TSした男のアイドル生活?   作:ディアドコイ

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普段1話書き終えたタイミングで前日に書き上げた1話を投稿というふうにしているんですが、これは予約投稿です。
……つまり、時間がなくて書けなかったんです。
土日で書き溜めたいです。


二人

武内さんからシンデレラプロジェクトルームに集まっておくように、という話があった。

部屋には既にちひろさんがいて、お茶の用意をしてくれていた。

皆は揃ったが、まだ武内さんが現れるには時間がかかるだろうし、何の話か予想でも立てておこう。

……ほぼ間違いなく新メンバーの話だろうが。

 

私が美城プロに来てからもうすぐ3週間だが、15人の内4人が集まっている。

更に、後1ヶ月ぐらいでオーディションで選ばれたメンバーも入ってくることになるだろう。

 

まだアイドルとしてデビューしてないので職業なのかは微妙だが、退職願を作ることも考えなければいけない。

しかし急いでバイトも探してはいるものの、結果の方は芳しくない。

何の考えもなく、ここから出ていくことは自殺行為だろう。

コミュニケーションの手段として様々なことをしてみたが、どれも上手くいかなかった。

先程簡単に退職願を作ると言ったが、文章を書くのも一苦労だ。

武内さんの書類にサインするときは名前を書けたのに、今文字を書こうとすると蛇が這ったようになる。

凄く時間をかければ書けないこともなさそうだが、会話として使うことはできなさそうだった。

他にも文字入力も試したが、突然手が震えだして思ったところを押せないという結果になった。

他の方法も浮かんだら試してみようとは思っているが、上手くいく気はしていない。

 

 

扉が開いたので武内さんが来ると思い身構えたが、入ってきたのは金髪の少女だけだった。

 

「やっほー☆アタシ城ヶ崎莉嘉だよー。お姉ちゃんみたいなギャル系アイドル目指してるから、よろしくねっ☆」

 

「城ヶ崎、姉……?もしかしてお姉ちゃんって城ヶ崎美嘉さんなのかにゃ!?」

 

「あら、次のメンバーは随分と若い子なのね」

 

城ヶ崎美嘉という人は346プロの雑誌にカリスマギャルとして載っていたのを覚えている。

私が初めて美城プロダクションへ来たときに、レッスンルームでダンスをしていた人のはずだ。

本ではカリスマギャルと書いてあったが、裏には真面目な練習があるんだと感服した。

その人の妹らしい。

 

新田さんの言葉に皆が同意しようと思ったときに、突然ちひろさんが前へ出てきた。

 

「莉嘉ちゃん、ここに入ってきたらダメですよ。今から大事な話があるんです」

 

「シンデレラプロジェクトのメンバーの話でしょ?さっきプロデューサーがちっちゃい子と歩いているの見たから知ってるよー☆アタシも入れてほしいな、って思ったのっ!」

 

あ、全く関係ない人らしい。

ちひろさんと面識もあるようだし、シンデレラプロジェクトの希望者といったところだろうか。

……後、その言い方だと武内さんが悪いことをしているみたいなので止めてあげてほしい。

ちっちゃい子って、あなたもそうじゃないか。

 

「遅れてすみません。早速ですが新メンバーを連れて……。城ヶ崎さんは、どうしてここにいるんでしょうか……」

 

「やっほー☆」

 

間が悪い、としか言いようがない絶妙なタイミングで武内さんが入ってきた。

新田さんやアーニャだけでなく、普段はよく喋る前川さんすら話がよくわからないのか、黙って成り行きを見守っている。

……新メンバーの話に移るまで時間がかかりそうだ。

 

 

「お姉ちゃんみたいなカリスマギャルとして一流アイドルになるからさ、お願いっ☆」

 

「ですが……、」

 

頼み込む城ヶ崎さんと、首に手を置きながらやんわりと拒否する武内さん。

可愛い子だと思うが、武内さんも目を逸らしながら断っていることから、誰かからシンデレラプロジェクトに入れないようにと頼まれているのかもしれない。

 

この問答も何度目になるんだろう。

そう思っていたときにドアが開いた。

雑誌で見た通りのピンク髪に際どいファッションをした女性が立っている。

 

「本物の美嘉さんだっ!」

 

「えーー!!お姉ちゃんなんで来たのっ!?」

 

「莉嘉が迷惑かけてるってちひろさんから教えてもらったの!ほら、行くよっ!それじゃ、お邪魔しましたー★」

 

妹の手首を握って、嵐のように去っていった。

一瞬の出来事だったので皆唖然としている。

……いや、前川さんは今流行りのアイドルを見たことで、まだ目を輝かせていた。

今もそうだが、語尾のにゃ、が外れることが多いのに猫系アイドルになれるのだろうか。

 

「えっと、もう入って良~い?」

 

場が静かになったタイミングで外から声が聞こえた。

この一部始終の間、部屋の外で待っていたのだろう。

既に疲れを感じているが、新メンバーとの挨拶は必須である。

武内さんのどうぞ、の言葉で扉が開き、今度こそ本当の新メンバーが入ってくる。

……本当に小さい、というか若い。

 

「赤城みりあって言いますっ!アイドルになれて、とっても嬉しいです☆今日からシンデレラプロジェクトの仲間としてよろしくねっ!」

 

あれだけ外で待たされておいてニコニコである。

さっきの城ヶ崎莉嘉さんに比べて年齢は低そうだが、太陽のような笑顔で、眩しい。

 

「……仲間」

 

「うん!これから一緒に頑張ろうね!」

 

子供特有の純真さが辛い。

今も声は出たが、また仲間という単語だけだ。

武内さんに、仲間というだけに言葉に反応するマシーンとでも思われていないだろうか。

これ以上声がでないので、せめて握手くらいしたいものだが動かない。

 

「あ、握手だねっ!よろしく~♪」

 

「……っ」

 

何がしたいか、わかっただと!?

子供である赤城さんがこの無表情を怖がらずに近づいてくるだけでも驚きなのに、意志が通じるとは……。

武内さんもメンバーも驚いて口が若干開いている。

放心状態から一番最初に戻ってきたのは新田さんだった。

 

 

「みりあちゃんは、志穂ちゃんのしたいことがわかるの!?」

 

「ん……。今は分かんないけど、さっきはちょっと分かった気がするよ!」

 

「き、きっと気のせいだにゃ!志穂チャンは、握手のことなんて微塵も考えてなかったよね!?」

 

慌てた様子で前川さんがこちらへと話を振ってくるが、別に嘘をつく必要もない。

首を横に振る。

 

「こんな小さな子の方が、いつも会ってるみくよりも先に分かるなんて……、ちょっと自信なくなるね……」

 

「ダー すごくびっくりしました」

 

いつも寮で話しかけてくれている前川さんは落ち込んでいるが、分からないのが普通だと思う。

そう伝えてあげたいが、声は出ない。

でも、――励ましたい。

体が動くのを確認して、前川さんの方へ近づく。

気がついていないようなので、猫耳カチューシャを奪って自分に着けてみる。

ほら、同じ猫だよ。

ちゃんと心配してくれてるのとか分かってるから。

 

……いや、中身男が猫耳カチューシャはダメだ。

その場の流れで着けてしまったが、静かになってしまい恥ずかしくなったので返す。

ここには武内さんもいたんだった。

一瞬だけ目が合うが、すぐに逸らされる。

欠伸を噛み殺したような顔をしたまま、頑なに目線を合わせようとしない。

……そんな微妙な反応よりも、いっそ笑ってくれた方が嬉しかった。

 

 

猫耳を奪われたことでびっくりしたからか、前川さんも復活してくれたのでやった甲斐はあったと思う。

武内さんは今日は以上です、と言った後すぐに立ち去ってしまった。

そこまで露骨に嫌がられると傷つく。

 

赤城さんは家から通うとのことで、新田さんと一緒に駅へと向かっていった。

手を繋いで一緒に歩いていく姿は、家族みたいに見えた。

私としては、赤城さんに色々と確認を取りたいことはあったが、後日でも構わないだろう。

寮への帰路では、二人が赤城さんが分かったなら自分も、という風に様々な質問をしてきて大変だった。

後は、前川さんから予備の猫耳カチューシャをもらった。

……一回滑った芸をもう一度しろ、とはひどいことを言う。

すぐに首を横に振った。

 

 

翌日のこと。

 

「昨日も自己紹介したけど、もっかいねっ!アタシは城ヶ崎莉嘉!これからよろしくっ☆」

 

「城ヶ崎さんの加入が決定となりました。これからよろしくお願いします」

 

「おっけー☆アタシお姉ちゃんを越えて見せるからっ!」

 

「わーい!莉嘉ちゃん、よろしくね~♪」

 

武内さん、昨日断ってませんでしたか?

ついでのようにメンバー増やして大丈夫なんですか?

 

だが、昨日の城ヶ崎さんよりも良い笑顔をしている。

昨日のように姉を目指しているのではなく、姉を越えると宣言した辺りに心境の変化があったのかもしれない。

――というか城ヶ崎さんが二人いるので、年下ということもあり莉嘉さんと呼ばせてもらおう。

 

11歳と12歳が加わり、一気に平均年齢が下がってプロジェクト内の若々しさが増した気がする

子守り役の新田さんへの苦労がなくなることはなさそうだ。

昨日よりも格段に部屋が騒がしくなったが、これはこれで良いかもしれない。

取り敢えずギャルの話に合わせられるように、休みにはファッション雑誌を買いにいかなければいけない。




アニメのストーリーを微妙に忘れているのが、書く時間が伸びている原因です。
それに、アニメを見ていた頃に誰が寮で、自宅で……、なんて気にしてなかったので調べてみると、つい楽しくて時間がなくなります。
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