GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回でガープとの戦いは終わりまで書いて行こうと思います、ブラドー魂がどんな強さを発揮するのか?そこを楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その6

 

 

リポート15 変る未来 その6

 

なんだこの男は……振るわれた拳を手で弾き。そのまま後退する、私の顔を蹴った人間の姿が変った……それはいい、それは良いのだが……

 

(なんだこいつ……)

 

霊力だけじゃない、神通力に妖力に魔力……複数の力が混じっている……なんだこの奇妙な男は……これだけ混ざっている。本当に人間か……?

 

「なろおッ!」

 

打撃では届かないと判断したのか、男がベルトに手を翳すとそこから剣が現れる。それを見て舌打ちしながら、距離を離そうとしたが

 

(こいつらチームかッ!)

 

そうはさせないと放たれた矢を防ぐ為に立ち止まってしまう。私と戦っていた2人組みの女、2人とも中々の霊力の持ち主で息も合っていたが、この男と組むと格段に動きが良くなった。それは本来はこの3人で1チームだという証……

 

「せやぁッ!」

 

「ええいっ!うっとうしいぞッ!!」

 

型も何も無い我流の剣術と体術だろう。それなのに脅威となっている、私の本能が悟っているのだ。この男の打撃を受けてはいけないと……もっとも安全なのは距離を取っての魔術だろうが、この男も馬鹿ではない。距離を開けられないように、計算して立ち回っている

 

(ならばッ!)

 

詠唱している時間は無い。魔術師としてのプライドが許さないが……今はコレしかない。魔力を放出する、技でも、魔法でもない。単純に膨大な魔力を放出するだけだ。だが私の力量になればたったそれだけの事だったとしても

 

「うわぁ!?」

 

魔力によって発生した風と衝撃で剣を振るおうとしていた男の体勢が大きく狂う

 

(ここだッ!)

 

今が好機!そう判断し一気に間合いを詰め、男の胸に手を当てる。手に返ってくる感触は見た目のとは違い霊力か何かで生成された何かと言う感じだ

 

「「精霊石よッ!」」

 

「遅いッ!」

 

私とあの男を分断しようと精霊石を投げ込んでくるが、もう遅い。数秒の詠唱と溜めによって増幅された私の魔力が魔術としての形となり目の前の男を吹き飛ばす。だが空中で体勢を立て直し、強引に着地する。着地する前の数秒の動きを見て、思わず私は感嘆の声を上げた

 

(霊力の壁を作り上げたのか)

 

空中で霊力の壁を作り、それを蹴って体勢を立て直した。あのベルトが恐らく強力な道具なのだと思うが、その道具に頼り切った戦術ではない。本人のセンスも素晴らしいと言わざるを得ない

 

(あれは欲しいな)

 

始祖の吸血鬼ブラドー。本来の調停者としての役目を捨て、人間のように生きる事を選んだ愚かな吸血鬼。その身辺を、その家族を奪う事で本来の血に飢えた吸血鬼としての側面を呼び戻すつもりだった。そんな簡単な些事で来たのに、いざ蓋を開けてみれば優秀な素材がこれほど揃っているとは、誰が想像しただろうか

 

「私は確かに人間界では十分に力を発揮出来ない」

 

霊界チャンネルで神魔の力は大きく束縛される。それはこの私も例外ではない、今はその束縛から逃れる術を研究しているが実用段階になるのはもっと先だろう。

 

「だがお前は積極的に攻めてこない、その理由を当てて見せようか?」

 

仮面の男……いや、その背後の2人に声を掛ける

 

「この周辺はバチカンなどの神の国と近い国が多いな、確かにその国には守護天使や駐在している天使もいるだろう」

 

ほんの僅か、ほんの僅かだが動揺の色が走る。

 

「だがそれを私が把握していないと思うか?答えは否。そんな事は100も承知、だから私は噂をばら撒いた、吸血鬼がこの城にいると」

 

人間は何を馬鹿なと言うだろう。だが人間で無ければどうだ?そう、例えば神族。私がそう問いかけると女の顔色が変わった

 

「そう神魔は承知している、この国に、この城に、最上級神魔と匹敵する力を秘めた吸血鬼が居ると。そして仮に強大な魔力が発せられていても、それを脅威と、魔族が現れていると考える物がどれだけ居るかな?ああ、あの国には始祖の吸血鬼が居るからか、それで済むとは思わないかな?」

 

私の言葉に全員の顔が引き攣る。この周辺の国の守護天使や天使は決して勤勉とは言えず、職務にも誠実とは言えない。だから

 

「だから私はこの国を選んだ。神魔の横槍が入らない国としてな」

 

始祖の吸血鬼に制裁を与え、本来の役割を思い出させる。それが私の目的、だが邪魔をされ、神魔に私達が暗躍していることを知られては、計画の変更が必要となる。そんな極めて初歩的なミスを私がするわけが無い、バチカンから再三警告を受けても、この国には吸血鬼など居ないと言い張ったノアという存在自体も神魔が動かない理由となる

 

「つまりお前達が期待している増援等はありえないと言う事だよ。さて……と、ここから魔術師ではない、魔法剣士としてお相手しよう。人間よ」

 

「うっ……」

 

虚空から杖と剣の役割を持つ剣を取り出し構える。私は本来は剣士ではないし、こうして表に立って戦闘することも嫌いだが……そのような自分の好みで優秀な研究材料を見逃すような真似はしない、私が剣を構えるのを見て呻く男。やはりこの男は見た目の戦闘力からは想像できないが、直接戦ったことは少ない。私のような素人剣士の構えに威圧されているようでは間違いない。後は適当な自動発動の魔術を2つ起動させれば、女の方も分断できる、そうなれば後は作業をするような手軽さで制圧できるだろう

 

(ブラドーの方には既に仕掛けを施している)

 

だから一々気に掛けるまでも無い、今は目の前にいる優秀な研究材料だ。ここで見逃すには惜しい逸材をこの手に捕らえる、そしてより優秀な素材を手にする方がよっぽど重要だ。私は心の中で笑みを浮かべた、ブラドーの方に仕掛けた罠が起動した時。こいつらがどんな反応をするか……想像するだけで心が震える。私は数分先に起きるであろう惨劇に心を馳せながら、その手に剣を握り締めるのだった……

 

 

 

 

 

私は舌打ちしながら、マントの中に手を伸ばした。そこに収められているのは私が直接作成した最高レベルの防御符

 

「ブラドー!もう残り数枚しかないぞ!」

 

ブラドーの意思を尊重し、ノアの意識を取り戻す。その事に協力してきたが、札が尽きればこれ以上の耐久戦は不可能だと叫ぶ

 

「判っている!ノア!頼む!我の話を聞いてくれ!いや、我だけじゃない!ピエトロとシルフェニアもいるのだぞッ!?本当に判らないのかッ!」

 

「おじい様。僕が、シルフェニアが判らないのですか……」

 

「おじい……様……嘘ですよね?」

 

横島は自分の仕事を成し遂げた。監禁されていたブラドーの息子と娘を無事に救出してきたのだ、ブラドーだけではと思っていたが、これでもしかしたらと思ったのだが思ったよりも効果は出ていない

 

(もしやノアの自我はもう完全に死んでいる?)

 

精神は既に死に、肉体だけが生きている。その可能性が脳裏に浮かぶ、そしてその可能性はかなり高いだろう。神魔が人間の意志を残す事に意味を見出すとは思えないからだ

 

「考え事は後!あの3人を護るのが最優先なんでしょ!」

 

後から蹴りを入れられ、思考の海から引き上げられる。妖狐のタマモ……横島が連れていた子狐だが、精霊石の霊力で人化している

 

「あーもうっ!こういうのは得意じゃないんだけどッ!」

 

文句を言いながら手を叩きつけると、ブラドー達の前で地面が盛り上がり、ノアを剣を横に逸らす。苦手と言っておきながら、その能力の汎用性、そして発動までの時間。その全てが非常に優秀だ、横島は直ぐ人を信じるが、それでは良くないと斜に構えているのがタマモなのだろうと思っているとマリアがソフィア姫を背負い精霊石の結界から出てくるのが見えた

 

「マリア!お前何をしている!?」

 

ソフィア姫まで危険にさらしてどうする!?と叫びながら防御符を飛ばす、マリアはその間に私に駆け寄ってきて

 

「カオス様。マリアさんを責めないでください。これは私の意思です」

 

どうせ死ぬのならば、家族の為に命を賭けると決意をした私の意思を尊重してくださいと、穏やかな口調だが、強い意志が込められたその眼に圧倒される。それはマリア姫とは違う、女帝と言うべき風格……その威厳に思わず退いてしまった。私の半分も生きていない、女性の威圧感に完全に圧倒されてしまったのだ

 

「判ってくれたのですね、ではマリアさん。お願いします」

 

私の前を駆け抜けていくマリアを呆然と見送る。今マリアの背中に居るソフィア姫は病床に伏せている姿からは想像出来ないほどに力に満ちていた

 

「あれならば……始祖の吸血鬼を変えてもおかしくは無いな」

 

あの力強さと意思の強い瞳。地球に作られた調停者であり、本来は人間ではなく、声の無い自然や獣の味方であるはずのブラドーの心を揺り動かす事ができたのは当然。

 

「タマモ!マリアとソフィア姫をノアの前へ!ソフィア姫ならばノアの意思を取り戻せるかもしれない!」

 

「はぁ!?なんでそんな話にって!?もう目の前まで行ってるし!?」

 

タマモの驚愕に悲鳴に私も思わず悲鳴をあげそうになった。ついさっきまで私の目の前にいたのに!?如何にマリアが人造人間とは言え、流石にそれは不可思議すぎる。なんだ?ソフィア姫には何か特別な能力でもあったのか?と思うレベルだ

 

「お父様……私の声も届かないのですか?」

 

悲しげなソフィア姫の声。ノアは振り下ろそうとしていた剣をゆっくりと地面に向かって降ろした

 

「……ソ……フィ……ア……ブ……ラドー……ピ……エ……トロ……シル……フェ……ニア……」

 

片言で途切れ途切れの言葉だが、全員の名前を呼んだ。紅い瞳には確かに知性の色が戻って来ている、それを見たブラドー達がノアの名前を呼ぶと、その知性の色がゆっくりとだが、確実に強くなっている

 

「タマモ!ここでなにかあるはずだ!探知を!」

 

ガープがここで終わる筈が無い、更に何かを仕掛けているはずだ。家族が元に戻ろうとしている、それを妨害させる訳には行かない

 

「人形は人形らしく、踊り狂って死ね」

 

ガープの冷たい宣告と指の音が聞こえた瞬間。石材の床が盛り上がり、何かがブラドー達のほうへ向かっていく

 

「タマモ!防げえッ!!!」

 

「言われなくても!」

 

叫ぶと同時にそれを防ごうと防御符と精霊石による結界を作り上げる……だがその何かは私とタマモの防御を簡単に貫く

 

「ブラドー!ヴァンパイヤミストで逃げろッ!!」

 

思わずそう叫ぶ、ブラドーがノアとマリア達の肩を掴んだ所で、その顔が驚愕に染まる。

 

(転移阻害だとッ!?)

 

ブラドーだけの絶大な効力を発揮するその術。今まで発動できていた術が使えない、そう悟ったブラドーはノア達の前に立つ。不死身の身体を盾にしようとした。その瞬間

 

「な……に……!?」

 

ブラドーを突き飛ばし、ノアがブラドーの前に立つ。そして次の瞬間地面から伸びた鮮血の槍がノアの身体を刺し貫いた……

 

 

 

 

目の前で血の槍に刺し貫かれたノア。何が起きたのか理解出来なかった……

 

(なんで……我を……)

 

不死身のこの身体を盾にするはずだった……なのになんで、ノアが倒れている。目の前の現実が理解できず、呆然とするが泣き叫ぶピエトロとシルフェニアの声に我に変える

 

「ノ……ア……何故だ!?何故我を庇った!」

 

血の海に沈むノアの身体を抱き上げる。その瞬間に理解してしまった、もうノアは助からないと……もうその命は終わろうとしていると……始祖の吸血鬼たるその能力がノアの死を如実に我に伝えていた

 

「……親が……子を……護るのに……理……由……がいるのか?」

 

「馬鹿かお前は!我は不死身にして不老の吸血鬼だぞ!?」

 

そうだったか?と笑うノアの目の焦点は合っていない、急速に冷たくなっていく身体に自らの顔から血の気が引くのが判る

 

「おじい様……やだぁ……死んじゃやだぁ……」

 

「おじい様……いやだ……やだぁ……」

 

泣きじゃくるピエトロとシルフェニアになんと声を掛ければ良いのか判らない。マリアから降りたソフィアはノアの手を握り

 

「お父様」

 

涙を流してはいるが、ソフィアは毅然とした態度でノアの手を握り締める

 

「ブラ……どー……見え……るか……」

 

ノアが手にしていた剣を我に差し出す。その柄には「LUCK」幸運と刻まれていた……

 

「私は……もう……死ぬ……だから……お前に……これを授け……る……」

 

ノアは自らの血でLUCKの前にPを書き加える、「PLUCK」勇気を……

 

「負け……るな……我が……息子……よ……誇り……高き……男よ」

 

ノアの手が血の海に沈む。我はノアから差し出された剣を握る……幸運と勇気を……か……最も我に程遠い言葉だ。その言葉はきっとノア。お前に何よりも似合っていた言葉だろう

 

「ブラドー……」

 

「カオス……ノアを頼む」

 

このような姿で死なせたくないのだと言うとカオスは判ったと頷き

 

「このままこの場所にいてはブラドー達の邪魔になる。マリア、ソフィア姫達を頼む」

 

「はい……判りました。タマモさんも手伝ってください」

 

「……判った」

 

争いに巻き込まれないようにとソフィア達を連れ出してくれたカオスに心の中で感謝を告げる。そしてノアから託された宝剣を握り締めると同時に長年押さえ込んでいた吸血鬼の力を解放する

 

「貴様ああああああッ!!!!」

 

怒りの咆哮と共にガープへと駆け出す。横島が既に戦い、美神と蛍がその応援をしているが、それでもガープには届いていない

 

「吼えるなよ。お前が撒いた種だ。始祖の吸血鬼としての責務を果たさなかった……お前自身の責任だ」

 

「黙れええええッ!!!」

 

魔力を刀身に纏わせ怒りのままに振り下ろす。だがガープは手にした細身の剣で我の剣を簡単に受け止める

 

「なろおッ!」

 

横島が我の剣を受け止めているうちにと攻撃を繰り出すが

 

「甘い」

 

「何!?」

 

ガープと横島の間に透明な壁が現れ、横島の身体を大きく吹き飛ばす。それは今までガープが使わなかった防御魔法だった

 

「吸血鬼と人間風情が、本気で私に勝てると思っているのか」

 

「がぼあ……」

 

無造作に振るわれたその刃が我の上半身と下半身を切り裂く。とっさに防ぎはしたが、背骨でかろうじて繋がっていると言う状況でもう動く事が出来ない。たった一撃……たった一撃で格の違いをこれでもかと見せ付けられたが

 

(終われるか……こんな所で終わってたまるか……)

 

震える腕をガープへと伸ばす。だがガープは煩わしいと言わんばかりに我を投げ飛ばす……

 

「がは……」

 

地面に叩きつけられ、血反吐を吐く……不死身であるが故に死にはしない。だがこのダメージは数分では回復しない

 

「ブラドー伯爵、俺じゃあ……あいつを倒せない、貴方でも……勝てない。俺に力を貸してくれま……せんか」

 

投げ飛ばされた場所はガープが狙っていたのか、投げる先までは意識してなかったのか、幸か不幸か横島の直ぐ側だった

 

「力を貸せば……勝てるか?……この……死に損ない……で」

 

背骨で辛うじて、上半身と下半身が繋がっているだけの我で何が出来る?と横島に問いかける。美神と蛍の攻撃を完全に無視をして、悠然と歩み寄ってくるガープに舌打ちしながら問いかける

 

「……1人で無理なら、2人なら、これに……1度入って貰えば……」

 

横島が差し出す白い球体……その玩具で何が出来るとは思わなかった。横島の言葉が真実だと、本能的に信じた

 

「悪く……無いな……」

 

横島が手にしている白い球体に手を重ねると、どこかに吸い込まれるように我の意識が消えていくのだった……

 

 

 

 

純白の眼魂が黒と赤の眼魂へ変化する。痛む身体に顔を歪めながら立ち上がる……いつの間にか、左腕にナイトランターンが現れているの気付く

 

「ブラドー伯爵。俺に力を……」

 

【アーイ!バッチリミナー!バッチリミナーッ!!!】

 

マントを連想させるボロボロの漆黒のパーカーが俺の周りを回転する。目の前に突き刺さっているノアさんの剣を見つめて

 

(ノアさん……俺にも力を貸してください……)

 

「変身ッ!」

 

【カイガン!ブラドーッ!純潔貴族、吸血鬼族ッ!!】

 

ウィスプよりも強い力を感じる。それにこれはブラドー伯爵のガープへの強い怒りを感じる

 

「俺は/我は……お前を……許さないッ!」

 

目の前の剣を握り締めそう叫ぶ。俺の声だけではなく、ブラドー伯爵の声も聞こえた気がする。牛若丸やノッブちゃんとは違う、そう……これは……

 

(八兵衛の時と似てる)

 

身体を貸し与えるのではない、まるで一体化したような……そんな感覚だ。

 

「ほう?どうもお前の力はまだ引き出しがあるようだな。いいだろう、見せて見るがいい」

 

ガープの目の前に魔法陣が展開される。それは神宮寺さんと同じような膨大な力を見せていた、防御する事も避ける事も出来ない

 

【横島、そのままだ。術式制御と展開はこっちでやる!お前とブラドーは前を見ろッ!】

 

心眼の言葉に頷く、心眼がそういうのなら間違いはない。俺自身に魔術の知識は無いが、ブラドー伯爵と心眼ならば……あの魔法に対抗する術を知っているかもしれない。だから俺はッ!前に進むだけだッ!!

 

「オオオオオオオオッ!!!」

 

背後から美神さんと蛍の俺を呼ぶ声が聞こえる。ガープは特攻かと嘲笑う、心配される必要も、馬鹿にされる理由も無い。俺は判っている、あの魔法は防げる。この剣はガープに届くと確信していた

 

「遊びはここまでだッ!」

 

ガープの放った電撃が目の前を白く染め上げる。だが不思議と恐怖は無かった

 

「オラアアアアッ!!!」

 

眩い光に向かって白銀の剣を振るう。妙な手応えと同時に目の前に迫っていた白い光は両断され、そのまま霧散する

 

「馬鹿なッ!?」

 

「オアアアアアアッ!」

 

驚愕するガープに袈裟切りの一撃を叩き込む。だがそれはガープの手にした剣で防がれる

 

「懐に飛び込んで来た所で私に隙は無い」

 

ガープの掌が俺の顔に向けられる。だが俺は反射的に右手をガープの手に向ける

 

(魔法陣が……)

 

それは本能だった。右手を突き出せば、安全だと言う確信めいた予感。そしてそれは的中していた。バチンっと言う凄まじい衝撃音と共にお互いの魔法陣が相殺しあい消し飛ぶ

 

「おりゃああッ!!!」

 

「ちいっ!」

 

俺の大上段からの振り下ろしと、ガープの切り上げが同時に放たれる。激しい金属音と共にお互いの身体が大きく弾かれる、そして今度は俺が左手、ガープが右手。まるで鏡合わせのように腕を突き出し、同時に展開された魔法陣がまたも激しい衝撃音と共に霧散する。それを確認するよりも早く頭を下げると、俺の頭の上を風を切り裂いてガープの右足が通過する。頭を上げると同時に右腕を突き出すが、ガープは肘で俺の右腕を打ち落とす。ならばと片手で剣を振るうが、ガープも同じように剣を振るい再びお互いの剣を持っている腕が大きく弾き跳ぶ、だがコレは考えての動きではない、こうすれば安全だ。こうすれば美神さんと蛍に被害が出ない、それが判っている。頭で理解するのではない、身体が理解しているのだ

 

【よし、そのままだ。決して無理をするな、持久戦に持ち込め】

 

心眼の声がはっきりと聞こえる。無理に攻め込めば、そのまま返しで反撃される。今拮抗できているのは向こうが動揺しているからだ、向こうがこっちの動きに慣れれば。また劣勢に戻る、ここはこの超近距離で戦い。向こうの攻撃と反撃を全て潰す、それがもっとも生存率が高いはずだ

 

『行くぞ、前に出るんだ』

 

心眼とは違う声。ブラドー伯爵の声だ……心眼とブラドー伯爵の声……どっちに従うか迷い、そして俺が出した結論は

 

「オオオオオオオオッ!!!」

 

前に出る事だった。向こうが撤退するとは思えないと思ったのだ、それにノアさんや、ブラドー伯爵にした非道を俺は許せない。

 

「ふっ馬鹿がッ!」

 

振るわれる剣の刀身が2つにぶれる……このまま突っ込めば両断される。だがそれでも前へ、前へッ!それしか俺は考えてなかった。そして命中する寸前。自分の身体なのに、自分の身体じゃない感覚になった

 

「消え……霧化か!?」

 

ガープの動揺した声が聞こえる。攻め込むなら、ここだと。そう感じた

 

「喰らえええええッ!!!」

 

空中で反転し、勢いをつけた踵落としをガープの頭上目掛けて降り降ろす

 

「ちいっ!」

 

舌打ちしながらガープが剣を横にして、俺の一撃を防ぐ。火花が散るのが見える……だがそんな事は関係ない。このまま蹴り砕くッ!!!

 

「おーりゃああああああッ!!!」

 

裂帛の気合と共に踵を振りぬく。確かな手応えと金属が砕ける音がする、着地と同時に剣を振るう

 

「くっ!」

 

ガープが苦しそうに呻き後退する。初めて攻撃がちゃんと命中した手応えを感じた、ガープは右手で胸を押さえ傷口を押さえていた。そしてその左手には柄だけになった剣の姿がある、今ならガープは俺の攻撃を防ぐ事が出来ない。今が一気に攻めるチャンスだ

 

「舐めるなよッ!人間ッ!」

 

ガープの両手に魔力を集める。禍々しい光を放つ両拳が目の前で振るわれる、それがもし命中すれば俺の頭蓋なんて簡単に砕け散るだろう。床を強く踏みしめ、体勢を無理やり低くする。頭上を通過する拳を紙一重で交し反撃に拳を繰り出す。だが返ってくるのは金属でも殴ったような重い手応え……バリアか。何かは判らないが、俺の攻撃が効かない事は判った。それ所か下手をすれば、この剣が折れてしまうかもしれないとも……ノアさんの遺品だ。コレを壊すわけには行かない。そう判断した所で剣を投げ捨てる

 

「行くぞ!オラアッ!」

 

ならこの両拳でこの野郎の顔面をぶち抜く。それだけを考える、霧化し、ガープのゼロ距離の魔術は心眼とブラドー伯爵の力で相殺する。超高速の打撃戦が何分も続いた……いや何秒かもしれない。でも俺にはとにかく長い時間に感じた。

 

「ぐっふうっ……」

 

ガープの拳を交わして、突き出した俺の拳が、ガープの顔面を打ち抜いた、僅かな隙に繰り出した拳がガープの顔面を捉えたのだ。ガープが大きく仰け反ったその隙を逃すわけには行かない、ここで決めてやる。殆ど無意識でナイトランターンのレバーを引いた

 

【ダイカイガン!ブラドーッ!オメガドライブッ!!!】

 

「俺/我の怒りを知れッ!!!」

 

仰け反ったガープを左足で大きく蹴り上げ、空中へと弾き飛ばすと同時に、右足で床を蹴って大きく跳躍する。その蹴った床が大きく蜘蛛の巣状に割れた気がするが……このチャンスを逃す訳には行かなかった

 

「「おおおおおおおおおおッ!!!!」」

 

俺の目の前に俺がいる、いや、右隣にも、左隣にも俺がいる……更に言えば下にも分身した俺の姿が見えた。そのありえない現象に一瞬混乱するが、ヴァンパイヤミストでの分身なのだろうと無理やり納得する。空中で1回転し、空中に作り出したサイキックソーサーに1度着地し、両足に力を込める。そしてサイキックソーサを思いっきり蹴ると同時に爆発させる

 

「「オオオオオオオオオオッ!!!!」」

 

爆発的な加速と上下左右に現れた黒い分身を伴った360度から放たれた必殺の一撃がガープの作り出した障壁をぶち抜き、そのままガープの身体にめり込む感触を感じながら、城の床を削りながら着地し振り返る。そこには不可思議な紅いオーラで空中に縫い付けられているガープの姿があった。

 

「地獄へ落ちろ」

 

「ぐっ!うおおおおおおおおッ!?!?」

 

ガープから背を向け、親指を下に向けると同時にガープを拘束していた24の魔法陣が同時に起爆し、ガープの姿と絶叫は爆炎の中へ消えていくのだった……

 

リポート15 変る未来 その7へ続く

 

 




次回は美神と蛍の視点でのブラドー魂の戦闘を書いて、ブラドーとかの話で今度はマリア姫の話に入っていこうと思います。今回のは心眼+ブラドーの憑依があった為ハイスペックですが、横島単体では分身は2人までとなっておりますので、あしからず。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

ラック&プラックの剣は、ジョジョ第1部より抜粋。個人的に好きなシーンだったので、採用しました

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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