生命の理   作:ゆきうさ

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エンブリオの能力公開です!


【生命種 アダム・イブ】

 ☐王都アルテア 城壁の上 【生態師】風月

 

「お前らが・・・俺の<エンブリオ>?」

「その通りです、マスター。僕たちはマスターの願いより生まれた存在。マスターの<エンブリオ>です。」

「俺の願い・・・だったらこの状況をどうにかできるってことか?」

 

 目の前ではいまだに<ノズ森林>が燃え落ちている真っ最中だ。

 

 この状況をどうにかするようなスキルを持っているのか・・・?

 

 

「うーんとね、マスターには悪いけど、私達には何もできないのー。(アダム)もイブも。だってスキルを持ってない(・・・・・・・・・・)のー。」

「はぁ!?」

 

 慌ててステータス画面から<エンブリオ>の項目を調べる。

 

 

 アダム・イブ

 TYPE:アポストル・メイデンwithガードナー

 到達形態:Ⅰ

 

 ガードナー体ステータス

 

 アダム

 HP(体力):200

 MP(魔力):100

 SP(技力):100

 

 STR(筋力):1

 END(耐久力):10

 DEX(器用):1

 AGI(速度):10

 LUC(幸運):10

 

 所持スキル:なし

 

 

 イブ

 HP(体力):200

 MP(魔力):100

 SP(技力):100

 

 STR(筋力):1

 END(耐久力):10

 DEX(器用):1

 AGI(速度):10

 LUC(幸運):10

 

 所持スキル:なし

 

 

 

 ステータス補正

 HP補正:なし

 MP補正:なし

 SP補正:なし

 STR補正:なし

 END補正:なし

 DEX補正:なし

 AGI補正:なし

 LUC補正:なし

 

 

 保有スキル:なし

 

 

 

 ・・・。なんだこの『なし』の嵐。

 それ以上にステータス低すぎるしなぁ! レベルゼロの時の俺より低いってどういうことだよ! STRとDEXに至っては1だと!? それもうないのと変わらねえじゃねえか!

 

 

 少し整理してみよう。

 <エンブリオ>特有のスキルは、ない。

 ある意味最も大事とまで言われるステータス補正すら、ない。

 あげくガードナーなのに<エンブリオ>自体の戦闘力すら、ない。

 

 これらのことから何が分かるだろうか。

 

 

 A.お荷物

 

 

「ま、待ってください! 今はまだ役に立たないかもしれませんが、いずれはマスターのお役に立てるよう進化してみせます!」

「いやー。まさかこうなるとは想定外だったなのー。イブ(アポストル)がなきゃ、せめてステータス補正はあったはずなのー。」

「いきなり何を言い出すのですか!?」

 

 

 珍しいTYPEで良かったね、なんて感想しか出てこないんだが・・・。しかし、アポストル? メイデンの方は聞いたことがあるんだが・・・。

 

 いや待て。メイデンについて聞いた時になにか不吉なことを言ってなかったか?

 

 そう、たしか———メイデンは食事をする、と。おまけに変な食癖を持っていて、引きが悪いと<エンブリオ>の食費で稼ぎが飛ぶとかなんとか。

 

「ギクッ。」

「おい、ギクッって言ったか今。」

「やだなー。大丈夫大丈夫なの。全然大したことないなの。それよりイブにだって食癖はあるはずなの!」

 

 ・・・そうなのか?

 

「その問いに対する答えはイエスです、マスター。僕は“命なきもの”しか食べません。具体的には石や鉱物といった無機物ですね。ですので僕に関しては食費の心配はないかと。」

 

 ・・・石とかをどうやって食べるのだろうか、という疑問はさておいて。食費がかからないというのはいいことだ。うん。

 

 問題は・・・。

 

「なら私だって問題ないはずなの! “命あるもの”を食べるだけなの!」

 

 なら問題ないか? そこまで高額を要求されることはないはず・・・

 

「だけど、お肉にするなら心臓が動いてて血が滴るような奴じゃないと食べれないの!」

「ただのグロじゃねえか!」

 

 え? “命ある”って生きてるうちじゃないとカウントされないのか!?

 だとしたら確保するのがとんでもなく難しいことに・・・いや、待てよ。

 

 

「じゃあ、今日からお前の主食は葉っぱだな。」

「なぜそうなるの!?」

「なぜって・・・“生きてる”もので、かつそこら辺にあるものだ。ローコストだろ?」

「おにくー! お肉が食べたいなのー! 動物性たんぱく質なのー!」

「アダム! マスターに意見するとは何事ですか!」

「イブは黙ってるなの! お肉が食べれないなんてありえないなの!」

 

 ぐ・・・わがままだな。

 

「そこまで言うのなら仕方ない。週に一度くらいになるがそれでもいいか?」

「・・・マスターが言うなら我慢するの。」

 

 しょうがない・・・週に一度くらいは買ってやるか。()なんてそこら辺で買えるしな

 

「マスター!? どういうことなの!?」

「ああ!? 何か文句あるか?」

 

 お荷物程度ならともかく完全にただ飯ぐらいになるなら容赦はせんぞ。

 

「うう・・・。せめて有精卵でお願いするの・・・。」

 

 

 ◇

 

 

 ☐王都アルテア 《【生態師】ギルド》内部 【生態師】風月

 

 

「そういえば、お前らのガードナーとしての姿を確認していなかったな。」

 

 ギルドに顔を出したはいいものの、受けていたクエスト失敗扱いになった。観察対象だった森林が丸ごと焼け落ちたんだから当然と言えば当然だが。

 

 そして目の前には俺の<エンブリオ>である双子が。

 しかし、これをよく双子だって気づけたな。

 

 かたや金髪碧眼の妖精みたいな薄手のワンピース(さすがに翅はついてない)に身を包んだ活発そうな少女。

 かたや黒目黒髪の、燕尾服に身を包んだ執事然とした少年。

 

 ぱっとみ、姉弟どころか親戚って言われても違和感あるのに・・・。

 なんとなくそう感じるのは・・・雰囲気のせいだろうか。

 

 

 

 帰り道でそんな姿にも見慣れていたが、今日はそろそろログアウトしようかという段階でガードナーの姿になったコイツラを見てないことに気づいた。

 

「えっと・・・マスターががっかりするかもしれないから見せたくなかったんですが・・・。」

「いい、もうがっかりしつくしてるからな。」

「それもそうでした・・・。」

 

 イブががっくりと膝をつく。

 

「とにかくガードナー体になってみますね。」

「アダムもなるのー。」

 

 

 というが早いか、さっそく変身を始める。変身といっても一瞬で終わるんだけどな。

 

「これは・・・種? まあ予想通りだよな。こっちがアダムの方か。」

 

 だって【生命種】とか言ってたし。

 種って・・・完全に守ってもらう方だよな・・・。なにがガードナー(守るもの)なんだろうか。

 

 

「んでもってイブの方は・・・植木鉢?」

『正確には、中の()が僕ですね。』

 

 こっちはこっちでよく分からん・・・。土型のモンスターってことなのか? なら植木鉢は服とでも言い張るのかね?

 

 

 

 どうしてこう・・・本当に役に立たない<エンブリオ>になってしまったんだろうか・・・。

 

 

 とりあえず、種を植木鉢に植えてから今日はログアウトした。

 

 今後どうするかをしっかり考えないとな・・・。とりあえず、自前の戦力が欲しい。ジョブもそこそこ埋まってキャパシティもあるし、いざとなれば常時パーティーメンバーでもいい。

 明日は従魔でも買いに行くか・・・。

 




はい。能力皆無の役立たず<エンブリオ>でした。

本編では説明できなかったのでここで明かしますが、【生命種 アダム・イブ】はすべてのリソースを“必殺スキル”にのみ割り振った<エンブリオ>です。
そうしないと主人公の願いを叶えられなかったからですね。


メタ的なことを言うと、単純に珍しいことやって見たかったのと、必殺スキルの性能を引き上げたかったためです。

必殺スキル以外はガードナーとしてスキルを覚えることしかしないので、下級の間はホントに役立たずです。(ステータスも変化しません)
 そのため第四まではサクッと進化させたいと思います。
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