.hack//OverLord:Another Side   作:ヨツバ

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ハセヲたちだけじゃなくてチョクチョクはナザリックの面々も出てきます。
だってクロスオーバーだもの。

.hack//OverLordの時系列でいうとアインズVSシャルティアの後くらいです。


青紫色の獣

クーンと朔はハセヲたちと別行動して、ある村まで到達していた。そこの村の名前はカルネ村。

人間とゴブリンが共存している村だ。人間と魔物が共存とは珍しいものだが異世界ならこういう村もあってもおかしくはない。

関係無いかもだが実はThe Wolrdにはゴブリンを追いかけるゲームがあった。それは今回と本当に関係ないだろう。

 

「ちょっとまってくだせえ」

「ん、何や何や?」

 

朔たちの前にゴブリンたちのリーダーがストップをかける。よそ者には厳しい村なのかもしれない。

確かに朔たちはこの異世界では異質だ。魔物は何かしら感じ取ったのかもしれない。

 

「あんたたちから何かすげえのをビシビシ感じる。まったく最近はやべえのがよく村に来るな」

 

考えていたことが当たっていた。魔物には魔物の感知能力なのか本能なのか。朔たちから感じ取ったのはおそらく単純な実力と八相の力かもしれない。

ここで一触即発な状況になるはとてもマズイ。彼らがカルネ村に訪れたのは仲間の情報収集なのだから。ここは穏便に済ませたいのでクーンは両手をあげる。

 

「待ってくれ。俺たちはこの村で略奪だとか殺戮とかしない。ただの旅人で、行方不明の仲間を探しているんだ」

「仲間を探してる?」

「そうやエンデュランス様って言って、そりゃあもうお美しいお人や!!」

 

彼等に自分たちに敵意が無い事を懇切丁寧に説明する。自分たちは敵では無い、ただの旅人だと。

 

「むう…嘘をついてる感じはねえな」

「あれ、お客さん?」

「姐さん!!」

 

ゴブリン軍団の後ろから可愛い女の子が歩いて来た。まだ幼さが残るが美少女だ。クーンはあと2、3年経てば美人になると想像する。

 

「やあ可愛い子。こんにちは」

「あ、こ、こんにちは」

「俺らは旅人で行方不明の仲間を探して旅してるんだ。情報が欲しいから村に入れてくれないだろうか?」

「あ、はい分かりました。どうぞどうぞ。何も無い村ですがゆっくりしていってください」

「ありがとね。えーっと?」

「エンリです」

「可愛い名前だねエンリちゃん。俺はクーン」

「ウチは朔や!!」

「クーンさんにサクちゃん。ようこそカルネ村へ」

 

カルネ村は本当に異世界の村っていうのが似合う村だ。ゴブリンがいなければ中世の長閑な村というイメージ。

でもゴブリンも人間も互いに力を合わせているのを見ると本当に共存している。流石は異世界だ。

 

「昔からゴブリンと共存している村なのかなエンリちゃん?」

「いえ、そういうわけじゃないんです」

「そうなん?」

 

話を聞くと、何でも謎の兵集団が村を襲撃した時があるそうだ。その時ばかり凄惨で残虐、最悪な日だったという。

これは余計なことを聞いていしまったかとクーンは思ったがエンリは察したのか「大丈夫です」と答えてくれた。この話の続きが大切なのだ。

この村を救ってくれたのがとあるマジックキャスター。その名もアインズ・ウール・ゴウン。

 

「あいんずうーるごうん?」

「はい。黒いローブに赤い仮面をつけたマジックキャスター様です」

「なんや怪しいな」

 

黒いローブに仮面なんて確かに普通考えれば変質者だ。しかしマジックキャスターというジョブ。恐らく魔術師みたなものだろう。

それなら姿に関しては分かる。それでも怪しいものだが。それだと自分たちの仲間に対してブーメランをしているのは棚に置く。

 

「しかも王国の戦士長も助けに来てくれたんです。でも相手は強くて…でもアインズ様が助けてくれたんです!!」

「ほー。なあなあ、その中にエンデュランス様っつう美しい方はいなかったん?」

「エンデュランスさん…いえ、いませんでした。でも確か黒い鎧を着たアルベド様という方はいました」

「アルベド?」

 

これもまた知らない名前だ。もしかしたらエンデュランスたちの情報があるかと思ったら無いかもしれない。

アインズ・ウール・ゴウンにアルベド。全くもって自分たちに関係無さそうである。

他にも情報が無いか聞いてみると『漆黒の剣』という冒険者チームにモモンという漆黒の鎧を纏った戦士にナーベという美しいマジックキャスターが訪れたらしい。

特にモモンはトブの大森林にて主の1匹である南の主を服従させた功績により戦士として有名になったという。

 

「南の主ねえ」

 

『森の賢王』と称され数百年を生きた伝説の魔獣と言われており、モモンの凄さがエ・ランテルで一瞬で広まった。

最も南の主の正体を見ればクーンと朔は微妙な顔をするだろう。何故なら二つ名とのギャップがありすぎるからだ。

 

「他には珍しい誰かが訪れたりしたかな?」

「ええっと、他にも冒険者や商人が訪れましたけど…アインズ様やモモンさん程の方はいらしてないですね」

「そっか、ありがとねエンリちゃん。ところでエンリちゃんはこのあと暇かな。暇なら俺と一緒に…」

「わーわーわー!!」

「ん?」

 

ここにて新たな人物が現れる。その少年の名前はンフィーレア・バレアレ。彼は薬師であり、錬金術師でもある。

実はエンリに片思い中でクーンが彼女に対して迫っているのを見てしまい駆け付けたのだ。「ムム」とクーンに睨みつけてはエンリを背に隠す。

これにはクーンも察して彼に耳打ちをする。

 

「エンリちゃんは将来美人になるから絶対誰にも渡すなよ。頑張れ少年」

「ななっ!?」

 

急に真っ赤になるンフィーレア。これは青春だなっと思い笑顔になるクーンであった。

 

「なあなあ所で、トブの大森林には他にも主がおるん?」

「え、あ、はい。東や西の方にもいますね。こちらにまで来ませんが今は南の主がいないんで少しは森の状況も変わってるかもしれません」

「ふーん」

「あと、トブの大森林は探検する者が少ないので詳しい地形はあまり判明していないんです。それに珍しい薬草などがあってある意味宝庫なんですよ」

「ふむ…何かしらあるかもな。ちょっくら調べに行ってみるか」

 

何でも良いから情報は欲しい。現在のとこエンデュランスたちの情報は何も無いのだ。

少しでも彼等の痕跡があれば嬉しいものだ。もしかしたら八咫が未開の地ということで興味をもって探索しているかもしれない。

トブの大森林に向かうクーンと朔であった。

 

 

side変更

 

 

『西の魔蛇』ことナーガのリュラリュース・スペニア・アイ・インダルン。彼はトブの大森林の西の主だ。

彼は自分の縄張りにナニカが侵入してきたのを感じた。そのナニカは分からないがどうせ西の主の座を狙う魔物だろう。

そういう魔物はいくらでもおり、その度にうんざりするほど返り討ちにしてきた。今のリュラリュースと良い勝負をするのはトブの大森林では南と東の主くらいだ。

だからこそ近づいてくる魔物にリュラリュースはさっさと片づけて食ってしまおうと考えている。

ちょうど腹も空いてきたのでナイスタイミングだ。大物だと腹が膨れるから良い。

 

「さて、どんな輩か…」

 

リュラリュースは茂みの奥から這い出てくる青紫色の獣を見た瞬間に襲い掛かるのであった。

 

 

side変更

 

 

階層守護者のアウラはトブの大森林を探索していた。この森は謎が多く、アインズから情報を多く求められている。

そんな探索をしている中で彼女は変わった魔物を発見した。青紫色の大きな獣だ。さらに大きな王冠に三日月の首輪までつけている。

トブの大森林を探索している中で初めて見る魔物だ。ここまでこの森で異色と感じる魔物は初めてでもある。

ビーストマスターのアウラとしてはとても興味のある魔物だ。これは捕まえてペットにするのも良いし、色々調べてみるのも良い。

そのまま件の魔物を追っていくとある場所に近づいているのが分かった。

 

「あれ、この先は確か西の主がいる場所だっけ」

 

少し開けた場所に出ると西の主がいた。青紫色の獣が茂みから出た瞬間に西の主が襲い掛かったのだ。

しゅるしゅると蛇特有の相手を絞め殺す方法で青紫色の獣に巻き付いた。西の主リュラリュース自慢である太い尾で縛り上げて殺す。

せっかく捕まえようと思っていたのにアウラはちょっと残念がる。仕方ないからその場から立ち去ろうとしたが足を止めた。

なぜなら青紫色の獣は死んでいなかったからだ。しかもリュラリュースの締め付けをものともしていない。

肉を骨をへし折るつもりで絞めているのに青紫色の獣は苦しそうではなく平気そうな顔だ。青紫色の獣はそのまま真上に跳躍して背を下にして落ちていく。

考えが読めたのかリュラリュースはすぐさま離れる。巻き付いたままだったら一緒に地面へと墜落していただろう。

危険な行動をしかけた青紫色の獣は地面に落ちて痛がっていた。痛がっているわりに無事そうである。

 

「なんだこの魔物は?」

 

リュラリュースは西の主の勘として目の前にいる魔物が異色な存在だと気付いた。こんな魔物は見たことも噂も聞いたことも無い。

ここは慎重に相手を見極めて食い殺してやろうと思った矢先は青紫色の獣はリュラリュースに襲い掛かった。

 

「むお!?」

 

すぐさま回避しようとしたリュラリュースだが尻尾を踏みつかれて動けなくなる。そして近づく大きな口。

 

「ま、待て……!?」

 

リュラリュースが何か言う前に青紫色の獣に食われるのであった。

バリバリバリバリバリバリバリバリバリ。もちゅもちゅもちゅもちゅもちゅもちゅもちゅ。

 

「うわあ、西の主を食ってるよ」

 

西の主であるリュラリュースはこのトブの大森林では最強の一角である。そんな一角がいとも簡単に魔物に食われてしまったのだ。

 

「うーん…単純にあの魔物は主以上の強さってことだよね。しかもたぶんハムスケよりも強いね」

 

アウラはハムスケと青紫色の獣を比較するとハムスケがリュラリュースと同じように食い殺されるイメージしか浮かばなかった。

ハムスケをユグドラシルに換算するとレベルは約30くらいだ。ならば青紫色の獣はおそらく50くらいかもしれない。

ナザリック大墳墓でも少しは生き残る実力はある魔物だろう。これはより興味が持ち、捕まえたいと強く思うのであった。

いざ捕獲しようと木から降りようと思った時、2人の人間が現れた。

 

「おっと…こいつは食事中だったか」

「うげえ…」

 

バリバリバリもちゅもちゅもちゅ。

青紫色の獣が振り向くとそこにはクーンと策が微妙な顔をしていた。獣の口にはリュラリュースの尻尾がはみ出しており、もちゅるんと飲み込んでいた。

 

「うーん…こいつは逃げた方が良いかもな」

「せやな余計な……って何かあの魔物ウチを見てへん?」

「うん?」

 

青紫色の獣は何故かジィィィィィィィっと朔を見つめていた。彼女にとってあの獣は初めて見る。

だが向こうはまるで飼い主のように思っている目で見てくる。朔はあんな大きいペットは飼っていない。

のしのしっと近づいてくるのに2人は警戒する。喉を鳴らしながら青紫色の獣は朔を見続ける。

襲ってはこなさそうだがまだ安心できるわけじゃない。クーンは静かにスチームガンに手を置く。

 

(この異世界に来てから魔物は何度も遭遇しては倒せてきた。だが目の前にいるあいつはちょっと違う気がする)

 

クーンも朔も碑文使い。もし何かヤバくても切り札はある。だがここは異世界で未知なことが多いだろう。

力があるからといって何でも倒そうとする考えは愚策だろう。

 

「何やあの魔物は迷ってる感じやなあ」

 

青紫色の獣は朔を見ては首を傾けている。まるで何か悩んでいるようであり、飼い主に似ているかのような悩みだ。

 

「なあ朔はあの魔物を知らないんだよな」

「全く知らへんわ」

 

朔は本当に心の底から目の前にいる青紫色の獣を知らない。ならば襲って来れば戦うし、もしくはそのまま逃げる。

本来の目的であるトブの大森林内での探索はもう止めると考えたクーン。この森は広すぎるのでたった2人では限界がある。

パイたちと相談して後日探索する方が良いだろう。このトブの大森林での探索は大掛かりになるかもしれない。

 

「逃げるぞ朔。こんな奴を相手にしてる暇はない」

「こんな奴シバけはいいやない?」

「そこらの魔物なら簡単に倒せるが、こいつは何か違う。触らぬ神に祟りなしってやつだよ」

 

クーンはスチームガンを青紫色の獣の足元に撃ち、土煙を充満させた。その隙に全速力でその場から逃げるのであった。

 

(何故か分からないがあの魔物からはAIDAともクビアとも違う脅威を感じた。だが似たようなものも感じる。矛盾しているがそんな感覚だ。そうだな…仕様外の存在に似ているんだ)

 

ここは異世界なのだから仕様外級の存在がいてもおかしくはないだろう。こちらも仕様外の力をもっているとはいえ、効くかは分からない。

この異世界ではまだ分からないことが多いのだから慎重になるべきだろう。無駄な戦いは避けた方が良い。

 

「あの人間たち逃げちゃった。案外強そうだったのに…あの銀翼の剣士に緑肌の剣士くらいは」

 

今この場に残ったのはアウラと青紫色の獣のみ。誰もいないことを確認したアウラは隠れていた木から飛び出す。

 

「や、こんにちわ」

 

普通に挨拶するアウラ。まずはコミュニケーションから始めるビールトマスターだ。意思疎通ができるのなら良し。できなければ力で屈服させるだけだ。

相手は獣。こういう時はこちらが力を圧倒的に示せば良いだけだ。

鼻歌交じりで近づきながら鞭の柄に手を伸ばす。もし襲い掛かってきたらすぐさま仕置きをする。

 

「ふんふ~ん」

 

青紫色の獣は朔のようにアウラを見る。だがすぐに興味を失ったのか背を向けた。

 

「おろ。ねーねー、お話ししようよー!!」

 

ニヤリと笑いながらアウラが飛び出したと同時に青紫色の獣はロケットの如く逃げ出した。

「速っ!?」と言いながら追いかけるが向こう側の方が本当に速い。鞭で捕まえようとするがヒラリと躱される。なかなかの巨体のくせに身軽だ。

どこまで逃げていくかは知らないがアウラは森の中ならホームグラウンドだ。進行方向を変えて先回りをする。

そして真正面に追いついた瞬間に青紫色の獣がいきなり円球に包み込まれたと思えば消えた。

 

「え、何今の?」

 

 

side変更

 

 

ドコに行ってたの? エ?食事に行ってた? 西のヌシを食べちゃったのか。そんなのどうでもイイヨ。どうせ次のヌシが勝手に決まる。

 

それとアト、森デ面白い奴ラに出会ったのカ。ダークエルフの子供? それもどうでもイイ。

 

さらにワタシにそっくりのに出会っタ? ソレハ本当に面白いネ。

次はワタシも出会ってミタイヨ。それよりも食事がオワッタんならすぐに罪竜のトコロに行くよ。

 

あの白銀の騎士メ。ずっとずっと罪竜を追いかけては断罪しようとシヤガッテ。守るコッチのみになってミロ。

だがソレが白銀の騎士の役割ダカラな。他の4人もオノオノの役割ををもって動いていル。

 

さて、ワタシたちも役割を果たしにイコウ。敵は白銀の騎士ダケじゃなイし。最近は法国も動いていてメザワリだ。




読んでくれてありがとうございました。
今回の最後に新たな登場人物が現れました。正体はまだ伏せていますが分かる人は分かります。


朔「なんでウチをじっと見てたんやあの猫?」
???「ワタシとそっくりかぁ」
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