GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は横島の視点から入って、ブラドー&カオス。美神&蛍の視点と続けていこうと思います

現代よりは弱いこの時代のガープですが、それでも圧倒的な強者ですし、反撃禁止のブラドー&カオスは普通に詰み。マリアはソフィアの護衛で動けないとかなり不利な条件でのバトルになりますが、今回の更新もどうかよろしくお願いします


その5

 

リポート15 変る未来 その5

 

ピートとシルフィーちゃんの救出作戦の案を組み上げるまで3日の時間が掛かった。その内2日はマリアによる、城の見取り図作成と周囲の地図を作る事だった。では2日間俺達が何もしてなかったというとそうでは無い

 

「東洋魔術か、興味深いことだ」

 

「いや、俺全然詳しくないんですけどね」

 

そうなのか?と尋ねてくるブラドー伯爵。俺は陰陽術は使えるが、知識不足がかなり大きく響いている。

 

「そこ文字を間違えてるわ、集中して」

 

「は、はい!」

 

美神さんの注意にしまったと思いながら、手にしている筆に意識を向ける。この時代では破魔札や、防御札の入手は難しいと言うかまず無い。と言う訳で俺が追加で書き足すことになった

 

【良し、いい調子だ。ゆっくりで良いぞ】

 

心眼の助言と美神さんの言葉を聞きながら、額に汗を浮かべながら札を書き上げる

 

「よし、それをこっちに回せ」

 

「はい、お願いします」

 

そして俺が書き上げた物を蛍とカオスのじーさんの2人で更に術式を加え、俺の未熟な札作成を補ってくれる

 

「ふー……」

 

書き上げたのはたったの10枚。それでも疲れて、背もたれに背中を預けて溜息を吐く

 

「はい、お水よ。大丈夫?」

 

「大丈夫っすけど、これなんかすっごい疲れます」

 

文字を書いているだけなのだが、疲労感が凄まじい。失敗が許されないという緊張感による物だろうか?

 

【文字を書くときに霊力を消費している。だから疲れるんだ、そもそも札系が高価なのは手書きによる物だからだ】

 

心眼の言葉にあれ手書きだったんだと呟くと、美神さんは違うわよ?と笑う

 

「安い廉価版はインクだけ特別な物にしてるのよ。高い奴は手書きで、しかも札自身も清めてる。値段にすれば10倍くらい差が出るわね」

 

「へーそれじゃあ、俺がこれを作って売れば美神さんの道具を買うのも楽になります?」

 

道具が高いとぼやいているのを良く聞いているので、軽い感じで尋ねると美神さんの顔が一気に険しくなった

 

「横島君、それだけは絶対にやっちゃ駄目よ?札系の霊具は陰陽寮って言う所が取り仕切っているんだけど、利権にうるさいのよ。もうそれしかとりえの無い組織と言えるし、それこそ裁判沙汰になるわ。だから絶対にやったら駄目」

 

陰陽札は技術は喪失してるから問題ないけど、他の札はその9割が陰陽寮の元で作られている。残りの1割も六道家が主導だから、文句を言わないが、ポッと出が商売に使おうとすれば大騒ぎになると教えてくれた。そして今回が特別なのよと言う言葉に俺は引き攣った声で判りましたと言うのがやっとだった。こんなに鬼気迫る表情をするのは初めてだったかもしれない

 

「お、お待たせしました、見取り図が書き上がりました」

 

奥の部屋で見取り図をかいていたマリアがやってきて、机の上に地図を広げる。地下もあるし、塔もある。非常に広い地図だ

 

「じゃあ、やってみます」

 

「頼むぞ」

 

ブラドー伯爵から差し出された羽根ペンを地図の上に置いて、ペンデュラムを手にする。地図の上をゆらゆらと動き回るペンデュラム……そのペンデュラムを徐々に徐々に下から上に向かって移動させていく

 

「地下じゃないのか」

 

カオスのじーさんの声が遠くに聞こえる。ペンデュラムを通じて、何かが伝わってくるのだが、何かノイズが混じっていて上手く感じ取れない。意識を集中させて、そしてゆっくりと地図の上を滑らせていく

 

(マリアが頑張ってくれたんだ、絶対に見つける!)

 

マリアの頑張りを無駄にしたくない、そう思いペンデュラムを動かす……だが城の何処にも反応がなく、駄目なのかと思った時。ペンデュラムに大きな反応があった。俺の手を引っ張るような強烈な反応

 

「ここ!ここです!」

 

ペンデュラムが回転したのは城の外れの方にある塔の中腹だった

 

「私は行った事が無いな。ブラドーここは?」

 

「兵士の装備が備蓄されている塔だ。とは言え、もう10年近く使うことは無かったらしいが」

 

兵士の装備の備蓄……そんな人気の無い所に居る、子供の時のピートとシルフィーちゃんを早く助けてあげたいと思った。ブラドー伯爵も同じ気持ちだと思ったのだが

 

「無事ならばいい、計画と装備を整えよう」

 

そのまさかの言葉に顔を上げたが、ブラドー伯爵を見て反論する気はなくなった。口元を引き絞り、拳を震えるほど握り締めている姿を見れば何も言える訳が無い

 

「準備と作戦は出来るだけ早く立てる、もう少し待っていてくれ」

 

今出来るのは無闇に行動することでは無い。安全と相手の手を予測する事だと言うカオスのじーさんとブラドー伯爵を筆頭に作戦を立てること

 

「幸いと言うべきか、この周辺諸国にはバチカンなどの神族の駐在所が多い。暴れていれば様子を見に来る者は必ず居る」

 

「守護天使とかね、確かにそうね」

 

駐在所……妙神山みたいな場所の事を言うのだろうか

 

「でも、ガープが対策をしていないとは思えないんですけど」

 

「そこは横島の持っている。トカゲデンワ、あれで戦いを記録する。お前達の記録が神魔の元に残るが、そうしなければブラドーが犯人に仕立て上げられてしまう」

 

Gパンのポケットからトカゲデンワをカオスのじーさんに渡す。これで戦闘の記録は作れる、ブラドーの無罪を証明する事になるだろうと笑う

 

「鬱陶しい輩だ、暴れても自分に被害が出ないようにしている辺りが実に悪辣だ」

 

忌々しそうに言うブラドー伯爵。でも事実その通りだと思う、養父とお嫁さんを助けようとして、自分が犯人にされては堪ったものじゃないだろう

 

「じゃあ徹底的に耐久ってことになるのかしら?」

 

「攻撃よりも防御に重きを置くつもりだが、それもどこまで通用するか」

 

「相手はソロモンの魔神。最上級神魔だからな」

 

対策は用意するが、それでも何処まで通用するか判らないというブラドー伯爵とカオスのじーさん。その深刻な顔を見て、ガープと言う存在がいかに強大なのかと言うのを改めて思い知らされたのだった……

 

(くそお!途中までは成功だったのに!!)

 

背中に子供の時のピートとシルフィーちゃんを背負って長い廊下をひたすら走る。2人が怖がるからと心眼はバンダナに現れずに、俺の頭の中に直接声を掛けてくる

 

(やはり懸念していた通りだ。ここの塔全体に魔力が流されているぞ)

 

そうなるだろうと予測していたが、実際にそう言われると不味い状況になってきたと思わず舌打ちする。ピートとシルフィーちゃんの羽ペンと城の見取り図で2人のいる場所は判った。言うまでも無く、監視されている筈だ。そしてカオスのじーさんとブラドー伯爵、そして美神さんと言う3人の頭脳派が出した作戦は美神さん達が敵陣の真ん中に突っ込み、俺とうりぼー達による強襲と即時離脱。その後美神さん達と合流するという計画だった。だがそれはいきなり大きく躓いた、カオスのじーさんとブラドー伯爵の用意してくれた結界を砕くナイフ。これが不発だったのが大きく響いている

 

(時間を掛ける訳には……ッ!)

 

美神さん達の方に合流しないといけないのに、この塔に隠されていたギミックが作動したとなると思うように移動は出来ないだろう

 

「横島!こっちは駄目ッ!!」

 

「タマモ!?どういうことだ!?」

 

入り口を護っていたタマモが階段を駆け上がってくる。俺だけでは当然不安が残る、だから精霊石で人化して貰ったのだ

 

「鎧とか全部ガーゴイルよ!下から順番に動いてる!!上から外に出るしかないわよ!?」

 

ずいぶん鎧とか多いよなっと思っていたけど、兵士の装備の備蓄庫だからかなって思ってたけど、それ自体が悪魔かよ!舌打ちしながら

 

「大丈夫だから!絶対大丈夫だからッ!」

 

背中で震えているピートとシルフィーちゃんに大丈夫だを声を掛け、俺は下に続く階段ではなく上に続く階段を駆け上がる

 

「うりぼー!ビーム連打ぁッ!!!チビ電気ショックッ!」

 

「ぴぐぴぐーッ!!!」

 

「みむうううッ!!!」

 

階段の上でも動き出した鎧に不味いと判断し、うりぼーだけではなく、チビにも攻撃の指示を出す

 

「横島、上は上で危険だけど、下よりかは安全だと思うわよ!狐火ッ!!」

 

壁に立てかけられた絵画から飛び出てきた悪魔にタマモが炎を叩きつけ、焼き尽くす。炎の横を通り過ぎ、そのまま上へ上へと走る

 

(くっそお!美神さん達は大丈夫なのか!?)

 

俺でさえこの有様だ。美神さん達は大丈夫なのかと言う心配が頭を過ぎるが、今は自分の事を何とかするしかない。俺はひたすらに足を動かし階段を駆け上がり続けるのだった……

 

 

 

 

 

目の前を過ぎる銀の閃光に舌打ちしながら後退する。切り落とされたマントが邪魔なので、そのまま脱ぎ捨て拳を握る

 

「おい、カオス。洗脳解除の道具とかは無いか」

 

「あったら使っているッ!!」

 

それは道理か……尋ねるだけ愚問だったか。ガープによって操られているノアは老人とは思えない速度と破壊力で矢継ぎ早に剣撃を繰り出してくる。神官によって刀身を洗礼されたその剣は我にとっては致命的な一撃を与え、無論カオスにも大ダメージを与える品だ

 

「さぁ?どうしたのです?私を殴るんじゃなかったのですか?」

 

「ちっ!詠唱時間が短い!」

 

「遠距離も駄目、近距離も駄目!本当に化け物ッ!」

 

ガープの魔術に美神と蛍も思うように動けていない。詠唱までのタイムラグが短すぎる……あのレベルとなると最高位レベルだ

 

(ちっ!この分けは失敗だったかッ!)

 

我が美神か蛍と組んでいれば、完全とまでは言わないがある程度はガープの魔術を無効か相殺が出来ただろう。そして美神か蛍のフォローが出来た。そしてそれは逆も然り……養父だから我が止めたいと思った。その心情すらも完全にガープの手の内だったのだろう

 

(ノア……ソフィア……)

 

我の宝が今同時に失われようとしている。それだけは、それだけは防がなければならない……

 

(命に代えても……ッ!)

 

未来の我から綴られた手紙には我はカオスと相打ち同然に破れ、失意のままブラドー島に戻り。島を封印する眠りについたと……ノアはその後ソフィアの後を追うように病死……それすらもガープの呪だっただろう。我の家族をめちゃくちゃにしたガープを許す事は出来ない

 

「ノア!我の声が届かないと言うのかッ!!返事を返してくれ!!!」

 

「……ッ!」

 

光を灯さない目で我を睨みつけるノア。それは我が見たことの無い目だった……凄まじい踏み込みと共に振るわれた銀の剣。ノアの目に威圧され反応が遅れた

 

「くっ!何をしている!呼びかけるにしてもまずは無力化してからだろう!」

 

カオスが割り込みノアの剣を弾き飛ばす。だがノアはそんなことをお構い無しに腕を伸ばし

 

「がっ!ぐうっ!?」

 

カオスの首を締め上げ、床に叩きつける。カオスが叩きつけられた場所が蜘蛛の巣状にひび割れる。それはとても人間に許された膂力ではない、その証拠に攻撃したノア自身も指があらぬ方向に曲がっていた

 

「これは何事ですか!?」

 

「セバス!来るなッ!」

 

騒音でセバスや衛兵がソフィアの部屋に雪崩れ込んで来て、ガープの姿を見て絶句する

 

「最上級神魔だ!ノアはあいつに操られ、ソフィアは呪われたッ!!」

 

ガープの使い魔は蝙蝠だ。我が吸血したと思わせ、蝙蝠でソフィアに呪をかけていた

 

「ノア!止めろ!」

 

カオスに止めを刺そうとしていたノアの後ろに回りこんで羽交い絞めにする。だがその圧倒的な力は我を簡単に弾き飛ばし

 

「ごはっ!?」

 

腹に肘打ち、そこから剣のなぎ払いが振るわれる。命中する寸前にヴァンパイヤミストで霧化し、床に叩きつけられていたカオスと共に距離を取る。我とカオス、そしてノアとガープを交互に見ている衛兵に向かってカオスが叫ぶ

 

「私はスイス領の領主の娘!マリア姫の騎士!カオスだ!私が証言する!ブラドー伯爵は私達の味方だ!!お前達では何も出来ん!城の人間と共に避難せよ!!」

 

スイス領の領主の娘の騎士。その地位にある人間の言葉に衛兵達はやっと我の言葉を信じたのか、背を向けて走り出す

 

「お前、騎士の称号を持っていたのか?」

 

「まだだが、私もお前の言葉も信じないだろう?ならばそう名乗るが得策だったという事だ」

 

ニヤッと笑うカオスだが、直ぐにその視線をノアに向ける。壊れた人形のようにこっちを見つめるノアの顔は青白く死人のようだ

 

「このままではノアは死ぬ。その前に取り押さえなければ」

 

「取り押さえると簡単に言うがな、ノアの力は我とお前よりも上だぞ」

 

ノア本人ではなく、ガープの術で強化されているノアが強すぎるのだ。文字通り命を削り、振るわれる一撃は我とカオスの命を刈り取るには十分すぎる代物だ。マントの中に手を伸ばす、美神から借り受けた精霊石……これを使えばノアの動きは封じれる。だがさっき羽交い絞めにした時は強引に拘束を振り解いた……精霊石で閉じ込めたとしても暴れ、そして自らを傷つけるかもしれない

 

「カオス、なんとしてでもノアの意識を呼び戻す」

 

「……私は反対だ。手足を折り、拘束することを提案する」

 

カオスの提案は至極当然の事だ。我だってそれが正解だと言う事は判っている

 

「それは承知だ。だが我はそれをしたくない」

 

我は伯爵と名乗っているが、伯爵と言う名を授けてくれたのはノアだった。更に言えばある満月の晩に偶然であったのがソフィアであり、強引に我をここまで連れてきた。そして我はこの城で人間の知恵を、知識を、常識を学び。伯爵と言う地位とブラドー島を得た

 

「我はな、孤独だったのだ」

 

始祖は地球や、抑止力が生み出した存在だ。適度に災害を起こし、人間を間引く。そのための英知と術は得ていた。我は最初からこの姿であり、何百年も生きた。たった1人で生きる事が当たり前だと思っていた。それを変えてくれたノアとソフィアを失いたくないのだ

 

「我は家族を、友を得た。我はその恩人であるノアを傷つけたくは無い」

 

始祖の吸血鬼がずいぶんと甘い事を言うとカオスは笑ったが……

 

「その甘さは嫌いじゃない、そこまで言ったんだ。ノアの意識を呼び戻せ」

 

「言われるまでも無いッ!」

 

地面を蹴りノアに向かって走る、孤独だった我が手にした宝……それを奪われる訳には行かない

 

(なんとしてもこの手に取り戻す)

 

ソフィアもノアもガープの思い通りになどさせてたまるか、絶対にこの手に取り戻す……ッ!!

 

 

 

 

城の床を転がりガープの魔術を回避し、思わず舌打ちをする。魔術と魔術のラグが短い……高速詠唱、いや、あれは神速詠唱とでも言うべきものだ

 

「どうしたのかね?私を殴るのではないのかな?」

 

私はここから動いていないぞ?と挑発してくるガープ。殺そうと思えば私も美神さんも死んでいる、それでもまだ生きているのはガープが私達を嬲り殺しにするつもりだからだろう

 

(何とか逆転の一手を……)

 

詠唱までのタイムラグが無く、遠距離・中距離ではまず勝機は無い。更に言えば近接を挑んでも白兵戦に無詠唱の魔術を組み合わせている……打撃の威力は耐えれるのだが、追加のその魔術が厄介すぎる

 

「来ないのならこっちから行くぞ」

 

ガープの口元が動き、ガープの正面に6つの魔法陣が展開される。それを確認するよりも早く地面を蹴ってガープからの距離を取る

 

(駄目だ。距離を詰められない!)

 

圧倒的までの戦力差。無詠唱の魔術と打撃の方がまだ対処出来る、火球と氷の飛礫を防御符で弾き、分断された美神さんの方へ走る

 

「蛍ちゃん。まだ防御符残ってる!?」

 

「あと3枚です!」

 

魔法の余波だけで弾け飛ぶ防御符。用意した中では最高級品だと言うのにガープの魔術は耐えれないのだ、30枚あった札はもう殆ど残っていない、それに横島が作ってくれた物も残り少ない。美神さんは私は後1枚だわと言うので、3枚のうち1枚を手渡す

 

(距離を取ったら私達じゃ対処出来ないです)

 

(悔しいけど、その通りね)

 

防ぐ事も出来ない、避けても致命傷になり兼ねない。もし私ではなく、ブラドー伯爵ならば相殺もしくは威力の軽減は出来たかもしれないが、それはかもしれないだ。ブラドー伯爵の魔術でも相殺出来ない可能性もある

 

(距離を詰めて打撃に警戒しかないと思うんですけど、どう思いますか?)

 

美神さんも同じ意見なのか、リスクしかないけど、距離を詰めない事にはこのまま押し切られる。リスクは覚悟の上、それでも前に出るしかない。私と美神さんは同時に地面を蹴りガープへと駆け出す

 

「玉砕覚悟かね?だが無駄だ」

 

地面を走る電撃に同時に防御札を翳す。数秒防御札が耐えたが、一気に黒くなる。だがその数秒で十分だった、防御札の横を駆け抜ける

 

「ほう……」

 

ガープの馬鹿にしたような呟きが聞こえるが、それは気にならない。少しでも当たれば死ぬ、その緊張感は極限の集中状態にはいるには十分な切っ掛けだった……全てギリギリで回避し、神通棍も1本犠牲にし、最後の防御符と精霊石のイヤリングでガープの魔術を防ぎ、ガープに手が届く範囲まで飛び込む

 

「ふむ。ここまで来たか、ダンスでも踊るかね?マドモワゼル?」

 

両手がこれでもかと怪しく光るガープ。ダンスはダンスでも死のダンスとか言うのだろう

 

「お断りよッ!」

 

予備の神通棍を取り出し、それを伸ばしながら殴りかかる。美神さんも同時に振るっているので、挟み撃ちの形になるがガープは周囲に展開したバリアでそれを完全に防ぐ

 

「人間では私に傷をつけることなど「だーらっしゃああああッ!!!」ぐっふうっ!?」

 

私には効かないと自慢げに言おうとした瞬間。ガープの横の窓が砕け散り横島が飛び出してきて、顔面に蹴りを入れてガープを吹き飛ばす、それから遅れてタマモも窓からスカートを抑えて飛び込んでくる

 

「横島君!?」」

 

「横島ッ!?」

 

なんで窓から!?とかガープになんでダメージをとか、色んな疑問は残るが……大きな問題が生まれてしまった

 

「このに、人間風情がぁッ!!!よくも、この私の顔を足蹴にしてくれたなあッ!!!」

 

今まで余裕と言う素振りでこっちを挑発していたガープがマジ切れしてしまった。と言う最悪な展開になってしまったのだ……だが横島は横島で

 

「やっとあの無限階段を脱出できたぞッ!!!……あれ?美神さん?蛍?……ここどこ?」

 

「脱出は出来たけど、とんでもない事になっちゃったかもしれないわね……」

 

どうもガープの罠に嵌っていたのか、背中にピートさんとシルフィーさんを背負ったまま、周囲をきょろきょろと見回していたのだった……

 

 

 

 

背中にピートとシルフィーちゃんを背負ったまま、俺は困惑していた。あの後階段をひたすら登り続けていたのだが、何時まで登っても頂上に着かない。うりぼーとチビも攻撃する気力が無くなり掛けていた頃

 

【無限通路かもしれない】

 

一定の距離を進むと元の場所に戻される罠だと心眼が説明してくれた、なんつう厄介な罠を……

 

「タマモどうしたらいいと思う?」

 

このままではいつまで経っても美神さん達と合流出来ない。タマモに何かいいアイデアは無いか?と尋ねるとタマモは窓を見つめて、覚えてる?って尋ねてくる

 

「覚えてるって何を?」

 

「美神の所に入社するときの試験」

 

……あ、ああ!あれか!レギオンとかいうやつが出てきた奴!覚えてるというとタマモは窓の外を指差して

 

「あの時と同じか賭けるつもりはある?」

 

塔の中は無限通路。外までは同じとは言い切れないけど、何か仕掛けがあるかもしれないとタマモが言う

 

【しかしリスクがある。全く別の場所に跳ばされたらどうする?】

 

「でもこのままだと、消耗してガーゴイルに殺されて終わりよ?それとも美神達が助けに来るまで逃げ回る?」

 

それも1つの手段だけど、全滅する可能性は高いわよ?とタマモが断言する。それは俺も判っている、チビとうりぼーが奮闘してくれたが、いつまでも持つ物じゃない。打破できるかもしれない以上やってみる価値はある

 

「お、お兄さん。止めたほうがいいと思うよ」

 

「う、うん……私達は大丈夫だけど、お兄さんは死んじゃうかもしれないよ?」

 

シルフィーちゃんとピートが止めた方がいいと言う。確かにその通りだろう、ピートやシルフィーちゃんならこの高さから飛び降りてもしにはしないが、俺は死ぬ。それは間違いないだろう

 

「いざとなれば、私が変化して掬いあげるわ」

 

「ありがと」

 

横島に死なれたら困るものと笑うタマモにもう1度ありがとうとお礼を良い、小さくなっていたチビとうりぼーをポケットに入れて

 

「シルフィーちゃん、ピート。まぁ確かに君達の言う通りだと思うけど、このままじゃ駄目なんだ。だから俺はここから飛び降りる」

 

顔色を変えるピートとシルフィーちゃん。俺を心配してくれているのがよく判る……

 

「やらないで後悔するなら、俺はやって後悔する」

 

あの時ああしていれば、こうしていればと思うくらいなら、やって後悔したい。やらないで後悔するなんて真似はしたくないのだ、ピートとシルフィーちゃんの頭を撫でてからもう一度背負う

 

(あ、やっぱ怖い)

 

駄目かもしれないという恐怖が首を持ち上げるが、ここで怯えて動かなかったら結局死ぬのだ

 

「しゃあ行くぜッ!!だーらっしゃああああッ!!!」

 

自分を鼓舞する為にそう叫びながら窓から飛び降りたのだ……俺は目の前で激怒しているガープを見て

 

(どうしてこうなった……?)

 

やらないで後悔するなら、やって後悔する。それは間違いない、だが何故飛び降りた先にガープがいるんだ……俺か?俺の運が悪いのか?……いやいや、まずあの塔を脱出できたんだ。それでよしとするべきなんだ……

 

(タマモ、ピート達を頼む)

 

(……無理しないでよ?他の眼魂も無いんだから)

 

俺の考えている事を理解してくれたタマモがチビ達とピートを連れて離れていく

 

「消え失せろッ!」

 

「行くぜウィスプ!」

 

ガープが火球を放つのと俺がウィスプ眼魂のボタンを押すのはほぼ同時だった。美神さんと蛍の悲鳴が重なるが

 

「美神さん!蛍!フォローお願いしますッ!」

 

俺には正直魔法なんて言われてもそれを判断する知識が無い。魔法に関してはウィスプの防御力が高いので、ある程度は無効化出来る。だから俺が近接を勤めるから二人にフォローをお願いしますと叫ぶ

 

【イッヒッヒーッ!!!】

 

そしてウィスプは炎の中で大きく回転し、ガープの炎を弾き飛ばす。楽しそうに笑っているが、パーカーの裾が少し焦げている事は言わない方が良いんだろうな……多分

 

「なんだそれはぁッ!!!」

 

ウィスプを見て驚愕しているガープ。確かにこれは所見では動揺するよな、とは言え、答える義理は無いけどな!

 

【アーイッ!シッカリミナー!シッカリミナー!】

 

「変身ッ!!」

 

ガープの炎を弾き飛ばし、空中で踊っていたウィスプが反転し、一気に降下してくる

 

【カイガン!ウィスプ!アーユーレデイ?】

 

【イヒヒー♪】

 

「行くぜ!ウィスプ!」

 

空中でハイタッチすると、もう慣れてしまったノッペラボウの姿に変る。そしてパーカーに変形したウィスプが被さる

 

【OK!レッツゴーッ!イ・タ・ズ・ラ!ゴ・ゴ・ゴーストッ!!!

 

フードを取り払い、拳を掌に打ち付ける。カオスのじーさんとブラドー伯爵それに、ピートとシルフィーちゃんに母親のソフィアさんに、祖父のノアさん……色んな人の気持ちを踏みにじったガープ

 

「何度だっててめえの顔を殴ってやるッ!」

 

こいつだけは絶対に許せない。許す事など出来る訳が無い、俺は拳を硬く握り締めガープへと駆け出すのだった……

 

 

 

痛む身体に顔を顰めながらベッドから体を起こすと私を護ってくれているマリアと言う人が駆け寄ってくる

 

「いけません、ソフィア姫。動いては命を縮める事になります」

 

命を縮める……か。確かに普通ならこのまま動かないで、終わるまでじっとしているのが正しいのよね

 

「マリアさん、私の愛しい方と息子と娘が必死にお父様に声を掛けているの……私はここでじっとしてはいられないわ」

 

ガープと言う悪魔に操られていると言う父。そしてそんな父に負けるなと声を掛けるブラドー様と、そんなブラドー様に抱えられ、おじい様と声を掛けているピエトロとシルフィー……家族があんな目に合っていると言うのにじっとなんかしていられない

 

「ソフィア姫」

 

「マリアさんにも大事な人が居るなら私の気持が判るはず。お願い、私を連れて行って」

 

私も加わればもしかしたらお父様にも声が届くかもしれない、それにこのままじっとなんかしていられない。お願いだから、連れて行ってとお願いするとマリアさんは判りましたと頷き

 

「ただし、命の保障は出来ませんよ?」

 

「覚悟の上です」

 

どの道ガープと言う悪魔を退ける事が出来なければ、私はあの悪魔の呪いで死ぬ。早いか、遅いかの違いならば、恐れることは無い……

 

(ほんの少しの可能性でも、それに賭ける事が出来る)

 

お父様とブラドー様の戦いなんて見たくない、だから少しでも止める事が出来る可能性があるのなら……私はそれに縋りたい……家族を救う為ならば……私は命を賭ける事が出来るのだから……

 

 

次回仮面ライダーウィスプは!

 

「くっ!やっぱり!強い!」

 

美神と蛍の代わりに前衛に入った横島だが、やはりガープの圧倒的な実力の前に徐々に、徐々に劣勢へと追い込まれていく。そしてノアと対するブラドー達も

 

「ノア!我の声は……届かないのか!?」

 

「「おじい様!」」

 

「くっ……これ以上は耐えられんぞ!?」

 

必死にノアの洗脳を解こうとするブラドー達だが、その声はノアへと届かない

 

「お父様……私の声も届かないのですか?」

 

マリアに背負われ、ソフィアがノアへの説得に加わった時。ノアに僅かな知性が戻る……

 

「人形は人形らしくしていればいい」

 

ガープが指を鳴らした瞬間ブラドーを狙い、地面から血の槍が飛び出す

 

「ノ……ア……何故だ!?何故我を庇った!」

 

串刺しにされるはずだったブラドーを庇ったのはノアの姿だった

 

「貴様ああああああッ!!!!」

 

「吼えるなよ。全てはお前が撒いた種だ」

 

激昂するブラドーだが、怒りを持ってしてもガープには届かず、反撃に放たれた一撃でブラドーは倒れる

 

「ブラドー伯爵、俺じゃああいつを倒せない、貴方でも勝てない。俺に力を貸してくれないか」

 

ガープの一撃で吹き飛ばされた横島がブラドーに差し出したのは、白い眼魂

 

「力を貸せば……勝てるか?」

 

「……1人で無理なら、2人なら」

 

横島の提案に悪くないと笑ったブラドーは横島の手を握り、白い眼魂の中へと吸い込まれていく

 

【カイガン!ブラドーッ!純潔貴族、吸血鬼族ッ!!】

 

「俺は/我は……お前を……許さないッ!」

 

 

 

リポート15 変る未来 その6へ続く

 

 




次回はブラドー眼魂を過去で入手です。久しぶりに追加眼魂です、小竜姫とメドーサは没収されましたからね。次回はブラドー眼魂の能力を書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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