パワフル野球人生~最強のピッチャーになろう!~   作:うぃけりん

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理不尽な転生

 

 

 さざめく音が聞こえる。

 

 

 眼が開かない。それどころか、呼吸をしている感覚もない。ただ感じているのは、誰もが遠い昔、必ず味わったことのある繋がりだ。

 

 そう、俺はいま母親のお腹の中にいるのだろう。へその緒に伝わる安らかな愛情は、やはり何より温かいものだという事を思い出させる――

 

(――ちょっと待った!なぜ俺は赤ん坊になっているんだ!!それにこの記憶…嘘だろ?)

 

 理解が追い付かない。精神がまだ不安定なのか(安定してても混乱するだろうが)無意識に暴れてしまい、母体のお腹を蹴ってしまった。

 

「いたっ。…今…ちゃんが‥‥ったみたい。」

 

「‥‥か!?いいぞ、きっと‥‥な男の子だ!」

 

「…かしら…でも、…ね。元気な子が‥‥‥‥くれるわ。」

 

 両親と思われる男女の声が不鮮明に聞こえる。きっと、誕生を待ちわびていることだろう――

 

(って、なんで俺の記憶が残ってるんだよ!)

 

 

 状況を整理しよう。

 あの日、俺は確かに死んだんだ…死に際の言葉も鮮明に覚えているし、今でいう「前世」が嘘だったとは思えない。

 問題は前の俺が死ぬ瞬間だ。あり得ないことだが――この状況も十分にあり得ないが――落ちる瞬間に聞こえた老人の声。そう、落下中なのにはっきりと聞き取れたんだ。

 

 

―――その願い、叶えてしんぜよう。…じゃろ?―――

 

 そうそう。今みたいな声だったね。

 

(―――てか、あんた誰だよ!これどうやって喋ってるんだよ!そもそもこの状況なんなんだよ!!)

 

―――ワシは野球仙人。どっちかというと神様みたいなもんじゃよ。…あとこれは「ふぁみちち」‥‥だっけのう?―――

 

(「ファミチチ」ってなんだよ!…ファミチキだろ?)

―――おぉ、そうじゃそれそれ。ふぁみちきっていうやつじゃ。―――

 

 

(そうそう、それでいい‥‥‥わけねぇ!! だから何だよ! 何にも解決してねぇよ!?)

 

 

―――細かいことはどうでもいいじゃろう。‥そうじゃのう。お前さんの憧れるプロ野球選手と言えば誰かいのぅ―――

 

(全然良く…もういいや、ツッコミ疲れたよ――そりゃあ、野茂投手だよ。日本野球の立役者さ、俺も憧れてトルネード投法を練習したもんだよ。)

 

―――そうじゃのう。日本では沢村 栄治を始め、数々の豪勇達が人々を魅了していった。王 貞治、鈴木 一郎、近年はダルビッシュ有や大谷 翔平が注目されとるのう。―――

 

 続けて神(?)は俺の予想もしてない、とんでもないことを言い出す。

 

 

 

 

―――近い未来。お主はそれらに並ぶ偉人として、野球界に名を刻むことになるんじゃよ―――

 

 

 

 

 

 この神(笑)の言ったことを要約すると、

 

・俺の死後、書いた遺書が日本中に広まり、全国のプロ・アマ・挙句にはリトルリーグまでが意識改革を行ったと。

 

・そのお陰で、選手の故障率が激減。新たなトレーニング法により選手生命が格段に長くなり、元々潰れてしまう筈だった天才を救う事にも繋がったと。

 

・「好野スタイル」は世界にも認められ、「世界一非才な偉人(球界のボーダーライン)」として教科書にも載ることになったと。

 

 

(…で、その御褒美がこれだってことか。まるでゲームや漫画のような話だよ、ったく。)

 

―――物分かりが良くて助かるわい。前世のお主は虚弱にして無才。周囲の体格や運動神経の速さに、さぞや嫉妬したものじゃろう―――

 

(‥‥ああ。そんなの毎日のように思っていたよ。「どうして俺の身体はこんなに貧相なんだって」ね。)

 

――ふっふっふ、ならばやろうぞ!その新しい身体!…心配するでない。お前の魂が宿るその肉体は既に空。死産直後に魂を捻じ込んでおいたから倫理的にセーフじゃ。CERO.Aじゃよ。――

 

(いやいや生命倫理的にアウトだよ!宇宙の真理覆してんじゃねーよ、てかCERO.Aって何だよふざけんな!)

 

 最早何を言っても無駄だという事は分かった。心の喉が限界になっているのを感じた俺は全てを悟り、今世を生きることを決意した。――出来るだけ野球と関わらないように、細々と。

 

―――因みに野球以外のボールに触れると脳ミソが爆発するので注意じゃ。―――

 

(八方塞がりだな!オイ!)

 

―――流石に冗談じゃよ。そこまでひどいことにはならんから安心せい。‥‥多分―――

 

(多分て言った!今多分て言ったなてめぇ!!)

 

―――ええい、黙らっしゃい!もうそのまま幼稚園児になるまで眠っとれい!!―――

 

(俺の話を最後まで…き‥‥‥‥‥け‥‥ぇ‥‥‥‥‥)

 

 疲れ果てて寝込む感覚、急に意識が遠くなる・・・・・本当に、何が目的なんだ。俺は第二の人生なんて望んでないぞ。そんなのお断り・・ダ・・・・

 

 そして俺は、この定めの濁流に飲み込まれてしまった。

 

 

 

 

 ふぅ、やっと静かになったわい。あと5年くらいは目覚めんじゃろう。まぁ、もうちとサービスしてやるかのう…ホレ、念願の「才能」じゃよ。

 

 

 

 

―――その世界を生かすも殺すもお主次第じゃ。出来れば、「善」に生きて欲しいもんじゃのう。―――

 

 そして、俺は人生初めての「センス◎(さいのう)」を手に入れた。

 

 

 

 





 ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます。いやぁ、転生ものは難しいですね。何より書くのが難しいのは、また子供時代をやり直すハメになる大人の心境です。これを上手く書いている他の筆者さんは本当にすごいです。小学生並の感想ですみません、コナミだけに
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