.hack//OverLord:Another Side   作:ヨツバ

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今回からVOL:2に入ります。
ついにAIDAが出てきました。AIDAはこの異世界で何をしでかすのか。

.hack//OverLordの時系列でいうと『Vol.3 大侵食』の『新たな幕開け』の前日のあたりです。


VOl.2 異邦の神
王国の裏


八本指の定例会。ここには八部門全ての幹部が集まり、部門ごとに報告をする。報告なんて何があったとか、どれくらい稼いだとかくらい。

だが今回はいつもとちょっと違うようだ。麻薬取引部門の幹部であるヒルマは苦い顔をしている。

実は麻薬を製造していた重要な村が焼き払われたというのだ。これは麻薬取引部門にとってはとても痛い。おかげで麻薬を売る数が限られてしまったのだ。

 

「蒼の薔薇め…!!」

 

麻薬を製造していた村は『蒼の薔薇』という冒険者チームによって焼き払われたのである。ここ最近は蒼の薔薇が八本指の動向を探っていたのは知っていた。だがそこまで脅威と思っていなかったが今回の事件でそうも言っていられなくなったのだ。

今回の痛手は麻薬取引部門だけではなく、密輸部門も痛手を食らっている。麻薬取引部門で麻薬を受け取り各国に麻薬を密輸していたが肝心の麻薬が無いとなると仕事がなくなる。

これには密輸部門の幹部であるヘレン・ゲートキーパーは苦笑い。もっとも作り苦笑いだが。

 

「本当に痛手ですよねヒルマさん。これは密輸部門の仕事が少なくなりそうです」

「ふん、そんなこと言ってるけどアンタはそんな風には見えないけどね」

「いえいえヒルマさん。私としても本当に困りますよ。なんたって麻薬は密輸部門でも良い取引商品ですから…それが無くなるとなると商売あがったりです」

 

ヤレヤレといった表情をするが何処か気にしていない様子。重要な商品と言っておきながら全然気にしていないのだ。まるで商品は他にあるようだと言わんばかりに。

 

「しかし、こちらにもメンツというのがありますよね。ならば報復しかありません。八本指に立てついたことを知らしめるのですよ」

「んじゃ、お願いするぜオズワルド」

「ゼロさん…私の名前はオズワルドではありません。私の名前はヘレン・ゲートキーパーです。間違えないでください」

「悪い悪い。次は気を付けるぜヘレン」

「本当にお願いしますよ。…では、こっちはこれからイロイロと忙しくなりますので失礼します」

 

ゼロはヘレンをジェミニと同じように不気味に思う1人だ。ヘレン・ゲートキーパーは八本指の密輸部門の幹部だ。彼は麻薬取引部門や奴隷売買部門と連携して多くの国に商品を流したりしている。

結果的に八本指はヘレンのおかげで成長した部分もあるだろう。そして実力も八本指最強のゼロよりも圧倒することができる。

ヘレンは謎のタレント能力を持っているとゼロは考えるが実際はよく分からない。そもそも彼をよく知る者は八本指にも王国にもあまりいない謎な人物だ。

彼は八本指に居る時はヘレン・ゲートキーパーと名乗り、王国に居る時はオズワルド・アナ・ヴィクトーリアンと名乗っている。どっちかが本名か、もしくは両方とも偽名かもしれない。

全くもって分からない。

 

 

side変更

 

 

ハセヲたちは緊急会議を要していた。異世界で仲間を探しに来たというのにAIDAの存在を見つけてしまったからだ。

これははっきり言って異常なことだ。何で異世界にAIDAが存在するのか分からなすぎる。

 

「ねえハセヲ。そのAIDA反応は本当なの?」

「本当ですよパイさん。僕が間違いなくAIDA反応を感知しました」

「ああ。欅の言う通りだぜパイ。それにこの目で確かにAIDAを見た」

 

確かにAIDAを見たのだ。微生物のようなAIDAである。だが気になるのはAIDAを操っていた人間だ。

その人間は間違いなくAIDAをコントロールしており、能力まで使用していたのだ。

 

「AIDAをコントロールしていた人間がいたの?」

「ああ。その人間の特徴は緑髪にヘッドホンみたいな耳当てをつけてる男だ。服装は黒を基調にしていたと思う。名前はヘレン・ゲートキーパーっつってたぞ」

 

この特徴に反応したのが揺光たちだ。その人物について最近見た聞いたのである。

 

「アタシたちソイツをリ・エスティーゼ王国で見た気がするぞ」

「ああ。特徴が一致する…だが名前は違うな。こっちが見た男の名前はオズワルド・アナ・ヴィクトーリアンという」

 

ヘレン・ゲートキーパーにオズワルド・アナ・ヴィクトーリアン。この名前を持つ1人は別人なのか同一人物なのか。

分からないのならば王国に行って確かめるだけだ。

 

「王国に行けば分かるか…」

 

何でAIDAが異世界に存在するのか。そもそもAIDAはオーヴァンにの再誕によって消滅したはずなのだ。

分からないことばかりでハセヲだけでなく他の仲間たちも混乱してしまう。AIDAとの記憶なんて良いものは無い。

ここにいる仲間の大半がAIDAの被害者なのだ。AIDAのせいで仲間を傷つけ、自分の大切なものを壊し、自分を追い詰める。

 

「何で異世界にAIDAが存在するか分からない。でもAIDAが存在するなら俺たちは動かないわけにはいかない」

「ハセヲを言う通りだ。俺もこれは放っておくわけにはいかないだろ」

「はい。私も放っておけません!!」

 

クーンにアトリがAIDA問題を解決するべきだとハセヲに賛成していく。こればかりは全員が反対しないだろう。AIDAの被害者になった者はAIDAの脅威は嫌でも分かる。

AIDAに感染していて後遺症で覚えていなくとも、自分がやってしまった罪は消えない。だからこそ天狼や太白などはこれ以上犠牲者を出したくない気持ちが滲み出す。

ハセヲだってAIDAの脅威は見逃せない。AIDAのせいで彼は多くの事件に巻き込まれた。もううんざりなのだ。

 

「王国に行くぞ」

 

リ・エスティーゼ王国にいるであろうAIDAを操る男。奴を必ず捕まえてAIDAについて聞かねばならないだろう。

 

 

side変更

 

 

「なあ団長。どこに向かうんじゃ?」

「これからリ・エスティーゼ王国に向かう。やっとあの王国に俺が追っている奴がいることが分かったからな」

「奴…団長がここ最近いろんな国に向かってはおかしな奴を倒しているのに関係があるやつか?」

「そうだよリグリット」

 

立派な剣を下げ、無邪気な微笑みを湛えた老婆の名はリグリット・ベルスー・カウラウ。かの十三英雄の1人だ。

十三英雄は200年前の人物なのだが何故リグリットが今も生きているかは分からない。その理由を団長と呼ばれる男は気にしない。

 

「たしか…ウィルスバグとか言ったかのう?」

「それもそうだが今回は違う。もう1つの方だ」

「もう1つ…アイダとか言うやつか?」

「そうだ」

 

リグリットは身軽に歩く。老婆には見えないくらい身体を身軽に動かすのだ。

 

「アイダか。ウィルスバグは世界の災厄と聞いたがアイダはなんじゃ?」

 

リグリットは団長からウィルスバグのことを世界を滅ぼす災厄と聞いている。実際に目にしたことがあるし、戦ったこともある。

だがAIDAに関しては分からない。リグリットは団長とAIDAに接触したことはあるがウィルスバグと見分けがついてなかったのだ。

 

「AIDAはウィルスバグとは違う。ウィルスバグ生物に感染するがAIDAは生物に寄生するんだ」

「感染と寄生は同じようなもんじゃないのか?」

「違うよリグリット。ウィルスバグが生物に感染すれば死ぬ。だがAIDAに寄生されれば死にはしないが自分でなくなる。君も見ただろう?」

「ああ…アイダに寄生された奴はおかしい奴ばかりじゃったよ。なんというか己の本能を暴走させたようじゃった。特に酷いと身体に異常をきたしておったな」

 

リグリットはAIDAに寄生された者の中で特に酷い者を思い出す。

身体の一部が黒色状に覆われ触角のような隆起物が出現し、その上から血管のような物が走るというグロテスクな見た目に変化した者がいたのだ。

 

「人間や魔物の肉体あんなに変化させるなんて見たことがないのう」

「AIDAはこの世界にいてはならない。もちろんウィルスバグもな」

 

団長は迷うことなく王国へ歩いていく。

 

「それにしてもリ・エスティーゼ王国か。あそこにはあの泣き虫がおるのう」

「リグリットの昔の仲間かい?」

「ああ。泣き虫じゃが実力はあるぞ。ある特定の敵に関していえば圧倒的な優位に立てる」

 

リグリットの言う泣き虫とは蒼の薔薇という冒険者チームのうちの1人だ。しかもチームの切り札でもある。十三英雄のリグリットが認めるならば実力は確かだ。

 

「なるほど…俺よりも強いか?」

「団長よ。その問は愚問じゃろ…団長より強いのなんていないわ」

「それは買いかぶりすぎだよリグリット」

「そんなことないわい。前に手合わせした時なんてワシは全くもって敵わなかったぞ。それに団長にはまだ何か持ってるじゃろ?」

「…流石リグリットだな」

 

リグリットの実力は確かなものだ。だが彼女自身が団長の方が圧倒的に強いと確信している。それに団長は何か特別な力を持っていると確信もしている。その何かをリグリットは見抜いたのだ。

 

「本当に団長は何者なのかのう?」

「…いつも言っているだろう。ただの旅人さ」

「本当かのう」

 

リグリットは団長のことをよく知らない。

 

「団長に最初出会ったのはある洞窟じゃったのう。何であんなところで寝ていたんじゃか」

「それは俺も分からない。気が付いたら洞窟で横になっていた」

「その後、団長は死んだ魚のような目をしていたがウィルスバグやアイダを見つけたら水を得た魚のように生気を取り戻したよな」

「…この世界で俺が何かする役目があると思ったのさ」

「その役目がウィルスバグやアイダと戦うことで…黄昏の旅団を結成したのかオーヴァン団長よ」

「…かもな」




読んでくれてありがとうございました。

今回からは前作の.hack//OverLordに少し登場していたオーヴァンも活躍していきます。彼が異世界で結成した『黄昏の旅団』の目的も分かってきます。

オーヴァン「やっと出番か」
リグリット「ワシもアニメにやっとこさ登場じゃ!!」
ツアー「私もね」
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