東方青春録   作:青木々 春

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妖夢は現時点ではまだ少し幼いです。見た目の変化はほぼ無いと思ってもらっていいです。

後、今回一部深夜テンションで書きました。文法がめちゃくちゃで話が頭に入ってこないかもしれないけど、許して…!



※報告※

突然ですが、『章』で話を区切る事にしました。
更に突然ですが、今回で第1章が完結です。



不器用な『妹分』との距離

紫とたわいのない会話をした後、今は食材を買い終わり白玉楼へ戻っている途中だ。

 

 

なんか『白玉楼の買い出し』って言ったら、みんな荷台寄こすんだよな。

幽々子様の食欲は人里にまで広まっているのか…。

 

 

結局今は八百屋さんから借りた荷台で、大量の食材を運んでいる。

 

 

(やっと冥界に着いた…重すぎるだろこれ、何kgあんだよ)

 

 

そんな事を考えながら、俺は白玉楼へと歩を進める。

白玉楼への道はもうそう長くない。

 

 

 

冥界。

 

冥界というと最初のイメージは暗い様な、そんな雰囲気を想像していた。

ただそんな事は全くなく、冥界の空には青空が広がっている。

桜の木も立ち並んでおり、花が開けばさぞかし綺麗な事だろう。

 

ただ、あいにく今の季節は初冬。

桜の木々からに着いていた紅や黄色に染まった葉は落ち、

地面で凍り付いていた。

 

お、そんな事を考えていたら白玉楼についたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帰りました」

 

決して大きな声ではないから聴こえてはいないだろう。

いや、大きな声が恥ずかしいとかじゃないぞ?

 

ただ、出て行く時は『行ってきます』帰ってきた時は『ただいま』これ、常識。

 

まずこの大量の食材を蔵に仕舞わないとな。

それにしても、これを蔵に運び入れる作業を考えると気が遠くなるな…。

 

(ざっと考えて四往復ぐらいか。はぁ…。)

 

思わずため息をこぼしてしまう。

でもこんな所でずっと突っ立ってても仕方ない、運ぶか…。

俺は野菜の入ったカゴを持ち上げるが…。

 

「おいしょっ…………ナニコレ重っ!?」

 

な、何だこれ?本当に野菜か?鉄の塊とかじゃないよな…?

入っている食材は、

大根3本に人参3本。白菜3玉に玉ねぎが……etc

 

あぁ…。これは重いわ。

 

「うん?比企谷、帰ったのか。」

 

「っ……よ、妖忌さん…は、はい、今帰りました」

 

いきなり話しかけられるもんだから、ついビクッとなってしまった…。

なんか俺妖忌さんと話す時、いつもそうなってないか?

 

「ふむ…この大量の食材は流石に重いだろう。これは私が運んでおこう」

 

「えぇ?いや、さすがにそれは悪いですよ」

 

確かに力も体力も妖忌さんの方が上だろう。ただ、半人半霊といえど妖忌さんは結構歳だ。

ここで全て妖忌さんに任せる程、俺は性根が腐っちゃいない。

 

本当は手伝って欲しいがな…。

 

「ここは俺が全部やるんで、妖忌さんは休んでてください」

 

「………ふむ…」

 

俺がそういうと、妖忌さんは何か考えた様子になる。

あれ?俺なんかまずい事言っちゃったか…?

 

「実を言うと、今孫が白玉楼に来ていてな…」

 

「孫……ですか?」

 

妖忌さんの孫。

少し前に妖忌さん自身に、稽古の途中で聞いた事があった。

名前は聞いた事がないが、半人半霊の7歳の女の子と言っていたな…。

 

「あぁ、幽々子様がな…………。

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

 

あの後、妖忌さんから説明があった訳だが…。

 

妖忌さんの孫は、俺が来る少し前までは白玉楼に住んでいたそうだ。

ただ、常識やマナーなどを学ぶ為に、少しの間妖忌さんは寺子屋に預けていたらしい。

 

それにしてもさすが妖忌さんだな…。

普通7歳の孫を一人で寺子屋に預ける事なんてしないぞ?

 

本当にあの人は厳しい。孫にまで厳しいとは思わなかったが…。

 

 

最初はお孫さんを寺子屋に預ける事を幽々子様は反対したらしいが、

 

妖忌さんは稽古に仕事。

幽々子様は………うん。無理だな。

 

そんなこんなで寺子屋に預ける事になったらしい。

 

 

ただ、いくら妖忌さんといえど孫を一人で寺子屋に預けるのは心配だったらしく…。

そこで白羽の矢が立ったのが俺という訳だ。

 

『なら、八幡に任せれば良いんじゃないかしら〜。』

 

という幽々子様の一言で決まったらしい。

 

うん、つまり仕事が増えた。

やばい、俺どんどん社畜になっていってるな…。

 

まぁ、とにかく今は幽々子様に詳しい話を聞きに、

幽々子様が居る茶室へと向かうべく、冷えた廊下を歩いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えーっと…茶室はここであってるよな?

白玉楼は無駄に広いから未だに迷うんだよな…。

 

 

「失礼します」

 

 

襖をノックして茶室に入る。

 

 

「あら八幡。お帰りなさ〜い」

 

 

幽々子様は、いつもの様にニコニコ笑顔で手を振って帰りを迎えてくれる。

ん?見慣れない子供が居るな。この子が妖忌さんのお孫さんか?

 

この子の顔………どこかで見たような…?

 

「幽々子様。この子が?」

 

あぁ、小町だ。いや、顔も雰囲気も全くにてないけどな?

表情が小町が家出した時の表情と一緒なんだよな…。

 

小町…元気かな…

 

 

「あら?妖忌から聞いていたの?そうよ〜、この子が妖忌の孫の妖夢よ。可愛いでしょ〜?」

 

ほーん。妖夢って言うのか。銀髪なのか?それとも白髪?アルビノか?

まぁ俺には違いなんてよく分からんが、白いショートの髪に、黒いリボンの付いたカチューシャをしている。

 

7歳っていうぐらいだから見た目は幼いが、なんか大人びた雰囲気だな…。

 

どこかルミルミを彷彿とさせるな。

 

「魂魄妖夢です。宜しくお願いします。」

 

「お、おう。比企谷八幡だ…」

 

あらやだ大人…!

いや、そうじゃなくて、本当に7歳なのか?

まだ警戒をしてるってのもあると思うが、妙に大人びてんな…。

 

 

いや、でも今まで周りに大人しかいなかった訳だもんな…。

そりゃそうに育つか…。

 

「それで八幡に妖夢の世話を頼みたいんだけど・・・。頼めるかしら〜?」

 

幽々子様が、申し訳なさそうな目で俺の顔を除きこんでくる。

 

あ、少し涙目になってる。

幽々子様には申し訳ないけど、なんかもう少し見ていたい…。

 

 

「そ、そうよね。八幡は忙しいものね…ごめんなさい、他を当たるわ…」

「そうですよ幽々子様。いきなりこんな事頼んで、比企谷さんに失礼です」

 

あれ?俺が早く答えないもんだからなんか変に話進んじゃったよ…。

 

「あ、あぁ。別に俺はいいですよ?今更仕事の一つや二つ変わらないですし…」

 

「本当?無理してない?」

 

幽々子様が心配そうに覗き込んでくる。カワイイ。

じゃなくて…妖夢の世話引き受けるのは理由がある。

 

「はい。大丈夫ですよ。小さい子の面倒を見るのは慣れてるんで。」

 

そう、小町だ。

 

妖夢には失礼だが、家出をした時の小町とどこか重ねてしまったのだ。

いや、似てるといった方が正しいか…。

 

 

妖夢の事はまだ何も分からない。

でもどこかあの時の小町と似ている。寂しそうな表情。

いくら大人びているとはいえ、まだ子供だ。

 

 

理由なんてそれだけでいい。

つまり、妖夢を妹の様に感じてしまったのだ。

 

やっぱり千葉の兄として、こればっかりは放って置けない。

 

今の俺を見て小町はなんと言うだろう?

 

 

 

『小町以外の妹を作るなんてポイント低い!』か?

いや、違うな。

 

 

 

それなら『やったねお兄ちゃん!義姉ちゃん候補ゲットだよ!』か?

それも違うな。相手は幼女だぞ?

 

 

 

じゃあ『車に轢かれて冥界に落ちてまで妹の事考えるなんて…

小町的にはポイント高いけど少し気持ち悪いよ…?』か?

うん。これだな。

 

 

 

 

自分で言ってて少し悲しくなったが、これで良い。

これぞ千葉の兄妹(おれたち)の絆だからな……キモいな…。

 

 

「まぁ、その、なんだ。妖夢、宜しくな…」

 

「は、はい。宜しくお願いします…」

 

妖夢と小町は違うってのは分かってる。

それに俺の妹は小町だけだ。

 

それでも妖夢はどこか放っておけない。

 

小町と重ねているのは確かだが、小町と妖夢は全く似ていない。

え?さっきと言ってることが違うって?

 

似ているのは表情だけだ。後は全く似てない。

これからは妖夢を『妹分』として、関係を築いて行こう。

 

大体小町程アホな子なんてそうそう居ないだろう。

 

ただ、表情だけでも小町と似てるのなら、一度妖夢を小町と重ねてしまったなら、それは放って置けねぇよな…。

 

うん、やっぱり俺は重度のシスコンらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拝啓。小町

 

少し不器用な『妹分』が出来ました。

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

 

妖夢が白玉楼に来てから、いや、正確には戻って来たが正しいのか。

仕切り直して、妖夢が白玉楼戻って来てから2日目だ。

 

今日の天気は晴れで。

白玉楼の中庭には、昨日の夜に降った今年の初雪が積もっている。

 

「なぁ、妖夢」

 

「はい、なんでしょう」

 

俺はいつも通り幽々子様に朝食を作り、食器の片付けをした後に、

今は妖夢と部屋でお茶を飲んでいる。

 

今日一日は妖夢と二人で居なさい。って幽々子様に言われたが、

あの人は何を企んでんだか…。

 

「少し散歩にいかねぇか?」

 

「さんぽ…ですか?」

 

妖夢は怪訝そうな表情で、俺を見てくる。

まぁ、そうだよな。なんの前触れもなく散歩に誘ったらそうなるよな。

 

「あぁー…そうだ。少し外を歩かねえか?」

 

ほんと、こういう時だけ上手く返せない自分が嫌になる。

 

「わ、分かりましたっ…」

 

いや、それは妖夢も同じみたいだな…。

妖夢はいそいそと外出の準備をしている。

 

俺も準備するか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さすがに冷えるな」

 

「そうですね…」

 

白玉楼を出て今冥界をうろついている訳だが、

これはたから見れば7歳の少女を連れ出している不審者だよな?

 

まぁ冥界には魂と幽霊ぐらいしか居ないから大丈夫だろ…。

 

「「………」」

 

それにしても会話が続かねぇ…。

 

まぁ俺も妖夢も器用な方じゃないしな…。

そりゃそうなるか。ここは誘った俺が話を振らなきゃな…。

 

「な、なぁ妖夢。寺子屋では友達とか居たのか?」

 

なんだこの、家に久し振りに来てくれた孫に対してお爺ちゃんがする様な話題…!

 

「いえ、必要ないので」

 

「そ、そうか…」

 

話終わっちゃったよ…。

 

友達が必要ないね…。まぁその言葉には同感だな。

妖夢が何を思って友達が必要ないと言っているのかは分からないが、俺は要らないな。

あんな偽善と欺瞞で塗り固められたアクセサリーみたいな関係……。

 

チッ、リア充爆発しろ」

 

「りあじゅう?りあじゅうって何ですか?」

 

あ、やべ。心の声漏れてた…。

 

「あ、あー……ま、まぁ爆発物だ…」

 

うん。まだ妖夢は知らなくていいんだ。

あんな汚ならしいもの…。

 

「爆発物…ですか?」

 

「あぁ、諸悪の根源と言っても良いな」

 

うん。間違った事は言ってないな。

何が青春だよ…ただの自己満足だろ。

 

「爆発物で諸悪の根源ですか…よく分かりませんが、比企谷さんはりあじゅうを持ってるんですか?」

 

「…………いや、俺は持ってないな」

 

うぐっ…!無意識に俺の心をエグっていきやがった…!

妖夢……恐ろしい子…!

 

「そうですか…それなら、そのりあじゅうという物はどんな物何ですか…?」

 

何でこの子こんなリア充に興味津々なの?リア充にでもなっちゃうの?

それと、冗談抜きで妖夢にリア充なんて造語を教える訳にはいかない。

 

「い、いや、妖夢にはまだ早いと思うぞ?」

 

「そうですか…今は良いです。ただいずれ斬ります」

 

妖夢は不満げに言うが、うん。良かった…。

変な言葉を教えて妖忌さんに殺されるだけは勘弁だしな…。

 

「あぁ、そうしてくれ………って斬るってなんだよ…」

 

「この世の物は、取り敢えず斬れば分かります」

 

妖夢は、フンスっと鼻を鳴らしながら胸を張って言う。

妖忌さん………一体どんな教育をしたら7歳がこんな事になるんだ…?

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

そんなこんなで話していくうちに、最初は消え入りそうだった会話も、段々と会話のドッチボールは早くなって行き、今や妖夢はたまに笑顔を見せながら、楽しそうに話す事も珍しくなくなった。

 

 

お爺様は偉大だとか…、

 

幽々子様はめちゃくちゃだとか…、

 

寺子屋で習った事や、初めて見た物。

 

 

妖夢は沢山の話を、楽しそうに話している。

俺も柄にもなくどこか嬉しくなって、外での生活や、話を妖夢にすると、嬉しそうに聞いてくれる。

 

(あぁ、天使だ…)

 

なんてくだらない事を考えながら、

妖夢と俺は、雪の積もった石畳の上を並んで歩く。

 

 

決してその距離は近くはないが、いつかその距離は縮んでいくだろう。

 

 

なんてセンチメンタルな事を、冥界の綺麗な雪景色を見ていると、つい考えてしまう。

 

そんなキザっぽい事を考えていると、妖夢がまた別の話を始める。そして俺は、それを静かに聞く。

寒さなんて忘れて夢中になっては話す妖夢を見て、妖夢の幼さを改めて感じた。

 

 

 

 

 

(幻想郷での生活ってのも、案外悪くないかもしれないな…)

 

下らないことを考えながら、二人で雪の道を進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

八幡と妖夢が散歩をしている最中、

白玉楼の蔵の中で、怪しく紫色に筋の様に光るナニカが…。

 

その怪しい光は、ひとりでに動き出した──

 

 

 

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