GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回もほのぼの・シリアスで書いて行こうと思います、リポート14で過去編のフラグを大量に用意しています。過去編がどうなるのか、楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

 

 

リポート14 嵐の前に その3

 

海外から日本の六道女学院で有能な若い霊能者を育てる制度で私は日本に来た。海外の霊能学科の同級生には日本に行くなんて可哀想だねとか、海外のほうが良い先生が多いのにとか、私に同情している人が多かったけど……私は日本に来て良かったと思っている

 

(シルフィーお姉ちゃんも居るし、ピートお兄様もいるし)

 

ヴァンピールの大好きなお姉ちゃんとお兄様も居るし、それに六道女学院の先生だって私はアメリカの講師の人よりも親身になってくれるし。私個人の才能を伸ばす事に協力してくれる、そう考えるとオックスフォードの霊能学科よりも遥かに六道女学院のほうが優れていると思っている

 

「アンちゃん。今日はずいぶんご機嫌だね」

 

「だってピートお兄様とお出かけなんですよ!すっごく楽しみにしていたんですから!」

 

ピートお兄様に知り合いの霊能者と一緒に修行をするんだけど、一緒に来るかい?と尋ねられたのが昨日。もちろん私が即答したのは言うまでも無いんだけど、その知り合いの霊能者って言うのがなんでも同級生で、厳重警戒態勢となっていた理由。魔人だいそうじょうの攻撃で霊体にダメージを受けていたんだけど、それが回復したからリハビリを兼ねて訓練に付き合ってくれないか?と頼まれたらしい

 

「はは、そこまで楽しみにしてくれるのは嬉しいけど……基礎的な訓練だよ?」

 

「判ってます!でも基礎は何よりも大事ですから!」

 

基礎がしっかりしてなければ、出来る事は増えると唐巣神父様も教えてくれてますから!と言うとピートお兄様は苦笑しながら、その通りだねと笑う。荷物を手にどんどん街中を進む……オフィス街を抜けて……商店街を出て……バス停を通り過ぎて……

 

「ピートお兄様?どこへ行くのですか?」

 

私の予想ではバス停からどこかに向かうと思っていたのに、バス停も通り過ぎたのでどこまで行くんですか?と尋ねる。するとお兄様は近くに見えてきた河川敷を指差して

 

「あそこだよ、あそこで良く横島さんが訓練してるんだよ」

 

横島さん?……どこかで聞いたような……少し考えて思い出したと手を叩く

 

「使い魔学科の臨時講師の人ですよね。猪と、グレムリンと狐を連れてるバンダナの人!」

 

私は霊具学科なので講師を受けた事はないが、クラスメイトの使い魔学科の子が言っていた。ちょっと不思議な事をいう時があるけど、妖使いとしては凄い人だと

 

「そうそう、その横島さんだよ。チビ達を連れてるから、こういうところで修行してるんだよ」

 

確かに妖怪や悪魔を連れていると周りに被害が出ない場所や、安全が確保されてる場所じゃないと訓練出来ないですね

 

「多分もう来ていると思うから、少し急ごうか?」

 

「はいっ!」

 

実は私は少し横島さんに興味があった。今年のGS試験での特殊な霊能力を見せた事もそうだけど、GSに関する雑誌でも特集が組まれるくらい今年注目されている人だ。授業中に姿を見ることがあったけど、話す事が出来るのは使い魔学科の生徒だけだから、こうして話す機会があるのあ嬉しい

 

「まぁ横島さんの周辺は少し変わってるけど、驚かないように」

 

ピートお兄様にわかりましたと返事を返し、河川敷に近づいた所で私の足は止った。かなり距離はあるが、この距離でも判る

 

「……あのピートお兄様……凄い霊力の幽霊が2人と巫女さんの幽霊が居るんですけど……」

 

GジャンとGパンそれに紅いバンダナ……横島さんのいつもの格好だ。その隣には横島さんと同じで今年の最注目GSと言われている芦蛍さん……この2人はいつも一緒に見かけるので驚かないんだけど……黒いシャツと赤いスカート姿の幽霊と、その隣のパーカーとスカート姿の幽霊に近くを飛んでいる巫女服の幽霊……この距離でも凄い霊力を放っているのが判る。ピートお兄様に尋ねるとピートお兄様は溜息を吐きながら

 

「……うん。1人増えてるね……横島さん何やってるんだろう?」

 

GSなのになんで幽霊と一緒に居るんだろうか?変ってるって聞いてたけど、これは正直予想外……

 

「それに……なんか川の水で何か作ってる人も……」

 

「うん、シズクさんだね。水神で竜神様の……怒ると凄く怖いから気をつけて」

 

……ピートお兄様と一緒だから喜んで来たけど……もう少し考えて返事をするべきだったかもしれない。ま、まぁそんなに怖い所じゃないだろうと思い階段を下りていると

 

「みむう!!」

 

放電していたグレムリンが気合満点の鳴き声を上げ、2M近い氷塊に飛び蹴りを叩き込むが、サイズの差もあるので氷解はびくともしない

 

「みむむむむむーッ!!!」

 

と思っていたのだが、放電したまま短い足を連続で叩き込む、途中で回転して回し蹴りやオーバーヘッドキックも組み合わされ、見る見るうちに氷塊は削られ、抉られて行く……その凄まじい現象に何処かから決め技ッ!と聞こえた気がした

 

「みむーッ!!!」

 

とどめと言わんばかりの勢いをつけた蹴りが氷解に叩き込まれ、グレムリンは氷を貫通する。そしてボロボロにされた氷柱がはじけ飛ぶのを見て

 

「……ピートお兄様。オックスフォードじゃグレムリンは弱い悪魔って聞いてたんだけど……」

 

「横島さんのグレムリンだけだと思うよ?あんな規格外のグレムリンは……」

 

もしあんな強力なグレムリンが自然に大量発生するなら、GSが束になっても勝てないんじゃ……と言うかどんな風に育てばあんなに恐ろしいグレムリンに育つのか……私はそんなことを考えながら、ピートお兄様と一緒に横島さんの方に向かうのだった……

 

 

 

 

 

シズクからやっと身体を動かして良いと許可が出たので、早速鈍っていた身体を鍛え直す事から始めた。訓練に付き合ってくれるかなあ?と思い雪之丞とタイガー、それにピートにも電話で声を掛けたのだが……

 

『横島さん。すまんこってす。明日からエミさんと除霊なんジャー』

 

『誘ってくれたのは嬉しいが、白竜寺は今バタバタしている。また今度誘ってくれ』

 

2人とも忙しかったらしく、OKを出してくれたのはピートだけだった。まぁ急な話なので、断られて当然と思っていたのでピートだけもOKしてくれてよかったと思っている

 

「あんまり無理をしないでゆっくり霊力を循環させてね」

 

【急にやるとチャクラに負荷を掛けるからな】

 

蛍と心眼の言葉に頷きゆっくりと霊力を循環させていく。上手く説明出来ないのだが身体の中から暖かくなっていく……そんな感じだ。

 

【チビツエーッ!】

 

【本当ですね!チビの強さなら主殿を護れますよ】

 

チビとうりぼーも川原で訓練をしているのだが、まぁめちゃくちゃ強い。2Mの氷塊を粉砕するハムスターサイズの生き物……

 

「チビとうりぼーってさ、俺より強いかも?って思うんだが」

 

思わずそう呟くとシズクがそんなことはないぞ?と呟く

 

「……チビもうりぼーも体格相当の霊力しか蓄えることは出来ない。短い時間全力を出しているだけで、持久力はそれほど高い訳じゃない」

 

見てみろと言われてもう1度チビとうりぼーに視線を向けると。川原に寝転がり眠る準備をしている

 

「霊力を使いきったから眠るのよ。全力で動けるのは数分って所だから、それで考えると横島のほうが強いわよ?」

 

まぁ爆発力は認めるけどと苦笑する蛍。短時間だとしてもあの攻撃力は正直脅威だと思うんだけどなあと思っていると

 

「横島さん。お待たせしました」

 

「おう、ピート……と誰?」

 

ピートが来たのだが、隣に見覚えのない少女の姿がある。しかも何か怯えている様な素振りを見せていて首を傾げる

 

「横島さんの周囲に驚いているんですよ」

 

あーっと納得する蛍。そんなに俺の周辺っておかしいかな?チビにうりぼーに妖怪狐と英霊2人に……巫女幽霊

 

「あれ?俺の回りってこんなに混沌っとしてたっけ?」

 

思わずそう呟くと、今更と全員に言われてしまうのだった……まぁそうは言われても、俺自身は今のこの環境を気に入っているので、別にどうこう言いたい訳じゃないんだよなと苦笑するのだった

 

「それでその隣の子誰?」

 

一緒に来ているって事は霊能者だよな?でも見覚えがない子だから誰?ともう1度尋ねる

 

「六道女学院の霊具科に留学している、アン・ヘルシングです!今日はよろしくお願いします!」

 

六道女学院の子か……結構六道女学院にはお邪魔してるけど、使い魔学科の子くらいしかあったこと無いんだよな。色んな学科があるとは聞いてたけど、他の学科の生徒を見るのは初めてかもしれない。よろしくと頭を下げると、もう1度よろしくお願いしますと頭を下げるアンちゃんに礼儀正しい子だなと思い、それから3時間。俺と蛍、それにピートとアンちゃんで霊力の循環の訓練を始めるのだった

 

「ふう。たまにはこういう基礎的な訓練もいいですね」

 

ピートが隣に座って座禅を組みながらそう呟く。霊力の練り上げと循環……霊能者の最も基礎的な訓練だが、これを疎かにしてはいけないと散々美神さんと蛍に言われてるからな

 

「んーんんーっ!!!」

 

「大丈夫?」

 

アンちゃんが顔を赤くして唸っているのだが、全然上手く行っている様に思えない。六道の生徒でも出来ない事があるんだなと思った

 

「えへへ……あんまり霊力の循環って得意じゃないんですよ。私はこういうのを武器にしているんで」

 

ポシェットから取り出されたのは銀色に輝く拳銃……本物っと思わずアンちゃんから距離を取る

 

「あ、それ見たことあるわ。霊力を持たない人でも悪霊と戦えるって奴よね?もう実用化されてたんだ?」

 

「はい!お詳しいですね!ヘルシングの家で研究していた霊具なんですけど、それのデータ取りをしてるんですよ」

 

蛍とアンちゃんが楽しそうに話を始める。見ている分には華やかな光景なんだけど、話している内容がいささか物騒すぎる。霊体ボウガンよりも強力で扱いが楽って言うので拳銃型なんです!と言うアンちゃんと、興味あるわね。私もデータ取り手伝いましょうか?美神さんも喜ぶと思うけど?本当ですか!?是非お願いします!と言う物騒な会話に軽く頭痛を覚える

 

「……横島あんまり根を詰めすぎるなよ?病み上がりと言うことを実感しろ」

 

【そうですよ、横島さん。適度に休憩と水分補給をしてくださいね】

 

シズクとおキヌちゃんに休憩しろと怒られ、昼時も近いという事でそのままお昼休みにする事になった

 

【ほう……見たことない料理ですが、美味しいですね!】

 

【味も良いし、霊力も回復する。本当に横島の家に居候出来て正解じゃな!】

 

美味しいと笑いながらから揚げを食べる牛若丸と煮物を頬張るノッブちゃん。そんな2人を見てアンちゃんが目を白黒させながら

 

「なんで、幽霊なのに物を食べれるんですか!?」

 

「凄い幽霊だから」

 

凄い幽霊だと物が食べれるんですか!?と騒いでいるアンちゃん。やっぱり牛若丸とノッブちゃんって普通じゃないんだなあと改めて実感する

 

「みむー♪みみー」

 

「ぷぎゅー♪」

 

昼寝を終えたチビとうりぼーが擦り寄って来る。俺はシズクに手を伸ばしながら

 

「チビとうりぼーのご飯くれ」

 

「……ほれ」

 

トートバックからタッパーを取り出すシズク。それを受け取りチビとうりぼーの前に置く

 

「みむー♪」

 

「ぷぎゅ!」

 

手を合わせてからタッパーを覗き込むチビと少し大きくなってタッパーを覗き込むうりぼー。良い天気で日差しも風も良い感じだからピクニックに来ているって感じだなと思う

 

「はい、横島。ジュース」

 

「ありがと、タマモ」

 

丁度喉が渇いたと思った所なんだよなと思い、精霊石で人化していたタマモが差し出してくれた紙コップを受け取る。アンちゃんが狐が女の子に!?と驚いているのを見て、これ普通は驚く所なんだと初めて知るのだった……

 

【アンは霊具に頼りすぎだな。もう少し霊力の扱いを覚えると良い、身体強化くらいは習得しておいて損はないぞ?】

 

昼食の後心眼から色々とアドバイスをして貰っているんだけど、アンちゃんはバンダナから眼が!?とまた驚いていた。なんかアンちゃんが居ると自分がいかに普通じゃないかと思い知らされるような気がする。あとタマモ・チビ・うりぼーは昼食後、俺の膝の上でガチの昼寝を始めてしまったので、お昼からの訓練は中止となり、夕方から訓練を再開する事で決まった

 

【それとピートは良い具合に力を混ぜる事が出来るようになってきたな、その調子だ】

 

「ありがとございます。心眼さん」

 

っとこんな風にアドバイスをしてくれる心眼の話を聞いていると、背中にひんやりとした感じがして振り返る

 

「どうかした?」

 

【いえ、元気になってくれて嬉しいなって。心配してたんですよ?】

 

美神さんの仕事を手伝うのが忙しいと言っていたおキヌちゃん。あんまりお見舞いに行けなくて心配してたんですと言う、皆に心配を掛けてばっかりだなと改めて反省する。せめてもう少し心配を掛けないようになれれば良いのだが……

 

「……あんまり焦る事はない。ゆっくり時間を掛けて成長すれば良い」

 

【そうですよ、主殿。無理は禁物です】

 

シズクと牛若丸に焦るな、無理をするなと言われやっぱり心配を掛けてるなと苦笑する。ノッブちゃんは満腹満腹と言って、さっき昼寝を始めた……相変わらず自由なのだが、それでこそと思う。ノッブちゃんの人徳と言う奴なのだろうか、いい天気だし、修行もこれで終わりなら俺も少し昼寝するかと胡坐をかいたまま寝転がると、バンダナを少しずらしてアイマスク代わりにする。近くにひんやりとした空気を感じるから、おキヌちゃんかシズクが側に来たんだろうと思い昼寝を続けるのだった。実際は両サイドにおキヌちゃんとシズクが居て、文字通り両手に花(猛毒)状態だった

 

「なんとも……言えないですね」

 

幽霊と水神に悪魔に妖怪に妖狐と人外に囲まれて平然と昼寝をする横島。その姿にピートは苦笑する事しか出来ず。この状況で怒るはずの蛍はと言うと

 

「横島さんって使い魔学科の生徒に割りと人気なんですよ?」

 

「その話詳しく」

 

六道女学院に通っているアンから横島の人気などを聞いていて、昼寝を妨害する余裕は無い状況だった……なおこの訓練の後、横島が単独で六道女学院へ向かう事が禁止になったのは言うまでもない……

 

 

 

 

 

だいそうじょうを退ける事が出来たとブリュンヒルデとマルタから報告書が上げられた。この時の報告書とアシュタロスからどうしても報告する事があると言う事で、再び最高指導者の会議室で会議を行うことになったのだが

 

「やぁ、遅かったね」

 

紅茶のカップを手に、早く座りたまえよと笑うルイ様に我達全員の心が行き成り折れかけたのは言うまでもなく、幸先不安な状態での会議が幕を開けたのだった……

 

「それにしても思い切った作戦を取るね。アシュタロスをスパイとして過激派として追いつつ、その実は神魔のスパイとして扱う。うん、思い切りのいい一手だよ、そしてこのトトカルチョ、これも面白いよね」

 

……我とハヌマンと竜神王の刺すような視線が最高指導者に向けられる。隠遁している神魔を協力者にするという目的は間違いではない、だが最も危険な相手を引き寄せてどうすると思わず叫びたくなった

 

「後日トトカルチョには参加させて貰うとして、今回の魔人と何か大事な話があるんだろ?私にも教えてくれないか」

 

にこにこと笑うルイ様になるようになれと思い、我はブリュンヒルデとマルタの報告書をスクリーンに映し、魔人についての話を始めるのだった……

 

「ブリュンヒルデ、マルタ。両名の報告では魔人は事前に探知が出来ず、しかも人間に擬態するらしく発見が困難との事だ」

 

神魔の諜報班が追跡をしていたが、見失ったのは人間に擬態された事だと推測される

 

「ふむ、それは厄介ですね。警戒態勢を強めるにしても……」

 

「何時現れるかも判らない相手に神魔の戦力を分散する訳にはいかんしなぁ」

 

キリストとサタンが腕を組んで唸る。最近はガープの動きも無い、だがガープと魔人の両方に警戒態勢を取り続ければこちらが疲弊していくだけであり。かと言って警戒を緩めれば、その隙に強襲や異常な魔術実験を行う可能性の高いガープの警戒を緩めるわけには……

 

「それについては私から報告がある。ガープ達の陣営は暫く首脳陣が表立って動けない壊滅的な打撃を受けている可能性がある」

 

アシュタロスの報告を聞いて、流石の最高指導者も、ハヌマンも勿論我も顔色を変える。

 

「へー壊滅的な打撃……その根拠は?」

 

「先日私の人間界の拠点に古き神が訪ねてきました。冥界の女主人エレシュキガルです」

 

その言葉に慌ててアシュタロスから提出されたリポートに目を通すと、女神の写真が添えられていた。写真越しだが、圧倒的な神格を持つその女神は間違いなく古き神々だろう……だがどうして?古き神々は別の時空に居るはずなのだが

 

「ガープが英霊召喚を用いて、神霊召喚を行ったと。自分を制御、もしくは制圧する為にホムンクルスに押し込められた物の……不敬と言う事で制裁を加えたと彼女は言っていました」

 

女神エレシュキガルの気性の荒さは有名だ。自分のいた世界から無理やり呼び出され、更に従えなどと身の程を弁えずに言われれば憤怒するのは当然だ、だがそこまでのダメージを受けているのなら一気に畳み掛けるチャンスだ。そうすれば、横島達に起きるかもしれない悲劇を全て回避する事ができる

 

「アジトの場所は?ダメージを受けているなら一気に畳み掛けるべきだ、横島達の安全も確保出来る」

 

ここに居る全員が同じ考えだ。そして竜神王が問いかけるとアシュタロスは溜息を吐きながら、

 

「私もそう思ったのですが、ホムンクルスの器に押し込められ、神性などが半分になっていてもそこは死の女神。どちらかに過度に味方することはしないと言う事でお互いに不干渉であると契約する事になりました」

 

何を勝手なと言い出すことは誰も出来なかった。古き神の力は我々を超えている、下手に敵対する訳には行かないのだから

 

「それで、ガープ達は神の逆鱗に触れた。そのダメージの具合は?」

 

「恐らくは直接戦闘に出れるレベルではない筈。もし直接戦闘に出れるのなら、だいそうじょうの出現で浮き足立っている神魔に強襲を仕掛けるはず」

 

推測とこうあって欲しいと思う言葉だが、アシュタロスの言っている事は的を射ている。数で劣るアスモデウス陣営の基礎戦術は終始強襲か、罠をいくつも用意し、準備に時間をかけた物だ。前者はアスモデウスが実権を握り、後者はガープが準備をする。知略に長けたガープと軍略に長けたアスモデウス。その2柱が健在だからこそ、アスモデウス陣営は脅威となっている

 

「仮に回復していたとしても、負傷、もしくは激怒した死の女神の神通力に触れたアスモデウス達の戦力は半分以下の筈。直接的に動く可能性は低いです……しかし」

能性は低いです……しかし」

 

「しかし……あれだね?英霊召喚を試みて戦力としている可能性があると」

 

言葉に詰まったアシュタロスにルイ様がそう尋ねる。その通りですとアシュタロスは頷く

 

「勿論英霊もまたそう簡単に屈する事はないと思いますが……ガープの魔術を考えると、属性反転は十分にありえる話です」

 

属性反転。神魔でさえも属性が反転し、天使が悪魔となり、悪魔が天使となる。それは肉体ではなく、魂こそが自らを作り上げている神魔にとって常に想定しなければならない現象だ

 

「対策としては異常な魔力や神通力の流れに警戒する事になると思います」

 

神魔が手を尽くしても発見する事が出来ないガープ達の拠点を見つけることが出来ない、その不甲斐なさに思わず唇を噛み締めた

 

「今出来る最善を尽くすべきですね、どうやっても私達は後手に回る」

 

「護りって言うのは難しいものやからなぁ」

 

攻める方は自分の好きな時に、好きなタイミングで仕掛けることが出来る。だが護りは違う、いつ攻めてくるかも判らない相手を常に警戒し、相手よりも強靭でなければならないのだ。

 

「魔人とガープ達が相手だからは言い訳にはならない。次は我らが先手を取る、その為に我は更なる神魔を人間界に駐在させる事を提案する」

 

「神魔だけではなく、可能ならば英霊召喚を試みるのもいいかもしれないですね」

 

「博打やけどな」

 

そこからは会議はより白熱した物となり、ふと気が付けばルイ様の姿がない事に気付く者は居らず、会議は予定された時間を超え深夜まで続いた

 

「ベルゼブル、私も横島と話をしてみたい。準備を」

 

「ルイ様!?」

 

突然人間界に現れた自身直属の上司の登場に悲鳴を上げた中間管理職の姿を知る者は誰も居ない……

 

 

リポート14 嵐の前に その4へ続く

 

 




次回はルイ様と横島が初エンカウントします。可哀想な中間管理職も同行します。そして後半はガープサイドを書いてリポート15に入っていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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