Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者   作:ロイヤルかに玉

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ゴッドイーター3はストーリー的に人VSアラガミじゃなくて人VS人だなと思ったので今回は対人戦メインです。


相手が悪かったな。お嬢ちゃん

 

 

 暫く歩き、男の気配も遠くなった。一瞬だけ気を抜くがすぐに気を引き締めなおす。

 

 

「ん?」

 

 何かが腕を伝ってきたのを感じ、袖を捲ると神機の触手の先端が腕輪に接続される。

 

 

 

「っ⁉」

 

 

 突然眩暈がしたと思えば、視界に移る景色は先ほどの景色と打って変わっていた。

 

 身なりの良い小太りの男とペニーウォートの制服を着た男が話しており、小太りの男がこちらを見ながら口を開く。

 

『このガキが本当に超甲型? 嘘じゃねえだろうなぁ?』

『間違いない。送った資料を確認してくれ』

『まあ良いい。嘘だったら困るんでな。確認してから金を支払う』

『それで構わない』

 

 これは……エレナが見たものか? 

 まさかもう引き渡しが始まっているのか……!

 

『しかし、見た目は他のガキと同じだな? なあ?』

 

 小太りが髪を掴んで軽く引っ張ったのに対してエレナが頭を振って男の手を振り払う。

 

『なんだこの雌ガキ? 俺を睨みつけやがって……俺はな、テメエみたいな生意気なガキが嫌いなんだよ! ただの実験体が!』

 

 小太りの男の拳を頬に受けて倒れかけるも、エレナは男に噛みついてやり返した。

 

『ギャアァ⁉ 放せクソ!』

 

 すぐにペニーウォートの男に取り押さえられ、小太りの男がナイフを取り出して顔に近づけてきた。

 

『生意気なガキが! 逆らうな虫けらがァ!』

 

 頬に鋭い痛みが走った瞬間、視界は元に戻っており目の前は殺風景な廊下だった。

 

 

 

「エレナ……!」

 

 走り出して神機の示す方向へ急いだ。

 

 

 すれ違う人間には目もくれず、神機の示した方向へ向かっていると神機は見張りが常に立っている扉を示した。俺はそのまま扉へ向かった。

 

「待て貴様、その制服は小隊長クラスか。この先は許可を得なければ入れないのは分かっている筈だろう? む、それより、貴様見たことがない顔だな? 昇格したばかりか?」

 

「邪魔だ」

 

「何――」

 

 男の顔面に拳を叩き込んで一撃で黙らせる。

 倒れた男から扉のキーを取り出して認証させると扉は開き、先を急ぐ。

 

 階級がなければエレナのもとにはたどり着けない。ならば、もはや変装なんて意味がない。

 

 バランの制服を脱ぎ捨てる。

 

「む……っ! 貴様、何者だ⁉」

 

「立ち入り制限を無視したか⁉」

 

 男が2人こちらへ向かってくる。

 

「止まれ! さもなくば発砲する!」

 

「やってみろ」

 

 男が2人そろって銃口を向けて引き金を引こうとするが、銃口から鉛玉が飛ぶ前に一気に接近して殴りかかる。

 

「グあぁ!」

 

「き、貴様――」

 

 1人を片付け即座に1人の顔面を小銃で殴りつける。

 

「ゴハァッ⁉ ガあっ……!」

 

 地面に倒れた男の口に銃口を突っ込む。

 

 

「ペニーウォートから連れてこられた灰色の髪のAGEはどこだ? 答えないなら風穴空ける」

 

「こ、この先に……」

 

「………………」

 

「………………」

 

 居場所さえ聞ければそれでいい。だが、口の軽い奴だ。上が上なら下も下だな。

 

 銃口を男の口から離す。

 男が安心したような顔をした瞬間、顔面に拳を叩き込んでそのまま蹴り飛ばす。

 

 転がる男を放って通路を進んでいると監視カメラが至る所に見える。走りながら小銃を撃ってカメラを破壊しながら進む。

 

警報音が鳴り響き、赤いランプが点灯して通路を赤く照らす。

 

「何事だ⁉」

 

「侵入者か⁉ 捕らえろ!」

 

「抵抗するなら殺せ!」

 

 今度は男3人、次から次へとキリがないな。

 

「テメェらの首なんざ数に入らねんだよ。分かるか? 殺す価値もねえってことだ。さっさと退けや」

 

 流石に安い挑発じゃ乗らないか。

 こちらが小銃を乱射すると哨戒の3人は物陰に隠れる。

 応援を呼ばれたらまずいので足を止めることなく駆け抜けて、男たちの隠れた場所へ接近する。

 

「なっ⁉」

 

「ぬぅん!」

 

 小銃の持ち手で男を殴り、更に小銃を別の男に投げつけて一気に距離を詰め、男の注意が小銃に向いた隙をついて掌底を男の腹に叩き込んで吹き飛ばす。

 

「くそっ! 大人しくしろ!」

 

 男が小銃を乱射してくるが銃弾を避けつつナイフを取り出して投げる。

 ナイフは男の足に突き刺さり、男が悲鳴を上げて床に膝を突く。

 

 悶える男の頭部に肘鉄を見舞う。

 

 3人をぶちのめすと周囲の気配が一斉にこちらへ向かってくるのを感じる。急いで走り、暫く通路を進むと神機から生えてきた触手がは急に天井を指した。

 

「上…………逃がすか」

 

 神機を取り出すと、神機が震えて僅かだが体に力が漲る。力任せに神機で天井を斬ってそのまま上の階へあがる。

 

 瓦礫が散らばり、排気管や圧縮された気体の管でも斬ったのか凄まじい勢いで風や煙が噴き出てくる。

 この階層でも警報が鳴り響き、ランプが赤い光を放ちながら点滅する。

 

「くっ、下の階の侵入者か⁉」

「周囲の哨戒班とゴッドイーター、AGEを集めろ!」

「仲間が居るかもしれん。警戒態勢に移行しろ!」

 

 怒鳴り声が聞こえる中、スタングレネードを取り出して転がす。

 

「グレネードだ!」

 

「伏せろ!」

 

 声と共に爆音と閃光が周囲を覆い、俺はその中を駆け抜けてエレナを追う。

 パイプを見つけたら手当たり次第に神機でぶった切る。

 

 煙で最早前は見えないが、神機を頼りに移動して扉を潜る。

 

 

 見張りや向かってきた戦闘員を返り討ちにしながら進み、暫く進むと広い通路に出た。

 

 

 通路の先には俺と歳がそう変わらない女性とエレナと同じ年頃のAGEが神機を手に立っていた。2人とも俺が見たこともない一対の神機を携えている。

二刀使いか、それ以前に1対2では少々分が悪いが、そこはまあ……経験と技量でカバーするか。

 

「おっさんの言う通りね。さーてルル。試験も近いし、ひと踏ん張りしよっか」

 

「うん、ニケ」

 

「そんな訳で侵入者のお兄さん、覚悟してもらおうか?」

 

 ニケと呼ばれた女性がそう言い、俺に神機を向けてくる。

 

「女子供ぶん殴る主義じゃないんだ。さっさと帰りな」

 

 事実だ。相手が女子供だとやりにくい。

 

「女だからって甘く見てると……痛い目見るよ」

 

 彼女は先ほどとは打って変わって殺気を纏い、こちらを睨みつける。

 おーおー、恐ろしい女だこと……ヤバい女は好みじゃないんだがなぁ……。

 

「ニケ、私が行く」

 

 ルルと呼ばれた少女が一対の神機を構えて一気に接近してくる。

 

 中々のスピードだが……。

 

 神機を構えないで直立不動で立ち、幼いAGEの動きを見る。これは中々将来有望だな。

 アクロバティックな動き、踊るような立ち回りで翻弄。

 俺の手に持つ神機を叩き落とそうと攻撃を仕掛けてくるが、軽く受け流す。

 

「まだまだ!」

 

 先ほどよりも素早い動きで翻弄して再び、神機を狙ってくる。

 

 受け流すと再び神機を狙って攻撃を振ってきた。多少の違和感を覚えたが、すぐに察した。

 

 ほう、そういう事か、人を傷つけるのに抵抗があるようだ。だから俺の神機を弾き飛ばし、武装解除させて戦意を削ぐつもりか……。まあ、相手が同じ子どもなら通用するだろうな。

 生憎とガキの頃は生粋のヤンチャ坊主だった故、俺には通用しない。神機が弾き飛ばされても殴る、引掻く、蹴る、絞める、噛み付くと攻撃手段はいくらでも残っている。

 

 少女の攻撃に対して神機を軽く振り、弾き飛ばした。

 

「うあッ⁉」

 

 弾き飛ばされた少女は壁に激突して床へ倒れ込んだ。

 

「ルル!」

 

「相手が悪かったな。お嬢ちゃん」

 

 次はニケと呼ばれた女性と向き合う。

 

「お前じゃ俺には勝てん。俺の気が変わらねえうちに、さっさとそこのガキを連れて帰りな」

 

「冗談。あんたこそ、さっさと降参したら!」

 

 余裕を崩さない表情のまま構え、向かってくる。

 

 やはりスピードはルルと呼ばれたあのガキ以上か。

 素早い連撃に対し、こちらは神機を構えずに最低限の動きですべての攻撃を紙一重で避ける。

 正に嵐の如く猛攻であるが、見切ってしまえばどうということは無い。

 

 既存のゴッドイーターよりも高い身体能力を持つAGE、だから神機使いはAGEに勝てない……否、ならばこちらは経験と不屈の闘志を持って返り討ちにするまでだ。

 

 連撃の手が緩んだと思えば、ニケが後ろへ跳び退いて距離取り、その判断に素直に感心する。

 

 こちらが遠距離攻撃を持っていないと分かっているので距離を取っての様子見、それでも油断をすることなくしっかりこちらを見ている。仮に俺が遠距離攻撃を仕掛けたとしても凌がれたに違いない。かと言って折角距離と言うアドバンテージを得たのに何も行動しないと言うのは歯痒いものだ。

 

 ソーマが放つチャージクラッシュのように遠くまで届く攻撃の1つでも会得しておくべきだったか。 

 そんな芸当俺にできるのかは知らんが。

 

 

「ふーん……まさかおっさん程強い奴が他に居たなんてね……」

 

「おっさんだとォ⁉ ふざけんじゃねーよお前お兄さんだろぉ⁉」

 

「アンタに言ってないよ。耳おかしいんじゃないの?」 

 

 中々鋭い突っ込みが返ってくるが、話を戻そう。

 

「で……俺がお前の援交相手となんだって?」

 

「うわ、援交なんて一言も言ってないのに……。やっぱ頭おかしいな、こいつ」

 

 このアマ……失礼な奴だな……『貴様失敬だな! おい名を名乗れ!』と怒鳴りつけてやりたいところだ。

 

 

「そらあっ!」

 

 隙をつくように再びニケが飛び込んできたので、迎え撃とうと構える。

 

 

ガシャッ!

 

 

「ッ⁉」

 

 彼女の神機が変形して両端に刃の突いた薙刀に変形した。複雑な軌道を描いて迫る斬撃から咄嗟に距離を置き、追撃に意識を集中する。

 

「ハアァッ!」

 

 自在に得物を振り回して隙を見せない堅実な攻撃をひたすら避ける。

 

 

「驚いたな。他には?」

 

「くっ、まさかここまでとはね……」

 

 ニケが諦めたかのように項垂れた。しかし演技だろう。

 見抜いて構えると、奴もだまし討ちは通用しないと悟ったのか突っ込んでくる。

 

「セアッ!」

 

「甘いわ」

 

 突き攻撃を受け流し、刀身を足で踏みつけて神機を封じる。

 

 ニケが神機から手を放して懐に手を潜り込ませたのを見て、即座に神機を蹴り上げて距離を取る。

 

 しかし、そのまま蹴り上げた神機を掴んでもう1度突き攻撃が迫る。

 

こちらも後ろへ跳び退きつつ一回転と共に回し蹴りで神機を蹴り飛ばしてニケを丸腰にする。

 

 ニケが懐からナイフを取り出した。

 

 

「せああぁ!」

 

 背後から気配と共に掛声を発しつつ斬りかかって来る少女。

 

 攻撃を受け流して、片手で首を掴んで壁に叩きつけて神機を手放させる。

 

「くっ⁉」

 

 

 隙を突こうと駆けだしたニケにルルを突き出す。

 

「動くな。さもないとこの子を殺す」

 

「ニケ、私はいいから早く……」

 

 余計なことを喋る少女の首を握る手に更に力を籠めると、ルルは苦しそうな声を絞り出す。

 とうとう、子どもにこんな言葉を言わせるか……。

 

「はっ、何が女子供を殴る主義じゃないさ……鬼畜の所業じゃん」

 

 そう言ってニケは動きを止めるが、奴の目はまだ俺の隙を狙っている。

 

「女子供に『自分の事はいいから』なんて台詞を吐かせる世の中の方が鬼畜じゃねえか?」

 

「で、あんたどうするの? このまま現状維持でもそのうち新手が来るわよ?」

 

「じゃあ……」

 

 ナイフを取り出してルルを軽く切りつけてニケに投げ渡す。

 

「何の真似?」

 

「なに、ちょっとした毒をナイフに塗っていてな。今すぐ処置すれば助かる。俺の気が変わらねえうちにさっさと失せな」

 

 勿論嘘だが。大体俺はシュンみたいに毒でジワジワ追い詰める真似なんてしないさ。

 

「なんの毒か言ってみなよ。お馬鹿さん」

 

 あ、やべ……バレてるやんけ……。だがその台詞が来るのは予測している。

 

「俺が朝一番で捻りだしたアレを塗ったものだ。雑なつくりだが猛毒だぞ?」

 

 尻を軽く叩きながら発言。すると――

 

「うわ……。……で、そんな嘘を信じろとでも?」

 

 ニケが引きながら蔑んだ目で見てくる。それでも嘘だと言い切られ、内心焦る。

 流石に嘘は通用しないか。ならば、このまま2人をまとめてぶちのめせば問題あるまい。

 

「ならこのまま一戦やり合うか? 新手が来る前にお前らをぶちのめすのは容易いが」

 

 

「…………次は容赦しない。退くよ、ルル」

 

「でも、ニケ……!」

 

 捨て台詞を残してニケはルルを担いで立ち去り、廊下の角を曲がって行った。

 一応、背を向けた瞬間戻ってきて刺されるのも癪なので完全に気配が去るのを待つが、どうやらまだいるらしい。

 

「そこに居るのは分かってんぞ。さっさと行かねえと死んじまうぞー?」

 

 足音だけ響いて徐々に遠くなっていく。気配も遠くなっていった。

 やっぱり背中見せた隙に一矢報いる気でいやがったか。末恐ろしい女だ。あんな奴は敵に居たら本当に厄介だ。

 

 

 周囲に気を配りつつ先を急ぎ、目の前の扉を神機でぶち破ると少し開けた場所へ出た。

 

 




ちなみに次回も対人戦メインです。
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