GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
どうも混沌の魔法使いです。今回からはまたシリアスと戦闘をメインに書いて行こうと思います、今回はタイトル通り2人目の魔人「だいそうじょう」の登場となります。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
その1
リポート13 常世のだいそうじょう その1
チリーン……チリーン……澄んだ鈴の音は闇の中に響き続ける。そしてその音色から遅れてしわがれ声でお経が唱えられる
「南無阿弥陀仏迷わず、天上楽土へ向かうが良い」
闇の中を進む黄色の法衣に緑の袈裟を身に纏った異形は進み続ける、その後ろに安堵しきった表情で倒れる数多の人達を置き去りにして歩み続ける
「拙僧が救おう、この苦しみしかない現世から、生き続ける苦しみから拙僧が救ってしんじよう」
何も映さない空虚な瞳で遠くに見える街の明かりを見つめ、異形……だいそうじょうは溶ける様に消えていくのだった……
「またこれか……」
私はGS協会から回されてきた資料を見て深く溜息を吐いた。深夜に発生する何百人と言う謎の突然死、この情報が回ってくるのもこれで4件目だ。死者は既に1000人を超えているとTV局などは好き勝手報道してくれている。何も知らない素人と言うのはこれだから嫌なのよ
「でも美神さん……「死んで」ないんですよね?」
「ええ、心臓は止っているし、脈も無い。だけど「死んで」はいないのよ」
私が机の上に置いた資料を見て蛍ちゃんがそう尋ねてくるのでそう返事を変えす、まるで謎掛けだがそれが事実なのだ。確かに脈も心臓も止っている……医学的には死んでいるといわざるを得ない状態なのだが、魂の尾が繋がっている。魂の尾が繋がっているそれはすなわち死んでは居ない、もしくは蘇る事が出来る段階にあるのだ。それが判らないTV局などが騒ぎ立てているが、霊能の観点から見れば今はまだ死者は出ていないと言える。色々調べた結果から確信を持っている
「多分何らかの術で強制的に魂と肉体を切り離されていると思うのよ」
「つまりその術者を倒せば……生き返る?」
琉璃やくえすの分析の結果だ。術者によって強制的に魂を切り離されていると見て間違いない、だから術者を倒せば助ける事が出来る。だがその場合術者が切り離した魂で自身を強化していたり、術具を作っていたりすればその魂は元には戻らない。何の目的があってその術者が魂を集めているのか?それを知らなければならない
「まずは情報を集めるわ、蛍ちゃん付き合って」
「良いんですか?」
蛍ちゃんの大丈夫ですか?と言う意味が込められた言葉に笑いながらジャケットを羽織り
「関係ないわ。何も知らない素人が騒いでもね」
GSなら早く犯人を見つけろとか言う馬鹿や、GSの反応がごてに回っている事ばかりを責めるTV局なんて気にするまでも無い
「判りました。とりあえず、昨日の大量死の現場に行って見ますか?」
「それで行きましょう。GS協会の調査団も動いているだろうからね」
じかに現場の人間に話を聞いたほうが何か判るかもしれない。まずは情報と手がかりだ、それを得ない事には動き方なんて判らない
「横島はやっぱり待機ですか?」
「今のところはね」
横島君は人外と遭遇する確率が高すぎる。今何の手がかりも無い状況で動かして良い手駒ではない、もう少し対策などが出来てやっと動かせる駒だ。だから今は待機させるしかない
「とりあえずダウジングとかは頼むわ、おキヌちゃんを連絡係りでつけているからある程度は大丈夫よ」
シズク達が居るから横島君の護りは万全だからねと笑い、事務所を出ると同時に駆け寄ってくるTVクルーを見て大きく息を吸い込み
「やかましい!!今調査に出るのよ!邪魔するなら全員しょっ引いてもらうわよッ!!」
霊能者に過度に付きまとう行為はれっきとした犯罪だ。向こうが何かを言い出す前にそう叫ぶと慌てて引き返していくクルーにざまあみろと思いながらガレージを開けて
「じゃあ、行くわよ。移動中に携帯で横島君に連絡して頂戴」
元気よく返事を返す蛍ちゃんを見ながらコブラのエンジンキーを挿しながら、今回の敵の正体について考えていた。ガープは真っ先に名前が上がったが消えた、ガープなら魂の尾を残すなんて真似はしないだろう。しかし並の悪霊や魔族が出来るだけの規模ではないと言うのはブラドー伯爵が証言した少なくともガープクラスの上位神魔が関わっていると……
(マタドールの仲間とか言わないわよね)
香港で戦ったマタドール。数は少ないが、複数存在している魔人。その内の1体が日本で動いているとかだったら最悪ね……私はそんなことを考えながら昨晩の大量死の現場に向かってコブラを走らせるのだった……
謎の大量死のニュースを報道していたTVに思わず溜息を吐く、4日前ほどから発生しているこの大量死、恐らく神魔の攻撃だという事で美神さん達が調査に出ている。俺も協力しようと思ったのだが、待機するようにときつく言われてしまえば動く事が出来ず家で大人しく待機する事になった。これはタイガーやピートも同じで、何らかの進展があるまでは待機となっている。その理由は霊能者は異能に遭遇しやすいという事もあり、下手に出歩いて大量死を起こしている神魔に遭遇してはいけないという措置によるものらしい
【のぶ?のーぶう!】
「っとと」
てやーっと言う感じで背中に突撃してきたチビノブに考え事から引き上げられる。俺は溜息を吐きながら手を後ろに回して
「どうした?」
【のぶう♪】
チビノブが悪戯をするなんて珍しいと思いどうしたと尋ねるが、チビノブはにぱっと笑うだけで何を考えているのか判らない
【あれじゃないですか?チビノブちゃんはあんまり考え事もしても駄目だよって言いたいのかもしれないですよ?】
【のぶのぶ♪】
おキヌちゃんがそう言うとチビノブはその通りと言わんばかりにコクコクと頷いている
「そっか、ありがとなー」
【のぶぅ♪】
頭を撫でると嬉しそうに目を細めるチビノブ。ふと振り返ると、目を細めながらメロンパンを齧っているノッブちゃんと視線が合う
【なんでワシを見る?】
「いや、なんとなく」
チビノブもノッブちゃんだから……本質的には甘えん坊なのだろうか?などを考えていたのだが、その目力に余計な事を言ったらやばいと本能的に悟り
「チビー、うりぼー、おいで」
とりあえず美神さんから指示があるまでは言われた通り大人しく待機していようと思い。部屋の中でちょこちょこと動き回っていたチビとうりぼーを呼び寄せ遊んでやることにするのだった……
【ワシから言わせて貰えばじゃが、この大量死は卓越した術者によるものだと思う】
うりぼーとチビが遊びつかれて眠った所で今回の事件の考察をノッブちゃんに尋ねるとノッブちゃんは地図を机の上に広げながら
【事件が始まったのがここじゃ、次がここ、その次がここで、昨日がここ……これを見てお前はどう思う?】
赤い丸で囲われた場所を見る。場所が離れすぎていて、共通点が見えないよな……と呟くと
【そう、そこじゃ、距離が離れているのは術者が移動を繰り返しているから。人間が同じことをやろうと思えば拠点が必要じゃが、神魔には自身が内包している力で事足りる。術者が移動を繰り返し、移動した先で人間を殺していると見て間違いない。横島、お前のダウジングで特定できるんじゃないかの?】
「う、うーん……どうだろう?」
俺のダウジングは無鉄砲にやって出来るものではない、事前調査や何らかの触媒が必要になる。そうじゃない場合の安定度はめちゃくちゃ低く信憑性も少ない
【焦ることはない、情報が集まってからでも十分に間に合う】
「……まずは連絡待ちだ。下手に動くなよ」
「横島。あんたは怪異に遭遇しやすいからね、むやみに出歩くんじゃないわよ」
シズクとタマモ、そして心眼の言葉に判ってるよと返事をすると、ちょうどそのタイミングで電話が鳴る
「もしもし、横島ですが」
美神さんからの連絡かもしれないと思い素早く受話器を取り、横島ですがと口にすると受話器から聞こえてきたのは蛍の声だった
『もしもし横島?今私と美神さんで昨日の大量死の現場に来てるんだけど、メモする準備出来てる?』
「あ、ちょっと待ってくれ、手帳を用意する」
手帳を開いて、ボールペンを握ってから大丈夫と蛍に言うと、蛍が現場の事を教えてくれた
『犠牲者は全員安堵しきった表情で眠るように魂を肉体から引き離されているわ。それでなんだけど、全くと言っていいほど痕跡が無いのよ』
「それってよっぽど証拠隠滅能力が高いってことじゃないのか?」
『それでも異常よ。全く痕跡がないなんてことはありえないの、逆にそれが手がかりになるんじゃないか?って言うのが私と美神さんの見解』
痕跡が無い事が逆に手がかりと手帳にメモをし、蛍と美神さんが調べた結果をひたすら手帳にメモをする
『とりあえず1度迎えに行くわ、30分くらいで着くから準備しておいて、シズク達にも声を掛けておいてね』
「判った。だけど持っていく物は無いのか?」
ダウジングの道具とかと尋ねると蛍は今はいらないわと言って電話を切った
【美神さんと蛍ちゃんなんだって言ってました?】
「迎えに来るから出発の準備をしてくれってさ、シズクとノッブちゃんも悪いけど一緒に来てくれるか?チビノブは危ないからお留守番な」
構わないと笑うシズクとノッブちゃんにありがとうと笑い、眠っているチビとうりぼーを起こさないように気をつけて毛布を被せる、これで多分帰ってくるまで起きる事は無いだろう。玄関まで見送りに着てくれたチビノブに手を振り、家を出ると薄汚れた僧衣姿のお坊さんが手に鉢を持ってこっちを見つめていた
「えっと……」
知っている人物ではないので困惑しているとタマモが俺の脇を突いて
(托鉢よ、何か恵んで上げるといいわ)
功徳って言う善行を積む修行だからと教えてくれたタマモにありがとうと呟いて、財布から500円玉2枚と飴玉を取り出してお坊さんの手にしている鉢に入れると
「……」
小さく頭を下げぶつぶつと小さい声でお経を唱え、手にしていた鈴を鳴らし歩き去っていく
「お坊さんも大変なんだな」
【まぁな、僧侶の修行は厳しい物が多い、特に托鉢は厳しい物だぞ】
初めてあんなのを見たけど、お坊さんも大変なんだなあと呟くと心眼が僧侶の修行は厳しい物だよと教えてくれる。ゆっくりと歩いて行く老僧の姿を見つめながら思う。あんなボロボロの服では寒いだろうに……さっきの500円で何か温まる物を買ってくれればいいけどと思いながら俺はタマモと一緒に美神さん達が迎えに来るのを待つのだったが……
(なんかやけにあのお坊さんが気になるな)
会話した訳でもない、それなのに妙にあの托鉢をしているお坊さんの姿が脳裏に残っているのだった……
アシュタロスの使い魔から運ばれて来た分析結果を見るが、結果はやはり芳しくないようですね
「一体何者なのですか……」
横島忠夫の護衛と言う事で東京に駐在している私のルーン魔術すらもすり抜け毎夜人を虐殺している謎の相手。その正体が掴めない事に徐々に私は苛立ちを覚えていた
「なにか手掛かりがあればいいのですが……」
前にメドーサと共に古の神の捜索に出た時も結果は散々なものだった。相手が自分よりも高位の神魔だからと言うのは言い訳にはならないのだから……
「横島の周辺で何かが起きると見るのが正解なのでしょうか……でもそれでは」
横島を囮にしているようで嫌な気持ちになる。確かに彼は臆病で女好きの面もあるが誠実でいざと言うときには前に出る勇気もある。私としては非常に好感の持てる人間で、しかも英雄としての素質は十分……
「出来れば危険な目に合わせたくないのですが……」
今はまだ彼は成長している段階だ。その段階で彼が潰れる様な姿は見たくない、彼がどこまで成長するのか?それを見たいと私は思っているのだから……
「ガープではないとなると魔人……いえ、新たなガープ陣営に加わった神魔と言う可能性も……」
ガープならば人間の魂を切り離すなんて真似はしない。そのまま殺して魂だけを集めるだろう、だからガープではない。人間の魂に強い影響を持つ神魔と言えば真っ先に名前が挙がるのが死神だが……彼らはむやみに人間を殺すような存在では無いので死神も除外される
「魔人は資料が少ないですし……」
そもそも魔人は神魔の天敵とされる存在の筈だが……固体差が激しいのも判っている。魔人の中には人間に強い影響力を持つのもいるかもしれないですが……情報が無いのでなんとも言えない……
「直接護衛につくべきしか無さそうですね」
このままここで調べていても結果は後手に回るだろう。それならば横島の側で護衛していた方が安全だし、確実だ。ここは私の判断で動こう
(メドーサやマルタもいますし、1人は横島の側にいるべきでしょう)
待っていた使い魔に横島の近くで護衛するという手紙を渡し、私は横島達と合流すべく自宅を後にした
(しかし本当になぜ横島にばかり……)
GS試験、原始風水盤に今回の謎の大量死……その全てに横島が関わっているとお父様や最高指導者は考えている。だから私や英霊が直接人間界に赴いて横島の監視と護衛を務めている。これは相当特別な扱いだろう
(私達にも知らされていない何かが横島にはあるんでしょうね)
それはきっと私だけじゃない、マルタやメドーサだって感じているだろう。そうで無ければ神魔と英霊を人間の護衛につける理由が無い
「横島にはまだ秘密があるのでしょうか……」
眼魂に霊力の固形化と言うだけでも異質なのに、他にも何かあるのだろうか?それこそ神魔の最高指導者両名が気に掛けるような特別な何かが……
「これは!?」
考え事をしていると突然街中に膨大な霊力の反応に強引に意識を切り替えられる。その圧倒的な反応はそれこそガープクラスの神魔で無ければ発生させることの出来ない霊力……まさか謎の突然死を引き起こしている犯人が現れた!?
「急がないと!!」
こんな真昼間からこれだけの霊力を発するという事は戦いが起きていると見て間違いない。もしかすると横島達が戦っているかもしれない私は鎧と槍を呼び出し一直線にその霊力の元へと向かうのだった……
ブリュンヒルデが霊力の元へ向かっている頃。横島達はブリュンヒルデの予想の通り、大量死の犯人と対峙していた
「かかか、こうして会ったのも何かの縁……拙僧が救ってしんじよう。迷うことなく、天上楽土へと参られよ」
横島達の目の前で座禅を組んだ姿勢の間々浮かび上がる異形。黄色の僧衣に緑の袈裟を身に纏っただいそうじょうの瞳に射抜かれた美神達の足が止る。枯れ枝のような手足をしただいそうじょうに完全に威圧されてしまったのだ
「お前が大量死の犯人ね!こうして目の前に来た以上これ以上好きにはさせない!」
威圧された自分を恥じるかのように叫ぶ美神だが、だいそうじょうはかかかっと笑いながら
「かかかかっ!!!大量死とは言ってくれる、拙僧は殺してなど居らぬよ。ただ導いたのだ、苦しみしかない現世から天上楽土へとな」
その手にした鈴を鳴らしながらおキヌとノッブを見つめただいそうじょうは
「現世を迷って居るか、哀れ。汝らも救おうぞ、この拙僧がな……安らかに成仏いたせ」
【余計なお世話です!!!】
【その通りじゃ!ワシは好きで現世にいるのだからな!迷ってなどは居らんわッ!!】
おキヌとノッブのポルターガイストと霊力弾を身を翻しかわしただいそうじょうは、そのまま右手を突き出しただいそうじょうは小さな、しかしはっきりと響き渡る声でお経を読み上げていく
「そうはさせない!!」
「精霊石よッ!」
このお経で何かしようとしていると判断したくえすと蛍がそれぞれ魔力弾と精霊石を放ち
「一気にカタをつけさせてもらうわよッ!」
「……お前には何もさせない」
マタドールと同じ存在。その強大さと底知れなさは嫌と言うほど美神達に刻み付けられていた。だからこそ動き出す前に一気に仕留ようとした。だがそれは油断していたのだろう、マタドールのような威圧感も、圧倒的な殺意も持たず、枯れ枝のような手足をしたミイラのようなだいそうじょうが動き出す前ならば勝てる、もしくは手傷を負わせる事が出来る。そう思ってしまったのだ。
「かかっ!愛らしい事よ、その程度の攻撃で拙僧を打ち倒すつもりか?」
迫る水鉄砲に精霊石から放たれたエネルギーの塊……それは直撃すれば神魔ですら倒せたかもしれない弾幕だったが、だいそうじょうはその弾幕を見て楽しそうに笑いながら手にしていた鈴を軽く振るうだけでその衝撃を全て吹き飛ばした
「南無阿弥陀仏……汝らの救済この魔人「常世のだいそうじょう」が案内仕る」
マタドールに続く第2魔人はその空虚な瞳に強い意志の光を宿し、美神達を見据えながらそう告げるのだった……
リポート13 常世のだいそうじょう その2へ続く
次回は少し時間を巻き戻して情報整理をしている横島達の所から書いてみようと思います。魂を肉体から引き抜くというとんでもないことをしているだいそうじょうとどうやって戦っていくのかを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
-
サイドまたは視点は必要
-
今のままで良い