主人公は西住さんじゃないです。すいません。
色々とつっこみどころ満載かもしれないけど、そこらへんは心の中で盛大に突っ込んでください。というわけでよろしくお願いします。
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「それで?俺が生徒会に呼ばれたのはどうしてだ」
目の前で干し芋を食いながら、対面の椅子に座ってふんぞり返っている奴は、顔色を一切変えずにそのまま食べ続けている。こちらを一瞥もしないところ本当に気にも留めていないような印象を受ける。
すこしばかり俺の質問に答える素振りでも見せてほしい。
このままでは埒が明かないと思い、質問の矛先を変えてみることにする。
「いきなり女子部の生徒会から呼ばれるようなことは一度もしたことがないんだけどな。んでそっちのお二方は何かわかるか?どうして俺が呼び出されたのか」
会長さんの隣に陣取る副会長さんたち話を振ってみる。
「うーんちょっとね。それは会長からお話します」
「柚子と一緒で会長に話してもらわないと筋が通らないから、何も言えん」
何とも言えない回答が返ってくる。これは如何に。どうやら会長からじゃないといけない話のようだ。
「ってことなんですがね。教えてもらえませんか角谷女子部会長」
一人椅子に腰かけながら干し芋をほおばっていたその子はようやく干し芋の入っている袋を机に置いて、手を組んでこちらを見る。体格に似合わず、そのしぐさが様になっていた。
「いやいや、ごめんね。ちょっとこっちもいろいろあってね」
「いろいろあるようには見えないのですがね。現に干し芋食ってましたし」
彼女が先ほどまで手に持っていた袋に視線を落とす。まだ何枚か残っているようだ。
「いや、いろいろあってね」
どうやらいろいろあったことにしたいようだ。
「それでね、来年度。まあ後一か月ぐらいなんだけど、うちの学校でも戦車道をすることになったんだよね」
今の大洗学園艦は少し北の方角を航行中だから桜の咲き始めはまだだ。それでも梅の花はもうすでに満開になっている。そんな季節だ。
「戦車道ですか。それはずいぶんと大変じゃないですか。しかし、それと俺に何の関係が」
戦車道という言葉が出てきたところで嫌な予感がする。この予感はたぶん外れそうにない。
「関係がないとは言わせないよ。君、中学の時は戦車を乗り回していたそうじゃないか。それに君は一応整備もできるって話に聞いている。ここまで言っても関係ないって白を切るつもり」
内心冷や汗ものだ。どこから仕入れてきた情報だろうか。そこらへんが気になるところだが、下手に詮索するととんでもない爆弾が飛び出るかもしれない。
「はあ、まあ一応その情報はあってますよ。実家に一両戦車がありまして、それを乗り回していたことも、一応壊れた時のために親父とかから仕込まれてますから整備もできます」
だから敢えて肯定の言葉を口にしておく。たぶんこの分だと整備を手伝えとでも言ってくるのだろう。そのぐらいなら手助けしてもいい。今のうちの学校は人手がどこも不足しているし、男子部生徒会のほうもどうやら大きな動きがあったところだ。一つ嫌な噂も流れ始めている。
「やっぱりか。いやー男子部も調べた甲斐があったよ」
にへらというか悪だくみをするような顔を浮かべた角谷はそのままこう言い切った。
どうやら俺は目の前の悪魔のように笑う生徒会長さんから逃げられないようだ。
「3年A組、菊池武光君、君に戦車道の監督をしてほしいんだ」
こうして俺は大洗学園女子部の戦車道の監督になった。