Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者 作:ロイヤルかに玉
呼ばれてきたぜ。かつての戦場にな。
懐かしいな。つい昨日の事のように思い出す。
敬愛する上官が「突撃ィ!」と号令と共に全員で雄たけびを上げてこの荒れ果てた大地を駆けたものだ。
硫黄香るこの島に、助けを求める声の手掛かりがある筈だ。
手がかりがあるのはいいんだが、帰ったら雨宮教官に何と説明したものか……。ディアウス・ピターの手がかりがこの島にあるかもしれないとホラを吹いてこの島に来たのだが……こんな島にあんな怪物が居る筈もないんだ。なんの成果もなく帰ったら『貴様ふざけるな』と鉄槌が振り下ろされる事は明白だ。
考えても仕方がないので今はやるべきことをやろう。
しかし、この島も中々の広さだ。一体何処から調べればいいのだろうか……。
今までの調査の具合から何かあるとすれば、かつて俺達が作戦の為に掘った洞窟だけだ。万が一崩落すれば1人では一発アウトなので入らなかったが、他に手がかりがあるとすれば、洞窟の中だろう。
「仕方ねえよな。頼むから崩れるなよ?」
もし崩れたら神よ、お前を殺す(純粋にして確かな殺意)
意を決して洞窟の中に入り、ライターを使って周囲を照らして暗い道を照らして奥へ進む。
暫く奥へ進み、後ろを振りかえれば暗闇の中、外の光は最早見えなかった。更に奥へ進むと風が前から微かに吹いた。
ライターの火が照らす暗闇の遥か先に小さな光が見える。
その光を目指して足元に気を付けながら歩いていくと、形が崩れていて断定はできないが手と思わしき骨が視界に入った。指と思わしき数本の骨が拳を握るかのように曲がっている。
この骨だった戦士は最後まで戦おうとしたのだろう。
骨を拾い上げて壁の傍に置いて、握られた手の骨を解く。
「…………戦争は終わったぞ。ま、現在進行形で別の脅威と生存競争中だが、俺らの出番は無しだ。ゆっくり休め」
それだけ言って骨に拝み、その先へ行く。
『じゃあ、休ませて貰うよ。呼びに来てくれてありがとな』
気さくな声が聞こえた気がして、俺は手を軽く上げて歩き続ける。
やっと光の元までたどり着くと、光は宙に浮く小さな結晶が放っていた輝きだった。
『お願い…………誰か』
「大当たりか、待ってな。今行く」
頭に響く声を聞き、この結晶から発されていたものと確信した。
そしてゆっくり結晶に触れた。
結晶が突然、眩しい光を放ち咄嗟に目を腕で覆って隠す。
『名も無き兵よ、灰に気をつけろ』
『如何に荒ぶる神の力を得た君とて、長く灰に触れれば身体は朽ち果てる』
『だから、我々が君を包んで盾になろう』
『ただし、長くはもたん。急ぐんだ、ユウ』
聞き覚えのある4人の声が聞こえた時、体が光に包まれると暖かさを感じた。
「………ッ? ……ん!?」
腕で顔を覆っていたらごく自然な風を感じて腕を退けて目を開ければ、そこには異様な市街地だった。
「何だ此処は……」
アナグラ近辺の市街地エリアとは全く違うな。
あの一番高い建物……教会……か?
しかし、気がかりなのは周囲の建物に付着しているマグマみたいな物体だ。
近くまで寄ってよく観察すると、マグマではなくアメーバ状の何かだ。
溶かしているではなく、喰っている。つまりこれもオラクル細胞と言う事か……。
しかし、こんな物なんて見た事も聞いた事も無いぞ?
こんな物があるんだったら榊博士が知らない筈が無い。新人が受ける講義でこんなものを見た覚えはない。コウタじゃあるまいし寝ていた訳でもない。
意識を集中すれば、周囲からアラガミの気配だって感じ取れる。
だが、感じ取った気配の中に異質なものが混じっていた。
感覚的にはソーマから感じられるものに近いか……。場所は……あの一番大きい教会の様な建物だな。
向かってみると、教会でなく礼拝堂だ。資料でしか見たことない故、実物を見るのは初めてだ。やはり、此処は極東では無いのか……。こんな立派な礼拝堂があったらノルンに何から記載してある筈だが、そんな資料は見たことない。
階段を上って礼拝堂へ入ると、隅っこに小さな子供が苦しそうに肩で息をして蹲っていた。
音を立てないようにゆっくり近づくと灰色の頭髪にボロいの布キレ一枚だけを羽織っている。
髪の長さから女の子だろうか?
どちらにしろ、こんな子どもをこんな所で1人にして置く訳にはいかない。
「なあ、君」
声を掛けると、女の子は体を震わせてこちらを見た。
「ヒッ……!?」
女の子が俺を見た瞬間、怯えた。
ちょっと傷ついたが場所が場所だ。怯えるのは仕方な――
「来ないで……!」
女の子は後ろに隠していたのか身の丈ほどある神機の様な物を俺に向けた。
そして、女の子に両手首には一対の腕輪が装着されていた。
「ッ!」
あの両手首の腕輪は……。あの時視えた……!
声も助けを求めていたあの声にそっくりだ。それじゃあ、この子が……。
「いやァ!」
女の子が一気に距離を詰めてきて刃を振った。
「ヌおッ!?」
咄嗟にバックステップで回避する。
おいおい、なんだこの子⁉ こんな子供が凄まじい速度で接近してきたどころか武器の振りも鋭い。
突然の出来事に困惑していると、女の子はすぐに追撃を出してくる。
「ちょっと、待ってくれ! 俺は……」
「やだ! やだ! やめて! お願い!」
涙を尻目に溜め、半狂乱になって神機をひたすら振り回してくる。対アラガミ用ナイフに手を掛けたが思い止まる、ここで武器を見せればこの子は更にパニックになるかもしれないと考えが過って回避に専念する。
『シャッ!』
横の大穴から大きな蜘蛛のようなアラガミが女の子に飛び掛かかろうとした。
「ッ⁉ 伏せろ!」
斬られるのを覚悟して女の子に飛び込んでそのまま共に床へ転がる。
蜘蛛の攻撃は寸の所で避けられたようだ。
『キシャッ!』
蜘蛛が赤く光る球体をこちらに飛ばしてきた。
横の女の子が飛び出し、刃で球体を切り捨てて一気に蜘蛛まで距離を詰めて一閃して一撃で蜘蛛を真っ二つにした。
「ハア……ハア……ッ! うぅ……ハア……」
苦しそうに呼吸を繰り返すのが痛ましい。
「おい、大丈夫――」
女の子が俺に向かって武器を振ってきた。
「ッ!」
攻撃を躱して女の子に抱き着く。
「大丈夫だ、俺は何もしない! もう怖くないから大丈夫だ」
そう言いながら、女の子の頭を優しく撫でてしっかり抱き寄せる。
女の子は武器の形を変え、小さな刃を俺の脇腹に突き刺してきた。
「ッ……! 大丈夫……俺は敵じゃない。落ち着いて」
「…………ッ!」
女の子が武器から手を離すと、武器は光の粒になって消えた。
ふう、めっちゃ痛ぇ……。でも……なんとかなったか。全く災難だぜ……。日頃の行いが悪いからこうなるのだろうか……。
安堵するが脇腹の痛みは引く訳ではない。
「うぁ……あぁ……ウァ……ふえぇ……グスっ……うわああああああ!」
女の子は我慢が解けたのか大声で泣いた。
や、やべえよ! この年頃の女の子ってどうすれば泣き止むんだ⁉ 俺子育ての経験なんてねえぞ⁉
クソ、修行や喧嘩に明け暮れたガキ大将だった自分が憎い。ちゃんと学校に通うべきだった……!
女だったらこういう時母性本能が云々でなんとかできるのだろうか……。しかし俺は男だ。股間にはちゃんと可愛げのないゾウさんがぶら下がっている。
そういや、ガキの頃だったか……山の中散歩してたら変な爺に金の玉を貰ったな。
爺『ほう、こんなところに一人で来たのか坊主。よし、お主に良い物をやろう。金の玉じゃ。儂の金の玉じゃ。あ、ついでにもう1個やろう。儂の金の玉じゃ』
山から帰ったら速攻で捨てたよね。当然だけど。
ってこんな下らねえ事思い出している場合じゃないわボケェ!
どうすればこの子が泣き止むのかを考えなければ……。
そうだ、心の中には違う性格の自分が何人もいるっていう話があったな。1人じゃだめなら別の自分に力を貸してもらおう。
別の自分……これ所謂パワーワードじゃね?
俺『そんな訳で目の前の女の子をどうやって泣き止ませるか考えたいと思う。案のある者は挙手した後に発言せよ」
俺2号「はい。襲って無理やり黙らせる」
俺『死んでくれたまえ』
俺2号「ウボァー!」
俺3号「こんな性犯罪者が2番手とか嘘やろ? 冗談きついわー」
俺4号「赤ん坊みたいに抱き上げてあやせば?」
俺5号「いや、年齢的に10~12歳位だろ? 無理があるわ。ひたすら頭を撫でた方が良い」
俺『ぶっちゃけそれぐらいしか思いつかないよな』
俺3号「自分の事を女だと思い込んで母性本能を無理やり出せばいい」
俺『無理に決まってんだろ常考」
俺6号「じゃあ股間にぶら下がっているゾウさんを切り落とせば? そしたら女になれるよ」
俺『だから無理だって言ってるダルルォ⁉ 次舐めたこと言ってみろ? お前のゾウさんとサヨナラバイバイさせてやる』
俺7号「はい、快楽堕ちさせる」
俺『7って縁起の良い数字だけどお前はクソだな。死にたまえ』
俺7号「ンホオオオおおっ!! ぎもちぃぃぃぃ!」
俺3号「ヒエっ……」
俺4号「ヒエっ……」
俺5号「ヒエっ……」
俺6号「ヒエっ……」
俺『うっわキッモ……なんだよこいつ……』
俺3~6号「お前だよ」
俺『あっ、そっかぁ……」
俺s「カクカクシカジカアーダコーダ」
話し合いの結果、抱き上げてそっと抱きしめつつ頭をなでることで泣き止んでもらうことになった。
女の子を抱き上げ、頭を撫でながらあやす。
「よしよし、怖かったな。いい子だ、偉いぞ」
あやしながら優しい言葉を掛けるともっと強く制服を掴んでくる。
さっきまで使ってきた神機の様な武器といい、普通のゴッドイーターとは違うようだ。
だが、今はただの女の子だ。
「ふああああああッ! ごめ……! グスッ、ごめんな……さい……うぅ」
「謝らなくていいんだ。俺こそ、怖がらせてごめんな?」
泣きながらでも謝ろうとする女の子をあやしながら、驚かせてしまった事を詫びる。
女の子が頬を擦り付けてくる。子ども特有の柔らかさが少し気持ちいい。
ああ、子供の肌ってこんな暖かくて柔らかかったけか……。
生まれたばかりの義弟を思い出す。とても小さかったな……。頬をつつけば、くすぐったそうに微笑んでいた。義父が『この子だけは己の身に代えても守らなければ』と口にしたら義弟は急に泣き出して2人して困ったものだ。
女の子が泣きやみ、目を赤くする。まだ尻目に涙が溜まっており、指で拭う。
「ホラ、目が真っ赤だ。可愛い顔が台無しだ」
頬を優しく撫でると、顔を胸に埋めてくる。
「俺はユウ。君は?」
「……エレナ。エレナ・ペニーウォート」
「そうか。エレナか、良い名前だな。よろしく、エレナ」
「うん……」
3発売前にPV見たときにアレ?ショートの振りなんか遅くね?って感じて嫌な予感がして見事的中したけどアプデで徐々にだけど段々改善されてきてると思う。
え、カスバレ? いや自分、銃縛ってるんで……。(一一切り替えるのが面倒くさくて使ってないだけ)