シスコン一誠くん   作:超人類DX

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ある程度の吹っ切りの果てにどうなるか。

ある意味でここから始まるといっても過言じゃない。

とはいっても完全ではありません……まだ全体の三割くらいかな。




少しの吹っ切れ

 美少女化してたイリナちゃんと、同じく美少女の人が家に来てお兄ちゃんが追い返して以降、お兄ちゃんは吹っ切っている様でそうじゃない顔をする事が多くなった。

 

 理由は何と無くで分かってるのだけど、その事について話すのは良くないと思ったので、私もアーシアちゃんも触れずに、出きるだけ普段通りに接していた。

 

 

「しっかし、バカは風邪ひかないと思ってたが、出る時は出るんだな」

 

「お兄ちゃんはバカじゃないよ。ね、アーシアちゃん?」

 

「勿論です。ちょっと乱暴な所はありますけど……」

 

「何だとこのヤロー…………あぁ、否定は出来んわ」

 

 

 風邪も治り、何時もの調子に戻ったお兄ちゃんだけど、何と無く影を帯びている気がする。

 イリナちゃんともう一人……恐らくお兄ちゃんが前に私とアーシアちゃんを誰かと間違えて呼んだ名前――ゼノヴィアって人の事を多少なりとも引きずってるからだろう。

 

 どうして二人に対してそこまで気にしていたのか、また何で知っている感じだったのかは聞けない。

 聞けないからこそ私とアーシアちゃんは敢えて何も聞かない。いや、聞いてはいけないからこそ聞かない。

 

 間違って遠くにお兄ちゃんが行ってしまうのは嫌だから……。

 

 

「今日は、久々にナンパしに行こっかなー!」

 

「は!? だ、ダメだよそんなのっ!」

 

 

 お兄ちゃんが話す気になるまで、私は絶対に聞かない……。 

 

 

 

 

 過去のと現在のゼノヴィアとイリナを明確に『違う』と受け入れ、ある程度の線引きと吹っ切りを付けたイッセー。

 何時までも過去に囚われ続けるには、今を生きるに得たものが多すぎてしまったというのもあるが、これ以上トラウマに怯えるのもいい加減飽きたというのもイッセーの中にはあった。

 

 

「レンの所に祐斗は来なかった?」

 

 

 今更自分が救われたい等思わないし、自分がやってきた事を考えたらとても思えない。

 反省も後悔もしないが、自分という状況をやっとこさ受け入れる事で少しだけかつての頃から止まっていた時間が動き出したイッセーは、この日前世込みで数千……下手すれば数万年振りに他人の女の子をナンパしに行こうとした所を必死にレンとアーシアに止められ、それなら仕方ないと庭で軽い体操をしていた時だった。

 

 ある程度吹っ切れても嫌いなものは嫌いだと断言出来る存在……つまり悪魔でしかもリアス・グレモリーが、同じく嫌いな女王の姫島朱乃を引き連れ、前の二の舞を避けるつもりか、家の前の門からレンに先日から姿の見えない木場祐斗の捜索を行っているという話を持ってきた。

 

 

「木場くんなら知りませんけど……どうかしたんですか?」

 

「その、ちょっと色々とあって……」

 

「もしかしたらレンちゃんの所に来てると思ったのだけど、考えてみたらイッセーくんに蹴り出されるから、あり得ませんわね」

 

 

 木場が行方不明だという話を初めて聞いたレンの質問にリアスは曖昧に微笑み、朱乃はビクビクしながら、筋トレで使ってた金属バットを片手にこっちを見てるイッセーを見る。

 

 もしかしてあの金属バットで襲いかかってくるのではないかとか、悪魔を毛嫌いしているイッセーならありえるだとか、色々と考えてしまう訳だが、驚く事に普段なら口を開けば『消えろカス』としか言わないそのイッセーが金属バットを肩で持ちながら口を開いた。

 

 

「あのムッツリの小僧がなんだって?」

 

「え?」

 

「あ、え……っと、その……だから行方不明に……」

 

「ふーん?」

 

 

 特に興味無さげな態度だが、普通過ぎる受け答えが始めて成立したという状況にリアスや朱乃は当然の如く眼を見開いて驚き、レンとアーシアもぎょっとした顔をする。

 

 それほどまでに今までが酷すぎたのだ。

 

 

「いっそそのまま永遠に行方不明になれば、レンに付きまとうウジ虫も一匹を残すで済むんだがな……」

 

「それは……ええ、何度も言ってるんだけど、あの子ったら『自分がレンさんを守るんだ』と言って聞かないというか……」

 

「えぇ……? こんな事言いたくないんですけど、木場くん私より弱いのに……」

 

 

 ストーカーの常套句じみた台詞を普段口にしていたと知ったレンは若干引いた顔をすると、そこに関してはリアスも朱乃も同意できるのか、揃ってうんうんと頷く。

 

 

「あの、その木場さんという方に何かあったとかは無いのですか?」

 

 

 木場という名前は普段レンからうんざり気味に聞かされていた為、名前だけなら知っていたアーシアが相手が悪魔なのか若干尻込み気味に聞く。

 

 

「あったと言えばあったわ。だけど、本人に許可なく言えないのよ」

 

 

 アーシアの質問にリアスが複雑そうな顔で答える。

 どうやら木場本人に何かしら……それこそレンのストーカーをやめてまで行方を眩ませる何かがあったことが伺える。

 

 それを踏まえてレンはここ最近あった事を思い出しながら照らし合わせてみた結果……。

 

 

「あのー、昨日ウチに悪魔祓いの二人組が来たのですが、それと何か関係あったりします?」

 

「!? 二人組ってまさか紫藤イリナとゼノヴィアって名乗ってた!?」

 

「え、ええまあ……名乗ってたというよりは一人は――つまりイリナちゃんとは昔馴染みだったんですけど」

 

「そうだったの!? あの二人、何かアナタ達に言ってた?」

 

「いえ特には……お兄ちゃんが具合悪くて追い返しちゃったんで……」

 

「え、イッセー君具合が悪かったのですか?」

 

「あ? 何だタレ目黒髪雌悪魔? 俺が風邪ひいちゃ悪いのか?」

 

「い、いえ別に。な、何と無くアナタはガン細胞すら死滅させそうな気がしたので……」

 

 

 イリナとゼノヴィアがこの家に訪問してきた事、またイリナとは昔馴染みだったというレンの話にリアスはまたしても驚き、朱乃は何故かイッセーが体調を崩していた事を驚き、そのリアクションが不快に思ったのか、ギロリと睨むイッセーにまたびくびくしていた。

 

 

(……。あのガキ共、コイツ等に黙ってたのか……)

 

 

 そんな朱乃の怯えた態度にイッセーは特にどうとも思わず、逆に二人の反応を見てレイヴェルと小猫が先日の悪夢について誰にも話してない事に気づく。

 

 

「もし祐斗が来たら上手く引き留めつつ私達に連絡してくれたら助かるのだけど……」

 

「引き留めるって言われてもどうしたら……?」

 

「ええっと、ほら、祐斗ってレンの言うことなら何でも聞きそうだし……?」

 

「はぁ……」

 

 

 有益な情報は無いと分かり、それだけ言ってリアスと朱乃は去るが、イッセーはそんな二人はどうでも良く、レイヴェルと小猫の動向が逆の意味で気になり出していた。

 

 

「木場君が行方不明だなんて、何があったんだろうね? 流石に他人事で処理する気になれないというか……」

 

「レンさんのボディーガードをしたがる方でしたよね?」

 

「そうそう、かなりイケメンさんで、人気者なんだよ学校の女子に」

 

「………」

 

 

 レンがアーシアに木場の身形を教えてる最中もイッセーは考える。

 やはり口封じに動くべきか……それとも……。

 

 

「アーシアはよ、レンと同じ学校に通いたいとは思わないか?」

 

「え?」

 

「突然どうしたのお兄ちゃん?」

 

 

 嫌な借りを利子付きで返し、その利子を盾に悪魔に請求してやろうか。

 最近自分とレンが学校に行くため家を出る姿をちょっと寂しそうに見送るアーシアを思い出し、以前なら全快した時点で口封じに殺しに行っていた思考を変質させ、上手いこと利用してやる事を考えたイッセーは、きょとんとする彼女に問いかける。

 

 

「そ、それは行けるならレンさんやイッセーさんとお勉強したいですけど、これ以上何かをイッセーさん達ご家族に何かをして頂くなんて私には……」

 

「でもアーシアちゃんだって同い年だし、行けるものなら私もアーシアちゃんとお兄ちゃんと一緒に学校行きたいなぁ……」

 

 当然その質問にアーシアは、只でさえこんな己を家に家族と同じように接してくれて住まわせてくれてる身分だからと遠慮するが、レンはアーシアが学校に通えるならその方が良いという意見を出す。

 

 その言葉だけでイッセーは迷いを即座に捨てられた。

 

 

「よし、ならまずは奴等に利子付きで貸しを作る。

んで、それを盾に脅迫してアーシアの戸籍云々全てを解決させる上で、タダで学園に通えるように手配させよう。

くく、バカと悪魔は使い様作戦だぜ」

 

 

 この世界のイリナとゼノヴィアを期に過去を吹っ切るという事を視野に入れ始めたイッセーの最初の一歩。

 そしてレイヴェルと小猫に念入りの口止め……。

 

 殺すという選択肢を捨てる事である種の精神的な『進化』をおおよそ数千年振りに果たしたイッセーは、二人に着替える様に命じ、自ら悪魔へと関わりに行くのだった。

 

 

「ええっと、貸しを作るのはわかったけど、何処に行くの? 木場君を探すとか?」

 

「いや、その前に会っておかないとならない奴等がいる」

 

「会っておく方、ですか?」

 

「あぁ、ちょっと待ってろ……」

 

 

 私服に着替えた三人。

 レンは白い無地のシャツに薄手のパーカーに羽織り、ホットパンツという……まあ、普通っぽい姿。

 アーシアは上はレンと似たコーディネートだが、下は白いロングスカートという……まあ、これも普通。

 

 そしてイッセーは黒いスラックスに白いシャツだけという、面白味の欠片も無い格好だ。

 

 休日ということもあって街はそれなりにごった返していたのだが、市街地に来ることは無く、人気の少ない道を歩き、まずは木場を探す前に会っておく必要がある人物を探す為、イッセーはその場に立ち止まって軽く目を閉じる。

 

 

「……………………。居た、割りと近い」

 

「ええっと、誰が?」

 

「行ってみりゃわかる。なぁに、会って一言言ったらもう用無しだ」

 

 

 二人が首を傾げる仕草に対して嗤ったイッセーはスタスタと再び歩き出すので、レンもアーシアも慌ててちょこちょこと付いていく。

 一体誰に会うのだろうか……? と道中そんな事を思ってたレンとアーシアだが、辿り着いた……というより原理は不明だがイッセーが迷うこと無く探し当てた相手を見て知った瞬間驚愕した。

 

 

「おい、白ガキと鳥ガキ」

 

「!? せ、先輩?」

 

「イッセー様!」

 

 

 だってその相手は、休日なのに制服の格好して歩いていた小猫とレイヴェルなのだから。

 

 

「お、お兄ちゃん! 会っておく人ってまさか小猫ちゃんとフェニックスさんなの!?」

 

「あぁ、俺としても会いに行きたくも無かったが、一言言わないとならないからよ……」

 

「何をいうつもりなんですか?」

 

「……。ちょっとな…………おいガキ共、ちょっとツラ貸せや」

 

「「あ、はい………」」

 

 

 悪魔の中でも最上級に嫌ってる筈の小猫と、レンとしては危機感と警戒心を抱くに相応しい、ライザーの妹のレイヴェルにイッセーから用事があるという事実にただただ驚くばかりだったのだが、その驚きに暫く呆然としてる間にイッセーは小猫とレイヴェルと少し離れた所まで行ってしまい、何を話してるのかがよく聞こえない。

 

 

「な、何で小猫ちゃんとフェニックスさんが……」

 

「どちらも凄く可愛らしい方ですね……」

 

「うぅ、いつの間にか離れて話してるけど、聞いちゃいけない気がして近づけないよぉ……」

 

「ええ、わざわざイッセーさんが顔を貸せなんて言ってましたし…………あ、あれ? イッセーさんがあのお二人にお金を渡してませんか?」

 

「ほ、本当だ……ま、ますます気になるよ……」

 

 

 まさかの相手達だった為、データが無さすぎて何を話してるのかが皆目検討もつかずにモヤモヤしていたレンとアーシアだったが、時間して二分ほど経ってからか、イッセーは小猫とアーシアを後ろに戻ってきた。

 

 

「悪い、待たせたな。これで用件は終わりだ」

 

「う、うん……何を話してたの?」

「えっと、金渡すからアーシアの件の口利きをしろって……なぁ? そうだよなぁ?」

 

「はい」

 

「間違いありませんわ」

 

 

 若干『なぁ?』の部分が低い声で同意を求めたイッセーに小猫とレイヴェルはコクコクと頷く。

 どうにも言わされてる様にしか見えないが、深入りしたら酷く後悔する気もしたし、頭を優しく撫でてもくれたので二人は追求をやめた。

 

 

「祐斗先輩を探してくれるのとお聞きしたのですが、本当ですか?」

 

「えっと、うん……あんまり誉められた手段じゃないけど、貸しをつくってアーシアちゃんを学園に転校という形で入れてあげたいなぁって」

 

「発案はイッセー様ですね?」

 

「はい……もう色々と申し訳なさすぎて……」

 

 

 レン、アーシア、小猫、レイヴェル、そしてイッセー……。

 ハッキリ言ってアーシアの件がなかったら奇跡にしか思えないメンツが揃い、思惑だらけとはいえ木場を探すというひとつの目的の為に行動する。

 

 事情を知る者からすれば奇跡通り越して明日は槍でも降るのかと心配になってしまう構図だ。

 

 

「兄とその眷属達にも木場さんの捜索を手伝わせてますが、中々見つからないようで……」

 

「げ、ライザーさんも噛んでるの……?」

 

「ええ、ですが合流はしませんわ。レンお姉様が居ると分かったら仕事そっちのけで来ちゃいますし」

 

「うん、出来れば黙ってて欲しいかな……」

 

「家に毎日花束と手紙を送る方でしたけど、アナタのお兄さんだったんですね……」

「ええ、兄が大層ご迷惑を掛けて申し訳ありませんわ」

 

 レイヴェルがライザーの妹と知り、ちょっと驚きを見せるアーシアや、ライザーと顔を合わせるのはご遠慮したいというレンに理解を示すレイヴェルだったり。

 

「お前、仙術を習得する為に訓練してるとかほざいてたが、仙術エネルギーを練って感知できないのかよ?」

 

「そこまでの段階までは……一応ある程度練れるようにはなったけど、まだ5分しか維持できません」

 

「五分? 『アイツ』は初見とほざきながら一ヶ月は維持できたのに……なるほどな。チッ、じゃあ俺がやるか……」

 

 

 仙術を練った時に獲られる鋭敏な感知能力で探せないと知ったイッセーが、最近使う頻度がかなり増えてしまった白音からの贈り物の力を使って木場の感知をしたり等々、数ヵ月前のイッセーではあり得ない態度だった。

 

 

「……………………………。居た、ここから数キロ離れた場所に留まってる」

 

「私の知ってる仙術にそこまでの感知能力は備わらないのですが……やはり先輩の仙術と私の知ってる仙術は違うみたいですね」

 

 

 目に赤い隈取りを浮かび上がらせ、仙術を一瞬で練り込み感知能力をブーストさせたイッセーを見て小猫はただただ凄いと呟くが、その言葉を無視したイッセーはレンとアーシアを引き連れながらさっさと感知をした場所を目指して歩き出す。

 

 

「ちくしょう、フェニックスさんのおっぱいはやっぱり大きい……勝てる気しないよ」

 

「それにお人形さんみたいに可愛らしいし……」

「心配すんな、お前達の方が数百万倍かわいい」

 

 

 その際、レイヴェルに勝てないと半べそかくレンや落ち込むアーシアに即答でそう告げるせいで、今度は小猫とレイヴェルが凹むという事があったが、ある程度丸くなってもそこら辺の隔たりはまだまだ直らないのだった。

 

 

 

 あれだけ探しても祐斗先輩が見つからなかった理由。

 それは街の外れに随分前から放置されていた廃病棟の地下という、普段の祐斗先輩が居そうに無い場所に居たからであり、それをアッサリ先輩流の仙術感知で捕らえられた私は軽く凹んでしまう。

 

 だが見つけられるのならそれに越した事はないので、純粋に見付かって良かったです。

 

 

「兵藤君!? そ、それにレンさんまで……!?

ぼ、僕を探してくれたのかい!?」

 

「えーっと、ちゃんとした目的があっての事だけど、一応そうなるのかな……」

 

「そ、そうだとしても僕は嬉しいよ!」

 

「おいテメー、それ以上レンに近寄るな……」

 

 

 だが見付かって良かったと思ったのも最初だけで、あれだけ教会の二人組が持ってた聖剣の事で過去の事を引き摺ってた癖に、レン先輩も探してたとわかった瞬間手の平を返して喜んでる姿を見た時は、かなりイラッと来た。

 

 こっちはその前からフェニックスさん……いや、レイヴェルやライザーさんに協力して貰ってまで探してたのに。

 

 

「私にお礼じゃなくて、小猫ちゃんとかフェニックスさんに謝りなよ。

私達よりもっと前から探してくれてたんだよ?」

 

「え? ……………あ、うんごめんよ小猫ちゃんにフェニックスさん」

 

 

 レン先輩に言われてやっと謝るって……。

 いえ、別に良いんですよ? だけど何でしょうね、この納得のいかない気分。

 

 

「レンお姉様が居なかったらそのまま逃げてたんじゃありませんかあの人?」

 

「一切否定できない。レン先輩にムッツリだから」

 

「何時見てもぶっ殺したくなるな、あのムッツリ変態小僧……」

 

「レンさんばかりと話そうとしてますね……」

 

 

 レイヴェル、アーシアさんも微妙な顔をし、先輩はそろそろ本気で殴りそうな顔をし始めても今の私は止める気になれないと思っても、私は悪くない。

 

 

「そ、それにしてもレンさんの私服……素敵だよ」

 

「あ、うん」

 

「本当にそう思ってるよ? ほ、ほら女の子らしくも活発さを感じるというか……」

 

 

 

 

「あの人さっきからレンお姉様の胸か太ももばっかり見てません?」

 

「や、やっぱりぶち殺してやる、あの変態カス野郎が……!」

 

「お、落ち着いて先輩……! アーシアさんが学校に通える様にする為にもう少しだけ……! 無事に転校できたら何にも言いませんから……!」

 

「木場という方の目が上下して忙しそうです……」 

 

 

 あげくの果てに私よりちょっと背が高いだけで大きな胸してるレン先輩の胸とかホットパンツで露出が多い脚や太ももをチラチラ見てるのが情けなく思えてしまうし、何より先輩が激怒してるのに気付かないのが間抜けに見えてしょうがない。

 

 

「で、あの祐斗先輩……? 結局聖剣についてはどうなったんですか? あといい加減レン先輩を視姦するのはやめてください」

 

「え!? み、みみ、見てないけど!?」

 

「……………。あのさ木場君? 一応私女なんだ? 自惚れじゃないけどそういう視線とかわかるんだよ?」

 

「いっ!? い、いや……その……だ、だって! 見ちゃうよ! レンさんの私服姿だもん! 出来れば写真に収めたくらいに見たいよ!!」

 

「本音出しやがったなこのクソ野郎! やっぱりテメーは一度ズタズタにしてやらぁぁっ!!!」

 

「ぐげぇぇっ!?!?」

 

 

 その間抜けと開き直りでレン先輩が身を庇う様に祐斗先輩から二三歩下がり、それを引き金にイッセー先輩が祐斗先輩を馬乗りになって暫く殴り続けましたけど、流石に私もレイヴェルもレン先輩もアーシアさんも、暫く止める気になれなかったです。

 

 

「お、お願いだ兵藤君……い、一回で良いからレンさんデー……げびゃ!?」

 

「無駄な事を、二度とその口聞けないように今楽にして――」

 

「先輩、もう勘弁してあげて欲しいです。本当に死にます」

 

「……。チッ、グズがぁ……」

 

 

 はぁ……心配して損しました。

 

 

「い、いひゃい……」

 

「イッセー先輩にやられてその程度で済むだけ幸運です。あの、アーシアさん……治療お願いしても……」

 

「はい、勿論良いですよ」

 

「て、手当てならレンさんにしてほしい。

時には優しく、時には痛くしてくれたらもう僕は……」

 

「うっ……な、何で私なのよ……き、木場くんという人がわからないんだけど」

 

「おいアーシア、こんなゴミ治療せんでも死にはしねぇからやらんで良いぞ」

 

「で、でもやっておかないとレンさんにしつこく手当てして欲しいって言い続けそうですし……」

 

「贔屓じゃありませんが、まだ兄の方がマシな気がしてきましたわ」

 

 

 ホント……お陰で変な蟠りのある空気は霧散したけど。





補足

少しの吹っ切りにより、アーシアたんに対しての面倒見の良さが少し増える。

悪魔を殺すばっかりから少しだけ利用して適当に捨ててやるという思考を持つ。

レンちゃまに対するシスコン度倍増。


その2

レイヴェルたんと小猫たんに――悪魔に対する嫌悪度はそんなに変わらないが、ほんの少しだけ無意識に話をするという事を覚えたイッセーくん。

だが、私服姿のレンちゃまに、お前復讐はどうしたんだ? と聞きたくなるレベルで、胸やら太もも見てはぁはぁする木場殿は半殺しにする

まあ、小猫たんですら呆れるんだし仕方ないよね。
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