休みの内に出来るだけ多く投稿したいと思っています。
俺ガイル原作のような八幡の心理描写を描きたくて、一人称目線にしましたが…うんムズイ。
「何してんだ…俺」
俺こと比企谷八幡は今、幻想郷とか言う摩訶不思議な場所の、白玉楼というお屋敷に住み込みで幽々子様に仕える事になってしまった。
ほんと、何やってんだろ。
「飯……ねぇ」
そして今俺は、幽々子様の昼食を作る事になっている訳だが…。
幽々子様の朝食を見て度肝を抜かれた。
あれだけ多かった飯が、一瞬にして幽々子様の口の中に吸い込まれていった。
とんでもないスピードで箸が踊ってたぞ…。
あれは掃除機だな。もしくはカービィ、桃色の事といい。
『くしゅんっ』
「材料は貰ったが、この量を作るのか…はぁ」
目の前の大量の食材を前にして、思わずため息が出る。
そりゃそうだ、一人でこの量を作るんだもんな…。
いつも炊事や家事は、幽霊が仕度しているらしいが…
「幽霊手伝ってくれねぇのかよ…」
基本的に冥界に来てから警戒されてる節がある。
まだ冥界に来て1日も経って無いが、やっぱり探られるような視線が気持ち悪い。
そりゃそうか。顔も名前も知らない奴が突然来たんだからな…。
まあでも、慣れてるしいいか。あれ?涙出てきた。
「料理作るかぁ〜…」
専業主婦志望だから人並みには出来るが、高校入ってから小町に任せてたからな…。
そう言えば小町元気かな…。ごめんな小町。お兄ちゃん先に死んだみたいだ…。
最後までダメなごみいちゃんで…
ごめんな…。
〜〜〜
「幽々子様、良かったのですか?」
白玉楼の庭師。魂魄妖忌が気難しい顔をしながら幽々子に尋ねる。
「何がかしら〜」
幽々子は相変わらずニコニコしながらお菓子に手を伸ばす。
「分かっているでしょう?比企谷八幡の事です。素性の知れない妖怪を屋敷に置いておくなど……」
妖忌は少し強めの口調で再び尋ねる。
「そうね〜、しいて言うなら………」
幽々子は真面目な表情になり、しっかり妖忌を見据える。
「言うなら………?」
「何かを……何かを感じたのよ。彼、八幡に」
珍しく少し寂しそうな表情をしながら、曖昧な言葉だけを妖忌に返す。どこか懐かしむような、そんな表情をしながら。
「何か……とは?」
幽々子の言動と、その寂しそうな表情が気になって、つい疑問を聞いてしまう妖忌。
それもそのはずだ。普段から呑気でマイペースな幽々子が、こんな表情をする事は滅多にない。
あるとしても薄気味の悪い笑みを浮かべてるくらいであろう。
「それが分からないのよね〜。自分が妖怪って事も分かって無かったみたいだし、不思議な子よね。ハムハム」
しかしすぐにいつもの幽々子に戻り、団子を頬張る。
「はあ…分かりました。ただ何か怪しい行動を起こした場合、直ちに斬ります。覚えていて下さい」
その様子に妖忌は小さなため息をつき、諦めた様子で立ち上がる。
少し不満な表情をしながら部屋をズンズンと出て行く妖忌に、幽々子は苦笑いを浮かべながら肩をすくめる。
「あらあら…」
〜〜〜
「うん、こんなもんだろ」
煮付けの味を確認して料理を完成させる。
久しぶりに料理したけど案外出来るもんだな。といっても、簡単なものしか作れないが…。
ただ、いくら簡単な料理でも、皿や盛り付けがいいとなぜか高級感が出るものだ。
っと、味噌汁が沸騰しちまう…火を止めてっと。
「にしても、量が多い…!」
調理台に乗りきらないぐらい多い。本当にこれ一人分かよ…。
まるで宴でもするのかというほどの量。しかし、こんなにも多いと一つ不安が浮かんでくる
「運べんのか?これ」
そう、俺一人で運べるのかどうかだ。
結局大きなお盆三つに分けて運ぶ事にしたが、この長い廊下を三往復することになってしまった…。
ただ、成人男性の三人分ぐらいの料理を一人で一度に運ぶのは無理。絶対に無理。
「おいしょっ…」
お盆を持ち上げて運ぼうとすると…。
「ん?比企谷八幡。幽々子様の昼食が出来たのか?」
「ひゃい!?」
いきなり声かけるもんだからびっくりして変な声出ちゃったよ、恥ずい…。
ボッチはそういうのに慣れてないんですよ?もうちょっと慎重に扱ってくださいよ…。
と、内心下らない文句を垂れる。因みに話しかけてきたのは妖忌さんだ。
「す、すまんな…驚かせるつもりでは無かった」
その妖忌さんには引かれているがな…。
「い、いえ。少しびっくりしただけですから、問題無いです」
「そうか……ふむ、料理は上出来のようだな」
相変わらずどこか探られてるような気がするが…。
わざわざ俺に話しかけてくる所を見ると、いい人なのかもしれないな。
「そうっすかね…」
「ああ、幽々子様に早く運んで差し上げなさい。首を長くして待っているぞ」
そう言えばもう十二時半か…。早く運ばねぇと。
「ウス。それじゃあもう行きますね」
それだけ言って、そそくさと妖忌さんの前から立ち去る。
気不味いんで出来るだけ駆け足で。
「比企谷八幡」
だが、妖忌さんに呼び止められる。
「は、はい。何でしょう…」
早くしてくれ…ぼっちはこういう気不味いのに慣れてないんだよ。
気不味くなるほど人と話すことなんて滅多に無いからな。
「幽々子様はお前を大変気に入っている」
「………?」
……何が言いたいんだ?
それを利用して幽々子様に手を出そうものなら……みたいな?こわっ
「それを利用し、もし我々に牙を向くようなら…わかっているな?」
…当たっちゃたよ……………。
〜
それにしても廊下が長い。
これ往復すんのかよ、めんどくさい…。
「気に入っている………な」
さっき妖忌さんに言われた事を思い出す。
幽々子様が何かと俺を気にかけてるのは分かる。
実際今も、助ける義理もない俺を白玉楼に置いてくれているのだ。
ただ分からない。その理由が。
『へぇ〜…君、面白いね』
前にどこぞの姉に言われた言葉をふと思い出したが…。
幽々子様とあの人じゃ、少し似てるようで決定的に違う。何より…
幽々子様の方が何枚も上手だ。
仮面こそ付けてないが、その気にさせたら俺なんか簡単に潰せる。一握りだ。
だからこそ何故そんな人が、俺なんかに………………
「まあ、どうせ離れてくだろ」
人間ってのはそういうもんだ。勝手に人に期待して、勝手に失望する。
あの時だってそうだ…………。
俺も、あいつらも間違えていた。
結局互いが互いに理想を押し付けているだけだったんだ…。
お互いの事をよく知りもせず……いや、知ろうともせずに本物になんてなれるはずがない。
そうだ、だから俺は………いや、もうやめるか。
もう………今は思い出したくない…。
それにしても………
「重てぇ…」
そんな事をぼやいていると、いつのまにか幽々子様の居る部屋へと着いた。
「幽々子様、食事を持ってきました」
『入っていいわよ〜』
幽々子様の部屋へ全ての食事を運び、現在幽々子様に食事を渡すところだ。
襖の奥から幽々子様の確認の声が聞こえ、襖を開け部屋へ入る。
「失礼します」
「ふふっ、来たわね。楽しみにしてたのよ〜」
幽々子様の部屋は、思ったよりこざっぱりしていて、他の和室となんら変わりはなかった。
変わりがあるとすれば、机に置いてある大量の饅頭や団子の大群といったところか…。
それにしても、相変わらずずっとニコニコしてるな…。
その笑顔は嘘偽りの無い表情だ。
すぐに分かる。でもつい探ってしまう、その笑顔の裏側を…。
「あら、美味しそうね〜。料理上手なのね」
「ま、まあ…人並みには…」
急に褒められて少し照れてしまった。
朝少し話した時に思ったが、この人と話をしていると直ぐにペースを持ってかれるな…。
「ふふふっ…それじゃあ召し上がりましょうか。」
凄いスピードで箸を取ってったな…。そこまで腹が減っていたか…。
さて俺は…、食器でも洗っとくか…台所戻ろ。
「待ちなさい」
部屋を出て行こうとしたところ、幽々子様に呼び止められる。
「はい?何でしょう」
「これは八幡の分よ?」
は?俺の分?いやいやいやいや…
「全部幽々子様の食べる分なんじゃ…」
「失礼ね〜。いくら私が腹ペコキャラでも三人前も食べないわよ〜」
幽々子様は頰を膨らませて少し怒った様子だ。カワイイ
じゃなくて…………
「それでも二人前は食べるんですね…」
「うふふ、この時期はご飯が美味しくて…。ほら、食欲の秋だから」
「つまり秋以外はそこまで食べないと?」
「ええ、それはもう」
ぜってー嘘だ。あの食欲は例え夏でも抑えられる筈が無い。
今だって幽々子様の箸が踊るように激しく動いて、白米とおかずがどんどん減っていく。
「八幡、お米おかわりもらえるかしら?」
「はぁ…分かりました」
〜
「それで幽々子様。お話とは?」
昼食を終えた後、食器の片付けをしようと台所に戻ろうとしたところ、
幽々子様に再び呼び止められた。
「聞きたい事、あるでしょう?」
「聞きたい事?」
「そう…聞きたい事。例えばこの幻想郷の話、冥界の話、幽霊の話、私の話…とか。ふふふっ…」
そう言って不敵に笑う幽々子様を見て、再び感じさせられた。
この人は只者では無い。間違っても牙を剥いてはいけないと…。
「………そう…ですね。じゃあ幻想郷ってのは日本とは違うんですか?」
この辺の質問が妥当だろ。
実際ここがどういう所なのかも把握していない。
目が覚めたらここに居て、幽霊だとか亡霊だとか、そんな摩訶不思議生物の巣窟だったという訳だ。
「日本…八幡、あなた外来人なの?」
「えと…外来人?」
がいらいじん?全く馴染みのない言葉だな。
幽々子様は下を向いてブツブツと何かを考えているが…。
がいらい………ガイライ………外来種………外来…人?
「コホン。質問に答えると、全く違うと思うわ。今の外がどうなってるかは知らないけど」
何かを熟考していたみたいだが、質問には答えてくれた。
やっぱりここは異世界みたいなものなのか?
いや、でも俺は死んだ筈だが…。あぁ、死んでから転生する的なあれか。
こ◯すばとかもそうだったな。
ん?待てよ…?
「外…って何すか?」
「多分……あなたがいた世界は、幻想郷では外と言われる場所なの」
って事は
「ここは異世界とは少し違う。八幡の元いた世界から、結界によって切り離された世界。それが幻想郷」
俺が思考している間も、幽々子様は淡々と幻想郷を語る。
結界から切り離された世界か…厨二心をくすぐられるな。
ん?でもだとしたら俺は死んだわけではないのか?
それじゃあなぜ俺はここに居る…?
「これは私の友人が言っていた言葉……」
「………?」
幽々子様がここで言葉を区切る。
顔は少し嬉しそうな、優しい表情をしていた。
その表情を見ていると何とも言えない気持ちになり、つい目を逸らしてしまった。
「『幻想郷は全てを受け入れるのよ…それは時に残酷な事…』って、ふふふっ…」
〜〜〜
幻想郷の事を聞き終わったところで妖忌さんに呼ばれ、
他の話は後ほどということになった。
「あ、あの妖忌さん…。これは一体…?」
白玉楼の庭。今木刀を持たされ、同じく木刀を持った妖忌さんと向かい合っている。
……………なんの拷問?
「なに、腕試しというやつだ。」
「いや、いやいやいやいや、剣とか握った事も無いんですけど!?」
ヤバイ。殺される。
生きてても意味無いとか思ってたけど流石に怖ぇ!
妖忌さんだとなおさら怖い。
そりゃそうだ。こんなイカツイ爺さん目の前にして、ビビらない方がおかしい。
正直、今生きた心地がしない。
「加減はする。お主の思う全力をぶつけて来い。」
い、いや悪いけど妖忌さん。全力って言われても…俺Zリングとか持ってないから。
カプ・コケコに会いに行って来るからそれまでまってて!
「さあ、来い!」
まぁ、無理ですよねー。分かってた分かってた。
妖忌さんを見るに、もう聞く耳は持たない様子だしな…
とにかく…やるしかないかぁ…。
「………」
「………」
妖忌さんの見よう見まねで剣を両手で構える。
恐怖で手が震えるが、なんとか軸がブレないように…。
そして………
「…………ふっ!」
左足で地面を蹴って踏み込み、間合いを詰める。木刀を縦に大きく振りかぶって…、
そして一気に………………振り落とす………!!!!
ことは出来なかった。
「なっ!?いつ…のまに…!?」
木刀を振り落とそうとした瞬間、もう既に妖忌さんは俺の懐に入り、木刀は俺の首を捉えていた。
全く見えなかった。剣の動きどころか、妖忌さんの動きすらも見えなかった。
その驚いた反動か、思わず尻もちをついてしまった。
「ふむ…遅い、遅いぞ比企谷八幡。このぐらいならまだ幼い私の孫でも出来る。」
「…………」
妖忌さんのその言葉は、何故か俺の胸にずっしりと響いて来た。
「剣の振りも遅ければ、踏み込みも遅い。送り足もダメ。まず剣の才能は全く無いな…」
別に俺が望んで剣を持った訳じゃない。
半強制的に妖忌さんにやらされただけじゃねぇか…。
「そしてお前には覚悟が無い。逃げ続けているだけな奴に剣を握る資格は無い」
だから……!別に望んで剣を持った訳じゃないっつうの。
資格が無いんなら、もう二度とさわらねぇよ。
「………………私は部屋に戻る。」
「………」
内心悪態をつきながらも、結局俺は最後まで何も言えなかった。
〜〜〜
斜陽が白玉楼の池に金色の影を落とす。
空が赤から紫へと変わって行く様を縁側から眺める白玉楼の主幽々子は、
今日自分の世話係に任命した不思議な少年の事を気に掛けていた。
「………大丈夫かしら?あの子。」
今日の昼に食事を終えた後、妖忌が八幡を裏庭の方へ連れて行った。
心配になった幽々子は後を追おうとしたが妖忌に止められてしまい、
妖忌に任せる事しか出来なくなった。
「何で………私は…」
あの日。
冥界を散歩している時に偶然出会った不思議な少年。比企谷八幡。
幽々子は彼が妖怪という事を直ぐに見抜いた。
それは懐かしい。凄く懐かしい私の大切なナニカに似ていたから。
「私も…何かしないとね…」
幽々子は彼、比企谷八幡の力になりたかった。ただ純粋にそれだけだった。
その想いを胸に、幽々子が縁側から腰を上げようとしたその時………
「幽々子様。戻りました」
「妖忌…!八幡は?どうだったの?」
八幡を何処かへ連れて行った妖忌が帰ってきた。
「比企谷八幡と少し、剣を交えてきまして」
「………!大丈夫なの?」
凄く心配そうな顔をして幽々子は妖忌に尋ねる。
それはそうだ。剣の達人とも言っていい妖忌さんと剣を交えたのだ。
本気でやれば八幡は怪我では済まないだろう。
「えぇ。怪我はさせておりません。」
「そう…よかったわ…」
「ただ………」
「ま、まだ何かあるの〜!?」
白玉楼の主は、意外にも心配性らしい。
〜
「妖忌から見て、あの子はどうだった?」
幽々子は気になっていた。他の目から見えるあの子の姿を。
幽々子は不安だった。本当のあの子は、私にしか…いや、誰にも見えないんじゃ無いかと…。
あの子の捻くれた優しさは、誰にも伝わってないんじゃないかと…。
「そう………ですね。私から見ると、何かに怯えている。諦めているような…そんなイメージでしたな」
「……………」
その通りだ。あの子は何かに怯えている。何かを欲している。
だが、何故か全てを諦めてしまったのだろう。
今もまるで、空っぽになってしまった自分を埋めるかの様に、家事や炊事に没頭している。
本来の八幡なら、家事・炊事など『めんどくさい』の一言で辞めるのではないだろうか。
「ただ、剣の才能は十分にありましたよ」
そう、そんな八幡だが、妖忌も彼になにかを見出していたのだ。
剣の才はどう転ぶか分からないが、妖忌の胸には、
「………!そう、妖忌が認めるなんて珍しいわね〜」
「えぇ、私には剣しかありませぬ。故に私があの若造の才を引き出せるのは剣のみ。比企谷八幡、その輝きを取り戻せるのは他でも無い」
「………………」
幽々子はじっと庭の桜の木を見つめている。
「幽々子様、後はお願いしてもよろしいでしょうか?」
「ふふふっ…えぇ、任せてちょうだい」
すっかり冷たくなった秋風が、幽々子の頰をかすめて行った。
比企谷八幡
17歳
見た目、性格などはほぼ原作通り(のつもり)
能力とかスペルカードとかは後に分かって行くと思います。
魂魄妖忌
???歳
皆さんご存知魂魄妖夢の爺兼師匠。
東方の原作には設定のみで登場はしてない…………筈…。
厳格な性格だったとかなんだとかで。
まぁ、性格はオリジナルで作っていきます。
次回『比企谷八幡という人間』