.hack//OverLord:Another Side 作:ヨツバ
これは.hack//OverLordの続編というよりも、.hack//OverLordのもう1つの物語と思って読んでいってくださいね!!
主人公はもちろんハセヲです!!
異なる始まり
物語は1通のメールから続きを再開する。いや、彼にとっては始まりのメールである。
彼の名前はハセヲ。The Worldを救った英雄の1人だ。彼自身は英雄のガラじゃないと否定しているが間違いなく英雄である。
「パイからメールだ。何だ?」
メールを開くと見過ごせない内容であった。それは八咫とエンデュランスが何も分からずに行方不明というものだ。
単純にログインしていないだけではないのかと思ったが八咫はThe Worldのシステム管理機能の一部を持つ『知識の蛇』という施設の管理者だ。
何も分からないなんてことは絶対にあり得ない。ならば八咫とエンデュランスは何かに巻き込まれたのかもしれないのだ。癖のある奴らだが共に戦った仲間を無視することは出来ない。
すぐさま『知識の蛇』へとログインした。するとパイは居るのは当たり前だとしてアトリにクーン、朔までいる。
「ハセヲさんもメールが来たんですね!!」
「ああ。それにしても八咫とエンデュランスが行方不明って本当なのか?」
「ええ、そうなのよ。八咫様がログインした記録はあるのだけれどログアウトの記録が無いのよ。しかもThe Worldの全エリアを調査しても発見出来なかったのよ」
「おいおいマジかよ」
前にも八咫は行方不明になったことはあったが今回の理由が分からない。もしかしたら何が危険な事件に巻き込まれているのかもしれない。
それにエンデュランスも同じように行方不明なのだ。どこか不思議だが彼とハセヲは大切な仲間関係だから何も相談しないことはないはずだ。
「ハセヲ!!」
「ん・・・って、うわ!?」
朔がハセヲにタックルをかます。ダメージは無いがいきなりのタックルに対処がしきれないハセヲは転んでしまう。
「何しやがる朔!!」
「ハセヲがエン様をどっかに隠したんやろ。どこに隠したんや!!」
「どこも隠してねーよ!!」
ハセヲにとってエンデュランスを監禁もとい隠しても何も意味は無い。もし、本当にやったとしても逆にハセヲが危険かもしれない。
良く分からないがアトリからは「ハセヲさんってやっぱり男の方が」なんて呟いたから全力で否定しておいた。ここでパイが「そんなことはどうでもいいから話を聞きなさい」と言う。
確かに気になることがある。全てのエリアを探索しても見つからないのはあり得ないことだ。しかもログインがされている記録があるのにも関わらず。
「もしかしたらだけどロストグラウンドにいる可能性があるわ」
「ロストグラウンドか」
ロストグラウンド。それは運営会社であるCC社に作製されたものではなく、彼らでさえもこのエリアに干渉は出来ないエリアだ。。
しかもそのロストグラウンドがThe World内にまだ隠されているかもしれないと言うのだから驚きである。本当にThe Worldは謎だらけだ。
「可能性として八咫様は新たなロストグラウンドを発見して調査している時に何かあったと考えるべきだと思うわ」
「かもな。八咫自らが調査ってのは珍しいけど。パイ、何か八咫から聞いていないのか?」
クーンが最もなことを口にする。八咫は基本的に自分のことをあまり話さないがThe Worldの調査をするならパイに一言くらい何か伝えるだろう。しかし今回に関しては何もパイは聞かされていないのだ。
「でも昨日は調査のことを言って無いけど、昔の仲間に再開してくるとは言っていたわ」
「昔の仲間?」
「それってR:1の仲間のことじゃないですか?」
実はCC社は前作であるR:1のデータサーバーをついに復旧することに成功したのだ。サービスとして前作のプレイ者たちにアカウントを返信している。
「だから昨日から今日にかけて無駄にマク・アヌに人が多かったのか。それに知らねえキャラエディットが多かったし」
ハセヲは何となく覚えているキャラを思い出す。薔薇の文様が目立つ褐色の重剣士にファンシーな呪癒士、三葬騎士に似た奴らだ。
三葬騎士に似た奴らを見た時は一瞬驚いたが、まさかR:1のキャラが元ネタと初めて知ったものだ。
「じゃあ八咫は昔の仲間と共にロストグラウンドに行った可能性はあるかもな」
「じゃあエン様は!?」
「前に八咫様が言っていたけどエンデュランスとはR:1から知り合いだったみたいよ。あんまり関わりは無かったらしいけど」
「じゃあもしかしたらR:1時代の仲間たちと久しぶりに再会してロストグラウンドに行ったんじゃないですかね」
「アトリの予想は正解かもな」
昔の仲間に再開して今のThe Worldのロストグラウンドに行く。これは予想の可能性としては高いだろう。
だが、どこのロストグラウンドに行ったかだ。パイによると新たなロストグラウンドは情報としてない。ならば今存在しているロストグラウンドの何処かだろう。
「・・・グリーマ・レーヴ大聖堂」
「そのロストグラウンドはR:1からあるエリアだよな。何か手がかりがあるかもな」
「行ってみましょう」
グリーマ・レーヴ大聖堂。
ここはハセヲたちにとって重大な局面の際には必ず訪れる因縁の場所だ。
「誰かいる・・・子供?」
グリーマ・レーヴ大聖堂の女神が祀られていた祭壇に白い服にサフラン色の髪の女の子がいた。その女の子からは何か不思議な力を感じる。
この感覚はどこかで感じたものだ。思い出す記憶はクビアとの最終決戦で出会った女神アウラである。
「ア、アウラ?」
「・・・ママのことを知っているの?」
「ママぁ!?」
女神アウラの名前を呟いたら『ママ』と返事が返ってきた。これにはハセヲだけでなくパイたちも驚く。
何せ、その意味をそのまま捉えたら目の前にいる女の子が女神アウラの娘になるのだから。
「女神アウラに娘なんていたのか!?」
「・・・私も管理者の1人として初耳だわ」
全員が女神アウラの娘に注目する。
「名前は何て言うんだ?」
恐る恐る言葉を紡ぐ。敵か味方か分からないが今の所、敵意は感じない。
「私の名前はゼフィ。ヘタレの名前は知ってるハセヲでしょ」
「ヘ、ヘタレ!?」
自己紹介された後にまさかの毒舌にグサリとくる。クーンは少し笑ってしまったが次は自分がターゲットで「報われない男」言われグサリ。
アトリは「メルヘン女」、パイは「露出狂」、朔は「ストーカー」。ゼフィの毒舌は全開であった。
「誰がストーカーやねん!!」
朔のツッコミを華麗にスルーしてゼフィは祭壇を見て、「ママはこの世界にいない」と呟く。
確かに女神アウラはThe Worldから姿を消した。だがそれでもThe Worldにいるはずなのだ。完全に消えたわけでは無い。だがゼフィはThe Worldにいないと呟いた。
女神アウラの娘であるゼフィがグリーマ・レーヴ大聖堂に現れた事と八咫たちが姿を消した事に関連性があるのか。
ハセヲは考え込むが全然分からないので頭を掻いてしまう。ここでアトリが臆することなくゼフィに話しかける。
「あのゼフィちゃん。八咫さんって方とエンデュランスさんって方をご存じですか?」
「八咫? エンデュランス?」
「はい。褐色の修行僧みたいな方と青を基調とした装備で薔薇舞うイケメンの方です」
「・・・知ってるよ」
「本当ですか!!」
知っているなら聞き出す。この場所に来たことは正解だったようだ。
「どこにいるの!?」
「この先」
ゼフィが祭壇に指さすとグニャリと空間が歪んで穴が開く。それはまるで異世界にへと繋がるゲートのようである。
「この先に八咫とエンデュランスがいるのか」
ハセヲと朔が近づいた瞬間に瞬時に移動してきたゼフィにデコピンされて吹っ飛ばされる。この威力は仕様外という他ない。
「何すんだ!?」
「そうやそうや!!」
いきなりデコピンされた理由を説明求むとワイワイ言う朔。確かにデコピンされたら説明を求むだろう。
「無容易に近づかない。この先は危険」
「危険?」
「うん。この先は私もどうなっているかは分からない。だから危険」
女神アウラの娘であるゼフィが危険と言っているなら危険なのだろう。しかし仲間が危険な場所にいるのなら助けにいかないわけない。
そもそも今まで危険なことに首を突っ込んできたのだから今更である。だからハセヲは気にしない。
「この先に八咫とエンデュランスがいるならオレは助けにいく。今まで危険な橋を渡ってきたんだから今更だぜ」
彼の目に迷いは無い。その覚悟の目を見たゼフィは「ヘタレのくせに」と言ったが「うるせえ」と返される。ハセヲだけじゃなくアトリたちも覚悟ができている。
「私は八咫様を助けに行くわ」
「私も2人を助けに行きます!!」
「乗りかかった船は降りないもんだ」
「今助けに行きますエン様!!」
「オレの仲間たちは大丈夫だぜゼフィ」
「あっそ。じゃあついてきて。私もママを探しに行かないといけないから。後・・・パパもいる」
「・・・パパ?」
「ちょっと待ってくれるかしら?」
ここでパイがストップをかける。
「どうしましたパイさん?」
「覚悟は出来てるけどこのまま行くのは確かに危険よ。なら準備はしておくべきだわ」
「確かにな。それに他に力を貸してくれる奴も呼んでみよーぜハセヲ」
この先が危険なら準備は必要だろう。それに他の仲間も力を貸してもらえるなら貸してもらいたい。
「何人かに声を掛けてみるか」
これは危険なことだから声を掛けても強制では無い。ハセヲは力になってくれそうな仲間を思い浮かべる。
(あいつは力を貸してくれそうだな。あいつらは・・・駄目だ。危険な目にあわせるわけにはいかない)
「まだ行かないの?」
「ああ。準備があるから待ってくれ」
「分かった。ここで待ってる」
side変更
ハセヲは力になれそうな仲間にメールを送る。最も全員とも頼れる仲間だが今回は危険があるミッションだ。
誰彼構わずには送れないからハセヲは仲間を厳選する。特にシラバスやガスパーは無理だ。彼らも頼りがいのある仲間だが、優しい彼らに危険を犯せない。
余計なお世話かもしれないがこれはハセヲなりの優しさだ。優しい彼らは危険を犯さずにThe Worldを楽しんでもらいたいものである。
他にもし力になってくれるならギルド『月の樹』が良いかもしれない。特に欅は教えなくても自ら調べてひょっこりと目の前に現れそうである。仲間ではあるが本当に素性が分からない。
「メールしなくてもメールが来そうなんだが・・・」
そんなことを呟く本当に欅からメールが来た。内容は『ハセヲさん、こんにちわ。女神アウラの娘に出会ったんですってね。そして八咫さんとエンデュランスさんが行方不明みたいなんですよね。ならボクも手伝いますよ。危険な場所だってへっちゃたです』
このメールを読んで本当に欅が何者が分からないし、一瞬ビビッてしまう程だ。メールが届くタイミングを考えると、どこかに監視カメラでもあるんじゃないかと勘ぐってしまう。
「まさかのいきなり1人仲間確保って感じだ。松や楓も力を貸してくれるだろうか・・・次はどうするか」
メールアドレスを見る。全員がThe Worldで出会った仲間で頼りなる奴らばかりだ。しかし謎の場所に向かうには全員は一緒に行ってくれとは言えない。
先ほども思ったがシラバスやガスパーは無理だ。タビーたちだってリアルで忙しいはずで無理強いなんでできない。
「・・・『イコロ』の大火とか力を貸してくれるかな」
パソコンのキーボードを打ち込み内容を書き込んで頼りがいのある仲間たちに送信した。今回は強制では無い。
全員が来るかもしれないし、来ないかもしれない。そう思いながら待つ。
メールの内容は『ハセヲだ。八咫とエンデュランスが行方不明になったから行方を捜しに行く力を貸してほしい。だが今回は簡単で無く危険なんだ。危険と分かったうえで下記にしるしてある日にちにグリーマ・レーヴ大聖堂に集合してくれ。これは強制ではないから絶対に来なければというわけでは無いからな』
side変更
捜索隊メンバーはハセヲを筆頭にアトリ、クーン、朔望、パイ。更にギルド『月の樹』の欅、楓、松。『イコロ』の大火、太白、天狼。
他にも何故かメールを送っていない揺光や志乃、タビーまで参加してくれた。
「志乃にタビーまで!? 何で!?」
「アトリさんから連絡があったからだよ」
すぐにアトリに視線を送るが目を逸らされる。彼女たちにはもう危険な目には合わせたくない。彼女たちには純粋にThe Worldを楽しんでもらいたいのだ。
なのに危険なミッションに一緒に行くなんてハセヲとしてはできない。
「もうハセヲったら。困ったことがあったら頼ってよ!!」
「そうだよハセヲ」
「いやタビーに志乃そうじゃなくて」
「これでも強いんだよ。前は恐くてあまり力になれなかった。だから今回は役に立ちたいの!!」
恐いから戦いを避けた。そんなのは誰も責めない。戦いが怖いのは当たり前だ。全員が戦う勇気を持つ者ではない。
「だけど今回だって危険すぎ…」
「ああ、やっと来たのね」
いつの間にかゼフィがハセヲたちの前に現れる。まず一番に目を見開いたのが欅であった。ゼフィは女神アウラよりも隠された存在で、知っている者は本当にごく僅かしかいないだろう。
能力は女神アウラよりまだ劣るかもしれないが、女神アウラが次世代の存在として生んだというのならスペックは女神アウラを超える可能性はあるだろう。
「これで全員集まったのね。じゃあ今すぐ行くよ」
「ま、待てゼフィ!?」
「レッツ・ゴー」
「うおおおおああ!?」
ハセヲたちはゼフィの力によって異世界に飛ばされた。全ては行方不明のエンデュランスと八咫の捜索のため。
転移した先は未知の世界ということでハセヲは信頼できる仲間を招集。中には今回のミッションに関わらせたくない仲間もいたがついて来てしまい、ゼフィが一緒に転移させてしまってはもう手遅れだ。
ならばハセヲが守っていくしかない。最も彼女たちも守られてばかりではないと思うが。彼女たちだって強いのだから。
ハセヲたちは少しだけ遅れて『彼ら』の跡を追うように異世界へと転移した。
同じ異世界にいながらこれは『彼ら』とは別に歩んだ物語だ。『彼ら』と平行して進んだが合流はできなかった。いずれ合流することはできるがすぐには合流できない物語。
アナザーサイドの物語である。
読んでくれてありがとうございました。
さて、異世界に行くGUメンバーは上記のキャラたちで一応決定です。
もし、物語上に他のキャラが必要ならば途中で加わるかもしれません。もしかしたらですが。
ハセヲ「もう誰も巻き込んでねーよな!?」
ゼフィ「…さあ?」