やはり俺は彼女としか本物は得られない 作:Suffer trouble
戸塚side in
八幡が屋上を出た後、僕と川崎さんは葉山君に事情を聴いた。
顔を青くさせながらも、ぽつぽつとあの日何があったのかを話してくれた。
それを聞いてどうして僕はそこにいなかったんだろうと後悔した。
いや、きっとその場にいても僕は何もできなかった…。
それに八幡のあの言葉だ。友人だと、尊敬しているといった人のことを何一つわかっていなかった。八幡は僕には到底理解できないくらい苦しんでいた。それでも気丈に振る舞い、それを誰にも悟らせずにいたんだ。昔何があったかなんてわからない。きっとそれは簡単に触れていいことなんかじゃない。でも、それでも僕は八幡と友達になりたいと諦めきれなかった
戸塚side out
川崎side in
葉山から事情を聴いて、なんとなくだけど奉仕部はなくなったんだと思った。
それにあたしはあいつに少なからず好意を寄せていた。あたしが大志との、家庭内の出来事だったのに、本来であれば自分たちで解決しなければいけないことをあいつにさせてしまった。負い目を感じながらも、そのやさしさにあたしは惹かれた。
でも、あいつが言った家族ごっこだの、気分が悪いだのは許せない。
だけど、あいつがそのあとに言った言葉で、そんな気持ちは吹き飛んだ。
家族からの愛情を知らずに生きてきた、むしろ他者からの悪意にさらされ続けながら生きてきた。あたしはあいつの何を見てきたんだろう。
きっと何も見れていなかったんだろうな、といまさらになって気づいた。
あたしではきっとあいつの側にいることはできない。
そう思ってしまった時に、悲しみと後悔が胸に溢れていた…
川崎side out
葉山side in
比企谷が屋上を去ったあと、戸塚と川崎さんから事情を聞かれた。自分の失態を他人に話すことに慣れていなかった俺は、言葉に詰まりながら事情を説明した。
話を聞き終わっても、二人は俺に何も言うことなく考え込んでいるようだった。
俺自身、比企谷に言われたことはその通りだと思ってしまった。
俺は比企谷のことが嫌いだった。それが理由かは今になってもわからない。
だが、俺の考えるみんなの中に比企谷はいなかった。それだけは確かだった。
誰かを無理やりみんなの枠に入れると、その誰かは前よりも酷い状態となって、再びみんなの枠から外される。千葉村の時がそうだったように。その通りだと、なぜ今までそれを認められなかったのだと後悔した。みんなから外されているのには必ず原因がある。それを解決しないまま、みんな仲良くしようなんて言っても意味はなかった。むしろ俺のような立場、立ち振る舞いをしている奴から、そんなことを言われれば、その人は断れないし、周りも断れない。それでまた俺の知らないところで同じことが始まるだけだ。
俺は今まで周りの悪意にさらされた経験なんてなかった。そんなのは理由にしかならないよな…。俺はいったいどうしたらいいんだ…
葉山side out