シスコン一誠くん   作:超人類DX

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本編ではカスリもしなかったあの子と、やっと初めて邂逅したのだけど。

やっぱり人間である事は大きなアドバンテージかもしれいね。

IF集にこのシリーズの最新話を突っ込んどきました。


タイム・パラドックス(D×Sからのという意味で)

 俺自身、これは誤算でもあった。

 クソ汚い食欲を持つガキとなる前のガキに触れられそうになるだけでこれ程の拒絶反応が出るとは思わなかった。

 

 最悪だ、これで俺は無知な白ガキを見るだけで押さえ付けていたモノが吹き出る様になってしまう。

 冗談じゃない……このふざけた記憶を克服するにはどうすれば良い。

 

 俺という例がある以上、もしかしたら白ガキとは別の個体で存在してる可能性だって考えられるのかもしれないというのに………ちきしょう。

 

 

「どうする。俺はどうすれば良いドライグっ……!」

 

 

 最期まで居てくれた親友も居ない。

 クソッタレ……惨めで泣きたくなるぜ。

 

 

 

 あの錯乱事件以降、一誠はクラスから孤立する様になった。

 元々口数も少ないし、常に不機嫌な顔をしてるので孤立がちではあったが、今では妹のレン以外の誰しもが一誠を小猫との一件以降、触れてはいけないものを見るような態度をするようになっていた。

 

 

「大丈夫なのお兄ちゃん?」

「俺は大丈夫……レンが心配する事は何にもないから」

 

 

 当然これまで以上にリアス達を避ける様になったイッセーにレンはこれまで以上に傍に居るようになった。

 だがそれでもイッセーは時折『一人になりたい』と放課後何処かへ行っては、その時のみ夜遅くまで帰って来ない。

 

 勿論その行動に関してレンの両親で一誠にとっては義理の両親も心配するのだが、その都度一誠は両親やレンに『ごめん……大丈夫だから』と無理をした笑みを浮かべて深くを話そうとはしない。

 

 もしかして私達が嫌いになったのか……と要らない心配までし始めていたレンだったが、一誠が、また一人になりたいと足早に帰ったとある日の事だ。

 

 時間はあるかと接触してきたリアスに小猫との件の事を考え、話を聞くべきだと考えたレンの耳にひとつの情報が舞い降りる。

 

 

「簡単に説明すると、私の実家はこの地の管理を裏で行っているの。

主な業務としては呼び出しに応じて対価を元に願いを叶えたりとか、悪さをする輩を追い出すとか……」

 

「はぁ……」

 

「で、その悪さをする輩の中にははぐれ悪魔と呼ばれる輩が居るのだけど、二日程前に我々側の上層部からの依頼ではぐれ悪魔の討伐をする事になったのよ」

 

 

 二日程前というリアスの言葉にレンはふと一誠が一人でフラフラと何処かへ行ってしまったのが二日前であったことを思い出す。

 

 

「何だか凄そうな話ですけど、それが何だっていうんですか?」

 

「ええ、そのはぐれ悪魔の討伐は結果だけ言えば『すぐ』に終わったの」

 

 

 何処か含みのあるリアスの言い方にレンは眉をひそめる。

 

 

「はぁ、それは良かったじゃないですか? 私にはいまいち分からないですけど」

「そりゃあそうね。けど、ここからがアナタにももしかしたら――一誠に関わりがある話かもしれないの。……………聞いてくれる?」

「………………。続けてください」

 

 

 どこか神妙に、それでいて真剣な眼差しにそれまでボーッと聞いていただけのレンの顔がリアスと同じくらいに真剣なものへと変わる。

 

 

「これ、二日前の写真なんだけど……イッセーが写ってるのがわかる?」

 

「はい、この顔は間違いなく私のお兄ちゃんです……………………けど……?」

 

 

 リアスが胸ポッケから一枚の写真を出してレンに見える様にテーブルに置きながら確認する。

 写真としてはどう見ても隠し撮りしたようなアングルでの一誠の写真で、当然ブラコン一直線のレンもそれが一誠である事を即座に見抜いて頷こうとしたのだが……。

 

 

「誰ですか、このお兄ちゃんの隣に居る教会か何かでシスターやってそうな格好の女性(ヒト)?」

 

 

 レンの目は即座にハイライトを失い、無機質な声色で写真の一誠――――では無く、その隣を楽しそうな顔して歩くシスター服を着た明るい金髪の、年も自分達とそう変わりそうも無い女の子を指差す。

 

 当たり前だ、何せレンも知らない女の子で、しかも本当なら未来永劫自分のポジションの予定である一誠の隣をかなり楽しそうに微笑みながら歩いてる様子が激写されてるのだ。

 

 レンにしてみれば面白い訳がない。

 

 

「調べによれば名前はアーシア・アルジェント。ちょうどレンが堕天使に襲われた時期にこの街に派遣されたシスター見習いのらしいのだけど、どうやらレンが襲われた堕天使一派に騙されてこの地に来て、連中に神器を抜き取られる所だったらしいわ」

 

「神器……って、私と同じ……?」

 

「ええ、そう……それがどんな神器かまでは私達もまだ掴めて無いのだけど、問題はその後。

どうやらレンも襲った堕天使の一派をこのイッセーが単独で消した可能性があるの。それもちょうど二日前に」

 

「…………………。理由は?」

 

「わからないわ。でもイッセーが私達悪魔を毛嫌いしている様に、堕天使も毛嫌いしていると考えたら辻褄は合うと思うのよ」

 

「ふーん……?」

 

 

 全然面白くないといった感情丸出しのレンにリアスは少しだけ苦笑いしながら話を続ける。

 

 

「ここ最近イッセーが一人でフラフラと何処かへ行ってしまうって話なのだけど、おそらくその理由は堕天使に騙されていたとはいえ、紛いなりにも衣食住を得ていた彼女に対して何かしらの保護行為を行っていると推測されるのよ。

そして彼女の身の回りの危険を減少させる為に、本来なら我々が討伐すべきはぐれ悪魔を消しているという事も……」

 

「…………。そうですか、へー……お兄ちゃんったらこういう子が好みなのかなぁ?」

 

「それはどうだか分からないけど、少なくとも彼女は人間である事は確実ね」

 

「へぇ? ふーん?」

 

 

 まじまじと写真の少女を見るレン。

 そのレンの様子を見たリアスは、これなら行けるという気持ちの下、とある提案をする。

 

 

「今日もイッセーが一人で何処かに行ったのでしょう? ………アナタさえ良ければこれから私達と事の真相を確かめてみない?」

 

 

 この兄妹を取り込むのはかなり難しいけど、それとは別に小猫とイッセーの件で他人事では無くなっていたリアスの下心無しの提案にレンは無言で頷く。

 

 そう、お兄ちゃんこと一誠がまさかそうでは無いとは思ってるが、知らない女の子と逢い引きじみた真似をしている事を確かめようと……。

 

 

 

 

 

 その出会いは、ただの偶然と気紛れと、八つ当たりがした結果の副産物だった。

 

 

『堕天使ってのもよく考えたら懐かしい。

アザゼルさんの種族だからな……しかし、何だかな……そのアザゼルさんが人間様から神器抜き取ってしまえなんて言うとは思えないんだがな。いや、この世界のアザゼルさんがそうなのかもしれないけどね。

――――――まあとにかく本音を言ってやる、テメー等レンを襲ったゴミの残党だろう?』

 

 忌まわしきトラウマが抑えきれなくなり、イライラが頂点に達していた一誠は最近この地に蔓延るはぐれ悪魔やら何やらを一方的に殺害してそのイライラを少しでもはらそうとしていた。

 そしてその中には妹を襲ったまま生かしたままにしていた堕天使一派も含まれており、偶々寂れた教会に何か潜んでいないかと覗いてみれば、見知らぬ人間の少女から神器を引っこ抜いて殺そうとしているのが見えた。

 

 

『くくく……! クッククククク! げげげげげげげー!!!!!』

 

 

 正義感なんて当然ある訳も無い。

 トラウマが呼び起こされたそのイライラをただ誤魔化したいだけ。

 

 

『駄目だろう蚊共ォ? 人間様がお眠りになられてる耳元で羽音を立てりゃあ潰されて当然じゃないか……げっげげげ!!』

 

 

 尤もらしい口実でしか無いが、結果的にその少女を助ける形で堕天使一派を殺戮が始まる。

 

 

『逃げるなよ蚊共ォ!!! 俺のイライラを止めろぉぉっ!!!』

 

 

 ドライグという相棒を失っても尚、無限に進化を続ける事で超越した地力の前に堕天使一派が勝てる筈も無い。

 蹴られれば足は千切れ飛び、殴られれば肉は削げ、頭を握られれば脳みそをぶちまけながら粉砕する。

 

 破壊の龍帝とかつては呼ばれた男の成れの果ては、ただの破壊者なのだから。

 

 

『あ、あぁっ……!』

 

『もっと抵抗しろよ……これじゃあ進化が出来ねぇよ……げげげげっーー!!』

 

 

 しかしそれでも晴れる事は無かったイライラに苛まれながら、血みどろとなりし廃教会にて最期の一派を破壊した一誠は、目を覚ました少女の困惑した様子を無視してその場を去ろうとした。

 

 

「こ、これは一体……? アナタは誰……?」

 

「あ? 何だ、生きていたのか……邪魔したな。げっげっげっ」

 

 

 所詮結果的にその少女は助かっただけで、元々助けるつもりも無かった。

 だからこの先この少女がどこかで野垂れ死にしようが知ったことでは無いと思っていた。

 

 

「私……そ、そうでした。堕天使の方々に眠らされて……それから……」

 

「ふん、呑気な小娘だ。その鴉共に神器を引っこ抜かれて殺されかけたというのに」

 

「や、やっぱりそうだったんですね……。シスターを目指せるチャンスを与えてくださった訳じゃ……無かったんですね……」

 

「………」

 

 

 けれど一誠は金髪緑眼の少女の不安そうな表情を見た時、レンの面影を見てしまった。

 

 

 

 

 

「それで、例の教会組織から弾き出されたまんまって訳か?」

 

「既に追放されちゃいましたから……」

 

「そりゃあ難儀な事だな。

けどこの先どうするつもりだ? 戸籍も無いに等しいお前がこの地で生きるのは無理に近い」

 

「…………………」

 

「……へっ、まぁ黙るしかないわな?

しかし、お前さんもかなり不運な体質だな。俺とどっこいどっこいじゃねーか?」

 

「こ、これも主からの試練ですので……と言いたいですけど、実際私にできる事なんて無いかもしれませんね……あはは」

 

 

 こんな小娘なぞとっとと放置して、忌々しいトラウマをどう乗り越えるかを考える方が先決だというのに、ここ暫く周期的に廃墟化した教会でほそぼそと隠れる様に暮らしてる少女の様子が気になってしまい、差し入れまで持って様子を見に来てしまう一誠。

 この日も着替えすら無いという少女……アーシアの為にわざわざ女物の服を何着かと寝巻き代わりのスエットを買い与えていた一誠は、帰る場所も無くしたと自嘲気味に笑うアーシアに、表面上は無愛想にしてるが、内心はこのまま放っておくと、変態に騙されて死んだ方がマシだった目に逢わされるかもしれないと、気持ちとは裏腹に出来る限りの事をしてあげてしまっていた。

 

 

(そもそも、元の時代にこんな奴が居たのかさえ覚えてない……。

いや、もしかしたらクソ共に転生させられたという事実を回避した為に起こったタイムパラドックスという奴か?

だとすると元の時代に存在してただろうコイツはあの堕天使共に殺されてたのか……?)

 

 

 この飽食の時代に栄養失調で死にましたなんて洒落にならない事態も回避する意味で、野菜だの魚だのとバランスの良い食材までこの世界では優しすぎる義理の両親から貰って貯めていたお小遣いで買い与えていた一誠は、アーシアという少女と自らが存在していた時代には居ない事、また改編によってタイムパラドックスが発生したのかと考察するが、全てただの想像でしか無く、結局の所フィーリングで済ませるしか無かった。

 

 

「悪魔も堕天使も関係なく治療できる神器を持つから追われたね…………久々に教会って胡散臭い組織の話を聞いたが、何時聞いてもくだらねぇな」

 

「で、でも命は皆平等ですしこれも与えられた試練。だから私はこれも神様から与えられた力だと誇りに――」

 

「くだらん、誇りで飯は食えるのか? 誇りだけで自分の身を守れるのかよ?

キミにゃあ悪いけど、俺には二万年掛かっても理解できないな」

 

 

 力が無ければ捨てられて終わり。なまじ力があれば利用されて終わり。

 そのどちらの経験がトラウマと共にある一誠にしてみれば、全てを受け入れて妥協してしまおうとしてるアーシアみたいな考え方は一切理解できず、切り捨てる言葉をぶつける。

 それに対してアーシアは少し俯いてしまう訳だが、所詮軟弱な小娘一匹に言い過ぎたという罪悪感なぞ気に入らない存在はなんでもかんでも殺してきた過去を持つ一誠が気にするのかと言われれば―――

 

 

「チッ、一々凹まないでくれないか? ほれ、レモンアイスやるから」

 

「は、はい……ごめんなさい、私ってめんどくさい性格ですね……」

 

 

 割りと気を使うらしい。

 どうもこのアーシアを見てると、義理の妹のレンを思い出してしまうらしく、強くは突き放せなくなりつつあった。

 

 

「めんどくさい性格なのは俺も同じだ。いや、キミより確実にうざったいだろうよ俺の性格は。だからまともに友達も作れない。

変えるつもりだってないがね」

 

「そ、そんな……! でもイッセーさんは私の事を助けてくれるじゃないですか。

私はそんなイッセーさんの性格が悪いとなんて――」

 

「けっ、レンと同じでキミも変な価値観だなオイ。

普通なら五秒で二度と会いたくないと悟るもんだがなぁ……」

 

 

 溶けかけたレモンアイスを木のヘラみたいなスプーンで食べながら、一誠はクスッと笑う。

 かつて何よりも大事だった二人の女とは真逆だけど、レンもこのアーシアも『変わっている』という現実に、嬉しいのか自分でもわからないけど、笑みが溢れてしまう。

 

 

「はぁ、レンに始まり……俺はどこまで緩くなるんだか」

 

「? アイスは冷たいですよ?」

 

「ちげーよ、こっちの話だ……あーぁ」

 

 

 だから一誠はちょっとした賭けに出てみようと考えた。

 本当はこんな事を頼むこと事態、今の自分の立場を考えたらお門違いなのかもしれないけど……。

 

 

「レンに怒られるかな……相談もなしだし」

「へ?」

 

 一誠は本当に久方振りに『他人の為に』動きだす。

 

 

 

 

 最近実の息子では無いけど、それでも実の娘と同じくらいに愛情を注いで来た息子の様子がおかしく、深夜になってから家に帰ってくる事が多くなって心配していた両親は、正直にびっくりした。

 

 

「こんな事を二人に頼める立場じゃないことぐらい、俺だって理解してる。

何なら俺が代わりに消えたって良い……だからどうか、どうかお願いします。

この子を何も言わずウチに置いてやってください」

 

「い、一誠……?」

 

「いや、その……土下座しないでね?」

 

 

 家にレン……とでは無く、見知らぬ可愛らしい外国の女の子を連れて帰って来たってだけでもフリーズしてしまうくらいに驚いたが、何よりも驚いたのは床に額を何度も擦り付けながら、初めて自分達に対して『頼ってきた』というその一点であった。

 

 初めてにしてはかなり難易度の高い話ではあるが。

 

 

「待ちなさい一誠。その子は何処の子なの?」

 

「それにウチに住まわせるというのは……」

 

「頼む……いやお願いします。身寄りがこの子には無いんです。大体日本に来たのだって、元住んでた所から厄介払いされたからなんです。お願いします……どうかお願いします……」

 

「厄介払い? 身寄りが無い? それは本当の事なの? ええっと、アーシア・アルジェントさんといったかしら?」

 

「は、はい……私、教会で見習いのシスターをやっておりました。けど、その……色々とあって教会から追い出されてしまって……」

 

「うぅむ……嘘を言ってる様には見えないな」

 

 

 プライドも何も全部捨て、これまで何の我が儘のひとつも言わずに居た息子の懇願に両親は戸惑いつつも、何故ここまで一誠がしているのかを少しだけ察する事ができた。

 

 要するに一誠はこのアーシアに対して昔の自分と同じであることを重ねているのだ。

 虐待されていた頃の自分と……。

 

 

「ふむ、直ぐにとは言えないが家に置く事は別に構わないよ一誠。それとお前が出ていく必要もない」

 

「ええ、レンが泣いちゃうし、それに一誠がこの前適当に選んだ数列で本当に宝くじが当たっちゃって貯金に余裕もあるし」

 

「それじゃあ……」

 

「うん、お前が初めてそこまで頼み込んで来たんだ。息子の懇願を無下にはしないさ」

 

 

 実際の所、一誠自身に虐待されたトラウマなんて皆無ではあるが、良い具合に誤解をしてくれたお陰でアーシアは保護されるのだった。

 

 

 

 悪魔に保護されたら使い潰されておしまい。

 かと云って他人に施しを与えられる生活力はほぼ皆無。

 

 じゃあどうすべきか……一誠の出した答えは、かつては実の――今生では従兄弟の両親に頼るしかなかった。

 そしてその結果は成功なのだが……。

 

 

「ふーん、へー? アーシアさんって言うんだ? へー?」

「あ、あの……イッセーさんから何時ものうかがってました……い、妹さんだって……」

 

「そーですよー? 私妹の兵藤レンですよー? えへへへ~」

 

「……。いや、悪かったとは思ってたようん。

俺だって自分で何でここまでしたのかも今だってよくわからないし」

 

 

 レンからしたら微妙に面白くは無い筈……という予想は悪いことに大当たりしてしまった。

 

 

「最近頻繁にお兄ちゃんがどっか一人で行っちゃうから心配してたんだけど、そっか、こんな可愛らしい子に会ってたんだね?」

 

「……」

 

「いや、うん……」

 

 

 レンは基本ヘソを曲げるとめちゃくちゃ穏やかに笑う。

 本当に可能性の自分なのかと思ってしまうレベルに可愛らしく笑顔を浮かべ、追い詰めるようなのかと言葉をバンバン向けてくる。

 

 堕天使を殺戮しても、シスコン化してしまった一誠にとってはこのヘソを曲げたレンには勝てる気がしない程に、今のレンは笑ってるけど雰囲気が笑ってなかった。

 

 

「グレモリー先輩にバレてたよお兄ちゃん? この子に隠れて会いに行ってたの」

 

「…………。だろうな、それで、奴等は何て?」

 

「ますますお兄ちゃんに興味が沸いちゃったんだってさ、ほら、小猫ちゃんの件もある―――――あ、ごめん」

 

 

 しかし思わず小猫の名前を言ってしまった瞬間、レンはそれまでの雰囲気から一変、言ってはいけないワードを言ってしまったとハッと口を抑え、それからしょぼんとしてしまう。

 

 

「いや、お前が気にする事じゃない。一々謝らんでも良い。

そうか……チッ、ハイエナ共が」

 

「あの、何のお話でしょう……?」

 

「あ? あぁ、さっきキミに『俺並みの不幸体質』だって言ったろ? キミって堕天使どころかこの地に住み着くゴキブリ共―――じゃなくて悪魔共にも目をつけられてたんだよ」

 

「ええっ!? あ、悪魔……ですか……?」

 

「うん、聞けばアーシアちゃんって私と同じで神器を宿してるみたいだけど……」

 

「えっと、はい……確かに持ってますけど……」

 

「つまり奴等はレンもそうだが、神器を宿す人間を食い物にしようとしてるんだよ。

テメーの自己顕示欲を満たす為にな……反吐が出るぜ」

 

 

 ポンポンと落ち込みそうになっていたレンの背中を優しく叩きながら一誠は悪魔の話になると途端に不機嫌となって吐き捨てる様にいう。

 その嫌悪感は凄まじいものであり、今まで悪魔の話題で話をしてなかったアーシアですら、一誠が如何に悪魔を嫌っているのかを察する事が出来るくらいだった。

 

 

「つまりキミ、堕天使から逃れられても悪魔共で詰んでたんだよ」

 

「そ、そうだったのですね……悪魔……ですか……」

 

「? 悪魔さんに何か思うところでもあるの?」

 

「い、いえ別に……」

 

 

 悪魔という言葉を受けて少し影を感じる様子を見せるアーシアにレンは首を傾げるが、本人が深くを語ろうとしないので敢えてそれ以上は触れずに置いておく事にした。

 

 

「あの、その小猫という方ってもしかしてこの前イッセーさんが言っていた」

 

「えぇっ!? お兄ちゃんったらアーシアちゃんに小猫ちゃんの事話したの!? なんで!?」

 

「あ、悪魔の事は伏せてだけどな? ほら、あの時は精神がグラグラしててよ……。

それに見習いだろうがシスターだから、こう懺悔じゃないけどアーメンして貰いたかったっつーか……」

 

「な、何よそれ。何かずるい……」

 

 

 再びふて腐れそうになるレンにイッセーは慌てて弁解しようとするが、確かに自分でも何でこんな小娘に小猫のせいでトラウマが復活した的なニュアンスの話をしたのかよくわからない。

 多分あの時は自分でもよくわからず、とにかく誰かにこのどす黒い記憶をぶちまけて、どうしたら良いかの答えを知りたかったのかもしれない。

 

 まあ、アーシアに話した所で答えなんて獲られた訳では無かったが、少なくとも精神の揺れは多少収まった気はする。

 

 

「うぅ、一誠お兄ちゃんはダメだからね!」

 

「だ、ダメとは?」

 

「お兄ちゃんは私のお兄ちゃんだから!」

 

 

 だがレンは面白くないと思う訳で、アーシアに対して対抗心全開で牽制するのだった。

 

 

 赤龍帝の籠手持ちの妹

 NEWー聖母の微笑持ちの元シスター見習い。

 

 リアス達に目を付けらる要因増大。

 更に、その悪魔の中で変態性癖持ちの悪魔にバレたら何かされる確率特大。

 

 薮蛇つついて皆殺しにされる確率……12%up

 

 

 

 

 血の海と化した場所の真ん中で、不自然な程血を浴びてない少年を見た時、アーシア・アルジェントは恐怖よりも何故か神聖さを感じた。

 

 血に染まった廃教会の真ん中で、窓から照らす月明かりを浴びるその姿、そして醸し出すオーラ……それもどれもが只の人間とは思えない大きなものを感じた。

 

 まあ、縁あってその後ちょくちょく会うことになり、話してみればちょっと言葉遣いが乱暴ながらも普通で、寧ろいく宛を完全に失った自分にわざわざ衣服や食料を持ってきてくれる親切までして貰ったのもあり、アーシアはすっかり少年に対しての警戒心を解いていた。

 

 

「いい加減お前自分の部屋で寝ろよ……」

 

「嫌だ! お兄ちゃんと寝たい~!!」

 

「はぁ、じゃあ俺床に布団敷いて寝るからそのベッド使ってお前とアーシアで寝ろや」

 

 

 何で自分にそこまでしてくれるのかはその時までわからなかった。

 けど今なら何と無くわかる気がすると、イッセーにじゃれつくレンを見てアーシアは思った。

 

 

「うー……アーシアちゃんにベッド使わせて、私がお兄ちゃんと一緒のお布団で……」

 

「ダメだ。いい加減俺から離れろよお前は……」

 

 

 レン……つまり妹の影を自分に感じたから、ここまで親切にしてくれたのだと、アーシアは隣でイッセーとくっついて寝れないとブツブツと文句を言ってる、アーシアよりも小柄な女の子を見て、ほんの少しだけ複雑な気持ちになる。

 

 どちらかと言えば妹扱いじゃない方が良いな……という意味で。

 

 

「むむ、アーシアちゃんって良く見ると中々のおっぱいがある……むむっ!」

 

「ひゃん!? な、な、なにするんですかレンさん!?」

 

「むむむー! これでお兄ちゃんを釣ったのかー!

お兄ちゃんが実はおっぱい好きなのを知って……このこの!」

 

「ひぁ…!? ひゃ、ひゃめてぇ……!」

 

「…………おい早く寝ろよ。人のベッドの上で何レズってんだ」

 

 

 アーシア・アルジェントは、レンから執拗に嫉妬まじりに胸を揉みまくられて悶絶しながら、そう思うのだった。

 

 

「うぅ……レンさんの方が大きい様に見えるのに……」

 

「身体が小さいからそう見えるだけだよ……ちくしょう、もっと揉ませろ~」

 

「や、やめっ――あっん……! そ、そこ敏感なとこ――」

 

「だぁぁぁっ!! うるせー!!! 横で聞かされる身にもなれってんだちきしょうが!!!」

 

「あ、ごめんお兄ちゃん。でもこの子おっぱい意外とあるから……」

 

「んなもん初見で気づいたっつーの……ったく、お前ホント俺の従兄弟だけど妹だわ」

 

「はぁはぁ……も、もうらめぇ……」

 

「……………。テクも一級品だしよ」

 

「えへへ、そんなに誉めないでよお兄ちゃん? そうだ、何なら私にもそのテクを身体に教えほしーな?」

 

「うるせーうるせー はよ寝ろ」

 

 

終わり






補足

おっぱいおっぱいと実の所やかましいのは妹も同じだった。
というか同性故にある意味一誠より激しいのかもしれかい―――色々と。


その2
考えてみたらD×S系統……というか、このシリーズ全体見渡してもアーシアさんって何故か空気だったり存在しなかったりと何かと不遇だったわけだけど、果たしてこの先どうなるのか。


と、考えたけっか、死亡フラグかもしれない……相手の。
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