったことにすると言い出すか判らない、今回はこれまでにしておきましょう

 

「はいはい、判ったわよ。ちょっと興味があっただけ、観察したいと思っただけよ。後は好きにすると良いわ」

 

まだ観察している段階だからなんとも言えないしねと呟き、それに太陽の下で十分に楽しんだし、今回はこれで引くとしましょうか。あの女帝と事を構えるにはまだ私の力が足りないしね。私は地面を蹴ると同時に封印していた神性を開放しそのまま姿を消すのだった……

 

「むう、逃げおった」

 

残された少女はリンが消えていった方角を見つめていたが、完全に気配を消したリンの後を追う事ができず、面白くなさそうに呟く

 

「まあ良い、今はあやつは手を引いた。それで十分、次は余が見定めるとするか!」

 

横島が歩いていった方向を見つめていたその少女は楽しそうに、だがそれで居て邪悪のような、穏やかな相反する2つの様相をしながらその場から溶けるように消えていくのだった……

 

 

 

リンの自身の神性を隠す技術は完璧だったと言える。GS協会の探知機にも、神魔の探知網にも引っ掛かる事が無かった。その点では完璧だった……だが彼女にとっての不運が1つだけあった

 

「今の感じは……」

 

アシュタロスだ。アシュタロスの存在を知らなかった、それが唯一の彼女の不運であり、幸運でも合った。自室で研究をしていたアシュタロスは一瞬だけ放たれたその神通力を察知したのだ

 

「まさか、いやそんな……ありえない」

 

アシュタロスが知っている知識ではない、だがアシュタロスを形作る核が知っているのだ、その存在を、その力を……ガープに天舟アマンナを見せられた時のような苦痛に満ちた表情を浮かべたアシュタロスは

 

「古代メソポタミアの神が顕現したのか?」

 

ただリンにとっても幸運だった事がある。それはアシュタロスの知識にはその霊基や神通力のパターンがあった、だがそれは知識だけであり、そして本人がありえない、そんな事はありえないと強く思っていたことも影響していた。彼女が何者なのか?と特定する事は出来ず、判ったのは古代メソポタミアの数多居る神族の1人が顕現しているかもしれないと言う可能性だけ……

 

「いや、ありえない、そんなことはありえないだろう。だが……いや、どうなっているんだ」

 

大勢居る古代の神をアシュタロスは知っている訳も無く、そして確信も持てない。ありえないと信じたい気持ちも強かった……だから

 

「気のせい……だよな」

 

古き神々であり、そして強烈な性格をしている古代の神が大人しくしている筈が無い。そして感じたのも一瞬であり気のせいだと思うことにしてしまった……しかしもしも、横島がリンから貰ったお守りを彼が目にしたのならば、苦渋に満ちた声でその瓶に詰められた物の名前を口にしただろう……『冥界の砂』……と

 

 

リポート12 束の間の平穏 その3へ続く

 

 




今回ので古き神が誰か判ったと思いますが、皆さん。お口にチャックでお願いしますよ~?登場する時までは名前を言わないでくださいね?今回も若干不吉なフラグを用意させて頂きました。柩のチョーカーとか、冥界の砂とかですね。それが今後どのような展開になっていくのかを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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