GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は美神と蛍から見た横島とガープの戦いの視点から始まり、ガープが退いた後の領地の話。未来のガープの話、最後の方でマリア姫の元へ向かう話に繋げて行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その7

 

 

リポート15 変る未来 その7

 

私は目の前の激しい戦いを見て、その場から動く事が出来なかった。ブラドー伯爵の眼魂……その強さは今まで見た眼魂よりも圧倒的な強さを持っていた。あの力に近いと言うと、香港で見た小竜姫様とメドーサの眼魂の同時使用のマスタードラゴンしか思い当たる力が無かった

 

「オオオオオオッ!!!」

 

横島君とブラドー伯爵の怒りに満ちた咆哮が城の中に響き渡る。ガープの神速とでも言うべき一撃を紙一重で交し、無詠唱の魔術と同時に発動させ相殺する。そこに私や蛍ちゃんの入り込む余地は無い、あの速度で動き回っていれば援護をするつもりでも足を引っ張る結果になりかね無い

 

「美神さん、横島は大丈夫でしょうか……」

 

不安そうに蛍ちゃんが呟く、あの時のような味覚障害や感覚障害が起きないか?蛍ちゃんがそれを危惧しているのはよく判る。だけど、今は横島君で無ければガープとまともに戦う事が出来ないのも事実

 

(やっぱり妙神山に行かないと……)

 

眼魂とゴーストドライバーなんて規格外な道具が欲しいとは思わないし、使いたいとも思わない。だが師匠として弟子が戦っているのを見ていることしか出来ない。このままで良いなんてとてもではないが言える訳が無い、今東京を離れる事が出来ないと言う事は知っている。それでも何時までも弟子に負担を掛けるわけには行かないのだ

 

【ダイカイガン!ブラドーッ!オメガドライブッ!!!】

 

「俺/我の怒りを知れッ!!!」

 

一瞬の交差。その一瞬を制したのは横島君だった、その拳がガープの顔面を捉え。ガープが大きく仰け反る。そして横島君が大きく左足を振り上げる、凄まじい衝撃音と同時にガープの身体が上空へと弾き飛ばされ、左足を振り上げた体勢のまま、右足の脚力だけで横島君の身体がガープを追って跳び上がる

 

「「おおおおおおおおおおッ!!!!」」

 

横島君とブラドー伯爵の雄叫びが重なって響くと上下左右に漆黒の分身が現れる。数えるのも馬鹿らしくなる数だ、下に現れた分身は左足を引いて跳び上がる体勢を作り、腰を深く落とす。そして上空にいる横島君と分身は空中に作り出したサイキックソーサーに着地し、逆さ吊りになったその瞬間。凄まじい爆発音が響く、それはサイキックソーサーを爆発させての超加速

 

「「オオオオオオオオオオッ!!!!」」

 

360度から放たれる超威力の一撃がガープを次々と捉え、私と蛍ちゃんの目の前を轟音を立てて横島君が滑って行く、空中では凄まじい数の魔法陣に囚われ、空中に縫い止められたガープの姿があった

 

「「地獄へ落ちろ」」

 

「ぐっ!うおおおおおおおおッ!?!?」

 

横島君が親指を下に向けるとガープを拘束していた魔法陣が同時に起爆し、ガープの姿と絶叫が炎の中に包まれて消えていく……

 

「はっ……はっ……はっ……」

 

横島君ががくんっと崩れ落ち、膝をついて荒い呼吸を整えている。その姿は漆黒の吸血鬼を思わせる姿から、黄色のウィスプの姿へと戻っている。慌てて駆け寄る

 

「横島君!?大丈夫!?」

 

「横島早く解除してッ!」

 

変身を解除してくれと蛍ちゃんが言うと、横島君は震えながら立ち上がり

 

「ま、まだ……終わってない……」

 

よろめきながら立ち上がり、拳を握った時。煙が弾け飛びガープが姿を現した

 

「ぐっ……よ、よくもやってくれたな……」

 

腕を押さえ、全身から血を流しているがガープはまだ健在だった。その目に強い怒りの色を映しながら、横島君を睨みつけ

 

「その姿覚えたぞ……次はこうは行かんぞッ!人間ッ!!!」

 

翼を大きく広げ魔法陣を展開すると、ガープの姿はその場から消え去った。転移……したのよね?なんとか退ける事が出来た見たいね。

 

(今回も横島君に全部押し付けた形になったけど)

 

また私は何も出来なかった。師匠だと言うのに、何も出来ない自分の無力さが重く圧し掛かってくる。そんな気がした……

 

【オヤスミー】

 

ベルトから聞こえた機械合成音に振り返ると、横島君とブラドー伯爵の姿が現れる。横島君はそのまま崩れ落ちたが、ブラドー伯爵はふらつきながらも立ったままだった。ブラドー伯爵も心配だが、横島君のほうが心配だった

 

「横島、大丈夫?」

 

「蛍……あ。うん……大丈夫」

 

蛍ちゃんが横島君の前で手を振る、指を追って視線が動くのと疲れ切った声だが返事があるのを見て、意識があると安堵する

 

「ふっ……人間の強さを……まだ……見誤っていたか。案ずるな……横島の負担は……こっちで……引き受けた……」

 

「ブラドー伯爵!?」

 

まさか横島君の負担をその傷だらけの身体で引き受けたの!?ブラドー伯爵が重い音を立てて倒れるのと、ドクターカオスとマリア。そしてタマモがこっちに駆け寄ってくるのはほぼ同時の事だった……

 

 

 

 

 

ドクターカオスに与えられた屋敷の中にいても、ノア領主の突然の死を惜しむ声が聞こえてくる。出来る事ならば葬儀に参列したいという気持ちはあった。だけど私も横島も美神さんも異邦人だ、ドクターカオスでさえ参列を許可されていないのだ。私達が参列出来る訳が無い。しかし下手に出歩くことも出来ないので2日。この屋敷で缶詰状態になっていた

 

「ガープは退けた。また仕掛けてくることは無いだろう」

 

ブラドー眼魂を分析しながら、ガープが2度と仕掛けてくることは無いだろうと断言するドクターカオス

 

「それってなにか根拠があるの?」

 

ドクターカオスが提供してくれた、新しい霊具の確認をしていた美神さんがそう尋ねる。ドクターカオスは勿論だと笑い

 

「私が作ったマリアが時空震を感知している。最上級神魔が気付かないと思うか?」

 

「「思わない」」

 

そう言われると気付かない訳が無いと思う。普段変身したら動けなくなる横島もブラドー伯爵が変身の負担を引き受けてくれたらしく、座り込んでチビ達と遊んでいる

 

「みむー♪」

 

「ぷぎゅー♪」

 

「……何がしたいんだ?」

 

自分の周りを高速で回転してるチビとうりぼーに不思議そうな顔をして、タマモを撫でている横島。遊んでる……のよね?多分

 

「私達が元の時代に戻ったら仕掛けてくる可能性があると?」

 

「それは判らんが、少なくともこの周辺は安全だな、ブラドーが居るから直接神魔が出張って来る事は無いと思うが、空間封鎖などで転移妨害や、監視体制の強化。少なくともこの城周辺はもう安全と言える」

 

あの手のタイプはプライドが高い。1度失敗した所に2度仕掛けて来る事は無いだろうし、仮に動くとしても確実に抹殺できる状況か、こっちを精神的に追い詰めるときにしか仕掛けてこないと思うぞ?と言うドクターカオス。出来る事ならば、ガープと戦うような状況にはならないで欲しいと切に思う

 

「むしろ、ここら辺周辺を監視していた天使の職務怠慢というのか、うん、言い方が悪いな。既に堕とされていた」

 

ガープは自分が活動する上で障害となるであろう、天使達。バチカン全盛のこの時代の現代とは比べ物にならないほど強力な天使を纏めて堕天させていたらしいのだ

 

「一昨日の夜の異常な神通力はそれね?」

 

「うむ、余りにおかしいと言う事で見に来たのだろう。そしてその結果を知り、高司祭を派遣した」

 

あれだけ暴れても神魔の応援が来なかったのは結界とそしてブラドー伯爵の規格外の魔力による物と、すでにガープの手に落ちていた天使による報告と連絡の無視。ブラドー伯爵を陥れるためとは言え、とんでもなく、複雑な一手を打って来ていた

 

「まぁとにかく、ここら辺はもう安全だ。今はお前達が無事に帰る事を考えればいい」

 

現代に帰る事を考えればいいと笑うドクターカオスの言葉に頷き、ソフィア姫様からの連絡が来るのを待つのだった

 

「ドクターカオス様。レイコ様、ホタル様、タダオ様。ソフィア姫様がお呼びです、どうぞ城にお越しください」

 

昼過ぎに訪ねて来た老執事。セバスさんからソフィアさんに呼ばれていると言う通達があり。用意された馬車で城に向かいながら

 

「私はノア領主のパトロンが欲しくてここまで来たが、お前達はやらないほうがいいのは判っておるな?」

 

何時戻れるか判らん、この後はマリア姫の元に戻るので紹介はするが、ここで下手に人脈を作るなとドクターカオスが言う

 

「やっぱりですか?」

 

「うむ、天使が動いておるし、下手に関わると厄介なことになる。後ろ盾としてソフィア姫が立ってくれるが、それ以外は接触しないほうがいいだろう」

 

「戦争時代ってのは厄介ね」

 

私達の話をよく判っていない横島は置いておいて、ソフィアさんと仲良くしておく事は間違いじゃない、だがそれ以外が問題となる。この時代は天使と悪魔が戦っていた時代だ、下位の役人とかに無理に徴兵されても困る

 

「だがお前達は運がいい、高司祭が訪れていたが、神のお告げの通りと言われたのだからな」

 

ノア領主が死んだと言う事で、高司祭と名乗る人物が昨日訪れたのだが、私達を見て

 

「神のお告げの通りでした。黒髪、黒目の少年と少女が1人、緋色の髪の女性が1人。それがこの地に現れた悪魔を退けた、神に仕える者として貴方達の勇気に心より感謝します」

 

どうも過去の時代に神魔にも私達の事は伝わっていたようで、魔女狩りとかにならず聖人扱いで救世主とか何とか凄い騒ぎになりかけた。特に下っ端の神父とかが凄い騒ぎだった、是非バチカンへと五月蝿かったのだ

 

「バチカンに行ったら、それこそ帰れなくなる所だわ」

 

「はは、それもそうだな」

 

美神さんが、まだ神から言われている使命があると言った上に、高司祭の使命の邪魔はしてはなりませんと言う言葉に、他の教会関係者は帰らせたが、実際はかなり危ないところだったと思う

 

「まぁ、この地では下手にパトロンを作るのは得策では無いな。ソフィア姫の命の恩人というくらいが妥当だろう」

 

だから余り仲良くなりすぎるんじゃないぞ?と言うドクターカオスの助言に頷く

 

「それより、カオスのじーさん」

 

「なんだね?横島?」

 

未来の自分での呼び方なら仕方あるまいと、カオスのじーさんと言う呼び名を認めてくれたドクターカオス。横島は馬車から外を見ながら

 

「ソフィアさんは大丈夫なのか?呪いの方は?」

 

「ああ、それならば心配ない。マリアを護衛に残してきているし、何よりもあの呪いはガープが近くにいる事で最大の効力を発揮する。もう心配は無いよ」

 

その言葉に安堵すると同時に、一抹の不安が脳裏を過ぎる。未来ではソフィアさんは死んでいるのだ、これは歴史改変になるのではないか?と言う不安だ。

 

(大丈夫なのかな?でももう逆行しているし)

 

逆行している私が居るから、それも歴史の差異って事で修正されるのだろうか?それともこれは現在進行形での歴史改変になるのだろうか?そんな不安を感じるが、今更同行できる問題ではないのが更に私を不安にさせるのだった

 

「「お兄さん!案内してあげる!」」

 

「助けてーッ!!!」

 

横島が出迎えに来たピートさん&シルフィーさん(幼)に拉致された。横島の悲鳴がドップラー効果で遠ざかっていくのを呆然と見送ってしまった。その後を追いかけていく、マスコット軍団。その姿を見て正気に戻り、私も追いかけていこうか悩んでいると

 

「横島君なら大丈夫よ。きっと保父さんとしてのスキルを最大限に発揮してくれるわ」

 

「それはそれでどうかと思うんですけど……」

 

もしかしてこれが原因でシルフィーさんが横島に強い執着を抱くんじゃ?私はそんな不安を抱く、このままにしてはいけないと思うのだが

……ソフィアさんに呼ばれている以上。横島の後を追っていく訳には行かない

 

「まぁ大丈夫だろう。横島は子供に好かれやすい性質を持っているようだしな」

 

それは知ってるんだけど、もし城を出るときに。それで問題が起きるんじゃないか?と言う不安を抱きながら、セバスさんに先導され、ソフィアさんが待つという部屋へ案内されるのだった……

 

 

 

 

凄まじい頭痛と共に脳裏に浮かんだ記憶に困惑し、ヌルとの話を中断してしまった。ヌルは優秀な科学者だ、私の意図を汲んで、そして私の望む以上の結果を出してくれていた。過去ではなく、現在にいるのなら即スカウトするレベルの優秀な人材だった

 

『どうしましたか?ガープ様?』

 

地獄炉同士の共鳴によって過去に繋がったタイムホールからヌルが声を掛けてくる。私は突如思い出した記憶に忌々しさと私の予想が当たっていたと言う2つの喜びから、思わず笑い出してしまった

 

(やはり、やはりか!)

 

特異点だと思っていた横島忠夫。そして今唐突に思い出した記憶、いや、時間の修正力によって生まれた記憶。ブラドーの養父を狂わせ、妻と養父を失わせる。その時私は自ら動いた、だからこそ横島忠夫の力の対象に入ったのだろう、過去が改変された

 

「くっくくっ!ははッ!!はははははははははッ!!!!」

 

顔を殴られただけではなく、顔を蹴られ、叩きのめされ撤退に追い詰められた苦い記憶。だがそれすらも甘美な物となった、歴史を変えることが出来る存在。それを知っただけでも十分な成果だろう

 

『本当にどうなさいましたか?私は貴方の望み通りに動く事が出来ているのですか?』

 

ヌルが不安そうに尋ねてくる。正直ヌルの動きはまだ現在に何の影響も与えていない、いや、ヌルでは歴史改変を行うことが出来ない。その可能性が浮上した時に、横島によって歴史改変は行われた。しかも、ヌルがいる時代でだ

 

「いや、なんでもない。それよりもだ、召喚した英霊はどうなっている?」

 

『憎悪と復讐心で暴れております、素晴らしい力を発揮しておりますよ』

 

ふふっそうか、英霊の存在をゆがめ、本来存在しない存在として現世に呼び出す。最初に召喚した英霊は反英霊に属する英霊だったが、私に逆らったので力と記憶を封じて何処かに飛ばした。どこかで消滅しているだろう、しかし反英霊ですら逆らうのならば、まともな戦力として運用する事はできない。ではどうするか?考えて出た結論は本来の英霊としての存在を歪め、反転させ、オルタナティブとして召喚する事だった

 

「それは素晴らしい、ならばヌルよ。私の写し身を早急に仕上げろ、私自身がそちらに向かう為にな」

 

聖女と呼ばれ、善なる存在となるべき英霊が復讐者になる。これほど面白い事は無いだろう、それにその時代に横島達がいるのなら、それもまた好都合。神魔が横島を護っていない時間にいるのなら、その時間に浚ってしまえばいい。

 

『畏まりました。直ぐにご用意します、完成しましたら連絡を入れます。それでは失礼いたします』

 

私の指示を実行する為に連絡を遮断したヌル。逆探知で神魔に見つからないようにする点まで、完璧な処置だ。どうしてこれほどの人材が過去で敗れて消滅してしまったのか?と思うと残念でならない

 

「さてと、私も準備をするか」

 

意識だけの時間移動。肉体は残るが、精神は存在しない。その間私は完全に無防備になる、その上の注意と意識が無い時の自分自身の防衛……やるべき事はこれでもかとある。だが私はそれすらも楽しんでいた、歴史を変える存在としての力を発揮した横島と、反転し歪んだ英雄。それを見ることに楽しみを見出していたのだ、私は自分でも珍しいと思う鼻歌を歌いながら、過去へ精神を飛ばすための準備と自分を護る準備。その2つを平行して行うことにするのだった……

 

 

 

 

ノアに対するお悔やみの言葉と簡単な世間話の後。ソフィア姫は意を決した表情で、美神達にある提案を持ちかけた。この時代で考えれば破格過ぎるいくつもの条件……それに対する美神の返事は私の予想通りの物だった

 

「お気持ちは嬉しいですが、私達にはやるべき事があるので、その話は辞退させていただきます」

 

「そう……ですか、残念です」

 

ソフィア姫の勧誘をきっぱりとした口調で断る美神。ソフィア姫の勧誘の内容は、ピエトロとシルフェニアが横島を気に入っているので、2人の子守として横島を雇い、更に美神と蛍を霊能関係の責任者として、金貨の先払いで10年雇い入れたいと言う破格の条件だった。3人がこの時代の人間ならば、間違いなく飛びついたと思う。だが3人は未来の人間なので元の時代に戻る術を見つけなければならないのだ

 

「お兄さん。行っちゃうんですか?」

 

「うん、ごめんな。俺も美神さん達もやららないといけないことがあるから」

 

横島がごめんと謝ると、悲しそうな顔をする双子だが、横島のやる事を邪魔してはいけないと思ったのか。また遊びに来てくださいねと健気に笑う。ここではない、未来で友人関係になるらしいが……なんとも不可思議な縁の強さだと思う

 

「だから言っただろう。ソフィア、こやつらは止らんよ」

 

「でも、いてくれると心強いと思ったのです」

 

ブラドーはまだ動くだけの体力が回復しておらず、ベッドの上でそう笑う。今話し合いに来ているのは、ブラドーの私室だ。王座は崩壊しており、ブラドーとソフィア姫が領主となっている。話し合いにこの場を選んだのは当然だ

 

「私達の目的を遂げる為に、ブラドー伯爵の知恵を貸して欲しいのですが?」

 

「それは構わん。我も助けられたからな」

 

これで美神達が元の時代に戻る為の準備は出来た。後はこのまま、ソフィア姫の援助の元3人を未来に戻す研究をすれば良い、私はそう思っていた。ガープは退けた、ならば脅威は無い。そう思っていた、だが……ガープの侵攻が終わって直ぐ、新たな脅威が直ぐそこに迫っていたのだ

 

『カオス様!聞こえますか!?』

 

「マリア姫!?」

 

ブレスレットから聞こえてくる雑音交じりのマリア姫の声に驚く。これは緊急時にバロンから送られてくるSOS信号

 

『良かった、カオス様!助けてください!私達の領地にドラゴンと魔女が現れたのです!このままだと全滅してしまうッ!』

 

全滅!?そんな馬鹿な、私が旅立つ前に十分な装備と護衛は残してきた、それなのに全滅するなんて

 

「ソフィア姫。申し訳ないですが、マリア姫の危機。私はこの場で失礼します」

 

美神達は、この城にいれば安全だ。私1人で行けば良い、今から向かえば、1時間以内に戻れる。ギリギリ日が落ちるか、どうかと言う時間だが……それでも向かわないという選択肢は私には無かった

 

「待った!私達も行くわよ」

 

美神が私を呼び止める。その言葉に私は思わず正気かを叫んでから

 

「この城で起きたかそれ以上の惨劇が待っているのかもしれんのだぞ!?」

 

もしこの時代で死んでしまえば、美神達の存在はなかったことになってしまう。そうなれば、今回の事以上の大きな歴史改変になる

 

「それよ、それこそ正気か?って私は言いたいのよ。ドクターカオス、貴方がそれで死んだら私達はどうすればいいの?」

 

その言葉にマリア姫の危機と言う事で、動揺していたことに気付く。私が死ねば、美神達は戻れない

 

「私はドクターカオスの助手ですが、そこまでの知識は持ち合わせておりません」

 

マリアが残っていて、ブラドーと協力したとしても美神達はもとの時間に戻れない可能性が高い。なら私がやるべき事は……

 

「力を貸して貰いたい。報酬はきっちり支払おう」

 

協力者として、美神達を雇う事だ。私1人ではきっと対処しきれない問題だ、私が残した護衛が全滅しかけているのだから、私1人戻ったところで何も変らない

 

「OK、雇われるわ。そういう訳だから、横島君と蛍ちゃん。急いで準備、10分で出発準備をして」

 

判りましたと返事を返し、失礼しますと頭を下げてブラドーの寝室を出て行く、横島と蛍。横島だけは出る前に、双子に小さく手を振って、またなと笑って出て行ったが

 

「それで移動の手段はあるんでしょうね?」

 

「勿論だ。カオスフライヤーで最短距離を突っ走る。マリア、手伝ってくれ、装備を運ぶためのアタッチメントと、座席を追加する。1時間以内に出発するぞ!」

 

「判りました。ドクターカオス!」

 

本当はもう少しゆっくりしていたかったが、そんな時間は無い。急いで戻らなければ……

 

「お待ちください、出発を30分遅らせてください」

 

ソフィア姫から出発を遅らせてくれと言われ、どういうことですか?と語気を強めながら尋ねる。ソフィア姫は真剣な表情で私を見つめ返して

 

「こちらから支援物資をご用意させて頂きます。食料に関しては僅かですが、武器などはご用意出来るかと」

 

それは願っても無い提案だった。武器自体を強化すれば、襲ってくる相手に有効な武器になるかもしれない。一から作るよりよっぽど早い

 

「お願いします。与えられた屋敷で待っていますので!」

 

直ぐにご用意をして届けますと言うソフィア姫の声を背中に、私と美神はブラドーの寝室を後にするのだった……

 

 

そしてこの地から遠く離れたマリア姫の領地では……空を飛び交う、大量のワイバーンとガーゴイル。そしてそれを率いる漆黒の鎧と旗を持つ魔女の姿があった

 

「あはっ!ははッ!はははははははははッ!!!!」

 

燃える森、逃げ惑う民。それを見て狂ったように笑う女の嘲笑が響き渡っているのだった……

 

to be continued

 

リポート16 竜の魔女 その1へ続く

 

 




過去編その1はここで終了し、過去編その2へと入っていきます。リポート16ではガープが召喚し、反転した英霊が出現しますが……まぁもう誰かは判っていると思いますが、お口にチャックでお願いします。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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