TSした男のアイドル生活?   作:ディアドコイ

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何とか3時台に投稿です。
生活時間を元に戻そうと思っています。
投稿ペースが遅くなったらごめんなさい。
既に先週分のUAを軽く越えたことに驚愕しています。
本当にありがとうございます。
何度も何度も、美城を美代と間違えてすみません。


風邪の間に

本日もシンデレラプロジェクトに新メンバーが来る予定なのだが、私は体調が悪い。

 

「……くしゅんっ」

 

「か、か、かわいいにゃあああ!」

 

朝起きてから体がいつもより重いと感じていたが、前に軽装で歩き回ったせいで風邪を引いたようだ。

女性の服はヒラヒラしていて、生地が薄かったり、露出が激しいのだ。

この日に日に寒くなってくる季節に、そんなことも気にせずに外へ出たのが失敗だった。

今日のレッスンに行けるだろうか。

 

「ギャップが良いにゃあ!今のもう一回やって!」

 

自分のしたい時にくしゃみなんてできない。

……普段言うことを聞かないこの体でも、生理現象を抑えることは出来ないらしい。

あくびのタイミングに合わせて声を出そうとすれば、もしかしたら出るかもしれない。

――絶対にやらないが。

駅での独り言以降、声を出せていない。

本当は新田さんと前川さんがよくやっているアイドル談義に参加してみたいものだ。

 

にしても先程から目の前で前川さんが悶えているが、大丈夫だろうか。

朝御飯の時間ということもあって食堂には人が多く、何事かとこちらを凝視している人もいる。

寮のメンバーだから大丈夫だとは思うが、シンデレラプロジェクトに気持ち悪い人がいると思われても困る。

視線を思いっきりぶつけることで、前川さんを正気に戻らせる。

私のガン見はなかなかに怖さがあるらしい。

表情がついていたらジト目になっていて可愛いのかもしれないが、私がやるとただ不機嫌に見えるだけだ。

 

「さっきはごめんね。ちょっとびっくりしただけにゃ。」

 

体温計取ってくる、と言って部屋の方へそそくさと戻っていってしまった。

……少し怖がらせ過ぎたかもしれない。

後で元気付けるために、猫のカチューシャでも被ってみるべきだろうか。

 

少しして、前川さんが手に体温計を持って帰ってきた。

さっそく使わせてもらうと、……38℃、高い。

 

「みくがトレーナーさんに休みの連絡はしておいてあげるから、絶対安静にゃ!わかった!?」

 

首を横に振って拒否をアピールする。

今日は新メンバーが来る予定なのに、一人顔合わせができないのは厳しい。

後で挨拶とかに来られてもこっちは話せないのだ。

先輩に無視された、なんて思われてしまってはシンデレラプロジェクトのイメージを悪くしてしまう。

シンデレラのいびり役まで再現!などと馬鹿にされかねない。

 

 

「ダメったらダメなの!病人には布団がお似合いにゃ!アイドルなら早く治すべきだよ!」

 

病人の近くで叫ばないでください。

食事後に無理に外へ出ようとしたら、前川さんに止められてしまった。

そのまま手を引かれて自分の部屋へと逆戻りである。

 

帰ってきたら新メンバーの子も紹介すると約束してくれた。

間に前川さんが入ってくれるなら、会話に困るようなことにもならないと思うので一安心だ。

まだ前川さんは、私が逃げ出さないか不安げにこちらを見ているが、今日はご厚意に甘えて休ませてもらおう。

 

「……くしゅんっ」

 

「うにゃああああ!いってくるにゃあ!」

 

部屋の外で悶える前川さんの声が聞こえた。

……騒がしくて楽しい人だ。

 

 

 

カーテンから漏れる光で目が覚める。

光は既にオレンジがかった赤色になっていて、既に夕方になっていることが分かった。

熱になると感じる体のダルさも無くなって、頭が動き始めた気がする。

……そう言えば、寮に入る人ならプレゼントを買わないといけない。

前川さんがいつも帰ってくる時間まで少し余裕があるし、外に買い物に出てもバレないだろう。

よし、新田さんと前川さんにもあげたネックレスを買いにいこう。

 

 

「で、言いたいこと……じゃなくて、弁明はあるのかにゃ?」

 

無事に目当ての物も買えて満足し、早く帰ろうと思った矢先に帰路で鉢合わせしました。

 

結局、一緒に帰ることになったが前川さんは怒っていらっしゃる。

しかし、新メンバーもいるからこれ以上怒ることを諦めたのか、一つ溜め息をついた。

前川さんが静かになったのを見計らって、その横にいた銀髪の子が近づいてくる。

 

「ミニャー ザヴート……私がアナスタシア、です。アーニャと呼んでください。日本語、合ってますか?」

 

少しだけ訛りがある気もするが、合ってるので頷く。

見た目からして生粋の日本人ではなさそうなので、おそらくハーフかクォーターだと思う。

前まではアイドルなんて全員似たように思っていたが、ここまで個性があって皆違うと面白い。

 

「……クラシーヴァ 綺麗な黒い目と髪、ですね」

 

真っ直ぐ褒められると恥ずかしくなるので止めてほしい。

こちらとしてもその白銀の髪を褒めたいが、伝わりそうにないので早速言葉に詰まってしまう。

……取り敢えず前川さんに視線を送る。

 

「あーにゃんはロシアと日本のハーフらしいにゃ。先週にPチャンに北海道でスカウトされたんだって!」

 

ちゃんと話題を作ってくれた。

Pチャン……武内さんか。

アーニャさんが北海道にいたのも少し驚きだが、武内さんがそこまで行っていることの方がびっくりすることだと思う。

 

 

「せーの!346プロ女子寮へようこそ!」

 

仕掛け側に回るのは2回目だが、アーニャさんの反応も面白かった。

会ってからずっとクールな雰囲気をしていたアーニャさんが目をぱちくりさせている。

 

――今気づいたが、仕掛け側にも若干の緊張が漂っている。

アーニャさんの見た目から日本語が通じなかったんじゃないかと心配しているのだろう。

小日向さんもあたふたしている。

……いつも通りだった。

 

「スパシーバ ありがとうございます。これからここでお世話になる、アナスタシアと言います。アーニャ、と呼んでください」

 

心配があった分、歓声が上がる。

これから歓迎パーティーだろうし、前と同じならその途中でプレゼントを渡す時間があるはずだ。

それまで質問攻めを食らっているアーニャさんを眺めておこう。

 

「志穂チャン、何してるにゃ?病み上がりは自分の部屋に帰った帰った!さっさと寝るが良いにゃあ!」

 

せめてプレゼントだけでも渡させてください。

ただ我が儘を言って外に出て、そして怒られただけで一日が終わってしまう。

前川さんの腕を引っ張る力が強くて、この体では振りほどけそうにない。

 

……結局ネックレスを渡すことが出来ず、翌日の朝に無言でネックレスを押し付けるということをするはめになった。

突然のことに困惑するアーニャさんに申し訳なく思った。




SSを書き始めてみくのことが凄く好きになりました。
よりキャラクターのことが好きになれて、見てくれる人もいるなんて……。
天国かな。
感激です。
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