やはり俺は彼女としか本物は得られない 作:Suffer trouble
誤字脱字など多くあるかもしれませんが、暖かい目で見守って頂けたらと思います
その日、俺の中で何かが壊れた
頭の中で反復して聞こえてくるのは
『あなたのやり方嫌いだわ』
『もっと人の気持ち考えてよ』
ああ、今まで俺のしてきたことは全く意味を持たなかった。
そう思いたくなくとも、その言葉が真実を告げている。
確かに他のやり方もあったかも知れない。
由比ヶ浜の気持ちに薄々気付いていながら、この方法をとったのも間違いだったかもしれない。
だが『俺』という人間が、あの状況のなか『本物』を守るためにはああするしかなかった。
俺がずっと追い求めてきたモノのためなら、辛くとも苦しくとも堪えられた
過去の告白でのトラウマを理性で抑える。
誰かの告白を横から邪魔することで、周りから批難されることなんてわかりきっていた。
元々文化祭での出来事もあったからな。
マイナスがさらにマイナスになっただけ、そう思いながら実行した。
依頼を解決できなければ、奉仕部は、あの場所がなくなってしまうかもしれなかった。
何とか依頼は達成したが、結局俺の追い求めていた場所はなくなってしまった。
俺は今まで、濁りきったこの目で何を見てきた。
人間なんてそんなものじゃないか。わかっていたじゃないか。そこから目を反らし、期待して裏切られたと思う方が馬鹿なのだ。
もう期待するのも、目を背けるのも、誰かを想うのも、恐れるのもやめよう。
皆の、誰かの中に俺が存在することはない。
俺の中に俺がいるだけだ。
だから、信じるのは俺自身。誰かのために自分を犠牲にするのも今日限りだ。
もしその誓いを破る日が来るのなら…
いや、こんなことを考えるだけ無駄だ。今さっきそう決めたじゃないか。
どこまでも学習しない馬鹿だと、口から乾いた声が漏れた。
いまだに宿泊施設に戻ることなく、林の中に立っている。
時々吹く風が心地よかった。
やっと、自由になれた気がしていた。
ありもしない本物という幻想に囚われ続けていた日々から。
そんなものに期待していた過去の自分から。
ポケットに手を入れたとき携帯があることに気がついた
「もう、全部終わったんだよな」
そう一人呟いて、連絡先を開く
そこには両親、妹、由比ヶ浜の名前があった
それを1つずつ消していく
放任する親、ごみ扱いする妹、自らの過ちを気付かせてくれた人
もう、一人になった俺には関係のない人たちだった
少し身軽になった心を携えて青年は歩く
果たしてその選択は正しいのか否か
それがわかるのは予想外に早かった
それから葉山が申し訳なさそうな目でこちらを見てきたり、戸塚が心配して声をかけて来たが、何ともないと一言返事をしただけで、あとは誰とも関わることなく修学旅行は終了した。