.hack//OverLord:Another Side 作:ヨツバ
本編での時系列でいうと『カオスゲヘナ』くらいです。
トブの大森林で発見した謎の巨大建造物の内部にハセヲたちは全員集合していた。
何故集合していたかと言われれば欅が情報を共有させるために読んだのだ。それにハセヲやクーンが手に入れた情報も共有しないといけない。
それにしても欅とパイ以外は謎の巨大建造物の内部に驚いた。The Worldでは見慣れた光景かもしれないが、この異世界ではまず見ることが無い内装だからだ。
この異世界の文化レベルは特殊かもしれないがだいたい中世文化レベルだ。しかしこの内装は間違いなく近代科学レベルの内装なのだ。そのギャップに驚いているのだ。
「マジで何だココ?」
「どう見てもこの異世界には似合わないよな」
ゾロゾロとパイに案内されてモニタールームに到着する。そこに欅がニコニコしながら待っていた。
「みなさんお待ちしていました。どうぞ、好きなところにゆっくりしてください」
ゆっくりするような場所はあるかどうかも分からないが適当に座ったり、壁に寄りかかったりする。
コホンっと欅は咳払いして早速今回の話を始める。
「では、みなさんが集まったことですし、始めましょうか」
まずはクーンが話を始めた。
「オレたちはオズワルドの屋敷でAIDAに関しての実験レポートを発見した。そしてAIDAに寄生された人間もな」
「実験ですか」
「ああ。様々な種族に寄生させてAIDAの変化を記録しているようだぜ」
その言葉にハセヲはピンと来た。
「まずオズワルドって奴だが本当の名前はカズミだ」
「カズミ?」
「ああ、奴本人が言っていたことだ。そして正体は知性を持ったAIDAだ」
「AIDAが知性ですって?」
パイは特に驚く。前までAIDAに関して調べていたのだから、まさか人並みの知性を持つAIDAなんて初耳だ。
そんな人型のAIDAがいるのは正直驚きだろう。
「人型のAIDAね…これはまた」
まさかの情報に混乱しそうになるが落ち着くべきだ。今回集まったのは混乱するために集合したわけではない。
情報を共有するべきに集合したのだから。
「その実験レポートにはAIDAの変化…進化についてかクーン?」
「そうだ」
「…カズミの目的はAIDAの進化だってよ」
AIDAの進化。確かに実験レポートの結果よりそれしかないだろう。この異世界でAIDAは進化する。
人の知性を持ち、人型のAIDAが存在しているのなら確かにもう進化している。あのAIDAが人間へと近づいたことがとんでもない。
AIDAは進化し続ける存在。怖いことだがいずれAIDAは人間以上に進化するかもしれない。
「この異世界で進化するAIDAか」
「そもそも何でAIDAが存在するの?」
望はハセヲたちが気にしていることは呟く。
AIDAはオーヴァンの再誕によって消滅したはずなのだ。なのにAIDAが存在する。それが一番の謎だろう。
「信じたくないかもしれませんが…AIDAに生き残りがいたってことかもしれませんね」
誰もが予想したくない予想を欅が口にする。その可能性はあり得なくはないが、あの再誕から生き延びたという事実が驚きだろう。
「でも、そうなるとTne Worldにしか存在しないAIDAが何で異世界に?」
AIDAが何故か存在する理由は仮定として再誕から生き延びたとしよう。そうなると今度はAIDAが何で異世界にいるかだ。
情報を得れば得るほど謎が深まるばかりだ。
「それに関しては…ボクからがお話ししましょうか」
「欅。何か知ってるのか?」
「ここで手に入れた情報からボクが仮定した話になりますけどね」
欅は複数のモニターにあるデータを映す。所々が破損していたり、文字化けしていて読めないところがある。
「このデータを読んで分かったことがあります。それはこの異世界を創造した神だということです」
「この異世界を創造した神!?」
「おいおい、またとんだモノが出てきたじゃないか欅」
「仮定ですよ。でもデータを読んでいるとそれしか予想できないんです」
確かにデータを読んでいくと異世界創造について記載されているようだ。それならばこのデータを残したのはまさに創造神しかいない。
まるで自分が作った世界の成長過程をレポートに残しているようにしか見えない。
「この神は異世界を創造するのにある2つの世界を参考にしたようです。正確には1つみたいですけどね」
矛盾なことを言う欅。
「2つの世界なのに1つ?」
「はい。2つの世界と言いますがどうらある2つの世界は未来と過去の関係性があるようです。だから2つだけど1つということですよ」
この異世界を創造するのにある2つの世界を参考にした。そのある2つの世界の関係性は過去と未来。
「じゃあ1つの世界でいいじゃねえか」
「この神は参考にした世界を2つに分けてるんですよ。未来の世界と過去の世界で」
欅はキーボードを高速で打ち込んでいくとモニターの文字化けしていた文字が正常になっていく。
そこには『ユグドラシル』という文字が出てきた。
「ユグドラシル?」
「未来の世界を神はユグドラシルと呼んでいるようです」
まず1つ参考にした世界がユグドラシル。調べていくとこの異世界の魔法やスキルはユグドラシルを参考にしたようである。
「で、次ですが…」
またキーボードを打ち込むとまだ文字化けした文字が修正されていく。
その文字には『The World』とデータに記載されていた。
「The World!?」
「そうです。過去の世界とはThe Worldのようです」
この異世界はユグドラシルとThe Worldを参考によって創造されたことになる。
そして未来と過去の関係性ならばユグドラシルはThe Worldであり、The Worldはユグドラシルということだ。
「おいおい…こりゃあとんでもない事実じゃねえか」
「はい。この異世界はThe Worldからも参考にされているんです」
そうなるとAIDAとの関係性も納得できそうだ。
「魔法やスキルなどの大本はユグドラシルから。世界創造の大本はThe Worldの技術から参考にされているようです」
まさかこの異世界がThe Worldの単語が出てくるとは思わなかった。そして欅はさらにモニターに映っている文字を修正でしていく。
そし今度はAIDAという単語が出てくる。
「AIDAという単語がこのデータベースに残っています。この異世界にAIDAを放ったのが神かもしれません」
AIDAを放ったのがこの異世界の神。参考にしたということはAIDAを再現したということかもしれない。
ならばAIDAがこの異世界にいるのは納得できる。原因という言い方でいいのか分からないが、AIDAがいるのはこの異世界の神のせいということになるのだ。
神なんてよく分からないが万能の存在なのだろう。ならば神がAIDAを再現したと仮定しても違和感はない。なんてなんでも有りな言葉なんだろう『神』とは。
「…ハセヲさん。この神はデータを見ると仮定として元々はユグドラシルいたようです。この意味が分かりますか?」
「あ?」
「この異世界の神はファンタジーで言うところの説明できない存在ではないかもしれないということです」
「それってなんだよ?」
「いいですか。ユグドラシルとThe Worldは過去と未来です。The Worldって何ですか?」
「…ネットゲーム」
ならばユグドラシルもまたネットゲームということになる。そして神はデータの記録から見るとユグドラシルに存在したことになっているのだ。
「おいおい。この異世界の神はユグドラシルってゲームのキャラって言いたいのかよ」
そんなバカげた仮定はありえない。
「あり得ないと思いますか?」
「そんなこと…」
「The Worldには女神アウラが存在するのですよ」
「…っ!?」
The Worldには女神が存在する。それが女神アウラだ。
それならば未来のThe Worldであるユグドラシルにも女神アウラのような存在がいるかもしれないのだ。
「仕様外の存在か?」
「可能性としては」
この異世界の神がまさかネットゲームの仕様外とは。
「この神はこの船を使って色々と調べたようですよ。おそらくAIDAもこの船で調べたのでしょう」
「この船?」
またデータの文字を修復すると文字が出てくる。
「データ潜水艦グラン・ホエール?」
「この建造物の正体は船ですよ。しかもデータの海を潜る船です」
「こいつが?」
ユグドラシルにいた神。その過去であるThe Worldを知ったのはこのグラン・ホエールのおかげらしい。
未来と過去を見て異世界を創造しようとした。自分だけの世界を創ろうとしたのだ。そして自分の正体とやらはThe Worldで分かったというデータがあった。
ならばThe Worldにこの異世界の神がいたというのだろうか。
「異世界の神か」
現在の段階で全て仮定であるがまとめてみる。
この異世界には神が存在する。そしてこの異世界はユグドラシルとThe Worldから参考によって創造された。
ユグドラシルとThe Worldは未来と過去。神はユグドラシルにもともといた存在。おそらく女神アウラやAIDAなどの仕様外の存在の可能性がある。
何でも自分だけの世界を創造するために、この異世界を創った。全てはユグドラシルの崩壊から逃げるため。
神は世界を創造するのにユグドラシルとThe Worldから様々な技術を利用したようだ。
そして神がAIDAを異世界にばら撒いた。それは異世界の発達のためであり、どうやらAIDAの性質だけを利用しているようだ。
だからこの異世界にAIDAに存在するのだ。
「はい。ここまで全て仮定ですよ」
「仮定かもしれないけど…ここまでの情報があるとね」
「確定はできませんよ。もしかしたらThe Worldにそっくりな世界があるかもしれませんし」
その可能性はある。様々な説があって現実世界でも実は似た世界が存在するかもしれない。並行世界の存在。そういうのがあるのだ。
ならばゲームの世界が本当にゲームとしてではなく、1つのリアルの世界としても存在するかもしれない。
「ではこのまま仮定の話として進めますよ」
この異世界の秘密を知るドラゴンが存在する。それが罪竜。
「罪竜」
「罪竜。ギルティドラゴン。このドラゴンもまたユグドラシルやThe Worldから参考にされて生まれた存在」
ユグドラシルというのはよく分からないがThe Worldの方だと予想がつく。罪竜と言われれば分かる者は分かるのだ。
「罪竜。もしかしたらザワン・シンかもですね」
仮定として罪竜はザワン・シン。
「ファントムってなんだ?」
「この世界の守護者的な存在みたいですね。全部で6人いるようです」
ファントム。この異世界を守る守護者であり、罪竜を守る者。
そして気になるのがこの異世界の『最終防衛機能』とやらだ。コレだけは今調べた段階でも分からないが神が異世界を守るために『最終防衛機能』を設置させたとならば恐らく厄介なモノだろう。
「次にこのデータです」
今度モニターに『イモータルダスク』と映し出された。
「このイモータルダスクですが完全にデータが壊れているので全容は分かりません。ですが被験者リストを見てコレも仮定することができました」
『イモータルダスク』と『被験者リスト』の説明を始める。
被験者リストとは調べてみると神が異世界の文化レベルを上げるために『指導者』という呼んだ者たちのこと。その指導者たちはこの異世界の歴史で存在していた六大神や八欲王などだ。
そして彼ら指導者は全員ユグドラシルから呼ばれている。まさにハセヲたちのような状態だ。
自分の作成したキャラを肉体として異世界に存在する。まるでリアルからデジタルへ。人間がゲームの世界へ転移するようなものだ。
「このことからイモータルダスクとはまさにリアルデジタライズ…人間をデータの世界に送るようなプロジェクトですね」
「人を呼ぶか」
「はい。これで元の世界に戻らなければ『未帰還者』ですね」
未帰還者。これはもう事件案件になるだろう。
「事件です。でも未来の話ですからボクらじゃどうしようもありません」
ハセヲは過去の人間だ。未来のユグドラシルである人間は助けることはできることは不可能である。
「それにしても情報がいっぱいすぎて混乱しちゃうよアタシ」
ここで一旦まとめよう。
この異世界には全ての真実を知る罪竜が存在する。異世界の中心とも言うべき存在だ。仮定としてザワン・シン。
その罪竜および異世界を守護する『6人の守護者』が存在する。彼らは今もこの異世界で守るために戦っているかもしれない。
そしてこの異世界には『最終防衛機能』が存在する。その存在がナニカは分からない。だが厄介なモノだろう。できれば触れたくないモノだ。
神はこの異世界にユグドラシルから指導者を呼んだ。その方法はイモータルダスクというプロジェクト名で全容は分からないがリアルデジタライズのようなものだ。
そうするとこの異世界がまさかの可能性が出てくる。
「この異世界はまさか電子の世界なのか?」
「異世界なんてファンタジーを信じず、科学的な意味でこの異世界を証明するならそうでしょうね」
だが全て仮定の話なのだ。これは欅が全て仮定として説明した。
ここは異世界なのだから欅たちが想像できないようなモノかもしれないのだ。
「やることは?」
「この異世界のことはいずれ調べることになるかもしれねえ。でもまずはAIDAだ」
AIDAの大本であるカズミ。
彼は自分のとっておきのAIDAが残り3体いると言った。ならばカズミを含めると合計4体のAIDAがいることになるのだ。
「まずはAIDA?」
「カズミのやつは無視することはできない」
「ですよね」
ハセヲの言葉にアトリやクーンたちは頷く。
「無視できませんよねハセヲさん!!」
「だな」
揺光や松たちだって頷く。
「アタシは最後までハセヲについていくぜ!!」
「やるしかねえよな!!」
行方不明の仲間探しもそうだが、AIDAとの戦いへと目的が一旦変更する。
「AIDAとの戦いが終わったら今度こそ仲間を探す!!」
(そしていずれは『異世界の神』についても調べないといけませんね。おそらく全ての原因なのですから)
side変更
リ・エスティーゼ王国。
今この王国ではウィルスバグによってカオスゲヘナが発動している。カオスゲヘナとはウィルスバグが考えた王国の大侵食作戦だ。
そしてウィルスバグと敵対している勇者たちの殲滅も含まれている。八相の破片データを取り込んだウィルスバグのゴレとメイガスが本格的に動き出した。
ウィルスバグも王国で決着をつけるつもりなのだ。
「…結局あのAIDAを、カズミを逃がしてしまったか。この王国から出る前に片づけたかったんだがな」
オーヴァンはウィルスバグによって浸食されていく王国を歩いていく。
「カズミはどうやら八本指の幹部に寄生させていたAIDAを回収して逃げたか。そうなると残り二体…カズミを含めると3体」
それでもカズミが本当のことを口にしたかどうか信じられないが。だとするとカズミの言葉に惑わされずに独自に調べた方がよいかもしれない。
「だがまずはこの王国だな。オレがするのは手伝いだけだ。ウィルスバグの決着は勇者に任せるさ」
既にオーヴァンはメイガスにやられたカイトの仲間たちを助けている。データドレインを受けた時はもうダメかと思ったがカイトの仲間は腕輪の加護によって守られているのですぐに助けることができたのだ。
そしてメイガスリーフも壊せるところは破壊していく。
「ん、こいつは」
オーヴァンの目の前に悪魔が倒れていた。赤いスーツで腹部に風穴が空いている悪魔だ。
ウィルスバグによって徐々に浸食されている。これはいずれ完全に浸食されてただのバグモンスターになるだろう。
「そういえば勇者には別の仲間がいたな。こいつがその1人か…敵になるかもしれない奴か」
その悪魔はゲヘナを実行した悪魔でヤルダバオト。本当の名前はデミウルゴス。
「助ける価値があるかと言われれば迷うところだな。ま、今は仲間は多い方がいいか」
オーヴァンがデミウルゴスを助けたのは確かにカイトとアインズを助けることに繋がったのだ。
読んでくれてありがとうございました。
次回もゆっくりとお待ちください。
さてさて、ハセヲたちがカイトたちよりも先に異世界の真実にたどり着きました!!
もっともまだ『仮定の話』ですが。でも凄い情報をハセヲたちは手に入れてるんですよね。
次回からは時系列で言うと本編でいうとカオスゲヘナ~大墳墓の挑戦者の間の話になります。まあオリジナルです。ハセヲたちは残りのAIDAを倒しに動き回ります!!
そういえば…補足の物語とはいえ、アインズたち出番ないなあ(汗)
気が向いたら『Vol.EX:ぷれぷれ ぷれあです あ~んど ドットハック』なる番外編でも執筆しようかなぁ
アインズ「出番がねえ!?」
カイト「クロスオーバーなのにね」
ハセヲ「しょーがねーじゃん。主人公オレだし」
2人「「ボクらも主人公!!」」