シスコン一誠くん   作:超人類DX

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一気に飛ぶ……でもないのか? よーわからんです。


兄妹の出撃

 アーシアが学園に転入できる様に脅しを掛けたのも成功した事だし、後は実際に通える様になるまで大人しくすべき……なんだろうが、恐らくはそうはいかない。

 

 てのもだ、そもそも例の聖剣とかいうナマクラの件には、あのコカビエルのおっさんがかつては関わっていたのだ。

 かつてはその騒動も俺が力を取り戻す為に安心院なじみに依頼されてわざわざ表向きに引き起こしたものだったが、この世界ではそうでは無くてただ普通の事件として起こっている事だろうと俺は思う。

 

 それはつまり、この世界のコカビエルのおっさん……ではなくて単なる堕天使のコカビエルは異常でべらぼうに強い訳じゃなくて単なる堕天使程度の力しか持っちゃい無い奴と考えても良いし、事件を起こしたのだって別の目的があるからだと思う。

 それが何なのかはあんまり聞きたくもないが…………この世界のカス共が俺の無神臓を勝手に使えない事を考えても、呆気なくぶち殺される可能性の方が高い。

 

 かつてじゃ只のゴミだった魔王共が一足速く出張ってくれたら楽だが、奴等というか悪魔というカス共はどいつもコイツも『なにかが起こってそれが深刻化しないと動こうともしない役立たず共』しか居ないからな。

 

 

 それを最後まで悔いて反省してた悪魔の中でもかなりマシだった悪魔のリーベルトのオヤジが居て、俺の知る性格だったらまだ芽はありそうだが…………覚えてる限りだと俺が悪魔を殺し始めた頃の以前から既に当時の悪魔政権に落胆していた気がしたし、あんまり期待は出来なさそうだ。

 

 

「た、助けて……! 助けて……っ!!」

 

「い、イリナちゃん!? ど、どうしたの酷い傷が……! アーシアちゃん!」

 

「はい!」

 

 

 ……。あー……そんな都合よくいかない程かったるいもんはないよなホント。

 

 

 

 誰かに強襲された様に傷だらけな紫藤イリナが家にやって来たという事で大騒ぎしたレンとアーシアが取り敢えず意識を失った彼女をレンの全く使ってない部屋に連れ込み、治療と手当てを終えると、その意識を失う直前に傷を負った理由を聞き、難しい顔をしていた。

 

 

「堕天使の……えっと、コカビエルって人が学園の校庭を使ってグレモリー先輩達と戦ってて、あんまりにも強すぎて全滅寸前だって……」

 

「コカビエルという名前は私も聞いた事があります。

聖書にも乗る程の有名な堕天使です」

 

「そんな人が出てきてたんだね……グレモリー先輩達は大丈夫―――じゃ、無さそうだよねこの分じゃ」

 

 

 ほぼイッセーの部屋に押し掛けてしまう為、一切使われてないレンのベッドに寝かせているイリナを見ながら、レンは小さくため息を漏らす。

 外様で中身を知らなかったとはいえ、やっとアーシアが学園に通える様になったと思ったら今度はその学園が――いやこの街が消滅する危機と聞かされたらため息のひとつも出るってものだ。

 

 

「どうするお兄ちゃん?」

 

 

 だからこそレンは無言で深夜前の窓の外から見える月を眺めているイッセーに意見を求めた。

 個人的には色々あるが、危機が近くにあるなら応援に行きたい。

 自分がそのコカビエルにどこまで通じるかは戦ってないからわからないけど、これまでずっと敬愛する兄のイッセーに自衛というにはあまりにもオーバーキルな戦闘技術をアーシアと共に叩き込まれたのだ。

 故にタダで負ける気はしない……それが今のレンの持つ自信であり、その技術を果たして結果的にはといえ悪魔の手助けになる真似をしてしまう事を兄は了承するのかとアーシアと共にイッセーの意見を待つ。

 

 

「やっとアーシアが学校に通える様になったんだ。

なのにその学校が破壊されちゃこれまでやって来た事が無意味になるってんなら、仕方ないだろ……行くっきゃない」

 

 

 イッセーの答えは、結果的に悪魔の手助けになっても脅威の排除であり、イリナをこのまま寝かし、今頃戦闘を行ってるだろう駒王学園へと飛ぶ。

 

 かつて破壊の龍帝と呼ばれた災厄と、その破壊の龍帝に赤龍帝としての技術を叩き込まれた妹、癒しの力持つ聖女の出陣が果たしてどの様な結果になるのか。

 

 それは恐らく、戦況が簡単にひっくり返る事になる……だろう。

 

 

 

 

 

 人から生まれた災厄。かつてそう呼ばれ、一部を除いた人ならざる存在の全てから恐れられ、忌み嫌われていた少年の成れの果て。それが兵藤一誠だった。

 

 悪魔に利用される事への憎悪を糧に禍々しき進化を果たし、残酷なまでに殺しつくし、襲ってくる他の生物をも殺し、その存在を許さぬと宣う神をも殺した。

 

 その際少年の傍らには、同類であり友であり、ライバルであり、愛し合った二人の少女が居た。

 

 その二人の少女は決して少年を見捨てず、少年の選ぶ道を否定せず、どこまで付いてきてくれた。

 故に少年は心を折らず、全てに否定されても否定しない人が居るという強味を持ち続ける事で人を超越し、遂にはこの世から人ならざる者達を絶滅させた。

 

 その代償は知っての通り、最愛の友達との永遠の別れであり、最後まで残った憎悪すべき敵をも殺した少年に残ったのはその者達からの贈り物である力だけ。

 

 

「クズ共が、やっぱり役に立ちやしない」

 

「っ!? ひょ、兵藤……くん……」

 

「な、何故此処に……」

 

「えっと、その節はすいませんでした生徒会の皆さん。

ここに来た理由はある悪魔祓いが傷だらけで家に逃れて来まして、そこで事情を聞きました、はい」

 

 

 白音と呼ばれた少女の六道輪廻の仙法術はそのひとつ。

 本人は意識の昂りが原因で勝手に使ってしまうと毛嫌いしているが、その力は森羅万象を破壊・創造しうる強大な力。

 

 赤龍帝としての力を失った代わりに十二分になりうる力だ。

 

 

「退け、邪魔だ役立たず共。管理とほざいて碌に何も守れないゴミ共は大人しく震えてろ」

 

「そ、そんな言い方しなくても……」

 

「あ? じゃあ今すぐコカビエルをぶっ殺してみろよ? そしたら地面に額でも何でも擦り付けてやるぜ?」

 

『………』

 

 

 はっきり言う、今のイッセーの力は赤龍帝としてのスタイルを失ったが、それでもやはり強い。

 それこそ、今こうして学園の周囲に障壁を貼っていた腫れた顔がまだ戻ってなさげなソーナ眷属達を本来なら刹那で粉々にできるレベルで。

 

 

「お、お兄ちゃん、この人達に突っかかってもしょうがないし、早く校庭に行こうよ……ね?」

 

「ん? あぁ……そうだな」

 

 

 恐怖に怯えながら障壁の中へと入れたソーナ達を生ゴミを見るような目で見た後、イッセーはレンに促されながら校庭へと足を踏み入れる。

 

 

「わぉ、なんという荒れ果て具合……」

 

「け、怪我人だらけですね」

 

「……ふん」

 

 

 校庭の中央に聖剣が一体化状態で発光しながら浮いている。それを中心に校庭全体に魔法陣が書かれているという、ファンタジーな光景にレンは息を飲みつつ、既にボロボロといった様子のリアス一派を発見する。

 

 

「グレモリー先輩!」

 

「え……? ………は!? れ、レン!? それにイッセーまで!? な、何でここに……」

 

「家にイリナちゃんが大ケガした状態で来て話を聞きました。学園で聖剣を纏める儀式をしてる輩が居るとか、このままだと街が吹っ飛んじゃうとか」

 

「な、なに? イリナがお前達の所にいるのか? ぶ、無事なのか!?」

 

「大丈夫です、私とレンさんで治療を行い、今は眠ってます」

 

 

 魔法陣の真ん中を漆黒の翼を広げて宙に立つ男……それが恐らく堕天使のコカビエルなのだろうと、レンは思いつつ、そのコカビエルに文字通り遊ばれてたんだろうリアス達の手当てを一人一人しながらここに来た理由を話す。

 

 

「なんだ、人間が3匹迷い混んだみたいだが……」

 

「……。コカビエルよ、あの三人の中の一人の男……恐らく奴がフリードを再起不能にした男だろう」

 

「なに?」

 

 

 コカビエルも三人に気づき、眉を寄せてると、協力相手である初老の男、バルパー・ガリレイの言葉を聞き、無言でこちらを見上げていたイッセーをみつめる。

 

 

「…………。確かにデキルなあの小僧。なるほど、さしずめリアス・グレモリーの援軍という事か」

 

「その様だな。どうする、やはり邪魔をされては困るし始末しておくべきだと私は思うが……」

 

「あぁ、俺としても拍子抜け過ぎた魔王の妹との退屈すぎる戦いに良い塩梅になってくれると期待したいものだ」

 

 

 そう言いながらコカビエルは指を鳴らし、地面から複数の魔方陣を出現させる。

 それは何かの召喚の陣であり、そこから出てきたのは犬畜生の咆哮をあげる三つ首の化け物だった。

 

 

「聞こえてるだろ人間の小僧! リアス・グレモリーの援軍に来たのかは知らんが、まずは小手調べをさせろ!」

 

 

 地獄の番犬ケルベロスの出現に、リアス達を介抱していたレンとアーシアは息を軽く飲む。

 

 

「な、なにあれ……漫画みたいなのが出てきた」

 

「け、ケルベロスって確か地獄の番犬さんでしたけど……」

 

「ぐっ! 全滅したと思ってたのにまだあんな数が……」

 

「グレモリー先輩達も戦ったんですね? わかりました、やっぱりここは私たちに任せてください。

お兄ちゃん、私も加勢するよ……! アーシアちゃんは引き続きお願いね!」

 

 

 三つ首の化け物が何体も雄々しく吠えるのを前に、イッセーは無言で、されど若干イラつきながら組んでいた腕をここでほどき、その隣に立ったレンが赤龍帝の籠手を左腕に纏いながら構える。

 

 

「む、あの腕はまさか赤龍帝の籠手か? おいおい、こんな場所でまさかのデザートにありつけそうなのが居るじゃないか」

 

 

 その姿を見たコカビエルの興味の対象がレンへと移行し、赤龍帝の強さを知るが故にニヤリと笑う。

 

 

「(ピクッ)……」

 

 

 そのコカビエルを見たイッセーの目付きが変化した事に気づいた様子は無い。

 

 

「げほ! ま、待てコラ! レンに手出しはさせんぞ!!」

 

「ぐほ! れ、レンさんは僕が守るんだ!」

 

 

 何せ、その前にコカビエルに為す術なくやられていたライザーと祐斗がそうはさせるかとレンの前に躍り出たのだから。

 

 

「うっ、な、何で気絶してたのに……」

 

「よぉレン! カッコ悪い所見せちまったが、お前があのコカビエルに何かされるってんなら命は惜しくもねーぜ!!」

 

「ぼ、僕だってかつての仲間の力を獲て強くなれた! 今度こそレンさんを守るんだ! 僕一人で!」

 

「……。げ、元気そうだね二人とも……」

 

 

 どう見てもボロボロの二人が、我先にとレンに自分が守ってやるぜと話し掛けまくるのがまたシュールというか現金というか、受けてるレンからしたらはた迷惑で苦笑いしかできない。

 

 

「せ、先輩、ごめんなさい。仙術がまだ使いこなせないばかりにお手間を……」

 

「私も、不甲斐なくてごめんなさい……」

 

「……。誰がお前等の為に来たっつったよ。学園が消えられると困るから来ただけだ、くだらねぇ」

 

「わかってますよ……けど、どんな理由があるにせよ来てくれたのが嬉しいだけですから」

 

「ええ、ただの自己満足ですわ」

 

「くだらん」

 

 

 イッセーとレンとアーシアの援軍に士気でも上がったのか、それまで意識を失っていた一部の悪魔達がゾンビみたいに復活したのを見たコカビエルは、妙な連中だと思いつつも、取り敢えずの小手調べにケルベロスを放ち、襲わせる。

 

 

「っ、どいて二人とも! 邪魔!」

 

「「ぐへ!?」」

 

「足手まといだからそこで寝てろ」

 

「「………はい」」

 

 

 三つ首の化け物達が一斉に食い殺してやろうと襲い掛かってきたのを目視したレンとイッセーは、それぞれライザーと祐斗、小猫とレイヴェルを後ろに下がらせると、襲い掛かってきたケルベロス達の迎撃を開始する。

 

 

「レン、いつも通り戦え。

こんなのは見た目だけで所詮は犬コロだ」

 

「うん……わかったよお兄ちゃん! 起きて『ドライグ!』」

 

『Boost!!』

 

 

 イッセーにアドバイスを貰い、自信を完全にしたレンが既に意思疏通のやり取りを完了させる事でコントロール下に置いた赤龍帝の籠手の力を解放すると、小猫を思わせる体術を駆使して飛びかかってきたケルベロスにカウンターのハイキックをお見舞いさせる。

 

 

「見えた! 派手じゃないけど、清楚さを感じさせる白だ!」

 

「う……ま、また来ちゃった……れ、レンさぁん……!」

 

「ライザーに祐斗!! 真面目にやりなさい!! このスケベ!!」

 

「………。レン先輩が来てからあからさまにテンションが上がってるよあの二人」

 

「男の人って何時もこうですわ。まあ、わからない事もありませんが」

 

 

 学園に行くという事で制服を着ていたレンが飛んだり跳ねたりキックしたりでヒラヒラとスカートが舞い、その健康な太ももの奥から見える白い下着にライザーはテンションが上がり、祐斗はまた前屈みになり、それを見てキレるリアス。

 

 小猫とレイヴェルもそんな二人に呆れる訳だけど、二人の気持ちがわからない訳では無く、揃って激しく飛び回りながら一撃離脱の戦法を取りながら倍加で強化していくレンとは真逆の戦闘スタイルを見せるイッセーを見ていた。

 

 

『ぎゃっ!?』

 

「なに怯えてるんだ? 地獄の番犬とやらなんだろ? ええ? クソ犬よぉ?」

 

『ギャイン!?』

 

 イッセーへと襲いかかろうとしたケルベロスのすべてが、飛び掛かろうとしたその瞬間、本能的な恐怖を感じて躊躇したりするだけでもすごい絵なのだが、何より恐ろしいのは、その恐怖したケルベロスの首を何の躊躇も無く、腕力のみで引きちぎっているのだ。

 

 

「ゴミが。番犬すらできねぇ獣なんぞ死ね!」

 

 

 恐怖の悲鳴に聞こえるケルベロス達に慈悲の欠片も無く四肢をもいだり、頭を潰して回るイッセーの清々しいまでに酷い戦闘に、状況が重なったからとはいえ味方になるとここまで頼もしいのかと改めてリアスや意識を取り戻した朱乃を含めて思い知る。

 

 

「ケルベロスが相手にもならんか。ふふふ、良いぞ、あの二人はどうやら思っていた以上らしい」

 

「赤龍帝の小娘はわかるが、あの少年は何者なのだ? 神器の気配も無いのに何故あそこまでの力を……」

 

 

 コカビエルにとってみれば寧ろ歓喜を与える力らしいが、一応同じただの人間であるバルパーにしてみたら、神器すら無いのにあそこまでの力を持つイッセーが薄気味悪くて仕方ないらしく、顔をしかめていた。

 

 だがその感じる薄気味悪さは、この後イッセーが起こす行動によりピークに達する事になる。

 

 

「……? それはデュランダルだな?」

 

「っ!? 何故デュランダルの事を一般人の貴様が知ってる?」

 

 

 唖然と、そして少しの恐怖を薄ら笑いを浮かべてケルベロスを残酷に処刑していくイッセーに今頃存在を気づいたといった様子で目が合い、既に呼び出していたデュランダルを地面に突き刺して杖の代わりにしていたゼノヴィアがびくっとしながらも強い口調で問う。

 

 しかしその質問にイッセーは答える事はせず……。

 

 

「ちょっと貸せ」

 

「あ!? 待て何を――」

 

 

 ゼノヴィアからデュランダルを借りるなどと宣い、引ったくる様に奪おうとした。

 勿論ゼノヴィアは理由もあって抗議の声をあげようさたのだが……。

 

 

「…………」

 

 

 その代わりとばかりに物言わぬデュランダル自身が触れようとしたイッセーの手を拒絶するようにバチンという閃光と共に弾いた。

 

 

「使い手でも無いのにデュランダルは扱えないんだ。その説明も無しにいきなり取ろうとするから……」

 

 

 弾かれ、手から煙を放つイッセーを見て何故か『身の危険』を感じたゼノヴィアが罰の悪そうに目を逸らしながらデュランダルが只の剣では無いことを説明しようとする。

 

 だがイッセーにしてみれば『そんなものはとっくの昔に知っていた』話だった。

 

 

「剣ごときが一々使い手を選んでるんじゃねぇぞ……ボケが!」

 

「お、おい……うわっ!?」

 

 

 故に今度はデュランダルを無理矢理押さえ付けんがばかりに拒絶の閃光を放つのを無視して強引にゼノヴィアからひったくる様に柄を握る。

 

 

「デュランダル……。

意思があるなら俺の中に何があるかわかるだろ? その上で今だけ俺に力を寄越せ……!」

 

「や、やめろ! それ以上無理に触れたらお前自身が浄化されてしまうぞ!!」

 

「先輩! この人の言うとおりです! いくら先輩でも……」

 

「イッセー様!」

 

 

 バチバチと閃光が雷撃の様にイッセーの全身を襲い、どう見ても危険な状況で思わず小猫もレイヴェルも叫ぶが、イッセーはその尽くを無視してデュランダルを地面から抜くと……。

 

 

「フンッ!!」

 

 

 デュランダルから全身に回っていた拒絶の光を無理矢理デュランダル自身へと押し込め、大人しくさせる事に成功させてしまったのだ。

 

 

「う、嘘だ、デュランダルが使い手以外を受け入れた……だと?」

 

「せ、先輩……何て強引な」

 

「でもその強引さが素敵ですわ……はぁ」

 

「滅茶苦茶よこんなの……」

 

「やっぱり粗暴ですわ……」

 

 

 一時的にはいえ、完全にデュランダルを支配下に置いたイッセーにゼノヴィアは信じられないと言った様子で目を見開く。

 何せ使い手以外の人間が、無理矢理デュランダルの意思を潰して使い手と同等になったのだ。

 

 使い手としてはかなり複雑な思いしかない。

 

 

「ほう、デュランダルを無理矢理使うか。ますます面白いなあの小僧」

 

「理論もへったくれも無い。やはり不気味だぞあの少年は……フリードがやられたのも無理はない」

 

 

 その様子はコカビエル達にも見えており、無理矢理デュランダルを支配下に置いたイッセーにコカビエルは面白そうな、バルパーは化け物を見るような嫌悪感を見せている。

 

 

「さてと……」

 

「ま、待て! デュランダルで何をする気だ!?」

 

「何って、めんどくさいから犬コロごと『掃除』してやるんだよ」

 

「そ、掃除?」

 

 

 デュランダルが奪われたと錯覚したゼノヴィアの質問に掃除と返すイッセーは右手に持ったデュランダルをゆっくり持ち上げ、切っ先を残りのケルベロス達とその後ろでコソコソしていたバルパーへと向けながら大声でレンを呼ぶ。

 

 

「下がれレン!! いや、こっち来い!!」

 

「わかったよお兄ちゃん!」

 

 

 既に20体以上は倒していたレンを呼び、それに疑いも疑問もゼロで頷いたレンが、羨ましがるライザーと祐斗を無視してぴっとりとイッセーの腰辺りに抱きつく。

 

 

「えへへ、運動したら身体が火照っちゃったよぉ……んっ……あぅぅ……」

 

「お……え、エロイぞレンが」

 

「うっ!? …………………………………………………ごめんよレンさん、僕今最低な事をしちゃったよ」

 

「あ? 何だ騎士小僧……………って、お前……マジか?」

 

「…………」

 

 

 その際レンの妙に発情した声と表情にライザーは新たな一面が見れて良かったと頷くのだが、祐斗は年頃のせいか『何かが』一瞬爆発し、その後はひたすら遠い目をしながらレンに謝罪し始めた。

 

 いきなりの事でライザーは訝しげな顔をしたのだが、その内すべてを察したのか……ポンと祐斗の肩を叩きながら生温い視線を送っていた。

 

 

「なんか二人がうるさいんだけど、どうしたんだろ?」

 

「(あとで一発殴る) ……。放っておけ、それよりそのまま巻き添えくらわないようにしてろよ?」

 

「うん、えへへ……お兄ちゃんの匂い好き~」

 

「………」

 

 

 後ろから腰辺りに抱きつきながら背に顔を埋めて幸せそうな声を出すレンに軽く苦笑いしながらイッセーは、早く返せと言わんばかりのゼノヴィアの視線を受けつつ、デュランダルと刀身を青く輝かせる。

 

 

「なに!?」

 

「デュランダルが青く輝いてる……」

 

「気のせいでしょうか? 普通に使いこなせてる気がするのですが……」

 

「そういえば使い手のアナタは剣を振る度に周囲を切り刻んでたけど、イッセーが持ってもそれがないわね……」

 

「し、知るか! 私だって何故やつに従ってるのかもわからないんだぞ! クソ……デュランダルめ」

 

 

 悔しそうに唸るゼノヴィアだが、確かに自分が使うより遥かにデュランダルが落ち着いてるのが見て取れ、よにもよって自分達の邪魔をした男がそれを扱ってるのが気に入らなかった。

 

 だがゼノヴィアは知ってしまう。

 その気に入らない男が一般人とは思えない怪しさを持っていて、更には――

 

 

「借りるぜ『ゼヴィ』……。

くたばれ、『蒼龍破!!』」

 

 

 自分でも知らないデュランダルの真の潜在能力を引き出せる男なのだと。

 

 

「こ、れは……?」

 

「蒼い……龍?」

 

 

 その名と共に青く輝いたデュランダルを真横に振った瞬間、刀身から巨大な聖なる力が吹き荒れるようにして放出し、呆然と呟いたリアスの言った通り、その力は蒼い龍の形となりてケルベロスを――いや、駒王学園の校庭全体に居た敵を喰らい尽くさんと疾走する。

 

 

『ぎゃ――」

 

「な、なんだと!? こ、コカビエルよ、私を助け――」

 

「チッ……!」

 

 

 その蒼い龍はケルベロスを飲み込み、バルパーを喰らいコカビエルを襲い…………そして――

 

 

「チッ、当時のデュランダル(コレ)と、本当の使い手じゃないとこの程度の出力が限界か……」

 

「聖剣と魔方陣が……け、消し飛んだ……」

 

 

 聖剣をも破壊した。

 

 かつて愛した友の一人が進化することで体得した技。

 赤龍帝であったイッセーに倣い、強大な聖力をデュランダルに注ぎ、龍の形へと変えて放出する奥義。

 

 

「返すぜそれ」

 

「あ、あぁ……お前は一体何者なんだ……?」

 

「ただのおっぱい好きな男子校生のつもりだが?」

 

 

 その名も……蒼龍破。




補足

蒼龍破の元ネタは、某犬の夜叉の最強お兄ちゃんのアニメ版の奥義っす。

その奥義をかつてのゼノヴィアさんはノータイムで、イッセーが今回放った500倍の出力で放てたらしい。

しかも、デュランダル自身を某鉄砕牙、某天生牙、某叢雲牙、某爆砕牙の四刀に変化させる進化までさせたとか……。

それでもネオ白音に一歩負けていたのだからインフレも甚だしい。


その2
木場君は………まあ、ほら、年頃やし、命の危険迫ると本能で子孫残したくなるからさ……うん。
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