TSした男のアイドル生活?   作:ディアドコイ

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遅くなったうえに話が進まずにすみません。
遅れた理由は感想でも書いたんですが、インフルエンザにかかってました。
後は、バーチャルyoutuberにハマってました。
ときのそら、好きです。
気づけばもうすぐお気に入りも2000と凄まじい数字です。
未だにこれが現実なのか信じられないです。


決心

――こんなにも人に必要とされることは簡単だっただろうか。

あれほど頑張って笑顔を浮かべたことも全部無駄で、この世界に来るまで意味なんてないと思っていたのに。

今こんなにも笑いかけてあげたい。

 

私は特別アイドルの知識があるわけでも、自ら成りたいと思い続けていたわけではない。

私よりアイドルに憧れ続けている人もきっとたくさんいるだろう。

なら変わってあげるべきだと考えていた。

きっとアイドルに相応しい人はたくさんいる。

 

その気持ちは変わらないが、悩むのはここで終わりだ。

十代に戻ったんだ、我が儘も許される。

私と一緒を望んでくれる人のために頑張る、青臭くて良いじゃないか。

自分に素直に従うのも、若さの特権だと思う。

良い人達を眺めるのではなく、そのなかで輝きを放てるように。

 

……私はアイドルになろう。

アイドルに成りたかった人の分まで情熱を注ぎ、これだけハンデがあっても何とかなるというのを証明してみせよう。

少し怖くても、また人を信頼できるように茨道を歩き続けよう。

きっと武内さんは私に何か隠し事をしている。

それに他のアイドルへの態度もよそよそしいし、アイドル達と衝突してしまうことがあるかもしれない。

それをシンデレラの一員として、内側から支えてあげようではないか。

 

今私の手を引いてくれている前川さんはもちろん、シンデレラプロジェクトのメンバー全員をトップアイドルにさせよう。

そのためには、私が汚れ役を引き受けよう。

年頃の女の子が嫌だと思うような仕事だっていつかは来るかもしれない。

……この体でどこまでできるかはわからないが。

 

 

シンデレラプロジェクトルームに戻ると、新田さんとアーニャだけでなく、美嘉さんと高垣さんもいた。

なるほど、そこから話が伝わったのか。

……こういう業界で先輩に迷惑をかけるというのは、もしかしてまずいことじゃないか?

もし人気アイドルに共演NGを食らっては、イコール死に結び付く可能性が高い。

明らかに少し怒ってます、という雰囲気を出している新田さんとアーニャには申し訳ないが、先輩に謝罪から入るのが先決だろう。

ちゃんと相手を見て……、よし、ちゃんと言葉が出せる。

 

「もう大丈夫……です。あ、ありがと」

 

「へ?……へっへー、これで一件落着っしょ★いやー!普通に志穂ちゃん良い子でよかったー!」

 

「そうですね、これからも一緒に頑張りましょう。いつでも相談受け付けてますよ。そう、談笑しにくるだけでもいいですよ。ふふっ」

 

何かわかったようにニコニコしている二人だが、ついに私の心境を完璧に察してくれたのか?

後はメンバー内で話しあえ、と言わんばかりに早々に退場なさった。

……美嘉さんの普通に良い子で、という言葉からやっぱりこの顔は怖がられていたのかもしれない。

ここでちゃんと敬意を示せたのは僥倖ではないか。

まあ、感謝の言葉に敬語はつけられなかったが……、多少の誤解がとけたならば何よりだ。

 

「で、志穂ちゃん?私達に何か言うべきことはない?」

 

「ダー、私達、仲間ですよ。悩んだときはお互い様、です」

 

「そうだにゃ!みく達に恥ずかしそうにお礼を言うのにゃ!はやくっ!」

 

「……それはちょっと違うと思うけど……。」

 

優しさが見に染みる。

あと、別に恥ずかしいなんて微塵も思ってない。

確かに勝手にシンデレラプロジェクトから脱退しようとしたことは悪いと思うが、あれが最善のように感じたのだ。

今でもシンデレラとしての適任は他の人、という気持ちは変わっていない。

それでも他人を押し退けてシンデレラになろう、と我が儘になっただけだ。

 

前川さんは冗談を言えるくらい余裕があるようだが、新田さんはそうではない。

元々心配性の人なんだろうが、お説教の始まりだ。

会ったときの話から、ダンスやボイストレーニングで感じた心配事など、どんどん出てくる。

……そこまでいくと過保護の域に入るのではないだろうか。

 

「もっと年上の人を頼ってほしいの。だめかな?」

 

諭されている感じが心にくる。

でも、前世を考えると私の方が年上なんです。

年上としての責任感というのを新田さんから感じるが、私に無理をする必要はない。

ただ、ここで首を横に振っても話は延々と延長されていくような気もする、というか横に振れるのだろうか。

――あ、振れた。

じゃない、これは火に油を注ぐ行為では?

アーニャと前川さんも、新田さんも予想していなかったのか唖然とした顔をしているが、私も普通に首が横に動くとは思わなかったのだ。

新田さんが再起動する前に何か言い訳を出さねば。

 

「もう、迷惑かけたくない……から」

 

「……志穂ちゃん……。でも、本当に困ったら頼ってね?」

 

もちろん頷く。

たまたまうまく回避できたようだが、もう一度大丈夫だとは限らない。

今ので新田さんのありがたいお言葉も終わりらしい。

 

「せっかく明日が休みなんだから、一丸となった記念に焼き肉にいきたいにゃ!」

 

「みりあちゃんと莉嘉ちゃんも誘ってあげるべきだよね?それに、プロデューサーが忙しいらしいから明日にしよう。やっぱりプロジェクトの皆でいかないと、ね?」

 

「ダー、皆一緒が一番です。」

 

「えー、みくはプロデューサーさんがあんまり得意じゃないのにゃ……。でも二人がいないのに焼き肉するのは確かに良くないかも。時間が時間だし明日まで我慢するにゃ」

 

確かに既に日は落ちて外は暗くなっている。

いくら冬で日が短いとはいえ、レッスン後に今回の事があったので、8時は過ぎているだろう。

申し訳なさでいっぱいだ。

 

「じゃあ今日はこれで解散しましょうかっ」

 

皆で新田さんを見送りに駅まで向かい、寮についたときには9時近くになっていた。

思った以上に悩んで疲れていたからか、すぐに眠気に襲われた。

だが、久しぶりに気持ちよく眠れた気がする。

……前川さんが最初に焼き肉を提案していたが、ネコキャラ的に焼き魚を意味していたのかもしれない。

それにしても焼き肉なんていつ以来だろうか。

久しぶりなのと年齢が若くなった影響からか、少しだけ気分が上がる。

小学生の遠足前と同じ気分だ。

 

 

さて、落ち着こう。

デビューまで、まだ時間はあるはずだ。

これまで以上にアイドルとは何かを理解しなければいけない。

この職で生きていくと決めたからには、私はアイドルとしてのプロ意識を持たなくてはいけない。

歌えない分、ファンサービスの良さや一芸を持つことで印象を残すのが大切なはずだ。

スキャンダルなんて論外だ。

シンデレラプロジェクト全体のイメージダウンに繋がってしまう行為には絶対に注意しなければならない。

 

服だって、適当に店員に選んでもらうのはだめだろう。

ファッションセンスがないアイドルは、それだけで服関係の仕事をもらうのは厳しくなるだろう。

ちなみに、小日向さんは独創的なのでセーフだ。

個性として使えるものがあるのは羨ましい。

私がアイドルとして使える個性、武器は何だろうか。

前世のことを思い出しても目ぼしいものは見当たりそうにない。

正しいテーブルマナーなどのビジネスマナーはできる自信があるが、果たしてこれはアイドルの特技として大丈夫だろうか?

……それともやはり、猫キャラなのか?

猫耳をつけるだけでキャラができて、上手く動けないのも猫の気分屋な一面を表しているということにできないだろうか。

――いや、ちょっと無茶だろう。

なんとかこの怖さを生かせる路線を考えるか、それとも高垣さんのようにギャップで攻める。

それが正解だろう、つまりはまだ保留だ。

 

 

「それでは、これからの皆の輝かしい日々に、乾杯~♪」

 

「乾杯なのにゃっ」

 

乾杯の音頭をとったのは楓さんだ。

シンデレラプロジェクトの人達のなかに一人紛れられる鋼のハートを持っているのはすごいと思う。

というか、お酒を飲める時にはどこにでも現れるらしい。

武内さんが驚いてないことから、きっとよくあることなんだろう。

焼肉の話を聞いて予約をとってくれたのは武内さんらしい。

未成年でも入りやすい綺麗な焼肉屋を探してくるあたり、手慣れていると思う。

――少し目があったが、逸らされてしまった。

昼に寮まで武内さんが謝りに来たときは本当に驚いた。

昨日の私がモデル部門を見学しようとした話が耳に入ったらしい。

モデルをすることに理解を示した後、辿々しくアイドル

の良さを語っていた武内さんだったが、既に問題が解決しているとわかった時には恥ずかしかったのか照れていた。

以降少しぎこちない。

けど、この人のアイドルへの熱意を実感できて嬉しかった。

 

適当に注文してくれる新田さんと武内さんが何となく夫婦に見えてくる。

さしずめ私は子供役だろうか。

 

「ちょっと火をつけるので、気を付けてくださいねー」

 

店員さんのテンプレのような確認の一言。

――待て。

普通の人が見たら暖かみを感じるようなオレンジの光が灯る。

――焼肉なんて炎を見るのは当たり前じゃないか。

後悔してももう遅すぎる。

……手の震えが全身へと波のように伝わっていく。

体温が下がったからか、目の前に火の熱さを強く感じるし、酸素が足りないように息が出来ない。

 

「……高柳さん?大丈夫ですか?……高柳さんっ!」

 

武内さんが私の意識を覚醒させようと頑張ってくれている。

にしても、連日手のかかる人になっていて申し訳ない。

新田さんにも、もう迷惑をかけたくないと言ったばかりなのだが……。

 

そんなことはお構い無しと言わんばかりに、体が勝手に目を閉じて、意識を飛ばしてくる。

……これでせっかくの打ち上げを壊してしまうのは悪いな……。

そう思うことはできても、体が無理矢理私の意識を奪った。




気づけばこの小説を投稿してから既に1ヶ月。
これが14話なので平均のペースは3日に1回より早い。
まだサボれる余地はありますね……。
次話からは、またいつもの感じに戻るつもりです。
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