やはり俺は彼女としか本物は得られない 作:Suffer trouble
少しでも気に入って頂けたら幸いです
1話あたりの文字数は今後徐々に増やせていけたらと思います
修学旅行から帰宅した俺はすぐに自室へと戻った。
いくら心が身軽になったとはいえ、肉体的精神的共に疲れ果てている。
新幹線のなかで睡眠はとったが、逆に中途半端な睡眠のため眠気が酷い。
制服を脱ぐこともなく、ベットへダイブしてそのまま目を閉じた。
周りの音が徐々に聞こえなくなり、そのまま眠りに落ちた。
八幡side out
小町side in
玄関から音がしたと思ったら、足音はそのまま二階に上がっていった。
「お兄ちゃん帰ってきたのかな?でも、ただいまもないなんて小町的にポイント低い」
そう呟いてみたものの、疲れもあるだろうし、あのお兄ちゃんのことだから修学旅行でもなにかあったのだろうと予想し、今はそっとしておくことにした。
「でも、小町に一言もないなんて…。これは雪乃さんと由比さんに聴かなくては」
携帯を取りだし、ふと兄の様子が頭をよぎる。さすがに修学旅行が終わってすぐでは、あの二人も疲れているだろう。迷惑になってはいけないと思い携帯をもとの場所に戻した。
「起きたら事情聴取だからね、お兄ちゃん!」
小町 side out
戸塚 side in
「八幡どうしちゃったんだろう」
そう呟いてみても答えが返ってくることはない
戸塚にとって八幡は、友人であり尊敬する人物でもあった。
教室ではいつも一人だし、捻くれている。
でも、誰よりも相手のことを考え、それが誰であれ自分を犠牲にしてまで助ける心優しい人。
いつかは自分も八幡の役に立ちたい、恩返しをしたいと思っていた。
そんなときに、あの修学旅行の日の八幡の態度だ。
いつも通りを装ってはいたものの、流石に気付く。
何ともないと一言言って八幡は眠ってしまったけれど、言葉とは裏腹に明るく感じられた。
それにあの目だ。
本人や周りは腐ってるなんて言うけど、僕は独特でむしろ格好いいとまで思ってる。
だが、その目が変わっていた。
どこまでも深い海のように、どこまでも高く宇宙のような、そんな黒に。
正直それを見たとき、ゾッとした。
それ以上声をかけることすら忘れてしまう位に。
何があったらあそこまで変われるのか、僕には想像もつかなかった。
とにかく八幡のことが心配でならなかった。
戸塚side out
八幡side in
水中を漂っているような感覚だった。ふわふわしていて、上か下かもわからない。
でもとても心地よくて、なんとなくこれは夢なんだなと理解できた。
だって現実ではこんな心地よさはありえないから。
この空間には自分一人。
目を閉じながらでもわかる。
自分の中から他人を排除したせいか、夢の中ですら一人だ。
でもそれでいい。
それがいい。
ああ、心地よすぎてここまま目覚めないまである。
だが、心とは裏腹に現実とは非常である。
徐々に夢から覚めていく感覚が…
「ふぁ~」
大きな欠伸をしながら伸びをする。
あの心地よさから目覚めてしまったのは残念で仕方ないが、眠気もとれスッキリした。
「って、制服のままで寝てたのか。とりあえずシャワーでも浴びるか」
上着をハンガーに掛け、着替えをもって一階へ階段を下りていく。
先程は気が付かなかったが、リビングの電気がついている、ということは小町はリビングか。
まぁ、とりあえず今は体の汚れを落とす方が先だな。
そんなことを考えていると
「あ、お兄ちゃん!帰ってから小町に一言もないなんてポイント低いよ!」
そんなこと心底どうでもいい。とにかく寝汗やらで気持ち悪いからシャワーを浴びさせろ。
そんな気持ちが顔に出てしまったのか
「なにその顔!全くこれだからごみぃちゃんは……って!その目!?」
兄にゴミと言う人間に関わるのは時間の無駄だ。
あいつの言葉を無視して浴室へと向かう。
「ちょっ!ごみぃちゃん!小町のこと無視しないで!!」
だが、ギャーギャーと喚かれるのも迷惑なので一言だけ付き合ってやることにした。
「人のことを、ましてや兄に向かってゴミ呼ばわりする人間と関わる気はない」
そう言ってやったら、まるであり得ないものをみるかのような顔をして固まっていた。
その隙に脱衣場へ入り扉を閉める。
八幡side out
小町side in
「え、あ、え?お兄ちゃん?」
いまだに言われた言葉を理解することができず、その場に立ち尽くしていた。
小町side out