Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者   作:ロイヤルかに玉

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初めまして、ロイヤルかに玉と申します。
リアルで少しだけ暇な時間ができたので、少し前から考えていた作品を投稿しようと思い、投稿させていただきました。タグにある通り不定期更新なので、その辺はどうか業容赦ください。

以前、小説投稿していましたが投稿経験があるとは思えないほどの駄作なのでご注意ください。
誤字脱字、変な日本語の指摘、ご感想やアドバイスなど大歓迎なのでどうぞよろしくお願いします。





どうせ独りで任務だろ?分かってんだよ、んなことは!

「半年か……」

 

大きなスクリーンに映された今日の日付と時間を見て呟く。

 

俺がこの世界で戦い、生き残る力……神機に適合し、半年が経った。

成り行きで神機使いとなり、訓練を積み実戦へ出て、なんとか生きてきた。

 

 

 

 

まあ……神機壊れちゃったんですけどね! 極東が誇る超技術者、楠リッカさんでも修復不可能なぐらいに。

 

 

 

つまり、俺は最早戦う事すらできない役立たずと言う訳だ。悲しいなぁ……。

まあ、神機が無くたって偵察くらいはできるし、神機使いであるが故に、強化された高い身体能力で色々とできる。

偵察任務の他に、外部居住区に食糧の配給に行ったり、警備や物品の管理など、フェンリル職員の仕事をこなしている。給料が少しアレだが、元々任務の報酬が命がけの仕事にも関わらず釣り合っていないので今更だろう。(個人の感覚)

 

「さて、もう夕方だしそろそろ休むかな。残業なんてクソ食らえ」

 

今日は朝から食糧の配給に外部居住区を回り、疲れた。配給であるが故に量が少ないだの文句付けてくる奴をなんとか説得したりと中々にハードである。

 

 

あーあ、この前いきなり「今度新人が入るから」って部屋追い出されたし、従業員用の部屋に空きが無い。

上に住居のことで相談を持ちかけたが、少し待ての一点張り。

この広いエントランスが今の部屋でもある。

 

俺の部屋であり皆の部屋である。

 

おい、プライベートもクソもあったもんじゃないな。

フェンリルよ、君たちは大事な社員が「良好な環境の中で生活を営む権利」を脅かされているというのに何故動かないんだい? ホントに君たちはブラックだね。

 

 

 

欠伸をしながらエントランスの階段を下りた。

 

「あ、済みません。ユウさん、緊急の偵察任務なんですけど、お願いできますか?」

 

階段を下りると同時に横から声がかかる。

受付嬢のヒバリちゃんだ。

 

「あー、俺にできる事ならいいけど……」

 

マジかぁ……こりゃ残業だな。嫌だなぁ…。

どうせ一人孤独に任務だろ? 分かってんだよ、んな事は!

 

なんかさぁ……尽く俺が偵察任務行くときとか、警備するときとか何故かいつも俺1人なんだよね。偵察任務が1人ならまだ分かるよ? 神機使いは常に不足してるからさ。

いや俺神機持ってないけど。

でも警備するときに1人ってどういう事やねん。警備に人員割けないっておかしいだろ。そんな事してるからアラガミに防壁突破されたり、頭の狂った連中が強盗に入ったりするんだぞ? 人手があれば、せめてもの足止めや応援を呼んで時間を稼ぐとかできるんだよ?

何考えてんの? 

 

 

 

まあ、緊急なら仕方ないか。誰かがやんなきゃいけないしな……。でも残業手当位ついてくれたって罰当たらないんじゃね?

 

「任務の内容ですが、市街地での調査です。基本は平常通りの偵察任務で構いませんが、中型種や大型種のアラガミが居た場合はすぐに報告をして欲しいそうです。また、小型アラガミが多数いる場合でも同様に報告をお願いします」

「ふーむ、妙な任務だな。ま、了解した。至急急行する」

「送りのヘリを準備いたしますね」

「それは助かる。出発時間は?」

「ユウさんの準備ができ次第、出発できるとのことです。ヘリの番号4番です。ゲートの先で既に待機されているので準備ができ次第向かってください」

「了解した」

 

カウンターを離れ、エントランスの隅に大量の物資が入った箱を並べて、床に座っている人物の元へ向かう。

 

「よう、おっさん」

「おう、兄ちゃん。これから出発かい?」

 

男は被っている帽子取り、頭を掻きながら言葉を紡ぐ。財布を取り出して、fcを取り出して手渡す。

 

「いつものを5個頼む」

「あいよ」

 

おっさんが錠剤を5つ手渡してきた。

 

「いつも回復錠買っていくが、兄ちゃんが大きな傷作って帰って来るところなんて見たことないぜ? 溜め込んでいるんじゃないのか?」

「軽い傷でも放置しておくと後々厄介な事になりかねないからな。念の為さ。壊死して切除なんて冗談じゃないからな」

 

神機使いである以上、傷の治りは常人の時よりも早いが、きっと癖になっているのだろう。

そもそもな話、こんな錠剤を1つ飲むだけで傷口が塞がるなんてとんでもない話だ。

多少怪我したって錠剤飲めば忽ち傷口は塞がる。本来なら薬塗って包帯巻いて安静にするもんだ。明らかに動くのすら辛そうな傷を受けても戦いを継続できる薬なんて、世紀の大発明だ。

 

 

「じゃ、行くか」

 

おっさんに手を振り、出撃ゲートへ。

 

ゲートをくぐり、ヘリポートへ向かう。

ヘリポートには既に発進準備を完了しているヘリが一機ある。念のため、番号を確認すると、ヒバリちゃんの言う通り4と数字が刻まれていた。

 

ヘリの乗り込み、操縦者に声を掛ける。

このパイロットとはそれなりの付き合いをしているので、砕けた口調で話せる。

尤も、彼がフレンドリーなのもあるだろうが。

 

「こんな時間にすまんな。助かるぜ」

「ああ、気にするな。疲れているのは皆同じさ」

 

パイロットは少し笑みを零しながら答える。

 

「離陸するぞ」

 

そう言い、ヘリは宙へ浮く。そしてある程度の高度に到達すると、ヘリは全方へ進みだした。

 

 

目的地へ到着すると、俺はそのままヘリから飛び降りた。ヘリはこのまま支部まで戻ってもらい、帰りは徒歩だ。これでも足には自信がある。神機使いになった事で、更に足には自信が付いた。まあ、ヘリとか空飛ぶものには敵わないが連続でステップをすれば車と並走ぐらいはできる。

 

ヘリを見送り、通信機を起動する。

 

 

「こちらユウ。目的地へ到着した。偵察を開始する」

『了解。先程連絡した通り、大型や中型、小型が多数徘徊している場合は早急に連絡をお願いします』

「了解」

 

通信を切り、通信機をポケットにしまう。

建物の壁を背に、音をたてないように移動する。

 

時折、上空や後ろも確認しながら移動し、大きな建物を見つけ、素早く大きな建物の扉へ移動する。静かに扉を開け、中に入ってまた静かに閉める。

 

かなり老朽化しているな。崩れない事を祈るか。

建物の屋上など、高いところから見下ろして周囲を把握するのが一番なんだが、ザイゴートの存在を危惧すると、どうしてもできない。それなら高層の建物の窓からの偵察が安定する。

まあ、窓から見るという事は全体を把握できなくなるので短所でもあるが。アラガミと戦う手段を持たない俺ではアラガミに捕捉されるのはまずい。

それがザイゴートなら他のアラガミを呼ばれ、尚更だ。

 

 

階段を上り、それなり階層まで来たので窓から市街地を覗き込む。

 

 

「グボロか。市街地のこのエリアじゃあまり見かけないな。他には、コクーンメイデン2匹か」

 

別の窓から覗きこむとコクーンメイデンやオウガテイルが数匹見える。

 

コクーンメイデンの数が少し多いな、そしてグボロ……。

 

通信機を起動する。

 

「こちらユウ、市街地エリアA-2、D地点にグボロ・グボロ1体にコクーンメイデンを7体を確認した。コクーンメイデンは同エリアに群生している。数が居れば厄介だ。対処を推奨する」

「了解、ユウさんはそのまま偵察を続けてください」

「了解。何かあればまた連絡する――っ!」

 

 

急いで通信を切り、物陰に隠れる。

 

人のものではない足音が聞こえた。

オウガテイルあたりだろう。あの老朽化した階段を上って来たとは考えにくい。

何処かにそれなりの穴が開いており、ジャンプして昇ってきたといったところか。

 

足音がだんだん大きくなってくる。息を潜める。

 

 

「グウウゥ……」

 

吐息を漏らしながらオウガテイルが姿を現した。

オウガテイルは辺りを見回すと、壁に喰らいついた。

大きな音を立てながら飯を食ってる今がチャンスか、このまま隠れていても見つかる可能性があるし、足早に去るぜ。

 

そう思い、抜き足で足早にその場を離れようとしたら、コンクリートが噛み砕かれる音の他に足音が聞こえた。急いで瓦礫の陰に隠れる。

ちっ、もう1体か。こいつも飯タイムに入ってくれればいいんだが……。

しかし、願いとは裏腹にオウガテイルはあたりを見回しながら近くを徘徊する。

 

くそっ、仕方ねえか。

ポーチから回復錠を数錠取り出し、コンクリートを食っているオウガテイルに投げつける。

 

回復錠をぶつけられたオウガテイルは振り向いてもう1匹のオウガテイルに吠える。

吠えられたオウガテイルも吠え返した。

2匹のオウガテイルが、互いに気を取られている隙に、足早にその場から離れた。

 

 

 

「ッ!」

 

下の階層へ降りようと階段に足を掛けると、老朽化した階段が崩れた。

咄嗟ではあるが、空中で体勢を整え、静かに着地する。

まずい、オウガテイルに気づかれたか? だとしたら、こっちに来るのは時間の問題だ。本当に気づかれたかは分からないが、気づかれたと仮定しよう。常に最悪の状況と仮定し、行動するのは良い事だ。仮定するのはこちらの自由だ。

 

辺りを見回すと、壁に穴が開いており外に繋がっている。ザイゴートやサリエル辺りが食い荒らして開けたのだろう。兎に角、利用させてもらおう。

穴から周囲にアラガミが居ないか確認してから飛び降りた。

 

地面に着地すると、すぐに物陰に隠れる。

辺りは既に暗くなっており、西の空がほんのり赤い。

 

 

周囲の確認をしつつ、通信機を起動する。

 

「こちらユウ。今のところ特に異常はない。このまま任務開始地点へ戻りつつ偵察をし、帰還する」

『了解しました。お気をつけて』

 

 

 

開始地点へ戻る途中、食い荒らされたビルにコンゴウの姿を捉えた。

コンゴウは群れを成すアラガミだ。もしかしたら仲間があのビルに潜んでいる可能性がある。

 

ビルに近づき、中に入る。

抜き足で移動しつつ、コンゴウを探す。

耳を澄ませば足音が聞こえてくるので近くには居るようだ。

 

「…………よし」

 

その場で地面を思い切り踏みつけて大きな音を出す。そしてすぐに瓦礫の陰に隠れる。

すぐにドタドタと大きな足音を出しながらコンゴウがやってくる。

 

コンゴウは辺りを見回し、すぐに移動していった。

 

 

どうやら、コンゴウは1体しかいないようだ。

 

再び通信機を起動する。

 

「こちらユウ。市街地A-2のB地点にてコンゴウを1匹補足した」

「了解。その他に異常はありませんか?」

「特にないな。もうじき、任務開始地点へ到着する」

「分かりました。何かあればまた連絡をお願いします」

 

通信を切り急ぎ足で任務開始地点へ戻った。

 

 

このまま何事も無く戻れれば良いが……。油断していたら上からガブッとやられてしまう。いや、ヴァジュラ辺りならペチャンコにされてガブッとされるだろう。結局喰われるのは変わらないが。

 

 

「こちらユウ、これより帰投する」

『了解しました。徒歩で帰投とのことですが……今現在、別の現場の迎えのヘリが向かっているので合流して相乗りしてください』

「お、丁度いいな。了解した」

『そのまま北東に移動すると、丁度ヘリの帰投ルートとなります。ヘリのパイロットには私から連絡をしておきますね』

「助かる。世話になってばかりだな」

『いえ、これも私の仕事の1つですから』

 

それだけ言い、通信は切れた。

 

 

 

ヒバリちゃんが言った通り、北東へ走りつつ時折上空を確認しながら移動するか。

 

 

 

数十分後、ヒバリちゃんが言っていたヘリが来た。ヘリのパイロットから無線が入った。

 

『既に連絡は受けております。このまま下降します』

「いや、ある程度の高さまで下降してもらえば十分だ」

 

その場で跳躍してヘリに掴まる。

そしてドアを開けて、中に入る。

 

「済まない、手間を取らせた」

「いえいえ」

 

ヘリの中には白衣を着た男女が数名乗っていた。研究者か……。実地で実験でもしたのか……。でも護衛が居ないし妙だな。まあ、俺みたいに神機使いの仕事ができない役立たずには関係ない事だ。別に話す事も無いしな。

 

 

 

 

 

「あれは……!」

「……あん?」

 

パイロットが驚いたような声を上げた。

ヘリの窓から、アラガミ装甲壁の向こう側で煙が上がっているのが見えた。

まさか、アラガミが防壁を……。ちっ、先に防衛班が到着してくれていればいいが……。

 

 

「済まないが、あの辺りを通ってくれないか? 飛び降りてそのまま向かう。後はこのまま帰投してくれ」

 

煙が上がっている所を指さしながらパイロットに言う。パイロットも同乗している科学者たちもどよめきの声を上げる。

 

「し、しかしあなたは今神機を……」

「そんな事言ってる場合じゃねえ。囮ぐらいにはなれる。撃退するつもりなんてねぇよ」

「わ、分かりました」

 

パイロットは渋々頷いた。

ヘリがある程度、煙が上がっている地点に近づく。

 

あまりギリギリまで近寄るのは危険だな。ここまでで良いか。

 

「十分だ。俺が降りたらすぐに此処から離脱してアナグラへ帰還してくれ。送迎感謝する」

 

パイロットにそれだけ言い、ドアを開けて飛び降りた。

 

 

 




ユウ (16?)

2070年フェンリル極東支部入隊
出生〇月4日 身長165cm

姓、出身地、以前の記録などは無く経歴は不明。
神機との適合率は低く、その他の成績なども平均以下であるが、戦闘に関してはそれなりのセンスを持ち、入隊一か月で実戦に出れるようになった。
入隊から三か月後、想定外のアラガミとの戦闘で神機を破損し、神機使いとしての仕事は不可能になった。現在はフェンリル職員がこなす様々な雑務を受けている。
破損された神機は現在、楠リッカの手によって護身程度のナイフに改造された。

運の悪さか、偵察任務や警備など危険度のある仕事をする際には何故か1人である。


容姿
黒髪・黒目の如何にも日本人。
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