GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
リポート15 変る未来 その2
何かに吸い込まれ、遠ざかっていく景色に思わず手を伸ばすが……届くわけも無い。数秒の浮遊感の後、どこかに落ちていく感じがし思わず身構えたが
「ぷぎゅ」
「きゃっ!?」
私の身体に返ってきたのは柔らかい感触とうりぼーの声。予想外の衝撃に思わずきゃっと言う悲鳴がこぼれる
「ああ、良かった。美神さんも一緒だったんですね。うりぼー、お疲れ様」
「ぴぎゅう♪」
横島君の声が聞こえるが、巨大なうりぼーの上からではどこにいるのか判らない。多分横島君も声で判断しているんだと思う
「横島君。ここから滑り降りるけど、下に居ない?」
大丈夫ですーっと言う横島君の返事を確認してからうりぼーの上から滑り降りる
「美神さん、無事だったんですね。良かった」
マリアが私を見て柔らかく微笑む。マリアの前には焚き火があって、周囲は森……私はどこに来てしまったのだろうか?と考えていると上空から
「きゃああああああッ!?」
「ぷぎゅう!」
蛍ちゃんの悲鳴とうりぼーの鳴き声が聞こえた。とりあえず、全員は揃ってるみたいね。分断とかされて無くて良かった
「蛍ちゃん、うりぼーの上から降りてきて、現状確認するから」
「わ、判りました!今降り……っとと」
うりぼーの毛皮は予想よりもモフモフで手をおいた所が毛皮に飲み込まれる。蛍ちゃんは苦戦しながらうりぼーの上から滑り降りてくる
「お疲れ様うりぼー、小さくなっていいぞ」
「ぴぐ」
全員を確認したので大丈夫と言うとうりぼーが小さくなって行き、チビサイズになる。横島君はうりぼーを抱き抱えながら、空を見上げて
「さっきまで昼間でしたよね。でも今は夜……これどうなっているんですか?」
私なら知ってると思って尋ねてくれたのは判る。だけど私自身もこんな現象は初めてだから、何がどうなっているのか判らない
「と、とりあえず焚き火で温まりながら考えましょう」
夜と言うこともあり、非常に寒い。現状を把握するのも大事だが、このままではろくに移動も出来なくなる。まずは身体を温めてから考えましょうと言って私は焚き火の近くにしゃがみ込み、手を翳すのだった……
「皆さん。いい知らせと悪い知らせがありますが、どっちが聞きたいですか?」
大分身体が温まって来た所でマリアがそう切り出してくる。悪い知らせと良い知らせ……
「とりあえず悪い知らせから」
良い知らせを聞いてから悪い知らせなんてとてもじゃないが聞きたくない。だからここは先に悪い知らせを教えてと言うと
「では現在地ですがフランス、名前は判りませんが、どこかの都近くです、時刻は21時25分と38秒……10月25日」
10月25日!?それにフランス!?マリアの言葉に思わずそう叫んでしまう。
「いやいや、無いだろ?3月の間違いじゃないか?」
「そ、そうよね、暖かくなり始めてたし」
今日も暖かいのではなく、暑い位の天気だったと思いながらマリアに間違いじゃないか?と尋ねる。だがマリアは頭を振って
「西暦1242年です、更に言えば微弱な時空震も感知しています。私達は時間移動をしたと思われます」
時間移動ですって!?淡々と告げられた言葉に嘘だと叫びたかったが、その反応を見ればマリアが真実を告げているのが判る。そして思わず自分の手を見つめる
(まさか私?)
ママも時間移動の能力を持っていた。まさか私も?だけど、ママは雷を媒介にしていた。あの時は異常な霊力により磁場が発生していたが、そこまでのエネルギーではなかった。私が原因と言う可能性は低い、しかし横島君が拾ってきた老紳士が原因かと言えばそれも違うだろう。時間移動してしまった理由が全く判らない
「ど、どうすればいいのよぉ……」
別に場所に移動してしまったのならまだしも、時間移動。どうやってもとの時代に戻ればいいのよ。蛍ちゃんと横島君の前だが、思わずうろたえてしまう。こんな事想定外も想定外だ、こんな現象を予想出来る訳が無い
「ち、ちなみにマリア。いい知らせって言うのは?」
うろたえている私を見て、相当やばい状況なのだと理解した横島君が引き攣った顔でマリアにそう尋ねる。
「はい、現在この近くにドクターカオスが駐在しているという風に記録されています。そしてもう1つ、私に記録されていた情報ですが……ブラドー伯爵の妻が病気で倒れで、死去する1週間前です」
その言葉に思わず息を呑む。今私達が居る時代、それはブラドーとドクターカオスがガープの謀略で殺し合おうとする、ほんの少し前の時代だった
「私はこの時代のドクターカオスに協力を要請することを提案します」
今の老人の姿でも頼もしいドクターカオスだ。若ければ更に頼りになるだろう、だがそうだとしても
(ガープとやりあう可能性が)
人の苦悩と絶望を楽しんでいるガープ。ドクターカオスに助けを求めれば、ガープと遭遇するその危険性と綱渡りの状況だ
「美神さん、私はドクターカオスに協力を頼むべきかと、私達だけじゃ何にも出来ないですよ?」
「俺もそうした方が良いと思います」
横島君と蛍ちゃんの意見を聞いて、私は溜息を吐く。それしかないと判っている、判っているんだけどどうしてもガープの存在が脳裏を過ぎる
「それしかないわね、明るくなったらどこからからの民家で服を拝借して、そこからドクターカオスを探しましょう」
服?と首を傾げる蛍ちゃんと横島君。私は自分の服を指差して
「今の時代にこれだけ肌を露出してたりすれば、異教徒とか言われて、証拠もなしにほぼ100%有罪の裁判送りよ」
魔女狩りが活発になるのは15世紀からだけど、今でも十分危険なのだ、更に言えば
「カトリックの教えからそむけば、まず有罪。横島君、移動する間絶対にチビ達を見つかったらいけないわよ」
悪魔と一緒に居る。それだけで100%アウトだ、引き攣った顔をしている横島君に細心の注意を払いなさいともう1度言う
「明るくなるまでは森の中で過ごすという事ですね?食料はどうしますか?」
1食くらいと思うが、飛ばされる前の時間は昼前……これで一晩は厳しいわね。どこかで木の実や川を見つけないと
「川なら近くにあるのを感知していますが?」
マリアの言葉に良かったと呟く、川があれば水も魚も取ることが出来るかもしれない。水分補給と食事をすれば当面の不安は無くなる
「じゃあ全員で川の近くに移動。そこから魚がいるかとか、水の確認をしましょう。良い、周囲の警戒を忘れないで」
今現地人に見つかるのは危険すぎる。だから周囲の警戒を忘れないようにと繰り返し口にし、私達は川へ向かって歩き出す
(憎たらしいくらいの星空ね)
東京では決して見ることが出来ない美しい夜空。だけどそれが自分達のいた時代ではないという事をこれでもかと教えていて、私はこれからどうなるんだろうという強い不安を抱かずには居られないのだった……本当にドクターカオスを味方に出来るのか、それに加えてガープに遭遇しないですむのか……次々に浮かぶ不安に押しつぶされそうになりながら、夜の森を進むのだった……
おかしい、我はそれだけを考え養父の領地である城の中を歩んでいた。吸血鬼である我と妻であるソフィアの婚姻を認めてくれただけではない、我に地中海にある無人島を我が領土として与えてくれた。今のカトリック全盛の時に吸血鬼を認めると言う破格の人格者であり、更に言えばローマや教会の圧力にも屈しない高潔な人物だった養父ノア。吸血鬼である我に学問を学ぶ機会を与えてくれた、人間ではあるが尊敬している
「ブラドー様。ノア様は面会をお断りすると言っております」
これだ。ソフィアが病気に倒れてからノアは私を避けるようになった、それ所かピエトロとシルフェニアも何処かに隔離してしまった
「今日もなのか?」
この執事セバスとは付き合いも長かった。吸血鬼と言う種族に偏見も無く、我とソフィアの婚姻を喜び。ピエトロとシルフェニアの教育係も勤めてくれていた
「はい、真に申し訳ありません」
セバスはそう言うとおかえりくださいと言いつつ、ポケットから何かを落としそれを拾う素振りも見せず。ノアの私室に引き返す
「ふっ、全く態とらしい」
その手紙を拾い上げ、城を後にしようとすると丁度我と入れ違いで1人の男が入城して来る。この男も人間ではない、その内に秘めた力は我に匹敵すると言える。男の名前はカオス、並外れた錬金術の知識を持つ科学者であり、医者だ。今はソフィアの主治医をしている
「ブラドー伯爵か、やはり今日もノア領主は会ってくれんのか?」
「ああ、また門前払いだよ」
そうかと呟いたカオスは我の耳元に顔を寄せ、小声で尋ねてくる
(お前の妻ソフィアは呪われている)
呪われているその言葉に思わずカオスの顔を見ると、その目には疑いの色が浮かんでいる
(違う、何故我が愛する妻を呪う)
カオスは我の言葉を聞くと一歩下がり、それもそうだなと呟き
「とりあえず最善は尽くすが、最悪の結果も覚悟しておけ」
そう言うとマントを翻し城の中へと消えていくカオス。ソフィアにも会えん、ノアにも会えない……そして愛する子供は行方知れず……今まで信じていた物が全て崩れ落ちていくのを感じる。セバスが落とした手紙を広げる、そこには
『私以外の全員が受け入れていますが、数日前突然現れた男が相談役としてノア様の側仕えになっている』
我はその手紙を握りつぶすと同時に炎で焼き尽くし、背後を振り返り城を見つめる。美しいノアの城が暗く歪んだように見えた
「……少し調べてみるか」
魔族が動いている可能性もある。もしも、その魔族の目的が我とカオスを同士討ちだとするのなら……我は妻と養父と子供を人質にとられた状況にある。嫌だと思っても、家族を人質に取られては戦う以外の道は無い。例え家族が我の手元に戻ってくる事が無いとしてもだ
(始祖の我を陥れようとする……最上級神魔か)
中級の神魔程度ならば我でも滅する事が出来る。だがここまで堂々と喧嘩を売ってくるとは思えない、そうなると我の敵として浮上するのは最上級神魔か上級神魔しかありえない、我もどちらかと言えば魔族よりだが、人間との共存を望んだ。その事で裏切り者と言う認識を抱いている魔族が多いだろう。それでノアに何かを仕掛けている可能性もある
(なんとかしてピエトロとシルフェニアの居場所だけでも掴まなければ)
セバスの手紙で我の中にあった疑いは確かな物となった。まずは情報を集める事を決め、ノアの城を後にするのだった……
ノア領主に依頼され、娘と言うソフィアの容態を見ているのだが、やはり状況は悪いとしか言いようが無い。流行の風土病に良く似た症状だが、ソフィアの身体には確かに魔力の痕跡が見て取れた
(ブラドーも疑いはしたが、違うな)
ブラドーがノアの領土を得る為に何かをしているという事は考えたが、あの顔を見る限りではそんなことを考えているようには見えなかった。ブラドーは確かにソフィアを愛している、だから奴がそんな事をしているようには見えないのだが……
(この首筋の痕はどう見ても吸血の痕……)
調べれば調べるほどにブラドーが怪しい、そしてブラドーへの疑いが強くなっていく
「お医者様、私は治りますか?」
弱々しい声で尋ねてくるソフィア。今のままでは確実に衰弱死する、だがそれを口にすることは出来ない
「勿論ですとも、必ず治りますとも」
「そう、嬉しいわ。ピエトロにシルフェニア、それにブラドー様とまたピクニックに行きたいわ」
楽しかった時を思い出しているのか目を細めるソフィア。自分の命が残り少ない事を知っているのか、その笑顔は儚げで今にも消えてしまいそうだ
「また薬を処方しておきます。大丈夫、私に任せてくれれば確実に治りますよ」
繰り返し治りますとソフィアを励まし、生命力と霊力を回復させる薬を処方し部屋を後にする
「これはカオス。ソフィアお嬢様の容態はどうですか?」
ノア領主の側仕えだと言う執事。名前は確かアレン……モノクルに仕立てのいい服装から執事ではなく、どこぞの貴族を思わせる
「安静にしておれば快方する」
「そうですか、それは良かった!しかしですね、カオス。私はノア様の義息子ブラドーが原因ではと思うのですが、専門家としてはどうでしょうか?」
アレン、この男は好かん。本能とでも言うのか、どうしてもアレンに対しては警戒心が強まる。ブラドーが悪いと言う方向に私を誘導しようとしているようにしか思えないからだ
「確かに私は異形狩りもする、だが今は医者としてこの場所にいる。ブラドーと戦う理由は無い、では失礼する。薬の処方をするのでな」
これ以上話す事は無い。私はアレンの横を通り過ぎ城門へと向かいながら、ソフィアの事、ブラドーの事、そしてアレンを通してでしか話す事の出来ないノア領主の事を考えていた。状況的にはブラドーが怪しい、だがそれは素人考えだ。ブラドーが怪しいと思わせること自体がミスリードのように思えてくる
「ええい、これほど面倒な案件だったとは!」
病気の娘を助けて欲しいと言う依頼だったので、ここまで出てきたが、ここまで面倒な人間関係に、政治的なやり取りが関わってくるのならマリア姫の所で素直に居た方が数倍楽だった。より良いパトロンを求めて来たのが間違いだったかと後悔しながら歩いていると何処かから視線を感じ、そちらに視線を向けて驚いた
(マリア姫!?)
私を見つめている視線の主、それは髪の色こそ違えどマリア姫と同じ容姿をしていた。一瞬マリア姫に会いたくて見た幻かと思ったが、確かに私を見つめている。私と目が合ったその女性は裏路地へと走っていく、私は無視すれば良いと判っていたのに、どうしてあそこまでマリア姫に似ているのか?見間違えているだけなのか?ここに居るはずが無いと冷静な自分が言っているのを無視し、常に冷静であれと言う自分の信条ではなく、感情でマリア姫に似ている女性を追いかけて裏路地へと走り出した
「どうして逃げるのですかな?お嬢さん?それとも追いかけっこはもう終わりですか」
本気で逃げている訳ではない、私が追いつける速度で走っている女性がやっと立ち止まったのでそう声を掛ける。すると女性はゆっくりと振り返ったその顔を見て、更に驚愕する
(マリア姫と瓜二つだ……)
髪の色こそ違うが、その整った容姿はマリア姫と瓜二つだ……マリア姫と瓜二つの女性は私に深く頭を下げ
「初めましてドクターカオス。私はマリアと言います」
洗礼されたその動きにも驚かされたが、その名前にも驚かされた。だが何よりも驚かされたのはそれではない、彼女からは機械の駆動音がしていたのだ
「お前は何者だ……私以外に人造人間を作れる物が居るわけが無いッ!何故その名前を名乗るッ!」
マントから銃を取り出し、その銃口を向ける。だが目の前の人造人間は柔らかく微笑み
「おかしなことを聞きますね?ドクターカオス。我が創造主、貴方は知っているはず。私を」
創造主と言われたが、それは違うとありえないと即座に判断する。創造主と言われ私の脳裏に過ぎったのは、今研究段階の人造人間試作M-666の姿だ。だがまだフレームを組み上げただけであり、何よりもあそこまで人間と同じ仕草や、姿には出来ない。もっと機械的な仕草と言葉になる筈なのに……
(私以上の天才が居るというのかッ!)
私の思考を読んだのか人造人間は違いますときっぱりと口にし、もう1度私自身が製作者だと口にした
「NO.それは違います、私を作成したのはドクターカオス。貴方です……これをドクターカオスから過去のドクターカオスへ渡す様に言付けをされています。どうぞお確かめを、私はこの街の外れの森で待っています、貴方ならば私を発見出来るでしょうから」
投げ渡された便箋に視線を奪われたその瞬間。目の前の人造人間は垂直に飛び上がり、屋根の上を走って森の方へ走っていく……追いかけるのは無理か……
「時間移動?馬鹿馬鹿しい、そんなことありえるものか……」
時間移動なんて代物、いかに天才である私だったとしても、不可能の神の領域だ。だからこの手紙もフェイクだ、私を誘き寄せようとしている罠に違いないと思い、便箋をひっくり返し目を見開いた
「こ、これは……」
見間違える訳が無い。私と同じ筆跡にサイン、そしてマリア姫の紋章が確かに記されていた……
遠くに見える街に潜入する事を考えたのだが、言葉が通じない可能性と周辺に村や民家が無いので服を着替える事が出来ない。この2つの理由から私達よりも遥かに高速で移動出来るマリアさん1人で街へ向かって貰った。……のだが、昼を過ぎても帰ってくる気配が無い、ドクターカオス作のトカゲデンワにも連絡が無いので流石に心配になってきた……ドクターカオスがいるかもしれないから、探してみるとは言っていたけど……あんまり無理をしてないと良いんだけど……
「駄目ね。考え込むと悪い事ばかり考えちゃう」
ただでさえ悪い状況なのに、悪い事ばかり考えていたら気が滅入る一方だ。横島と美神さんの居る川の方へ歩き出す
「良し!チビ!電気ショック!」
「みむうううううッ!!!」
横島の力強い声とチビの鳴き声、そして放電音が響き渡り、感電した魚が次々に浮かび上がる。これで網があればと思った瞬間
「いっけーッ!!!」
横島の両手が淡く輝く霊糸で組まれた網が飛び出し、浮いている魚を包み込む。私はその光景を見て、思わず美神さんに
「横島の汎用性が半端無いんですけど?」
散歩中だったので眼魂はウィスプだけ、更にはシズクも居ない。チビ達はいるが横島の状況はかなり悪いと思っていたのだが、予想よりも遥かに柔軟で、そして幅広い対応力を横島は発揮していた
「……気にしたら負けだと思うわ」
美神さんも深く溜息を吐く、どうも私よりも先に横島の汎用性について考えて、そして考えるのを放棄したのだろう。横島は私と美神さんの沈んだ表情に気付かず、霊力の網で捕らえられている魚を嬉しそうに掲げ
「美神さん、蛍!昼食GETしたぜッ!!」
その弾ける笑顔に私も美神さんもお疲れ様と言うのがやっとなのだった……
「ほえ?なんで網に出来るかですか?」
タマモの狐火で焚き火を起こし、ブラドー伯爵から譲り受けたナイフで木の枝を削り、魚を焼いている途中で横島になんであんな事ができたのか?と尋ねる。私も美神さんも横島にそんな事は教えていないし、私も霊力の篭手は使えるがとてもでは無いが、あんな事は出来ない。横島は電気ショックで魚を気絶させてくれたチビと昨日から火を起こしてくれるタマモの背中を撫でながら
「いや、神宮寺さんが教えてくれたんですけど、出来て当然と思う事と想像力が形状変化に最も必要だって、だから出来るって思い込んだけ」
【私もフォローしたがな】
心眼がフォローしたとしても、想像力だけで霊力の形状を変化させる。そんな事が出来るのは霊能者の中でも横島だけだろう。圧倒的に知識が無いから、言われたら出来るという思い込みと柔軟な発想。多分私では絶対に出来ない芸当だ
「それよりも、はい。美神さん、蛍。魚焼けましたよ?塩ないから素材その物ですけど」
木の枝に刺されて焼かれた魚を受け取り頬張る。確かに塩が無いから味はぼんやりとしているが、今のこの状況で食事が出来るだけ本当にありがたい
「木苺でごめんな?」
ここら辺を歩き回り見つけた小さな苺をチビとうりぼーに与える横島。草食のチビは魚を食べる事が出来ない、小さな木苺を頬張り
「みむー♪」
「ぷぎゅ♪」
大丈夫だよと言う感じで鳴いているチビとうりぼーを見ると早くこの状況を打破したいと思うんだけど、妙案は何も浮かばない
「マリアが戻ったら移動しましょう。このままだと体力を消耗するばかりよ」
美神さんの言うとおりだ。10月だが、ここら辺は非常に寒い。この服装では危険かもしれないが、街に向かうべきだと思う
「大丈夫ですか?」
「なんとかなるって思うしかないわ」
不安そうな横島だが、このままこの場所で手を拱いていても、何も変らない。リスクがあっても行動するしかない。その為にはまず体力と空腹を満たす事が最優先だ、私は横島が焼いてくれている2匹目の魚へと手を伸ばすのだった……
「皆さん。お待たせしました」
昼食が終わった頃合で茂みを揺らしてマリアさんが帰ってくる。無事に帰ってきてくれたんだと思わず安堵の溜息を吐く、私も美神さんも破魔札や、神通棍は所持している。だが霊力に満ちたこの時代では出力が上がる代わりに、敵も強い。やはり早くゆっくりと休息できる場所を見つけるべきだ
「とりあえずマリアさんも少し休んでください」
見た感じでは疲労しているように見えないが、走り続け、更に見つからないように行動していたのだ。その精神的、肉体的疲労は相当な物だろう。人造人間だが、より人間と近い今。間違いなく疲労を感じているはず
「ありがとうございます、少し休憩させて貰います」
出発する前にマリアさん自身が切り倒し、用意してくれた木に腰掛けるマリアさん。少し休憩して貰ってサーモグラフィーとかで動物とかん人間の気配を探知して貰って隠れながらの移動になるか
「グルルルルッ!!!」
「プギュウッ!!」
マリアさんと合流して30分ほど経った時。今まで大人しくしていたタマモとうりぼーが急に起き上がり、唸り声を上げる。チビも放電して臨戦態勢だ
「チビ、タマモ……敵が近づいているのか?心眼、何か近づいて来てるのか?」
横島の言葉にバンダナに目が浮かび、チビ達が睨んでいる方向に視線を向ける。すると心眼もその声を強め警戒しろと言う
【何か近づいてくるぞ、速い……人間の動きじゃないぞ!警戒しろ、魔族かもしれんッ!!】
心眼の警告の声に立ち上がり、神通棍を構えかけたが、茂みから聞こえてきた声に神通棍を降ろす
「やれやれ、助けを求めておいて身構えられる上に魔族呼ばわりとはね……」
茂みから姿を現したのは、足に蒸気を放つ具足を身に着け、背中に鞄を背負った長身の男性だった。その男性の口が口にした、助けを求めておいての言葉に、私と美神さんがマリアさんを見るとマリアさんは苦笑しながら
「これほど早いとは思っていなかったので、伝えておりませんでした。ドクターカオス」
「「「ええええ~~~ッ!?!?」」」
目の前にいる男性と自分達の知っているドクターカオスの姿がどうしても合致せず、森の中に私達の驚愕の声が響き渡るのだった……
リポート15 変る未来 その3へ続く
若いドクターカオスとブラドーのうち、先にドクターカオスに遭遇しました。次回はブラドーと遭遇まで書いて行こうと思います
なお今作の横島君は人を信じやすいので、普通は出来ないとんでもないことをしていますがライダーにならなくても、汎用性UPと言う事でご理解していただければ幸いです。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
-
サイドまたは視点は必要
-
今のままで良い