TSした男のアイドル生活?   作:ディアドコイ

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2時台に投稿しようと思っていたら寝ていました。
2時250分投稿ということで許してください。
武内P視点は凄く難しいですね。


武内P視点 ①

シンデレラプロジェクトにこれからの美城プロダクションのアイドル部門が委ねられている、と言っても過言ではないように感じます。

そんな一大プロジェクトのマネージャーが私で良いんでしょうか。

前の失敗のせいか、アイドルと自身の向き合い方もプロデューサーになろうとした理由すらも、思い出せません。

……会社へ行くまでに、少し早く家を出て散歩でもしましょうか。

 

そんな考えで早朝に外へ出ました。

この逃げのような行動が、私をもう一度プロデューサーへと戻してくれました。

 

 

外では、空を分厚い雲が覆っていました。

何度か営業で来たことのあり、少し遠いと感じる街まで私は足を運んでいました。

この街の中央にある公園に花畑が増設されていて、以前来た時よりも少し華やいで見えました。

 

ふと、煙の臭いを感じた気がします。

周囲で煙草を吸っている人がいないのを確認して、その後に火事という言葉が頭に浮かびあがりました。

風が東から吹いているのを確認し、手遅れになる前にと思い走り出したのです。

 

 

そして、小さい家が燃えているのが目に入ってきました。

隅々まで人の手が入っているのがわかる綺麗な庭の花も燃えています。

消防と救急に連絡しましたが、まだ来る気配はありません。

人は集まっていても、誰かが救出に入ったような形跡もありませんでした。

もし中に人がいたとしても、もう生存は絶望的なのではないだろうか――。

煌々と燃える家へ飛び込む決心をしたときに、その家の扉が内側から開かれました。

 

扉を破り女の子が飛び出してきました。

生存者がいるということでも十分に驚くべきことですが、その顔の美しさに呆気を取られる人もいました。

服につく煤が、彼女の肌の白さを引き立たせていました。

誰もが圧倒されている時間は、そんな彼女が地面に倒れることで終わりました。

慌てて火から遠ざけようと人が集まっていきます。

 

私は以前この街に来たときに彼女を公園で見かけたことを思い出しました。

しかし、その時とは似ても似つかなかったのです。

彼女は公園で年下の子供の乗ったブランコを押していました。

表情の変化は少なかったですが、穏やかで優しい女の子だと思いました。

そこには、あの子なりの笑顔があったように思います。

ですが、先程の顔には何も感じてないように見えました。

住んでいた家が燃えていくのも、何か当たり前のことだと受け入れてるような顔でした。

 

――笑顔にしたい。

 

火事のせいなのか、それともまた別に何かがあったのかは分かりませんが、もう一度笑顔になってほしい。

まだそんな年齢で、全部を諦めないでほしい。

そんな思いが頭の中を埋めていきました。

あの人の笑顔を輝かせる手伝いをさせてほしい。

 

こんな自然と湧き出た思いが、またプロデューサーとして自分を立ち上がらせてくれました。

 

今思えば、断られるのも目に見えているような判断ですが、この時に決心しました。

――あの人が目を覚ましたなら、アイドルとしてスカウトにいこう。

朝の出来事を千川さんと今西部長に伝えると、シンデレラプロジェクトが始動することへの喜びか、二人ともが嬉しそうでした。

 

雲が晴れて、日の光を感じ始めました。

 

 

 

翌日、ある病院で医師に彼女をアイドルとしてスカウトしたいから面会させてほしい、という話をしました。

当然良い顔はされませんでした。

今の彼女を混乱させるのは良くない、という患者のメンタルを考えた医師としては正しい判断でした。

しかし、その後目を覚ました彼女と話した医師の意見に変化がありました。

それは一度断られたなら今は諦めてほしい、というものでした。

彼女が予想以上に冷静で話のできる状態にあること、それから自分の熱意に負けたとのことで感謝しかありません。

 

 

彼女のスカウトは予想以上に早く決着がつきました。

わずか30分足らずで彼女はアイドルになることへサインしたのです。

アイドル活動の厳しいところから女子寮のことまで一つ一つ詳しく説明したのが正解だったのでしょう。

こちらの言葉を聞いている間も、合間合間に相槌を打ってこちらが話しやすくしようという気遣いも感じました。

それだけでなく、終始こちらを試すような視線を送りつつ、考えを張り巡らせてから決断を下すまでの早さに感服させられました。

 

自分が精一杯の状況でも、冷静で気遣いができるところに、たとえ笑顔が消えても素晴らしい人格者だというのを実感します。

……強い人です。

それにしても、すぐに納得してくれると思っていなかったので、逆にこちらが動揺してしまい申し訳なく思いました。

退院後に美城プロダクションの本社を案内するという約束をして、その日は終わりました。

私は、高柳さんとシンデレラプロジェクトを必ずアイドルとして成功させることを改めて誓いました。

 

 

退院後、病院へ迎えにいくと火事にあった日と同じ服を来ていました。

洗濯されて煤は綺麗になっていましたが、彼女は今この服しか持っていません。

火事のせいで手持ちが何もないことを失念していたので、給料の前払いという形でお金を渡しました。

物を買い揃えることができないと、いくら寮に入るとしても辛いはずです。

このような細かいことから軋轢が生まれる可能性があるのです。

彼女は既にシンデレラプロジェクトの一員で、私はそのプロデューサーなのですから気を引き締めるべきですね。

 

 

駅から地上へといくと、彼女は美城プロダクションを見て、あまりに驚いたのか口を少し開けていました。

すぐにこちらが見ていると気づいたのか、どことなく恨みがましい視線を送ってきました。

謝罪したものの、彼女は口数が多くないので非常に気まずい時間が続きました。

 

その後、美城プロダクションの豪華な設備に驚きはすれど、一切顔には出しませんでしたが、シンデレラプロジェクトルームには興味があったのか自ら進んで部屋に入っていきました。

 

千川さんと高柳さんの顔合わせも終わり、千川さんとシンデレラプロジェクトの今後について話しているときに、その出来事はありました。

 

「……仲間……?」

 

千川さんの言葉を聞いて高柳さんが反応したのです。

仲間、という言葉に。

初めて聞く彼女の声は全体へ響いていくような澄み渡った声でした。

しかし、声を出した高柳さんは、こちらの話の邪魔をしてしまったと思ったのか頭を下げてきました。

こちらが今後の話に熱中しすぎて、高柳さんをいない人のように扱ったことが悪いのです。

慌ててこちらも謝罪します。

会って数日ですが、高柳さんの気配りには目を見張るものがあります。

 

――仲間という言葉に反応したということ。

やはり火事で住む家も失い、独り身の高柳さんには分かり合える仲間が必要なはずです。

相性の良い人とユニットを組んでもらうのも良いかもしれません。

いくら強い人でも十代なのですから、大人のサポートが必要です。

まずは頼られるプロデューサーにならなければいけません。

 

 

夕方になり、女子寮の前まで高柳さんを送り届け解散します。

優雅なお辞儀でこちらが帰るまで見届けてくれました。

表情は乏しい人ですが、冷静かつ丁寧で気配りもできる人だと今日1日でわかりました。

また心の底から笑えるように、全力でプロデュースしてみせます。




微妙な勘違い。
私事なんですが、しおり数が変動して最新話まで移動していくのを見るのが好きです。
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