やはり俺は彼女としか本物は得られない 作:Suffer trouble
それではどうぞ!
「せんぱいは、っ…最低ですっ!」
その言葉と同時に俺のほほに鋭い痛みと、バチンという音が部屋に響いた。
別に驚くことではなかった。こうなることも予想の範疇だった。でも、やはり『痛い』な。
ふうふうと息を荒げて、目は赤く染まっている。
こうやって傷つけてでしか、相手の心を測れない俺はやはり最低なのだろう。だが時間をかける方法は却下だ。もう賽は投げられている。後戻りはできない。
「一色。もう俺と話をしたくないなら帰ってもらってもいい。今俺はそれだけのことをお前にした。それとな、お前は知っているかもしれないが文化祭で、男子生徒がいろいろとやらかしたっていう噂を聞いたことがあるだろう。その男子生徒が俺だ。つまり周りからの認識として俺は最底辺の人間だ。たぶん噂に違わず、お前も今さっき認識しただろう」
そういって俺は口を閉じた。今の状況であのことを話したのは、間違っているかもしれない。だが俺という人間を一色いろはに偽ったまま、このまま進めるのはこいつに対する裏切りだ。何も変えられないし、誰も救われない。
少しは落ち着いたようで一色は話し始めた。
「先輩が最低だっていう認識は今でも変わりません。
でも、私が出会ってきた中で誰よりも『私』を見てくれました。
中学の時の話です。ある日を境に私は周りから距離を置かれ始めました。それからは小さな嫌がらせのようなことが少しづつ増えていきました。後から知ったことですが、理由は友達の好きな子に私が告白されたから。女子の中ではよくあることです。これが一回だけならよかったのかもしれません。ですがそう言ったことが何回か続き、距離を置かれたり、いたずらやいじめといったことをされるようになりました。
どうしたらいいか全然わかりませんでした。友達と思っていた人が、私を冷たい目で見てくるんです。学校にも行きたくありませんでしたが、親を心配させたくありませんでした。
でもある日気づいたんです。女子の好きな男子が私の近くにいるときは、何もしてこなかったんです。今の現状から逃げ出すための方法は、それを利用するしかないと思いました。
あまり興味のなかったレディース雑誌を買ってみたり、クラスメイトの男子にはどんな女の子が好きかを聞いたり。無我夢中でした。
少しずつですが、先輩の知っている今の私に近づいていきました。
もちろん周りの女子からは反感はありましたが、私の周りに好きな子がいる、私にしたことをその人に言われるのを怖がったのか。それ以来何もしてくることはありませんでした。
そうして今の私が出来上がりました。でも、いつまたあの日に戻るのか怖かったので、進学先はうちの中学からは誰も行かないところにしようと思いました。
でも事実を親に伝えることはできなかったので、大学進学を考えていることを伝え、それに見合う偏差値でありなおかつギリギリ家から通える高校を探しました。
そこで見つかったのが総武高校でした。
勉強は大変でしたが、なんとか合格もでき一安心していました。
でもそれもすぐにまた変わりました。
進学してからもまた…。
自慢でも何でもありませんが、私は可愛いほうに含まれていたようで、私の中身を見ないで告白してくる男子は多くいました。
中学の出来事がまた始まるのではないかと思い、作った私を表に出しました。
でも、それが裏目に出たのかもしれません。
徐々にまた距離を置かれ始めて、私は本当にどうすればいいかわかりませんでした。
そんなときに今回の出来事です。
城廻会長は元々立候補者に話を聞く予定だったらしく、私のもとを訪れました。
そこで私自身は生徒会長になる気がないことを伝えると、奉仕部のことを話してくれて、平塚先生のところへ連れて行ってくれました。
そこでいろいろと話をして、奉仕部に行きました。
先輩のいない三日間で、雪ノ下先輩と由比ヶ浜先輩から先輩の話は聞いていました。
噂だって聞いたことはあります。それが先輩だって聞いて驚きもしました。
でも、今日先輩から話を聞いてあの二人が言っていることは、噂は間違っていると確信しました。
先輩がどんな方法で私を助けてくれるかはわかりません。
でも、『私』を見てくれた先輩なら信じてもいいって思いました」
俺は黙って一色の話を聞き続けた。すでに飲み物の氷は溶けてしまっていた。
一色の俺を見る目は、俺が今まで見たことのない目をしていた。
そして再度、俺は口を開く。
読んでいただきありがとうございます!
今日はいろはすの過去話でした
いろはす好きの方には不愉快な思いをさせてしまったかもしれません
次の話またぐぐっと展開が進むかなと思います
ではまた次の話の時のお会いしましょう