GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回は竜の魔女との遭遇までを書いて行こうと思います。後は少しは戦闘を書けたらなっと思っています
後は1つ面白い展開をやってみようかなと思っています。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

 

リポート16 竜の魔女 その3

 

横島達が過去に消えてから1日経過した。これは前回とは違う差異だ、前回は昼前に消え、夕方には戻ってきていた。だが1日経過した……前回は確か2日滞在していたはずだ

 

(もっと時間が過ぎているのか?)

 

流石の私でも予想と推測では話すかどうか判断に悩むのだが……

 

「……お前何か知っているのなら言え。と言うか何か知ってるだろ?吐け」

 

「そうですわね。ドクターカオス、貴方は全くの自然体。この現象について知っているのではないですか?」

 

「喋って、お願い、もう私じゃこの2人を説得できない」

 

目が完全に据わっているシズクと神宮寺。そして美神達が消えたと言う事で、慌てて尋ねて来てくれた琉璃……

 

「カオス、知ってるなら教えて。姉さんと横島達は無事?」

 

目を真っ赤に染めているテレサの涙交じりの声にこれ以上黙っている事は出来ないと判断する。と言うか、命が惜しかった。良いんですか?と言う目で見つめてくるおキヌに大丈夫と頷き

 

「信じられないと思うんじゃが、ワシが若い時。中世の時代にワシは横島達に会っているんじゃ」

 

何を馬鹿なと言う顔をした神宮寺だが、シズクと琉璃はその顔色を変えた

 

「……美神の母は時間移動能力者だった……筈」

 

「美神さんも同じ能力を持っていてもおかしくない」

 

美神が最後まで隠していた能力の1つをこのタイミングで切ってしまった。だが切ってしまったのなら切ってしまった場合の対処法もある

 

「恐らく自分では制御出来ていないと見て間違いないじゃろうな、それに……今消えている美神と、ワシが会った美神が同一時間軸とは限らん」

 

もっと未来で能力を制御できている美神の可能性もあると言うと神宮寺は何かを考え込む素振りを見せながら

 

「もしかして歴史改変を行っているのですか?」

 

一足飛びに結論を出してきたことに笑みを零す。全て説明しなくていいと言うのは楽でいいな

 

「そうかもしれん。さっきから妙に記憶があやふやになっている部分がある」

 

これは嘘ではない、覚えていた記憶に少しずつだが差異が生まれてきている

 

「それ大丈夫なの?神魔とかに罪に問われるんじゃ?」

 

テレサが心配そうに尋ねてくるが、これも大丈夫じゃろう。今の神魔の上層部は逆行関係者、美神の能力は知っているのだから

 

「とりあえず、美神さん達は今過去に居る。それで良いのね?」

 

そう考えて間違いではないと返事を返し、家から研究資料を取ってくると言い、おキヌを連れ出す。テレサはついて来たそうにしていたが

 

「お前ならマリアの反応を感知できる。何か反応があればそれを探知して欲しい、神宮寺は過去からの干渉があれば魔力で道しるべになって欲しいんじゃ」

 

シズクの竜気も同様になと言い。他の面子が着いてくるのを妨げる、聞かれては不味い話だから、それらしい言い訳が出来て良かったと安堵する

 

「優太郎に伝えてくれ、神宮寺達が美神の時間移動を知ったと」

 

【判りました。後で家で合流します】

 

優太郎の家に向かっていく、おキヌの背中を見ながら。記憶が次々に変っていく不快感に顔を歪め

 

「ブラドーにも声を掛けるか」

 

使い魔を呼び出し、ブラドーに合流出来るなら、使い魔についてきてくれとメッセージを吹き込み、ワシは自宅へ向かって歩き出すのだった……

 

 

 

森の中に隠されているというこの砦に篭城して2日経った。危惧していたワイバーンの襲撃は無く、ゴーレムとガーゴイルが近くまで来ているが戦闘になることは無かった。それもこれもドクターカオスの仕掛けだと言うのだから驚きだ

 

「ゴーレムやガーゴイルの視界ではこの砦を発見することは出来ん。流石に竜の魔女と名乗る女とその女が直接使役する白いワイバーンまでは判らんが、雑兵ならば恐れる事は無い」

 

白いワイバーンと竜の魔女……か。今敵対している中でもっとも危険だと推測される組み合わせだ

 

「その組み合わせも危険ですが、ゲソバルスキーを名乗る騎士も中々の相手です、ただ……」

 

「ただ何ですが?騎士団長さん?」

 

ただと言葉に詰まった騎士団長に蛍ちゃんが何ですか?と尋ねる。本名を尋ねても、私はマリア姫に仕える者ですので、と決して名前を語らないフルフェイスの鎧兜の男性、声からして40くらいだと思うんだけど……顔も見せない、名前も名乗らないんじゃあ。ちょっと怪しいところじゃないわよね。とは言え、マリア姫とドクターカオスが信頼している以上私達がどうこう言う事じゃないけど

 

「同じ陣営ではあるようですが、協力関係には無いと思います」

 

「その根拠は?」

 

根拠のある話なのよね?と問いかけると騎士団長は勿論ですと返事を返してから、その理由を説明してくれた。ゲソバルスキーの配下を薙ぎ払い襲い掛かってきた魔女とワイバーン。その後はゲソバルスキーにもワイバーンをけしかけていたと……

 

「その話を聞く限りでは、向こうの陣営も魔女を使いきれていないという感じだな」

 

戦力としては単体も集団戦力も突出しているが、指揮系統の違うのか、それとも元々従うつもりが無いのか、ゲソバルスキー……もっと言うとヌルと言う錬金術師にも従っていないようだ

 

「でも戦力としてはこっちよりも上でしょう?」

 

「はい……まともにぶつかれば。間違いなく負けます」

 

膂力に機動力、更に旗と剣を縦横無尽に振り回し、炎まで扱う。その話を聞くだけで判る、今の私達の戦力では魔女を押さえる事は出来ないと……

 

「2日で色々準備は出来たが、ここからは兵士の武装よりも、美神や蛍の戦力を上げる方向に切り替える方が良いかもしれんな」

 

兵士では魔女とワイバーンには勝てないとそれは騎士団長も理解していたのか、異論はありませんと返事を返す。すると話を黙って聞いていたマリア姫がここで口を開く

 

「ではその方向で動く、騎士団長は周囲の警戒に戻ってくれ。ゴーレムやガーゴイルを発見した際は極力戦闘は回避してくれ、どうしても戦闘になる場合は戦闘後時間を置いてから、戻ってくれ、この砦の場所を知られるわけには行かない」

 

「すべてお任せください。では失礼いたします」

 

マリア姫の指示に頭を下げて、部屋を出て行く騎士団長の背中を見ながら

 

「マリア姫ってその通り姫って感じじゃないのね?」

 

「む?まぁカオス様に色々教わっているし、戦術や兵法なども教わった」

 

なるほど。姫と言うよりかは騎士って感じなのかもしれないわね。死なないように、怪我をしないように知恵を与えたと言う所ね。私と蛍ちゃんの視線に咳払いをしたドクターカオスは顔を逸らしながら

 

「では私は装備などの開発に戻りますので、マリア姫。申し訳ないですが退出を」

 

「判りました。カオス様、よろしくお願いします」

 

民を、部下を死なせたくないのですと言う、マリア姫に任せてくださいと微笑んだドクターカオスに背を向け、マリア姫と蛍ちゃんと共にドクターカオスの研究室を後にする

 

「美神、それに蛍。横島を貸してくれている事。真に感謝する」

 

砦の中を見て回っているとマリア姫が礼を言ってくる。その視線の先には、子供と遊んでいる横島君の姿がある。ゴーレムにガーゴイル、それにワイバーンと言う存在に立て続けに襲われ、塞ぎこんでいた子供。その子達を連れ出して笑顔を取り戻したのは横島君だ

 

「ほっ、よっ、っと!」

 

「「「凄い凄い!!」」」

 

木の皮を丸めたボールでリフティングをしている横島君。あれだけ不規則な回転をするボールを連続で蹴る事が出来る、その動体視力と反射神経、それに運動神経は正直驚かされる

 

「へい、マリアパース!」

 

「あ、はい!」

 

一緒に子供の面倒を見ているマリアにボールを蹴り渡すのだが、マリアは上手く蹴る事が出来ず。木のボールが転々と弾んで転がっていく、だがその先にはチビ達が居て

 

「ぷぎゅうッ!!」

 

うりぼーがボールを掬い上げるようにしてマリアに返すと、今度はマリアは上手くボールを受け止めて小さくリフティングをする

 

「横島さん、返しますよ?」

 

「OKOK!」

 

軽く蹴り上げられた事でふんわりと横島君の元に戻るボール。それを胸で受け止めて、落とした横島君は子供の視線に目を合わせて

 

「どうだ?お前達もやってみないか?」

 

「「「やるー!!!!」」」

 

おっしゃ、じゃあ教えてやろうなーっと笑う横島君。そしてそんな横島君と子供達を見て笑っているその子供の両親……

 

(私達がなじめたのも横島君のおかげかもしれないわね)

 

見慣れない服装に霊力を使い、マリア姫と瓜二つの女性に、妖怪を連れている一団。それだけで警戒心は嫌でも高まり、私達は腫れ物扱いだったのだが、炊き出しや子供と触れ合う横島君のおかげで随分と馴染んで来たように思える

 

「横島君は子供に好かれやすいからね、それに塞ぎ込んでるより、子供はやっぱり笑ってるほうがいいわ」

 

あんまり子供は好きじゃないが、塞ぎこんでいる姿を見ると可哀想だと思うし、何とかしてやりたいとは思う。だけど私では上手く子守が出来ないから横島君がいてくれて良かった。私とマリア姫は砦の中の巡回と襲われた場合の避難路の相談。そして砦が発見された場合、どこで迎え撃つのか?などの戦略会議をしながら、その場を後にするのだった……

 

 

 

 

突然私を尋ねてきたガープの使い魔。指定された場所に来てくれないか?と言うメッセージカードを持った蝙蝠……罠か、それとも共闘か……おキヌさんからの話では、横島君達が中世に時間移動していると聞いた。それに関係しているのか?それとも私がスパイだと言うことにたどり着いたのか……様々な可能性が脳裏を過ぎる

 

「土偶羅魔具羅。緊急用の転移の術式が刻まれたブレスレットと、小型スピーカーを持ってきてくれ」

 

「畏まりました。アシュ様、お気をつけて」

 

丁寧に頭を下げて部屋を出て行く土偶羅魔具羅。その姿を見送っていると蓮華が心配そうな顔をして

 

「大丈夫なの?」

 

「大丈夫じゃなかろうが、今まで隠れていたガープからの接触だ。リスクは承知、だが情報を得れるこの機会を逃す馬鹿はいない。通信機の受信先を預ける、ブリュンヒルデと合流して、私の聞いた話を伝えてくれ」

 

神魔に情報を流すことが出来なければ、こんな危険すぎる橋を渡る意味は無い。だから蓮華にそう頼み、私は土偶羅魔具羅が運んできた魔具を手にガープに指定された場所に向かうのだった

 

「我が友よ。よく来てくれた、歓迎する」

 

「ガープ。元気そうだな」

 

人間の姿に化けて上機嫌に笑うガープ。エレシュキガルを召喚し、その不敬によって反撃された傷はもう回復しているようだな……しかしガープの後にいるローブの男は何者だ?

 

「ああ。こいつか、私が召喚した英霊だ。私に逆らったのでな、魔術で戦闘技術と知識を持った方と人格を持ったほうを分裂させ、技術と知識のほうをこうして側に置いている。姿を見せないのは、まぁ念の為と思ってくれ」

 

ローブの裾から見える口元には白色の形の良い髭が見えている。それに肌の色から見て老人に近い年齢の人物だろう、姿は隠しているが、その霊力から英霊であることは間違いないだろう

 

「人格のほうがどうしたんだ?」

 

英霊を側に置いている。簡単に言われたその言葉に目を見開く、最高指導者が召喚したフローレンスナイチンゲールが荒れ狂っているというのに、霊格を2つに分けてその片方を使役する……英霊に関する理解度は最高指導者よりもガープのほうが上なのかもしれない

 

「霊力も殆ど抜き取って捨てた。どこぞで消滅しているだろう、全く悪の権化といわれる存在が青臭い正義感を持ってるとは……予想外の上にくだらない話だ」

 

その言葉に内心落胆しながらも、悪の権化と言われる存在と言うのが気になった

 

「ゾロアスターのアンリマユか?」

 

「アンリマユか……ああ、出来る事ならば召喚したい所だが違う。人間の中では悪と言うだけさ、それも自らの手を汚さないタイプの天才とでも言うべきかな?」

 

ガープがそこまで賞賛する人間……?その英霊が何者か尋ねたい所だが、あまり根掘り葉掘り聞いて私に不信感を抱かれても困るか……

 

「素晴らしいなガープ。まさか英霊召喚を成功させるとは」

 

「専門分野の違いさ、お前は機械工学。私は霊的分野に特化している、その差だ。お前だって理解すれば英霊召喚できると思うぞ?」

 

何なら教えてやろうか?と言うガープ。だが私はその言葉に首を横に振った、これはガープの秘術だ。それを最高指導者にリークすれば、私がスパイだと言っているような物だ

 

「自分で辿りついてこそ意味のあるものだろう?」

 

「ふっ、そういうと思っていた」

 

科学者、研究者同士だけが持つシンパシー。相手の研究成果だけを貰うような真似はしない、自分でその領域までたどり着くという事が大事なのだ

 

「それで私を呼んだ理由は何だ?英霊を見せるためだけではないだろう」

 

それだけで私を呼んだとは思えない、何かほかの理由があるはず。その理由は何だ?と尋ねるとガープはくっくっと喉を鳴らしながら

 

「中世にプロフェッサーヌルと言う良い科学者がいたのを知っているか?」

 

「……ああ。知っているな、確かガーゴイルとゴーレムの権威だったか?」

 

知ってるも何も無い、前の世界で私がスポンサーとなり研究させていた。今回は手を引いているが、まさか私の変わりにガープがスポンサーになったのか……これも歴史の修正力と言う奴か、ある程度は前回の歴史に沿って動くと言うことか

 

「私の作った地獄炉とヌルの作った地獄炉を共鳴させ、精神のみの時間転移を行う。お前もどうだ?横島が真の特異点ならば、面白い物が見れるぞ?」

 

真の特異点……ガープが横島君に注目している理由。特異点と言うキーワードが関係しているとはわかっているが、特異点が何かは判らない。ガープは私の反応に渋っていると判断したのか、更なる札を切ってきた

 

「可能ならば、ヌルを現代に連れてくるつもりだが、流石に私1人では手が余る。可能ならば力を貸して欲しい」

 

ゴーレムとガーゴイルを中世で実用段階にしたヌル。その技術と知識は恐るべき物があるだろう、だが……ヌルがガープ陣営に合流するのは避けなければならない事態だ。それに横島君達を護ろうにも、中世と言う時代では、妨害を打てば私の仕業だとばれてしまう。自分でも冷静でいられないと判っていただから私はガープのその要請に首を振った

 

「すまない、今開発段階のものが仕上げの段階なんだ。ついて行きたいのは山々だが……今は動けない」

 

「そうか……いや、急に訪ねた私が悪いな、無理を言った」

 

申し訳無さそうなガープに罪悪感が生まれる。同じソロモンの魔神、仲間意識は当然ある。現にもし逆行の記憶が無ければガープに協力していたという確信が私にはある

 

「その代わり、ここで聞いたことは誰にも話さないし、今度私の研究が形になればそれをお前に披露しよう」

 

英霊を見せてくれた礼だと言うとガープは嬉しそうに笑いながら、帽子を頭に被る

 

「楽しみにしているよ、アシュタロス。ではな、また会おう、教授。行くぞ」

 

「……」

 

ガープがそういうと2人の姿が闇に包まれて消えていく。残された私も転移でアジトに戻りながら

 

(中世でガープが動くか……なんとかして伝えたいが……)

 

中世にいる横島君達にガープの事を伝える手段は無い。特異点が何かは判らないが、ガープがそこまで注目する何かがある……

 

「ままならないな……」

 

前からずっと感じていたことだが、神魔であれ出来ないことはある。それを突きつけられ、私は思わずそう呟くのだった……

 

 

 

 

砦に篭城して、3日目。恐れていたことがついに形になった……

 

「姫様、ワイバーンが一斉にこちらに向かってきます!」

 

監視をしていた兵士が顔色を変えて飛び込んでくる。ワイバーンに対する武器は正直完成とは程遠いのか、ドクターカオスの顔色はいい物ではない

 

「ゴーレムとガーゴイルを優先したのが裏目に出たか……」

 

舌打ちをする気持ちはよく判る。ワイバーンとガーゴイル、ゴーレムでは戦力はワイバーンのほうが上だ。そんな相手をホイホイ戦場に送り込むとは想定していない。ゴーレム、ガーゴイルで索敵し、私達を発見してからワイバーンを送り込む物だと思い込んでいたのだ。幸いにも魔女を名乗る相手がいなかったのが不幸中の幸いだが、ワイバーンだけでも十分な脅威だ

 

「弓兵部隊を後方に配置します。貴女方には前衛に出てもらう必要がありますが……大丈夫ですか?」

 

心配そうに尋ねてくる騎士団長。だけど一般兵士では死人が出る結果になる、弓兵で後方支援をして貰った方が戦術としては正しい

 

「ワイバーンの弱点は翼だ。翼を破れば、ワイバーンは飛行能力を失う。更に言えば、ワイバーンの脚は着地には適しているが、地面を歩くのには適していない。狙うなら翼だ、そこを忘れるな」

 

ドクターカオスから差し出されたのは薄い緑色の刃をした槍が2つと剣が1つ

 

「剣は横島の背丈に合わせてある。栄光の手と組み合わせれば、リーチは解決できるはずだ」

 

「ありがと、カオスのじーさん」

 

横島も戦闘に出す。これは不安が残るのだが、今は少しでも戦力が欲しいと言うのと、砦に隠れているマリア姫と避難してきた村人達を守るにはマリアとドクターカオスを外す事が出来ない。マリア姫を浚われた段階でこっちは詰みになってしまうのだから

 

「横島君。無理は絶対にしないこと、最悪の場合うりぼーでワイバーンを砦から引き離す。それが私達の仕事って事を忘れないで」

 

「はい!大丈夫です」

 

まだ砦を発見されていない。だからこちらから打って出る。そして魔女とワイバーンの注意を引き付け、離脱する。森の中と言う立地だからこそワイバーンは自由に動けない、そこを利用した戦略だ

 

「美神。この地図に印が打ってある場所が、罠を仕掛けてある所だ。上手く利用してくれ……それと無事に戻ってきてくれ」

 

マリア姫から差し出された地図を受け取り、行くわよと言う美神さんに頷き、私達は砦を後にする

 

「グゴガアアアアアアア!!!」

 

砦を出て数分でワイバーンが群れを成して襲ってくる。その圧力と迫力は思わず身震いするほどだ

 

「打ち合わせ通りよ。破魔札と精霊石は温存、使うなら霊体ボウガンにして」

 

「「はい!」」

 

横島と声を合わせて返事を返す。ワイバーンは霊力と魔力に対して強い抵抗力を持つ、効果の薄い霊具を使うのを避けるのは当然。更に言えば、今後のことを考え温存するのが道理

 

「横島君はいつでもうりぼーを出せるように準備して、走って逃げるなんて無理だからね」

 

搾り出すようにはいっと返事を返す横島。悪霊や魔獣は今までも戦ってきた、だからこそわかる。目の前に対峙しているワイバーンの強さが……

 

「横島君と蛍ちゃんは私のフォロー!離脱する隙を常に窺いなさい!」

 

美神さんの怒声にも似た指示に返事を返すのではなく、行動で返事を返す。ワイバーンが咆哮と共に吐き出した炎、それが私達とワイバーンの戦いの合図となった……

 

 

 

森の中で何度も上がる炎と倒れる樹木、それを見て私は思わず笑みを浮かべた

 

「へえ……あそこにいるんだ」

 

ワイバーンが何体か倒されたのは知覚していた、30体のうち、3体は死んだ。あそこには少なくともワイバーンを3体は倒せる存在がいる。間違いなくただの人間ではないだろう、この胸を埋め尽くす虚無感を消してくれるかもしれない、そう思うと口角が上に上がるのを自覚した

 

「お戻りください、ヌル様とゲソバルスキー……「うるさい」

 

私に城へ戻れと指図をしたゴーレムの頭を握りつぶす、あんなところにいたらいつまでも頭が痛む。その証拠に外に出たらあの激しい頭痛は完全に消え去ったのだから……

 

「ふふふ、はは……あははははははははッ!!!!!」

 

脳裏を埋め尽くす激しい感情に支配されるように笑い声を上げる。笑う度に胸の中にどす黒いなにかが芽生えていくのが判る……

 

「始めましょう、蹂躙をッ!!!」

 

地面を蹴り宙に舞う。手に呼び出した旗を振るいながら森の中に飛び込む、そこには3人の人間の姿があった

 

「はははは……あっははははははははははッ!!!!!!!!」

 

狂おしいまでの憎悪と殺意。それに身を焦がし、私は手にした旗をその3人に向かって全力で振り下ろした

 

「散開ッ!!!!」

 

リーダー格なのか、緋色の髪の女がそう叫び、バラバラに分かれるがもう遅い。私の振り下ろした旗は地面を砕き、樹木を薙ぎ払い散会した3人を纏めて薙ぎ払う。聞こえてきた苦悶の声に更に笑みを深める

 

「ははははは!!貴女達なら、私を楽しませてくれるでしょう?ねえ?」

 

ゲソバルスキーやヌルが捕まえろとか言っていた人間のような気もするが、関係ない。切り刻んで、叩き潰して、燃やし尽くす。それしか考える事が出来ない。死体を引き摺って帰ったらヌルがどんな顔をするだろう?あの鬱陶しいハゲがどれほどうろたえるだろうか?その姿を想像し、私は旗の代わりに腰に刺した剣を抜き放ち。一番最初に目についた赤い布を額に巻いた男に向かって駆け出すのだった……

 

 

リポート16 竜の魔女 その4へ続く

 

 




霊基が不安定で暴走している竜の魔女とエンカウントしました。そして真っ先にターゲットになる横島君はリアルなピンチですね、暴走している竜の魔女相手にどんな戦いをするのかを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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