生命の理   作:ゆきうさ

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さくっと第三形態に進化してもらいました。

孵化してから二、三日ですけど、なんのスキルもないのはさすがにね?
というより、目標点が明確なので成長速度は相当速いと思います。



増えた仲間と第三形態

 ☐<ウェズ海道> 【生態師】風月

 

 俺は<ウェズ海道>・・・この王国にあるという港町に向かって移動していた。

 もちろん徒歩ではない。馬車ならぬ竜車・・・ではなく、いわば兎車に乗ってだ。

 

 俺の目の前では大きなウサギ・・・目測3メートル47センチほどの大きさの【ビックボールラビット】が一生懸命この兎車を引いている。

 遠くから見ると白いモコモコした球体が車を引いているようにしか見えなくてかなりの奇異の目で見られることになった。

 

 しかし、こう見えても意外と力持ちで、俺を乗せた車を引くくらいには体力がある。というかレベル60もあるしな。もはや跳ねること走ることも叶わぬ体躯だが、STRとENDだけはある。

 

 もとは【パシラビット】というモンスターだったのが進化してこうなったんだそうだ。生命の神秘だな。面白い。

 

 しかし、『ENDなんて兎のモンスターには求めてないんだよ!』という一言により解雇されることになったのだ。たまたまその場に居合わせたので格安で譲ってもらえたが、そうでも無ければ殺して経験値にでもしてしまおうかという目を向けられていた。

 

 ちなみに名前はタマだ。

 

 

 この姿になったのは名前が原因なんじゃないか疑惑があるが、それはさておき。

 

 

 あともう一匹、従魔を買ってある。【テールウルフ】のクロだ。こっちは店で買ってきた

 決め手は見た目だ。癒し系のモフモフはいたからかっこいい系のモフモフが欲しかったのだ。

 

 今は外を追走してもらってるはずだ。ちなみにレベルは3。もしモンスターと遭遇したら真っ先に《送還》しなきゃならない。

 

『ねえ、マスター。なんで従魔は外なのに、私達は中なのー?』

『そうです。あちらの方が新入りなのに・・・。』

「とはいっても、お前らよりタマとクロの方が役に立ってるしなぁ・・・。それに車の外だとついてこれず、兎車の中だとタマの負担になるし狭いだろ?」

 

 この二人はずっと紋章の中に入ってもらっている。 

 理由は今言った通り。この車、《振動遮断》のスキルがついた結構いいやつなんだけど、中が狭いんだよ。

 

 ちなみにここ最近の一番高い買い物がこれだ。三ヶ月働いた分の、半分が消えていったぜ・・・。

 

『ううー! ずるいのー! 私もお外見たいなのー!』

 

 しょうがねえなぁ。もっとモンスターに襲われるもんだと思ってたが意外に襲われないし。

 あれか? <月世の会>がここに出張ったついでに大規模なモンスター狩りをしたって話だったからモンスターが減ってんのかね?

 

 

 一応、相当広範囲に対して【生態師】のスキル《カウント》を使うも、その示す数は0。

 ここ周辺にはモンスターが一匹もいないことになる。

 さすがに異常事態のような気もするが・・・。

 

 

 ま、いいか。見てる感じでそこまでの違和感はないしな。ちょいちょい気になる痕跡はあるが、今はそれを追う時じゃない。

 

「おーい、タマー! ちょっと止まってくれー!」

 

 一旦休憩にしようか。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「んん? なんかムズムズするのー。」

「んっ! 確かにそうですね、これは・・・。」

「どうした? お前ら。」

「はい、マスター。どうやら第三形態に進化したようです。」

「けど、何も変わってないのー・・・。」

 

 もう第三形態か。早いな。

 こいつら、孵化した次の朝には第二形態になってたからな・・・。

 

 一応何も変わってないわけではなく、ガードナー体の方は成長している。アダムは種から双葉に、イブは植木鉢が少し大きくなっていた。どうやら体積が増えてたらしい。

 ・・・変化がそれだけで、ステータスもスキルも何一つ変わってなかったのが残念だが。

 

 

「おー。そうかー。」

「マスターが投げやりです・・・。」

「何も変わってないからなのー! どうしてなのー!」

 

 

 今回もそう言った成長があったかもしれない。

 とりあえずガードナー体の方にしてみるか。

 

 

 すると。

 

「アダムの方は大きくなったな・・・。結構葉もついてるじゃないか。」

 

 アダムはちょうど一メートルの大きさに成長。イブもそれを支えられるくらいに大きくなっている。

 ・・・ガードナー体なら兎車の中にいてもいいと言おうとしたが、この大きさじゃ無理だな。

 

『あ! スキル増えてるの!』

『な、なんですって! ・・・あ。僕もです。』

 

 ・・・え? スキルを持った? こいつらが?

 

『マスター、そこまで驚かれると傷つくのですが。』

「ああ、すまんすまん。ちょっと信じられなくてな。で、どんなスキルなんだ?」

『どうやらこれは・・・すみません。<エンブリオ>としての固有スキルではなく、モンスターとして普通に持っているスキルのようです。

 僕が手にしたのは《土状生命体》と《育成》の二つです。《土状生命体》は文字通りのスキルで、土としての特性を持つようになって、物理攻撃を受けても体を修復させれたり自分の形を変えることができるようになりました。《育成》は自分の体に根差す植物に対して生命力・・・つまりHPを譲渡できるというものですね。

 どちらも、土のモンスターなら普通に持ってるスキルです。』

『私のはねー。《光合成》と《葉形成》なのー。《光合成》は光を浴びてHPを回復させるスキルでねー、《葉形成》はHPを消費して新しく葉っぱを作れるのー!』

 

 アダムのはどうか分からんが、普通は持ってるはずのスキル、か。

 むしろ今まで持ってなかったのかよと突っ込みたいんだが。《土状生命体》とか《光合成》とか。

 

 まあ、こいつら基本的にずっとアポストル・メイデンの方でいたからな。ガードナー体でいる時間が短すぎたからかもしれん。必要ないときは紋章にしまっていたしな。

 

 ・・・これからは少しくらい、外に出しといてやるか。スキルも覚えるかもしれないし。

 

 

 ふむ、ステータス欄からでもスキルの詳細が確認できるな。

 どれもそのままの効果のようだが・・・《葉形成》、これは色々と面白いことができそうだ。

 

 指定すればHP回復効果を持った葉や、食べると経験値を得られる葉を作り出すこともできるのか。その分、かなり効率は落ちるようだが・・・。

 アダムが回復アイテムを作り出せるようになったというわけか。

 

 

 とりあえず・・・

 

「アダム、《葉形成》をしてくれ。」

『りょうかいなのー!』

 

 アダムが言うが早いか、にょきにょきと新しい葉が生えてくる。

 

 

 

 そして十分後。

 

 

『完成なの!』

「・・・これに対して早いと言えばいいのか、遅いと言えばいいのか分からないんだが。」

『HPがたくさんあればもっと早くできると思うの! 一枚200くらいのHPが必要なの!

 

 

 ・・・そんなわけで私は今瀕死なの・・・。』

 

 たしかにHPが10しか残っていない。

 効率悪いなぁ・・・。

 成長したらステータスも伸びてくれないかなぁ・・・。

 

 

「それで、マスター! 私の初めてをどうするの!?」

「え? タマに食わせるけど?」

 

 

 というか変な言い方をするんじゃない。わざわざメイデンの方に戻ってから言いやがって・・・。まったく。

 

 

 

 

 なお、アダムの初めてはタマに美味しくいただかれました。タマがとてもご機嫌だったから、これからもタマの食用としてアダムには頑張ってもらおう。あとその回復役としてイブにも。

 

 

 




なお、《葉形成》ですが回復アイテム作成として見ればスキルカンストで比率1:100くらい。経験値として見れば1:10000くらいだと思います。
つまりHP100注いで1回復するアイテムを作るか、10000注いで1の経験値が得られるアイテムを作るか、です。

あってもなくても変わらないくらいの誤差みたいなもんですね。
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