東方青春録   作:青木々 春

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カルテって言葉が出なくて五分ぐらい悩んでた。

キャラが崩壊していきます。原作との矛盾も増えていきます。



嘘吐き

底冷えのする今日この頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?私は……

 

「どうしてこうなった…」

 

入院してます。

もう一度言おう、どうしてこうなった…

 

記憶が無くなった訳ではない。もちろんルーミアを庇って日本刀に斬られたのは覚えている。

ただ一番の難点は左腕が無いのだ。

 

いや、冷静に言ってるけど目が覚めた時は思わず大声をあげそうになったな。

そりゃそうだろ。

 

あれ?左肩が軽いな〜って思って左腕見たら、左腕が無かったんだぞ。

こんなのトラウマ級の衝撃だろ。ま、俺の中学時代のトラウマ程ではなかったがな。

 

といってもさっき起きたばっかりだから今も少しテンパってるが…。

 

そこで病室の扉が開き、人が入ってくる。

 

「あら?起きたのかしら?」

 

「え?えーっと…」

 

失礼だけど誰?

変わった服装をしている。赤と青のほぼ2色のみの服。

特徴といえば、綺麗な銀髪をしている。見た所年上のお姉さんだな。

 

帽子からして医者か…?

 

「あぁ、自己紹介がまだだったわね。私は八意永琳、この病院を営んでいる医者よ」

 

「ひ、比企谷八幡です…」

 

やっぱり医者だったか。

さっきは入院してるとか自分で言ったが、ここが病院だという確信はなかった。

 

ただ今疑惑が確信に変わった。ここは病院だッ!(あたりまえ

 

 

辺りを見渡すと、焦げ茶色の木目調のベットや家具。よく映画とかで見る明治時代ぐらいの病院風だ。

 

「そう、比企谷…八幡ね。成る程…」

 

八意さん何か意味深に俺の名前に反応する。いや、変な名前だってだけか…。

そういえばバカルテットは大丈夫なんだろうか?

 

「あ、あの。あいつらは大丈夫なんすか?」

 

「あいつら?…あぁ、あの四人組の事?」

 

八意さんが首を傾げて尋ねてくる。

どの四人組かは分からないけど多分その四人組です。

 

「はい」

 

「えぇ。誰も目立った怪我はないわ。あなたのおかげよ」

 

ま、眩しいッ!八意さんの笑顔が眩しいッ!

 

「今は外で待機してもらってるわ。あなたに会いたがってたわよ。」

 

ほーん。あいつらが…なぁ…。

ルーミアが下手に罪悪感を感じてなきゃいいが。

 

「さて、それじゃあ質問させてもらっていい?」

 

質問?体調とかか?だとしたら何ともないが。

 

「質問…ですか?」

 

「えぇ。あなたが出会った…刀について」

 

あぁ成る程、刀。

今この話題から出る刀というと、俺が洞窟で見たあの刀のことだろう。

 

黒い瘴気を纏った日本刀。多分俺の左腕が無くなったもあの刀に斬り落とされたのだろう。

 

「刀ですか…。俺特に何も知らないんすけど?」

 

あの洞窟で見たのが初めてだしな。

特に話せることも無い筈だ。

 

「今まで見たこともない?」

 

「はい」

 

まず日本刀自体そんなに見たことがない。あるとしたら妖忌さんの日本刀ぐらいか…。

幻想郷の外じゃなかなかお目にかかれないもんだしな。

 

「本当の本当に?」

 

…?なんでこんな聞いてくるんだ?

 

「は、はい。そうっすけど」

 

「そう、分かったわ」

 

そう言って八意さんは手元のカルテの様な物に書き込む。

ん?そういえば俺があいつらを庇って左腕がなくなったって事は分かる。ただあの状況からなぜバカルテットは助かったんだ?

いや、生きているに越した事はないが、あの状況だったら俺もあいつらも多分死んでいた。

 

まぁ、誰かが助けてくれたっていうのが一番考えやすいか…。

 

「次は…、左腕を失ったことにショックは?見たところ落ち着いているけど…?」

 

「……いえ、その事に関しては現実逃避してるだけです…」

 

うん。全然受け入れられてない。さっきからなるべく左腕を見ないようにしているからな。

 

でも左腕がなくなったからって悪いことばかりではない…筈だ。

そう、シャンクスだ。シャンクス思い浮かべろ。あれ?シャンクスって右腕だっけ?左腕だっけ?あれ?

・・・もうどっちでもいいか。

 

「でもやっぱりショックは大きいんじゃない?」

 

八意さんが心配そうに聞いてくる。

 

「いえ、精神面には自信があるんで」

 

うん。女の子のリコーダーを盗んだとか冤罪をかけられて、クラス中に謝罪を求められても泣かない程度には鋼のメンタルを持っているつもりだ。

 

そうだな、俺のメンタル鋼過ぎて錬成とか出来ちゃうレベル。

いつか俺が鋼の精神術師とか言われちゃう時代が来るかもな。

 

あ、片腕ないから丁度いいかもしれん。

 

「そ、そう…でも大丈夫よ。すぐに左腕を治してあげるから」

 

八意さんが優しく微笑む。天使やぁ…。

ていうか左腕を治すって…

 

「いや、さすがになくなった左腕は治らないっすよ」

 

八意さんなりの冗談か?

だったらなんか悪い事したな…。

 

「いや、治るわよ?」

 

え?マジで治んの?幻想郷の医学ってそんな進んでんの?

幻想郷の医学・薬学は世界一なの?

 

「…左腕の事は少し置いといて、最後の質問としましょう。八幡も疲れるでしょうしね」

 

それと幻想郷での名前呼びは普通なのね…うん。もう慣れた。

 

「は、はい…」

 

八意さんが一度息を吐き、優しそうな顔から真面目な顔になる。

その場に緊張が走る。

 

「なんで…彼女たちを助けたのかしら?」

 

「………」

 

………助けた…な。いや、助けたとは少し違う気がする。

 

確かに俺には全くと言っていいほど助ける理由も義理もない。

我ながら偽善的で欺瞞的だったと思う。

 

やっぱり俺は憧れているのだ、欲しいのだ、本物を…。

 

あの時、幽々子様と話したあの時。あの人となら本物は手に入ると思った。

 

ただ俺はあの人の事を何も知らない。あの人は俺の事を理解しようとしてくれている。

俺のことを知ろうとしてくれている。なのに俺は何も知らない…あの人の事を。

 

そして俺は知ろうともしない。そんな自分が情けなくて…

 

だから認めて欲しかったのかもしれない。

 

その傲慢さ故に、あいつらを庇ったのかもしれない。

 

分からない。自分自身が分からない。

俺は『本物』が欲しい。ただ俺にとっての『本物』とはなんだ…?

 

そんなあやふやな物のためにあいつらを庇った。

俺は、ただそれだけの…最低な人間だ…。

 

「別に…目の前で死なれるのは目覚めが悪いだけですよ…」

 

だから俺は嘘を吐く。自分の嫌う欺瞞を行う。

 

「「……………」」

 

辺りに静寂が流れる。

八意さんは俺の目を真剣な表情でジッと見つめてくる。

 

「はぁ…分かったわ。『今は』それでいいわ」

 

「…『今は』?」

 

「えぇ、『今は』。まだ八幡にはやるべき事がいっぱいあるんだから」

 

含みのある言い方をして、八意さんはいたずらそうに笑う。

大人の美貌、というのだろうか。つい顔を背けてしまった。

 

「そうっすか…」

 

「そうよ。まだまだいっぱいね。だから…」

 

「………?」

 

「迷った時にはいつでも来なさい。相談ぐらいには乗るわ」

 

そう言って八意さんは、どこか嬉しそうな表情を浮かべて笑う。

ほんと、頼もし過ぎるこの人。

 

「それじゃ、この後はお見舞いに来た人が何人かいるから。会うといいわ」

 

お見舞い?あぁ、そういえばバカルテットが居るって言ってたな。

怪我がなければいいが…。

 

「あぁ、それと」

 

「はい?」

 

「血を流したあなたをここに運んで来たのは紫よ。お礼を言っておきなさい」

 

あぁ、成る程。紫見てやがったのか。

だったらバカルテットに怪我はないだろうな。

 

「それじゃ、ごゆっくり〜」

 

そう言って八意さんは病室を出て行く。

すると10秒もしない内に、ノックの音が響いた。

 

「入るわよ…」

 

「あぁ」

 

声的には紫だろう。なんかいつもより声が低い気がするが…。

とにかくここまで運んで来てくれたんだ。お礼を言わなきゃな。

 

「八幡。調子はどうかしら?」

 

「まぁ、ぼちぼちだな」

 

病室に入ってきたわけだが、やっぱり声のトーンが低い気がする。

別に怒らせる様な事はしてない気がするがな…。

 

「そう…八幡、あなたはなんで妖精を助けたのかしら?」

 

……またその質問か。さっきも八意さんに聞かれたが、答えは同じだ。

 

「目の前で死なれちゃ目覚めが悪いからな」

 

大嫌いだ。欺瞞も偽善も虚言も。だから俺が大嫌いだ。

 

「そう……いつもの私なら呆れて笑いながら流せるけど、今回は別よ…」

 

パシーンと鈍い音が病室に響く。音の発生源は俺の頬、平手打ちの音だ。

そう、俺が紫にビンタをされた。頬にヒリヒリとした感覚が走る。結構強めに叩きやがったな…。

 

「八幡…ごめんなさい…」

 

「………」

 

なんなんだよ…人の頬を勝手に平手打ちしといて、勝手に謝って…。

一人で忙しすぎんだろ…。

 

「あなたが自己犠牲しようが構わない。だってそれを止めるのが『私達』の役目だもの…昔から」

 

いつもの様に紫は俺の事を知った風な口調で話を初める…。

俺の何が分んだよ…お前に…。それなのに知った風な口を聞くなよ…

 

「八幡…あなたは本物が欲しいんでしょ?」

 

なんでそれを…?幽々子様か…?

 

「それなのになんでそんな下らない嘘を吐くの?あなたはどこまで変わったの?」

 

下らない嘘?変わった?紫は俺の何を知っているんだ?

なんの話をしてんだよ…

 

「俺は何も変わっちゃいない…」

 

「そうね…あなたにとっては何も変わってない。そう…“何も進歩してない”」

 

「…ッ」

 

その言葉は、なぜか俺の胸にずっしりと響いた。

締め付けられる様な…重りを乗せられたような…そんな感覚に陥った。

 

「もう一度聞くわ。なんであの妖精たちを助けたの…?」

 

「俺は……」

 

あいつらを庇ったのは、本物を見つけたかったから…明確なものにしたかったから…認めて欲しかったから…

そんな汚い雑念で…俺はあいつらを庇った。

 

ただ俺は怖いのかもしれない。その雑念で、本物が手に入るかもしれない関係をまた壊してしまうのは…失望させてしまうのは…。

だから俺は…

 

「同じだ…目のまでで死なれちゃ目覚めが悪いからな…」

 

嘘を吐く。

 

欺瞞を行い相手を騙す。

 

「…また下らない嘘?」

 

「だから…下らない嘘ってなんだよ…!」

 

つい声を荒げてしまう。

いや、荒げるというほど大きな声は出してはいないが、紫の反応に対して少しカッとなってしまった。

 

「あなたは本物が欲しいんでしょ?なのになんで嘘をつくの?欺くの?」

 

「そ、それは…」

 

紫が何故本物のことを知っているのか、それがもう気にならないほど俺の心は動揺していた。

 

なんで嘘を吐くか?なんで欺くか?失望されるのが怖いからだ。

答えを出すのは簡単だ。ただそれが声には出せない。当たり前だ、声に出せば失望させてしまうかもしれないから。

 

声の形が積み上げ、織り成す物は綺麗なものばかりではない。

いくら綺麗な布や織物でも、一本の汚い糸が混ざればもうそれは売り物にはならないだろう。

 

それと同じでいとも簡単に崩れてしまう物だろう。関係というものは。

 

「「………………」」

 

二人の間に沈黙が流れる。

 

「はぁ…幽々子を呼んでくるわ。外で待っててもらってるの」

 

「……あぁ…」

 

幽々子様も来ているのか…。

随分といろんな人に迷惑かけたな。

 

「あ…それと、新しい博麗の巫女が見つかったのよ」

 

「・・・博麗の…巫女?」

 

博麗の巫女?どこかで聞いたような聞いてないような…?

それ以前になんで今俺にその話をしたんだ?

 

「だから…それだからもう…あなたはもう休んでいいのよ…」

 

そう言い残し、紫は病室を出て行った。

博麗の巫女…。少し気になるが、今はそんな事を考えている場合じゃないだろう。

 

・・・幽々子様も来ているとなると…壊れる覚悟はしなくちゃだな…。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

 

 

ノックの音が病室に響く。今日で2度目だ。

紫と幽々子様か?それにしても早すぎる気がする。紫が出て行ってからまだ1分も経っていないしな。

 

「し、失礼します…」

 

慣れない様子で入って来たのは、赤いリボンの目立つ金髪少女ルーミアだった。

畏まったことを言うのが慣れてないのか、永遠亭に慣れていないのか、少しオドオドした様子だ。

 

「あっ!八幡!」

 

「うぉっ!いきなり飛びついてくるな…!」

 

俺を見つけた途端にルーミアが飛びついて来た。

この感じじゃ特に怪我もしてなさそうだな…。っていうか…

 

「一旦…離れろ…!」

 

「わはー!」

 

 

 

 

 

 

少年祈祷中

 

 

 

 

 

「んで?他の奴らはどうした?」

 

病室に入って来たのはルーミアのみで、他の3人は見当たらない。

飽きて帰ったか?

 

「待ちすぎて皆んな寝ちゃった」

 

あぁ…まぁ子供(精神年齢)だもんな…。

 

「ルーミアは眠くないのか?」

 

「うん、私は大丈夫!」

 

眩しい程の笑顔でルーミアは答える。

といっても、もう夜も更けて夜中だ。こんな少女に無理をさせる訳にはいかない」

 

「む〜、子供扱いしてる〜」

 

「あれ?声に出てたか?」

 

「うん、思いっきり」

 

これは癖なのか…?だとしたら厄介だな。

するとルーミアの顔がいきなり神妙な面持ちになる。

 

「それと…八幡…」

 

「うん?どうした?」

 

「ごめんなさいっ!」

 

ルーミアは急に頭を下げて謝ってくる。

洞窟でのことだろう。やっぱり少なからず罪悪感は感じちまうよな…。

 

「あー…ルーミア。変に罪悪感は感じなくていいぞ?別にお前だから助けた訳じゃない」

 

「うー…でも〜…」

 

ルーミアは納得のいかない様子で首を捻る。

なんかあざといな…狙ってるんじゃないんだろうが、なんかあざとい…。

 

いや、幼女は皆んなあざといか。

 

「んじゃあ…今度人里の美味しい料理屋にでも連れてってくれ」

 

「…っ!うん!」

 

満面の笑みを浮かべてルーミアは返事をする。

ルーミアは意外と大食いだからな…。多分俺より食う、あの体で。

 

「それとルーミア。他の奴らに怪我はないか?」

 

「心配なの?」

 

ニヤニヤしながら聞いてくる。くそっ可愛いけどウゼェ…。

 

「いや、別にそういうんじゃねぇけど…」

 

「じゃあ教えてあーげない!」

 

「おいおい…」

 

ウザ可愛いってルーミアのためにある言葉なんじゃねぇの?

ルーミアの場合はウザ可愛いにあざとさを付け足してもう最強だな。

 

いや、幼女は皆んなあざといか。(2回目

 

「で?結局怪我はないのか?」

 

「うん、全員無事。良かった…ホントに…良かった…」

 

「……………」

 

……ルーミアにとってのあいつらの存在は相当でかいんだな…。

これこそ『本物』と呼べる関係なのかもしれない。

 

「なあ、ルーミア」

 

「んー?」

 

「ルーミアにとって本物ってなんだ?」

 

俺は何を聞いているんだ…?それもこんな幼女に…。

 

「ほんもの?」

 

分かるはずがないのに、藁にもすがる思いで聞いてしまった…。

本当に情けねぇな…俺…。

 

「あー…ルーミア。やっぱりなんでもな…

 

「よく分かんないけど、楽しくって美味しかったら何でもいいのだー!」

 

…まあ特に深く考えてる訳ないよな。

楽しく、美味しく……か…。

 

 

 

 

 

そこで病室にノックの音が響く。多分紫と幽々子様だろう。

 

「八幡、入るわよ?」

 

案の定紫の声だ。

失望された時の、壊してしまった時の想像の恐怖が俺の手を小刻みに震わす。

 

「ふぅ…どうぞ…」

 

俺は、二人を病室に招き入れた。

 

 




なにこの終わり方…?

あと心理描写がムズイ。
分かりにくかったですよね、ホントすみません。
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