Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者   作:ロイヤルかに玉

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ユウ「悲報 ワイ、身バレする」


(˘ω˘)スヤァ…………

 集落へ戻るとユウナが目を覚ましており出迎えてくれた。

 

「アリサ! ユウ!」

「リーダー! 目覚めたんですね。怪我はどうですか?」

「うん、休めば大丈夫そう。2人とも、助けてくれてありがとう」

 

 ユウナに微笑みながら礼を言われるが助けてもらったのはこっちなのでむしろ礼を言うのは俺の方なんだがな。

 よくよく考えれば2人を助けようと思って乱入したけど結果的に逆に助けられたからもしかして俺ってめっちゃかっこ悪いのでは……。

 

「いや、助けられたのは俺の方さ。礼を言うのはこっちさ」

 

 自虐しながらもちゃんと礼を言う。

 人間関係とはこういう小さなことから出来上がっていくのだ。

 

 

「さて、ユウナも目覚めたし当初の予定通りアナグラへ戻るとしよう。悪いが連絡とってくれねえか? 俺の無線、無線としての職務を放棄していてな」

 

 役に立たない無線を見せながら2人に頼むと快諾してくれる。

 

 ユウナがアナグラと連絡を取り、しばらくすると無線を切った。

 

「明日近くにヘリで来てくれるってさ。詳しい降下地点は後で送ってくれるからとりあえず此処を発つ準備を先にしておこう」

「了解です」

「OKだ」

 

 ユウナとアリサは神機と携行品をまとめ、俺も携行品を整理する。

 

 準備が出来ると俺たちは特にやることがない。せいぜい大型や中型アラガミが森に入ってきたら返り討ちにする準備といったところか。

 

「やべぇ……暇だ。暇疲れするぞ」

「暇なのは同意しますけど、口に出さないでください……」

「アリサも暇って口に出してるよ。あ、私も口にしちゃった」

 

おいおい、こういう時こそコウタの出番だろう。なんであいつ肝心な時に居ないんだ。

まったくタツミと言いコウタと言い……アナグラの男連中は肝心な時に居ないから困る。

 

 

「2人とも」

「(。´・ω・)ん?」

「どうしましたリーダー?」

「恋バナでもしない?」

「ええっ⁉ り、リーダー⁉」

 

 俺も開いた口が塞がらない。まさかあまりにも暇でとうとうおかしくなったのか……?

 ユウナらしからぬ発言だ。

 しかし、恋バナか……。このメンバーまだ知り合って半年もたってないんだぞ……? ましてや我々人類のために戦う身。恋愛どころではないからまともな話ができるのだろうか? 

 というか恋バナって同性同士でやるもんじゃないのか……?

 

「ふふっ、冗談。ちょっと唐突な発言すれば暇つぶしになるかなって」

「も、もう……リーダーは真面目なのかユニークなのかわかりません」

 

 

「すみません、ユウさん。ちょっと手を貸してもらいたいんですが……」

 

 集落の人間に声を掛けられて俺はよし来たと心の中でガッツポーズを決める。

 

「ああ、丁度退屈してたところだ」

「それなら私も手伝うよ」

「はい、世話になってばかりですから恩を返さないと」

 

 

 

 集落の人間に案内されたのは仮設住宅が集まっているエリアだ。

 稀にだが難民が森へ逃げてきて迎え入れたりしているうちにそれなりの人数になって、仮設住宅を建てるとのこと。資材はまだ余っているが、男連中は森の外へ資材を回収しに行ったりで男手が足りずに力仕事が辛いらしい。流石に資材回収から建設までやったら過労で倒れる可能性もある。怪我人だって居るし、無理やり働かせるわけにもいかない。

 

「力仕事ならお安い御用さ」

 

 そう言って俺は早速作業に取り掛かる。

 数週間だが一応建設業の経験はあるので段取りさえ上手くすればスムーズに作業はできる。

 ユウナとアリサも手際が良いので当初の予定よりも作業が進んだ。

 日も沈んで作業は終わり、食事をとってしばらく寛いだ。

 

「お疲れ様です。おかげで助かりました」

「いや、気にするな」

「汗もかいたでしょうからお風呂の準備をするのでゆっくりしてください」

「ああ、何から何まで悪いな。先に2人を入れてやってくれ。なんだかんだ疲れてな。風呂入るのもちょいと大儀なんだ」

 

 それだけ言って外へ出て屋根へあがって寝転がる。

 

 

 ああ、寝転がる瞬間が一番幸せだわ。これで晴天で草原だったら最高だった。まあ、最も草原で日向ぼっこなんてもうできないだろうが……。

しかし星空の下で寝転がるのも中々新鮮味があって良いものだ。

 

 

「…………ねむいな。ちょっと一服」

 

 

 

(˘ω˘)スヤァ…………

 

 

 

 

 

『だれか、たすけて』

 

 

 

『だれか、助けて。お願い』

 

 

間違いない。誰かが助けを求めている。でも誰だ? 誰が呼んでいるんだ?

 

 

 

 

 

「ユウ?」

 

「ん⁉」

 

ハッとすると、ユウナが俺の顔を覗き込んでいた。

 

「ああ、寝てたか……」

「私たちお風呂あがったから今度はユウの番だよ?」

「そうか、ああ起き上がるの怠……」

 

起き上がってふと思い、ユウナに聞いてみた。

 

「なあ、さっきに誰も助けてとか叫んでないよな?」

「え? 誰も言ってないけど……」

「そうか、助けてって聞こえる夢でも見たか……」

「…………もしかしたら、何処か遠いところで言ってるかもしれないよ」

「遠く?」

「うん。根拠はないけど、そんな気がする」

 

ユウナが空を見上げながら言葉を紡いだ。

 

 

 

 

 翌朝、すぐにヘリの降下地点へ向かい、丁度来たヘリに乗ってアナグラへ戻った。

 

 アナグラに戻ると、2人と別れて一旦任務の経過報告をした。報告書に関しては後日で良いと言われたが、声のする場所を割り出したらすぐに向かわなければいけない故に途中報告を出すと提案して報告書を書き上げる。

 

「こちらが報告書になります。任務中の報告では軽く振れたことに関しても詳細を記入しています」

 

 雨宮教官に書類を手渡す。

 

「よろしい。出発は明日にしろ。今日はもう休め。ご苦労だったな」

「了解。失礼いたします」

 

 雨宮教官の執務室を後にして、エレベーターへ向かう。

 

 

 屋上へ行って声を聴いて場所を割り出そうかと考えた。

 扉が開き、エレベーターを降りて野外への扉へ向かう。近づけば自動で開き扉を潜ると、それなりに強い風が吹きつけてきた。

 

 あまり屋上には来ないがなんだかんだ此処から見える夕日は絶景だ。

 

 しかし、意外なことに先客がいた。それもまた以外な人物だ。

 

 シックザール支部長が静かに夕日を眺めていた。

 

 人目に付くところで気配察知するのに座っていたら頭のおかしい人間に見られても可笑しくはない。どっかに隠れて支部長が戻るのを待つべきか……。

 

 そんなことを考えた直後に支部長は俺の方へ振り返った。

 

 まるで諦めたかのような冷たい目に見えたが、顔は決意を固めた人間の顔をしている。

 何度か同じような顔を見た。敵にも味方にも決意を固めた顔をしている奴がいた。

 そして味方ならとても頼もしく、敵であったらとても厄介だったと鮮明に覚えている。

 

 

「ユウ君……と言ったかね? 此処に来たのも何か縁か……。少し話はどうだい? なに、息抜きに話し相手が欲しくてね」

 

 支部長から話だと……? 一体何の話だ。まさか上乳、横乳、下乳の3連コンボに関してか? 

 ぶっちゃけ俺は特にこの人とも関わりは無いし、この人も貴重な神機をぶっ壊した俺の事に関しては興味が無いもんだと思っていた。

 断ってさっさとあの声の居所を探りたいが……。

 

 

「構いません」

 

 仕方なく了承し、支部長の隣へ。

 

 

「そう言えば長期の調査に出ていると聞いたよ。それで聞きたいことがあったのだが、特別なアラガミを見ていないかね?」

「特別なアラガミ……?」

「君は感受性が人よりも強いと聞いている。他のアラガミとは違うものを感じとった事は無いかね?」

「いえ、特には……」

 

 特別と言ってもどんな感じの気配なのかが分からないから判断できない。人には人それぞれの、アラガミだって種類や個体によってある程度変わってくる。

 

「そうか。なら良いのだが……。あと、君には聞きたいことがあったんだ」

 

 

 支部長が真面目な顔をして俺を見る。

 

 

 

「君はどうやって此処へ来た? そして何故、留まっているのかね?」

 

「………………」

 

 こちらの目を見つめて断言した。この人気づいているのか……?

「たまっている」じゃないぞ? 「とどまっている」だからな?

確かにアナグラから程近い外部居住区の富裕層が集まっているエリアにはちょっとそう言う感じのお店もあって大変興味があるがな。

 

 しかし留まるね……。少なくとも生きてる人間に使う言葉じゃあない。

 俺が何者なのか知っているのか……? これが『何処から来た』なら分かるが……『どうやって此処へ来た』だから……恐らく俺の出身に関しては既に分かっている。

 

 いやまさか、あの戦いの事なんてノルンにすら載っていないぞ? 

 ただ、「世界を巻き込む程の大きな戦いがあった」としか記載されていない。

 そして俺自身も有名人じゃない。

 俺は只の無銘の兵士だ。墓も無ければ、慰霊碑に名前を刻まれている訳でもない。

 ただ「勇敢な戦士達、此処に眠る」という感じで略されているに違いない。

 あの戦いはそんな戦いだった。孤独な一兵卒は名前すらも忘れ去られる。

 

「俺がどういった人間なのか、どうやって知ったんですか?」

「なに……簡単な事さ。君の眼は我々の知らない戦場を見ている事を物語っていた。それに君が此処へ来たとき、この荒廃した世では珍しい格好と珍しい物を持っていた。」

 

 

 

「今の時代、軍刀なんて使う者は居ない。ましてや折れた刀だ。ただ、あの刀には随分血を吸わせたように見受けられるがね」

 

 納得できる理由を述べられ、俺は黙るしか出来なかった。

 確かに、折れた軍刀なんぞその辺には落ちてないからな。

 

「6年程前、旧ロシア地区で連合軍がある作戦を行ってね。私はその作戦を『旧人類最後の足掻き』と称した」

「6年前……。確か融合炉を自爆させてアラガミを殲滅する作戦でしたか」

「そう。そして半年前、君が此処へ来た。まさか、本当の意味での旧人類が現れるとわね。私自身も元は技術屋だ。時を越える方法があるのなら興味は沸くさ」

 

勘が良いと言うべきか……。まさかここまで見破られるとは思わなかった。

 

「成程。まず、「どうやって来たか」ですが、俺にもわかりません。死にかけたらアラガミの目の前に居ましたよ。「なぜ留まっているか」の返答ですが、俺の質問に答えてくれるなら答えますよ。そして俺からの質問です。エイジス島には何が居るんですか?」

「何が居る……とは?」

「俺はあなたの言う通り感受性が人より特殊、いや……戦いを重ね己を研鑽し続けた結果ですがね。偶に感じ取るんですよ。エイジス島からとんでもないモノを」

「ふっ、何が「あるか」ではなく、「居る」……か。君も予測はできているのではないかね?

そしてそれがどんなものなのか」

 

 普通の奴なら『何故ばれたのだ?』と言う顔をするが、支部長の顔を違った。この人は、覚悟ができている。目的の為なら手段も辞さない。そして何より、俺を見つめるあの眼だ。

 

 同じ様な眼を何度も見ている。だから、分かる。この男は最後をどのように迎えるか…………。

 

 これがこの人の……人間性か。だが、悲しいな。この人の歩く道は孤独だ。

 だが、それも承知の上なのだろう。

 素晴らしい。実にすばらしい。権力を手にしても堕落せずに決意を押し通す気概。人であればだれもが欲する権力という力でさえ、彼はただの手段としか見ていない。

 かつての権力者共や尻尾巻いてとんずらする上官に見習って欲しいものだ。

 

「贅沢だと自覚はありますが、あなたの様な尊敬できる者の下に付きたかった」

 

 この人は俺達にとっては敵かもしれない。だが、こちらも敬意を払おう。

 

「何故留まっているのか、ただ単純ですよ。来ちまった以上、やるだけやるしかないんですよ。例え勝ち目が見えなくてもね」

「成程、ただ単純にその理由か。君だからこその覚悟、私は君を評価するよ。そして哀れに思う。そのような覚悟と考えがその年で出来てしまう時代に生まれた事を」

 

 支部長は納得したように頷き、褒め言葉と憐れみを送ってきた。

 

「君にはある質問をしてみたい」

「どんな質問ですか?」

「荒れ狂う海で船が沈み、海に君は放り出されたとしよう」

「俺船酔いがひどいんですけど」

 

 俺の言葉を見事にスルーして支部長は言葉を続ける。

 

「君は幸運にも漂っていた板にしがみついていると、君と同じように海へ放り出された者がいる。2人が板に掴まれば間違いなく板は沈む。君はどうする?」

「ああ、そういう事ですか。俺は泳げるんで、泳げない奴に譲って後は泳いで帰りますけど」

 

 嵐の海を泳いで帰る程度なら俺達の十八番、根性論が火を噴くぜ!

 

「世間ではそれを蛮勇と言うのだよ」

 

 これは中々鋭いツッコミが帰ってきた。

 

「蛮勇だって極めりゃ下手な勇気よりかはマシですよ。泳いで帰るつもりですが、もし戦意が滾ったら海に挑んで深く潜るかもしれません。自然災害なんて歯向かってなんぼっすよ」

「フッ、そうか。それも1つの選択か。時間を取らせて済まなかったね」

「いえいえ、俺も有意義な時間でしたよ。手助けはできませんが、応援はしますよ」

 

 

 支部長は俺に背を向けて歩き出し、扉が閉まる音を確認して俺は座り込んで意識を集中させて声を聴く。

 

『助けて』

 

 まだ生きてるな。

 

『誰か、助けて』

 

 方向は分かった。後は距離だ。

 

『お願い。助けて』

 

 より強く助けを求めているな。それなら探しやすくなって手間が省ける。

 

 

『イヤだ。やめて。誰か。神様』

 

 こんなご時世に神に祈るとは……相当追い詰められているようだ。

 ますます助けてやらねえと目覚めが悪いな。

 

『助けて!』

 

「ッ!」

 

 目を見開き、助けを求める声の方向を向く。

 

 この方角は……海の向こうか。

 

 仕方ねえ。此処なら安全だし、試してみるか。

 

 万物をも見切る神の御業、真の見切の極意。

 神の御業と称されるなら、神様に助けを求める信仰深い信者を救わねえといけねえだろう?

 

 精神を今まで以上に研ぎ澄まし、意識を集中させる。

 

『助けてッ!』

 

 より強く、その声を聴いた瞬間、俺の視界には様々な光景が映った。

 

 

 

 灰だ。すべてが灰に変えられている。

 そして下衆な笑みを浮かべ、堕落を極め、あまりに醜い人と言う名の生き物。

 鉄格子とアラガミにとても近い人の気配。

 

 何より驚いたのは、アラガミに近い存在の両手首に嵌められた手錠の様な腕輪だ。

 そしてその手は……とても小さかった。間違いなく、子どもの手だった。

 俺とは血が繋がっていない弟や妹の手より小さい手だった。

 

 とうとう子どもにさえ強いるか。絶望との終わり無き戦いを。

 

 未来は過去があるからこそだ。これも過去を駆けた俺の不始末か。

 

 だが、これが何処なのかは分からない。せめて、手がかりが欲しい。

 声の主は……あの子だ。この子だけは何が何でも助けなければいけない。

 

 

 

『ユ……ウ』

 

 

 今の声……いや、そんな筈が無い。何故戦場で散った彼らの声が俺の耳に聞こえる?

 しかし幻聴や聞き間違いで済まない程はっきりと、確かに何度も聞いた声が聞こえた。

 

 

『ユウ、此処だ。此処から助けに行け』

 

『少年、奴らを許すな』

 

『若者よ、頼む……せめて1人でも多く。我々は……1人でも多く殺した』

 

『でも、君は1人でも多く救ってくれ』

 

『此処だ。我々の欠片と魂が眠る、この場所だ』

 

『我々の最期の地だ。硫黄香る、戦場だ』

 

『今度は殺しに行くのではない。救う為に行くのだ』

 

 

 

 

         頼んだぞ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!」

 

 様々な光景の後に聞こえた、覚えのある声……。

 気高く勇敢で最後まで強者として戦った戦士たちの……戦友達の声だ。

 

「ハァ……ハア……」

 

 やはり凄まじい疲労が襲ってきた。実際に戦闘では使えないだろうと思っていたが、何も戦闘で役に立たないから役立たずではない。

 おかげで救えそうだし、彼らの願いも果たせそうだ。

 

「ああ、分かっている。俺に任せろ」

 

 決意を彼らへ知らせるように、天に言葉を紡ぐ。

 

 




思ったけどあの世界観で風俗とかってあるのか……?

でも風俗が近くにあっても多分こうなる。


「風俗生きたいんゴォォォ!」→賢者タイム突入→「ふう、別にもうええわ」
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