ソード・アート・オンライン、通称SAO。
これが俺が過ごすクソゲーの名前だ。
このクソゲーは多くの人間をゲーム内に閉じ込めて、強制的にデスゲームの参加させた。
ゲームのクリア条件はシンプル。
【茅場晶彦を殺す】
それだけがこのゲームのクリア条件だ。
ーー???ーー
目の前で起きた非日常的にこの場にいる全員が言葉を失う。
目の前で人が一人ポリゴンに変わった。
それはHPが0になった事を示し、そしてその人間が死んだ事を指し示す。
ーー死。
それは受け入れるには余りに重過ぎる事実。
それも人を殺したのがモンスターでなく人間ーー友人であれば事柄の受け入れ難さは比にならない。
ーーどうして。
目の前で殺人を行った友人に問い変えようにも、口からは息のみが出るばかりで言葉が出ない。
信じたくなかった。目の前で殺しを行ったのは心優しい友人。
ゲーム開始直後に出逢い、意気投合して短い期間だが濃密な時間を過ごした。
一階層で死にそうな"私"を救い出してくれた彼、一人が怖くて強引に後ろをついてくる私を見て照れくさそうに頬をかく彼、迷宮で倒れた見知らぬ他人を助けた彼。
私の思い出には優しく不器用で捻くれている彼しかいなかった。
見知らぬ他人ーー私やアスナ、ディアベルを救っても奪うことはしなかった彼が殺しを行った。
その事実を私は受け入れられず、辛い現実から逃げうように意識を手放した。
私が最後に見たのは何処か儚げに覚悟を決めたハチ君の顔だった。
ーーハチ8ーー
俺は今、比企谷八幡という存在を理解しえないでいた。
俺が知る比企谷八幡は孤高を好んで群れることを嫌い、自分には何も求めないが他人には求めて、危機管理能力が優れた人間だったはずだ。
それがどうだ。デスゲームが始まり、ある少女と出会って自分は変わってしまった。
孤高を愛したはずの俺の周りには毎日誰かがいて、他人にしか求めなかったはずの俺が彼らと歩むために自分に力を求めた。
そして、危機管理能力が優れた人間だったはずの俺がPKーーつまりは殺人という危険を犯した。
以前の俺だったら有り得ない行為に自分をも戸惑いを覚えて、そしてどこか納得もしていた。
以前の俺はただの卑怯者だった。
群れるのが嫌いなのは拒絶が怖くて、他人にしか求めないのは自分には期待もしてなくて、危機管理能力が優れているのは傷付くのが嫌だったから。
けど、少女達と出会い、誰かといる心地よさを知って、少女達が期待する自分にも期待出来るようになって、心にゆとりが持てるようになった。
いい風に言うと人間らしく、悪い風に言うといつの間にか弱くなっていた。
人間とは感情が昂ると何を仕出かすか想像が出来ない。
危うくもあったがボス戦が全員が生還することが出来た。
しかし、ボス戦が終了してはい解散とはいかなかった。キバオウは突然に少女ーーキリトを糾弾し始めた。
LAボーナスがなんだの、自分達を利用しただのと喚き散らす。
それに同調するかのように周りのプレイヤーもキリトを容赦なく責め立てた。
彼等も直面した恐怖を何かで発散したかったのだろう、それがキリトを責め立てる行為に繋がった。
キリトは何も言えないでいた。
それもそうだ、キリトは見た目的に中学生で糾弾する多くは大人の男性だ。
力を得たとしても心は中学生のままだ。恐怖以外の何物でもない。
恐怖に見が竦んで、涙を溜めて糾弾する大人達を眺めるキリトを見て人間に戻った(弱くなった)俺の心に闇が射した。
「殺せ」「死ね」「殺せ」「死ね」
糾弾する言葉は次第に酷さを増し、劣悪な言葉へと変化する。
その瞬間、俺の中で何かが壊れる音がした。
自分がこの世界で身を守る武器と愛用するナイフを手に握る。
そして構えたナイフを何の躊躇もなく、一番近くにいたキリトを糾弾する男の首元に振るった。
俺の振るったナイフは一撃で男のHPを全損させる。
突然に起きた殺人に場は静寂が支配する。
「ははは、脆い」
乾いた笑が口から漏れだし、手に付いた幻想の血を服で拭う。
目の前ではPKの事実を理解してない男、殺人に動揺し気絶するキリト、自分が嘘方便でボス戦へと連れてきた女の子。
全員に共通するのは殺人を犯した俺に対する恐怖。
「ひ、人殺し!!」
いち早く状況を理解したプレイヤーが叫ぶ。
その言葉は周りに感染し、口々に人殺しと俺を罵る。
「人殺しの何が悪い?お前らもたった今、俺の
滅茶苦茶な言葉だ。
理論もクソもない言葉ではあるが、脅威を持たせる力はある。
「一つ覚えておけ、俺は此処で姿を消すが何時でもお前らの近くにいる。俺の
俺はその言葉を吐き捨てて逃げ去るように階段を駆け上がる。
気持ち悪いーー気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
吐きそうな気持ちを押し込めて、階段を駆け上がって思った。
ボス戦では利用するだけ利用するだけして、恐怖と自分の愚かさを人に押し付ける汚さが気持ち悪かった。
階段を駆け上がり、外に出て思わず気持ち悪い感情を吐き出そうと嘔吐く。
「
いつの間に現れたのか、嘔吐く俺を無視して興奮冷め切れないように先程の殺人を話す男。
フードで姿は確認出来ないが、この男からはいい感情を得ない。
「なんか用か」
「Ha、単刀直入に言う。俺はお前が欲しい」
「はぁ?」
俺は目の前の男の言葉に間抜けな言葉で返す。
「意味を理解出来てないみたいだな」
「当たり前だ。急に現れたと思ったらお前が欲しいと言われて理解出来るわけがない」
「Ha、簡単な話だ。俺は大勢の前で殺す度胸はない。しかし、お前は俺に出来ない事を仕出かした。尊敬はせれども軽蔑はしない、故にお前を側に置いておきたい」
「意味が分かんねぇ」
「俺と来るか?」
「お前の名前はなんだ」
「PoH」
「ふん、ハチ8だ」
「Ha、成立だ。これから頼むぜ」
不敵な笑みを浮かべる口元のみが見える男ーーPoHが求める握手に応じる。
これが俺とラフィンコフィンのリーダー《PoH》との出会いだった。
PoHの話し方難しい
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