シスコン一誠くん   作:超人類DX

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つづきー


後始末

 悪魔を越えた悪魔(ネオ)となった少女から死の間際に植え付けられた遺産。

 それは星という概念そのものを己の糧にする程の絶大な自然エネルギーをその身に与え、創造と破壊の表裏一体を体現する仙人となる力。

 

 かつて破壊の龍帝として生きた少年を幾度と無く追い込んだ力……。

 そんな力を前にしたコカビエルに抗えるものなど何一つあるわけが無く、一瞬にして勝負は終わった。コカビエルの完全なる敗北という形で。

 

 そしてその光景をリアス以下悪魔達は見て悟った……最早悪魔という種族の全戦力を以てしても、この少年には勝てないと……。

 

 

「………」

 

「私達は一体何を見ていたのかしら……」

 

「わかりません……。

ただ、その何かを見せたのは紛れもない人間……と思いたいですわ」

 

 

 仙人の様な姿となり、コカビエルを完全に潰したその姿を前に、追い込まれていたリアス達はただ呆然と呟く事しかできない。

 しかしどれだけ現実逃避をしようにもたった一人の人間が堕天使の大物を八つ裂きにしたという現実は変わらない……。

 いっそ小猫達がレンとじゃれついているのに加わって忘れてしまいたいとすら思う。

 

 

「レン、アーシア、終わったから帰るぞ」

 

「あ、うん……」

 

「堕天使さんは……?」

 

「そこでくたばってる。だが後処理くらいはこの連中にもできるだろ。

だからもう用は無くなった」

 

 

 翼はもがれ、手足は砕け、最早生きてるのかすら疑わしくなる程に変わり果てたコカビエルが学園の校庭の端に転がってるのを、当事者たる一誠は『元の姿』に戻って冷めた様子で二人に帰ると呼び寄せる。

 

 

「フェニックスさんのおっぱいに負けた……悔しい」

 

「何やってんだお前は……」

 

「うー……」

 

 

 先程までレイヴェルと小猫相手に胸の勝負をして、勝手に負けたと思ってるレンが半べそ気味になってるのに呆れながらも頭をポンポンと叩く一誠は、そのまま何故か頬を紅潮させて胸元を押さえながら息を切らせてるアーシアも連れてさっさと帰ろうとする。

 

 

「レンさんが胸の大きな方の胸を……」

 

「本当に何をしてんだよレンは?」

 

「だ、だって悔しいんだもん!」

 

 

 胸揉みデスマッチに負けたと半ベソなレンに抱き着かれたのでそのまま抱えて帰る一誠をリアスは呼び止める事ができない。

 

 

「どうしたら良いのよ……私は」

 

 

 下手をしたら比喩じゃなく殺される力を目の当たりにしてしまったリアスは完全に一誠という存在が理解できずに恐怖心を持ってしまう中、それでも無力化して瀕死となっているコカビエルの後処理をしなければならない事を想いだし、女王の朱乃と共に作業に取りかかろうとしたのだが……。

 

 

「そいつ等の処理は俺に任せて貰いたい」

 

 

 全身に白い鎧を纏った第三者の出現と声に全員の意識が戻される。

 

 

「だ、誰よ!」

 

 

 突然校庭上空に現れた異様な出で立ちの存在にリアス達は身構えた。

 

 

「そんなに身構えなくても良いリアス・グレモリー。

俺はコカビエルの仲間じゃない」

 

「仲間じゃない証拠はあるの?」

 

「物的な証拠は無いが、アザゼルに頼まれて回収しに来たと言えば少しは納得してくれるか?」

 

 

 そんなリアス達に白い鎧を纏った人物は少年の様な声で自分はアザゼルに言われてコカビエルの回収をしに来たと言う。

 当然そんな話を信じられる訳も無いリアス達は警戒を解けずに居た。

 

 

「じゃあ敵意が無いと主張する代わりに名乗っておくよ。俺はヴァーリ……白龍皇だ」

 

「な、なんですって!?」

 

「白龍皇だと? 赤い龍の対となるドラゴンを宿す奴が名乗る称号……」

 

「その白龍皇だ。

実の所本音を言うと、ここに赤龍帝が居ると聞いて顔を見に来たんだよ」

 

「な、なんだって!?」

 

 

 白龍皇の言葉にライザーと祐斗が反応する。

 二天龍を宿す者同士は戦う宿命にあると聞いた事がある為、レンが危ないと思ってこその反応だった。

 

 

「へぇ、キミが赤龍帝か。女なんだな」

 

「っ!? 兵藤さん!?」

 

「か、帰ったんじゃなかったのか……」

 

 

 だからこそ……まあ、あの理不尽な兄貴が居る以上必要ないかもしれないけど、惚れたからこそ良いところを見せたいという気持ちがあって噛みつこうとした祐斗とライザーだったが、ヴァーリと名乗る白龍帝の視線はリアス達よりも少し後ろに向けられており、その視線の先にはさっき帰った筈のレンとイッセーとアーシアが居た。

 

 

「帰るつもりだったんだけど、私の中に宿る赤い龍が戻れって……」

 

 

 驚く面々にレンは左腕に赤龍帝の籠手を纏いながら戻ってきた理由を話した瞬間、その籠手から声が聞こえる。

 

 

『久しいな白いの』

 

『そうだな赤いの』

 

 

 その声は赤い龍と白い龍の声であり、互いが近づいた事で力が共鳴していた。

 

 

『今度の宿主は女か』

 

『そういう貴様の宿主は――どうやら只の人間ではないな?』

 

『まぁな……さてどうする白いの? 戦うか?』

 

『いや、今は良い。

貴様との決着よりも気になることがあるからな』

 

『そうか……』

 

 

 その会話に口を挟めず、暫くリアス達は固唾を飲んで見守っている内に会話が終わり、二匹の龍は其々の宿主の中へと引っ込んだ。

 

 

「歴代の赤龍帝と白龍皇には女も居たらしいが……キミが俺の宿命の相手になるわけか」

 

「私はそんな自覚は無いんだけどね」

 

 二天龍の会話が終わったと同時にヴァーリが挑発っぽく話し、対してレンは興味は無いと返す。

 赤龍帝と白龍皇が向かい合えば激しい戦いが待っていると聞いたことのあるリアス達はただただ緊張してしまうのだが、どうやら二人は今戦うつもりは無いらしい……。

 

 

「帰るぞレン」

 

「あ、うん……」

 

「ちょっと待て、赤龍帝のキミにも興味はあるが、俺としてはコカビエルを潰したキミにも興味があるんだが」

 

 

 寧ろヴァーリ的には一誠に興味があるらしく、再び帰ろうとレンに呼び掛けた所に口を挟んだ。

 

 

「俺はお前に1ナノも無い」

 

「…………」

 

 

 興味があると告げるヴァーリに対して一誠は心の底から興味がない玩具を見るような……言ってしまえば見下した様な冷たい目をしながら一言にそう切り捨てると、レンの手を取ってそのまま帰ろうとしたのだが……。

 

 

「なら、彼女が無事じゃないと言ったらキミも少しは関心を示してくれるのかな?」

 

「…………………………………」

 

 

 挑発のつもりとはいえ、その言葉が完全な地雷になるまでは少なくとも本当にこの時代のヴァーリには興味が無かった。

 

 

「………」

 

「フッ、少しは俺の話を聞くになったかな?」

 

 

 後ろを向いたまま足が止まる一誠に鎧越しに笑みを深めるヴァーリ。

 

 

「貴様! レンに指一本でも触れたら許さねぇぞ!!」

 

「兵藤さんと戦いたくば僕を倒してからにしろ!」

 

 

 横でライザーと祐斗が仲間達にドン引きされてるのも気付かずに吠えているが、ヴァーリは無視だ。

 

 

「お兄ちゃん……? 多分ただの挑発だから大丈夫だと思うけど……」

 

「いや、半分は本音だよ赤龍帝さん? キミとはいずれ殺し合うつもりだからな」

 

「れ、レンさんと殺し合いなんて……!」

 

 

 立ち止まった一誠の顔を覗いたレンの言葉を遮るかの様にヴァーリがそう話す。

 それもまた地雷であるというのに……。

 

 

「……………」

 

「お、こっちを向いたな? ふむ、キミは神器を持たないようだが、代わりに色々と不思議な力を扱うらしい。このコカビエルを仕留めた力といい、俺は興味深々だ」

 

「………………………………」

 

「いずれキミとも戦いたい――――」

 

 

 振り向いた一誠を見ながらヴァーリが戦いたいと言い掛けたその瞬間(トキ)、一誠の姿が消えた。

 

 

「何だ……この程度か、この白龍皇は」

 

「っ!?」

 

 

 気付くまでに数秒……上空に居た自分の背後へと抜け、地面へと降り立った一誠は一言そう呟き、()()()()()()()ナニかを地面に放り投げた。

 

 

「おっさんの弟子という経験が無いだけで億分の一とはね……ガッカリだ」

 

「うおぉぉっ!?!?!?」

 

 

 その捨てたナニかは白い鎧が纏われた右腕。

 そして次の瞬間ヴァーリの無くした右腕から噴水を思わせる大量の血が噴き出し、雨の様に校庭へと降り注ぐ。

 

 

「白龍皇の腕を……」

 

「あ、あれはもいだ……の? あんな一瞬で?」

 

 

 反り血を浴びずに白龍皇の腕をもぎ取った一誠にリアスと朱乃は戦慄する。

 分かってたとはいえ、改めて見せられる異様な強さは恐怖心をより刺激されるのだ。

 

 

「い、一瞬で俺の腕を……!?」

 

「早く止血でもして、この腕持って消えろ。今ならまだくっ付けられる筈だ」

「な……お、俺を殺すつもりじゃないのか?」

 

「…………………。お前は服についた埃を払ってわざわざ踏みつけるのか?」

「っ!?」

 

 

 肩から先が完全にもがれたヴァーリは一誠の冷徹な言葉に精神を削られた。

 最初から眼中にすら無く、殺す価値も無いと言われてプライドを踏み潰されたショックは計り知れないのだ。

 

 

「凄いですわ。あの相手をゴミとも思わない冷酷な眼差し……あぁ、あんな目で見下されたいですわ……」

 

「……。レイヴェルは変態だね……」

 

 

 その近くでライザーの妹であり、一誠に張り手かまされて以降、おかしな方向に行っちゃったレイヴェルが頬を染めながらクネクネして、それを見た小猫が呆れてるという微妙に違う空気を展開させてるが、ヴァーリにしてみたら腕はもがれるわ、相手にすらされてなかったで色々とへし折れそうだ。

 

 しかもトドメに――

 

 

「降りて」

 

「な、なにをする!」

 

「良いから降りる! アーシアちゃん!」

 

「は、はい!」

 

 

 宿敵の赤龍帝に無理矢理引きずり下ろされたかと思えば座らされ、もがれた腕を癒しの神器使いと共にくっ付けて貰われる始末。

 

 

「おいレン……なんで……」

 

「別に深い意味は無いよお兄ちゃん。

単にこれ以上お兄ちゃんが悪者に見られるのが嫌なだけ」

 

「それにこの人も二度とあんな事は言えなくなると思いますし」

 

「お、俺は……」

 

 

 鎧が消え、暗い銀髪の少年がレンとアーシアに治療を受けて更にプライドが踏み潰された顔をしてる中、二人は一誠にピシャリと言いながら治療を続けるのだが……。

 

 

「応急処置でくっ付けたけど、帰ったらちゃんとした治療をした方が良いよ」

 

「……」

 

「ねぇ、聞いてる?」

 

「あ、あぁ……」

 

「まったく、お兄ちゃんを挑発しないでよね? 私だって宿敵とか宿命なんか興味無いんだし」

 

「あ、あぁ……」

 

 

 なんかこう……治療を受けてる最中のレンを見てたヴァーリはこそばゆい気持ちになり、レンの言葉に同じ調子の返事しかできない。

 

 

「こんなものかな……指は動かせる?」

 

「あ、あぁ……うん……」

 

「なら大丈夫だね。さっきも言ったけど、これは応急処置だから、帰ったらちゃんと治療を受け直すんだよ?」

 

「…………うん」

 

「? やけに素直だけどどうかしたの?」

 

「い、いや……」

 

 

 顔を覗いてくるレンから顔を逸らすヴァーリ。

 

 

「………………おいクソガキ」

 

「な、なにかな?」

 

「……………………。レンに変な真似しくさったら腕だけじゃ済まさねぇぞ」

 

「!? き、胆に命じとくよ……」

 

 

 その意味をレン……じゃなくてよりにもよって兄の方に悟られ、完全に釘を刺されてしまう訳だが……。

 

 

「おいお前! レンの治療を受けるなんて狡いぞちくしょう!」

 

「し、しまった! 転んで足が折れちゃった! 兵藤さんに治療して貰いたい!」

 

 

 

 

「………………。あの二人は?」

 

「ただのバカだ」

 

 

 終わり

 

 

 




補足

まぁ、うん……コカビーじゃないし、弟子ポジでもないから無理ゲーだよね。

その2
ちっさいのに妙に母性的なもんだから、育った環境的にストライクゾーンに侵入したらしいヴァーリきゅん。

実は治療中に育ち盛りのお胸がポヨンポヨンと当たってたり、そこら辺が微妙に無防備だから襟元から中身のピンクちゃんが見えたりと――それまで全然興味なかったのに、変に頭から離れなくなったとか……。
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