生命の理   作:ゆきうさ

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思っていたよりも話が進まない・・・。


初遭遇

 ☐王都アルテア上空 風月

 

 眼下に広がる大陸。高度は何メートルくらいだろうか。

 スカイダイビングなんて比べものにならないくらいの超高高度からの高速落下。

 

 

 そんな洗礼を受けた、その時俺の頭に浮かんだのは燦然と輝く『死』の文字―――ではなく。

 

 

 

 

 ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!

 ここは俺に(・・・・・)とっての楽園か(・・・・・・・)———!?

 

 

 ただひたすらの歓喜の声。

 

 

 

 なぜなら見えているのだから。人の手の入っていない大地が、森林が、海原が。

 聞こえてくるのだから。生を謳歌する鳥の声が、波打つ海の潮騒が、木々を揺らす風の音が。

 

 見て、聞いて、嗅いで、触って、味わって。

 五感のすべてを使って新しい世界を感じて。

 

 そして何よりも、心に訴えかけてくる未知(・・)というものの存在に心躍らせた。

 

 

 

 

 落下中の身だからうまくは見れないが、植生が随分と独特だ。今まで見てきたもののどれとも一致しねえ。

 いや、そもそも植物自体が見たことないだと? まったくの新種ってことか? しかしそれにしたって違和感があるな。葉の形がやけに鋭利だし、幹の太さや根の張り方だって明らかにおかしい!

 

 うおっ! 今、何か巨大な生物が動いたぞ!

 ああいったのから身を守るために進化していったのか!? それは面白い! ぜひとも解かせて(・・・・)ほしいものだ!

 ・・・今度は自らの手で成し遂げたいものだ。

 

 

 ・・・って、あ。

 

 気づけば大地に叩きつけられる寸前で。

 

 

 

 来るであろう激突におびえ、目をつぶってしまったが・・・体にはなんの衝撃も来ない。

 目を開けば王都アルテア、その城壁が目の前に広がっている。

 後ろには見渡す限りの平原が広がっている。先ほどちらっと見た森ではないことが残念ではあるが、こちらはこちらで面白そうだ。

 

 

「おお・・・。すげえわ、これ。」

 

 

 そう呟いて、俺は城壁へと背を向けた(・・・・・・・・・)

 さてさーて! 町に行ってみたい気持ちもあるが、先に色々と見てしまおう!

 

 

 

 

 そうして、俺は歩き出す。

 途中に看板が立っていた。どうやらここは<イースター平原>というらしい。

 

 

 

 道に座りこんで、生えている植物や土を確認していく。

 ふむ、なかなか面白い。楽しいな。今までに見たこともないものが大量だ! 写真・・・は取れないだろうからスケッチでも・・・。あ。

 

 

 スケッチを書こうと思って腰のポーチに手を伸ばすものの、そこには初期アイテムとして配られたアイテムボックスしかなく。

 考えてみれば虫眼鏡や採集道具も今は持っていない。普段持ち運んでいたからすっかり持っているものだと思っていた・・・。

 

 しまったな。一度町に戻って道具をそろえておくか? しかしやるのであればちゃんとした機材を持ち込みたい・・・。

 

 よし、とりあえず今日のところはここら辺を軽く調べてから町に戻ろう! 細かい調査はまた今度だ!

 

 

 そう方針を決めて立ち上がる。

 少し後ろ髪引かれる部分もあったが、これからはいくらでも時間があるのだからと自分を納得させた。

 

 

 そして再び歩き始めて・・・緑色の皮膚をした、小柄な生物との出会いを果たした。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 それを見た時。

 ヒトガタのそれ・・・【リトルゴブリン】を見た時。

 あとにして思えばなんでそう思ったのかも分からないが、俺はソレを原住民だと思いこんでしまった。

 

 ・・・強いて言うのならば人型であったこと。俺自身がかなり浮かれていたこと。この二つだろうか。

 

 

 ゆえに、俺はこの場合に考えられる最も愚かな選択肢を選んだ。

 すなわち

 

「あー、こんにちわ? それともハロー? 言葉って通じてるー? こっちに敵意はないからぜひ友好的な関係を・・・」

 

 明らかな敵意を持っているモンスターに対して語り掛けるという、最大級に黒歴史な行動を・・・!

 

 

 

 その三分後。

 寄ってたかってボコられた俺は、光の塵となって<Infinite Dendrogram>の世界から離れることになったのだった・・・。

 

 

【致死ダメージ】

【パーティ全滅】

【蘇生可能時間経過】

【デスペナルティ:ログイン制限24h】

 

 

 ◇

 

 

 現実へと戻ってきた俺は、いまだに『なぜ原住民はあんなにも好戦的なのか』という頓珍漢な考えをしていた。

 

 そうしてもう一度ログインしようとしても【ペナルティ期間中です。あと23時間51分48秒】という表示が出るだけ。

 

 

 このゲーム、一度死ぬと24時間もログインできなくなるのか・・・。なんて厳しいデスペナルティだ。

 

 

 今すぐにもプレイしたくて、もう一機買って来ようとも思ったが、チュートリアル担当の双子が別の機器でやっても同じアカウントで登録されるって言ってたな・・・。

 

 

 ならば今のうちにこのゲームについて調べてみることにしよう・・・。

 

 

~~調べ中~~

 

 

 ・・・なるほど。さっきのアレは原住民ではなく、モンスターなのか。よくよく考えてみれば、どう考えても敵意むき出しだったしな。サイトには簡単に倒せるから初心者にはお勧め! なんて書いてあるが、少なくとも俺には無理そうだ。

 

 あと、モンスターかどうかを確かめるのは、頭上に種族名が出るかどうかで判断すればいいのだとか。全く気付かなかった・・・。自覚はなかったがどうやら相当浮かれていたようだ。

 

 

 それに、まずはジョブにつく必要があったようだ。

 現実でもニートならば、ゲーム内でもニートだったということだろうか。ふっ・・・笑えないな。

 

 

 それでどんなジョブにつくのがいいかを調べようと思ったのだが、どこを見ても【適職診断カタログ】を使うか<DIN>で聞け、としか書いてなかった。

 【適職診断カタログ】というものも、高級品でこそないものの初心者が手に入れるのは難しいということなのでこの<DIN>というところに行くことにしよう。

 

 

 

 じゃ、明日思いっきりゲームできるように、今日は早く寝るか。

 

 

 

 ◇

 

 

 こんな夢を見た。

 

「人類にとって、世界はもう狭くなってしまったんですよ。それはアナタも分かっているでしょう?」

「・・・。」

「アナタが発見した理論、それは素晴らしい。あなたの功績は、天才性は誰からも認められてしかるべきだ。だから・・・だからこの辺でいいんじゃないですかね?」

「・・・。」

「無理にこの先を追い求める必要はない・・・いえ、すでに理解されつくされてしまっているんですよ。あなたがこの先何をしたところで、いくらあなたが天才だったところで、すでに解決されている問題をもう一度解決することなんてできないんです。」

「それでも、俺は・・・。」

「分かっています。あなたが本当にやりたかったことがこの先だってことは。しかし、この世界にもう『未知』というものはないんです。人類の数十年数百年に及ぶ知識の積み重ねは、この世から『未知』を消し去ってしまった・・・。あなたがいくら未知を追い求めようとしたって、それはもう、誰かが通った後にすぎないんです。」

「そう、ですか・・・。」

「はい。もともと環境・・・生態系の完全(・・・・・・)なる理解と支配(・・・・・・・)というテーマは2030年代にやりつくされているんです。あなたの理論があればこれらの研究の大いなる助けになったことは確実でしたが・・・それがなくとも達成されてしまっていたんです。

 

 ・・・あなたは今後、どうしますか?」

 

 

 これは・・・これは夢だ。過去のことをただ思い返しているだけにすぎない。

 

 

 そう、この悪夢のような現実を。

 

 

 

 

 

 




主人公がやったのは円周率を完全に求めたようなものです。

画期的で、ものすごい偉業ではあるのですが『だいたい3でよくね?』と言われてしまえば何も言い返せないのです。
円周の長さや直径を求めるのには正確な円周率など必要ないのです。


それはそうとして、何も情報無かったらまず町に入るよりフィールドに行くよなーっていう。ジョブにもつかなかったレベル0がうろついたら、そりゃあ死に戻りしますよね。
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