Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者   作:ロイヤルかに玉

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レゾナントオプスも遂にサービス終了ですね……。スタッフの方々、お疲れ様です。
まあ、自分はやってないんですけどね……。



やめないか!

 

 

 

「…………………………」

 

 

 目を覚ましたのは良いが……エレナはまだ眠っている。昨日色々あったからな……。

 エレナがしっかり抱き着いているので起こしてしまうのも申し訳無く、身動きが取れない上に昨日の件のせいでエレナを意識してしまう。

 意識している女の子と裸で抱き合うなんて男にとってはこれ以上にない興奮剤である。

 

 

 このまま起きるのを待つか。

 

 

ムスコ「自分、覚醒いいっすか?」

 

 やめないか!

 

 

 

「ん、ユウ?」

 

 エレナが目を覚ました。

 

「ああ、おはよう。エレナ」

 

「うん。おはよう」

 

 挨拶を交わすとエレナは早速と言わんばかりにキスをして舌を絡めてくる。

 昨日散々受け入れて、今更拒否るなんてできる筈がないのでただ受け入れるしかない。

 

「はむ、んん……。ふふ、ユウ」

 

 嬉しそうに体を摺り寄せてくる。

 依然として体に熱が襲い掛かってくる。熱を振り払うようにエレナを抱えて起き上がり、無理やり頭に残る気怠さも払いのける。

 

 

「エレナ、服を着よう」

 

「うん」

 

 立ち上がって服を着て、エレナも制服の上着に袖を通す。

 

 布を1枚持っていくか。1枚あれば寒さもある程度防げるので便利だ。エレナの体を冷やすわけにはいかない。

 

「エレナ、布を一枚持っていきたい。巻いても大丈夫か?」

 

「うん。いいよ」

 

 布をエレナの腰に巻きつけ、出発の準備を整えエレナを抱き上げて部屋を出て、階段を降りつつ周囲を警戒して明かりが差し込む出口へ歩く。

 

「ユウ、自分で歩けるから大丈夫だよ?」

 

「俺がそうしたいんだ。気にするな」

 

 

 外へ出ると、相変わらず灰は舞っているが、お天道様は陽気に世界を照らしている。いいなぁ太陽は陽気で……。

 

 

 歩き始めると、エレナが話しかけてきた。

 

「ユウ、どうして名字を言わないの?」

 

「ん? ああ、まあ……俺って養子だしな。それにもう家族も居ないし、勝手に名乗るのもな……」

 

 そういや、誰も俺の名字云々なんて気にしなかったよな。まあ、俺も全然気にしなかったからアレだが。

 

 

「結婚したら困っちゃうね。名字が無いと私がユウのお嫁さんって証明できないもん」

 

「はは、確かに。名字が無いと不便だな」

 

「後どれくらい大きくなったら赤ちゃんを産んでも大丈夫かな?」

 

 唐突だな……。なんか性格が俺寄りになってないか……?

 しかし子どもねぇ……。昨日あれだけ赤ん坊が欲しいなんて言ってたからそりゃ気になるか……。

 

「あーそうだな……」

 

 まあ、20代が安定してるんじゃないのだろうか。経済力的な問題は置いておいて。

 もし子供が出来たらギャンブル何てできないな。酒も煙草もできないだろうし、護らなければいけない存在も居るし、男もプレッシャーヤバいだろうなァ……。

 育児ってのホントに大変なんだろうな。あのご時世でよく俺を養子として引き取ってくれたもんだよ、義父も義母も。

 

「20代くらいが良いんじゃないのか? つまり早くて後8~10年だな」

 

「そっか……うーん。待ちきれないから、私から襲っちゃうかもしれないなー」

 

「勘弁してくれ」

 

「へへ、冗談。でも赤ちゃんが欲しくなったら……いつでもいいよ? 頑張って元気な子を産むから……」

 

「良い嫁さん候補を持って俺は幸せ者だな。友達に自慢してやりたいもんだ」

 

「候補じゃないもん、絶対お嫁さんになるよ。今だってお腹はユウの赤ちゃんが欲しいって疼いてるもん」

 

「そ、そうか。それにしても結婚か。縁のない話だと思っていたから何ともな……」

 

「私ね、結婚したらしたいことが沢山あるの」

 

「へえ、何がしたいんだ?」

 

「ユウに手料理作ってあげて、赤ちゃんにもミルクをお腹いっぱいあげたいの。あ、あと赤ちゃんが寂しくないように2人は欲しいかな。いっぱいミルクを出さないといけないからユウ、一杯ミルクが出せるように沢山揉んでね?」

 

 そう言って俺の手を掴み、自身の胸に持ってきて柔らかい感触を感じて咄嗟にエレナから目を逸らす。

 

「あ、照れてる?」

 

 笑いながら聞いてくるエレナ。とても嬉しそうに笑っている。

 

「それは俺が揉まないとダメなのか?」

 

「うん。揉んでる内にユウもエッチな気分になって、襲ってもらえるかもしれないからね。そしたらしっかり抱き着いて一番奥で……ね?」

 

 時たま襲ってくる熱や火照りに呑まれたら冗談抜きでエレナを押し倒してしまう可能性があるので何としてもそれは避けねばなるまい(鋼の意思)

 

「あとは……家族で色んなところに行ってみたいかな」

 

「このご時世じゃ厳しいなそれは……」

 

 

 楽しそうに未来の事を話しているエレナを見ていると、辛くなる。

 

 近いうちに死ぬってのに、覚悟が出来なくなる。

 この子にとっての幸せや願いはきっと俺では叶えられない。俺にできる事は如何に悲しさや寂しさを軽くできるかだ。

 そう考えれば、エレナの想いに応えるのが一番なのかもしれない。だが、俺が死んでもエレナの道はこれからも続く。責任も取れないくせに体を重ねるだなんて出来ない。

 

「ユウ、その……偶にでいいから……昨日みたいにしたい」

 

「昨日みたい?」

 

「うん……。肌をくっつけて、ちょっとエッチな事したい。昨日ね、凄く嬉しかったんだよ?やっと、想い合えるようになったから」

 

「そ、そうか……」

 

「あ、あとね? お風呂で洗いっこもしたい。背中だけじゃなくて、向かい合って」

 

「ええ……それは流石に恥ずかしいんだが……」

 

「昨日裸で一緒に気持ち良くなったのに?」

 

 揚げ足を取られる。なんだか今日のエレナは凄い攻めて来る。

 

「好きな女ってのは……特別なんだよ。あらゆる意味でな」

 

「……ッ! うん!」

 

 本当にエレナは俺の事を…………。

 ああ、マジで堪える。隠し通すのがこんなに辛いとは……。

 戦争で散々相手の命を奪っておいて何言ってんだって話だが、戦争とはそうしなければいけないものだからって理由があった。だが、エレナに関しては俺には正当性もクソもない。

 最初から優しくなんてしないで、すぐにまともなミナトに連れて行ってやれば結果は変わっただろうか……。はは、こんな思考する時点で男として終わってるな自分。

 ほんとにどうしようもねぇわ。

 

「ユウ?」

 

「…………エレナ、俺は酷い男だ。きっとそのうち分かる。だから……」

 

 俺が消えたら、忘れて欲しい。そう言葉を紡ごうとしたら、エレナの手が強く上着を掴んだ。

 

 

「嫌。そんなの絶対にダメ。ユウ、それ以上は嫌だ。聞きたくない」

 

 エレナが手を離して、地面に立って俺の前に立つ。

 普段の優しい顔とは打って変わって、真剣な表情。そして、空気が張り詰めていくのが感じた。

 

 エレナの背中にオラクルが収束して、それは大きな翼となり、更に形を変えてシユウ種とよく似た翼手に形を変えて、オラクルの翼手は俺の肩を掴む。

 

「ユウ、それ以上言ったら……押さえつけて無理やりにでも私と契らせる。私が居ないと生きていけない体にする。だから――」

 

 金色の瞳は本気だと物語っていた。

 エレナが寄ってくる。翼手が無理やりにでも俺をしゃがませようと力を込め、抵抗もできないので大人しくしゃがむ。

 

「そんな事言わないでよ、ユウ……」

 

 エレナは暗い顔をして俺の頬に手を添える。

 添えられた手は震えており、震えを止めるように右手をエレナの手に添える。

 

「ごめんな」

 

「うん、良いよ。旦那さんの事を許してあげるのが、良いお嫁さんだもん」

 

 そう言って抱きしめられ、少し柔らかい胸に顔が埋まる。頭を優しく撫でられ、それがとても落ち着く。

 

 

 

 エレナに感謝を伝え、彼女は嬉しそうに笑う。気を取り直して歩きだす。

 手を彼女の小さな手に握られ、しっかり握り返すと頬を摺り寄せてくる。

 

 そうだ、もう長くは無いが……それなら、一生分の愛情を注ごう。きっと、それが一番の最適解だ。

 

 

 

 

 

 

 暫く歩くと、規模の小さい市街地が見える。

 幾分か灰が濃いがあの程度なら問題は無いだろう。あれ以上の場所を今まで何度も通ってきた。

 

 

 市街地に入り、どこかで休憩を取ろうと思い良さそうな場所を探す。

 

 …………人の気配……?エレナと良く似た気配だから、AGEか?

 だが1人しか察知できない。こんなところで何を……?

 放浪者…………いや、ただこの市街地に任務で来ているだけか。エレナのように特別な事情があるなら放浪者でも頷けるが…………。

 

 とにかく接触するのは避けないとな……。

 

「ユウ、向こうから人が……」

 

 エレナの示した先を見れば、布に身を包み、頭も隠している人間がこちらに向かっていた。

 その者の手には神機を保管するケースが握られ、神機使いであることは確定が、あいつはAGEではない。左腕に腕輪は見受けられない。

 この世界にもユウナやソーマのように特別な事情をもつ奴が居るのだろう。

 

 奴もこちらを視認しているが、武装することなくそのまま近づいてくる。近づけば近づくほど分かる。奴も紛れもない強者だ。バランで一戦交えたゴウよりも強い気配を感じる。あれこそ正に歴戦の猛者であるだろう。

 

 冷静に分析する一方で焦る。もし奴と一戦やるのなら、エレナを守りながら戦うことになるが、それは今までの戦いで困難を極めるだろう。

 

 

 

 そう考えている間に奴は近くまで来た。体格の良さから男性か。左目から首にかけて痛々しい傷跡がある。

 隻眼――片目が見えないのは戦闘においては不利だが、最近できた傷ではない。つまりそんな状態にも関わらずこの世界で生き残っている事が強さの証明でもある。この男、一体……。

 

 

 男が俺の顔を見た瞬間、その顔に動揺が走ったように見えたが、すぐに男は表情を元に戻して口を開いた。

 

 

「名を訊ねたい。聞かせてくれないか」

 

 聞き覚えのある声……?

 

「ユウだ。この子はエレナ。あんたは……?」

 

 男は頭を覆う布を下げ、その顔は俺の知る男によく似ていた。

 

「済まない、名乗るのが遅れた。アインだ」

 

 

 男は俺の頭に浮かんでいた名とは異なる名を紡いだ。

 

 

 

 

 

 

 アインに敵対の意思がないようで、俺たちは屋内に入り腰を下ろして話に耽っていた。

 エレナもあまり警戒しておらず、この男も好意的なのが話し合いに興じる決め手だった。

 アインからも興味深い話を聞けた。まず、ここは欧州である事。そして灰域の発生やミナト、今現在で脅威になっている灰域種と呼ばれるアラガミについても聞くことができた。

 

 聞けばこの男、辺境にあるミナトのオーナーらしく、とにかく知識が豊富だ。

 

「凡そ検討はついているようだが、バランはお前達を探している。数日前に、手配書が提示されている」

 

「やっぱりか。となれば、逃げ道が限られるな」

 

 さて、どうするか……欧州全域にバランの手が回っているのと同じだな。欧州を脱出すれば済む話だが、そうも行かない。灰域は世界中で発生しておりその中をなんの目印も無く彷徨うのは自殺行為に等しいらしい。そんな自殺行為に等しい事を今までやってきて生きているのは余程運が良いのか、とにかく戦友たちの加護に感謝だな。

 

 

 

「…………お前たちが良ければ、俺のミナトで受け入れよう」

 

「おいおい、犯罪者扶助だなんてまずいだろう?」

 

 この男、何故ここまで好意的なんだ。怪しいとは言わないが、ここまでするメリットがあるのか……?

 

「俺のミナトは少し事情が違う故、余所から文句は言われない。それに、こちらとしては提案を受けて欲しい。お前も、あまり時間は無いはずだ。偏食因子の調整をしていないだろう?」

 

「………………確かにな。だが…………」

 

 

 従来の神機使いでも調整した偏食因子があれば灰域内でも活動は可能らしい。俺には戦友たちの加護があるが、それがいつ効力を失うのか分からない以上、残された時間は少ないと見積もって間違いない。

 

 

「どうしてそこまで肩入れしてくれるんだ?」

 

 当然の疑問をぶつけるが、アインは黙った。いや、言って良いべきか迷っているようにも見受けられる。

 

 

「…………戦友に良く似ているから。と言うのが本音だ」

 

「戦友?」

 

「ずっと昔の話だ。ある男に恩ができてな。今となっては返すことのできない、質の悪い恩だが」

 

 返せないなら、そいつはもう居ないのだろう。それにこのご時世、大方予想はつく。

 

「…………戦死か」

 

「ああ、忘れもしない。情けない事に手酷くやられてな。転がってる間に、その男が片を付けた。代償か、奴は物言わぬ帰還を果たした。ただ後悔した。たった1人で誰も届かない場所へ逝きやがった」

 

「そうか、残されるってのはつらいもんだな。俺も散々置いて行かれた故、ある程度理解はできる」

 

 言葉を紡ぐと、エレナが腕を抱きしめる力を強くした。アインが戦死した男は『たった1人で』っと紡いだ瞬間、手を握りしてめもう片方の腕で俺の腕を抱きしめた。

 エレナを安心させるために頭を撫でる。

 

「ふ、随分懐かれているようだな。その子の為にも、提案を受けてもらいたい」

 

 俺達を見ながらアインは軽く笑い、言葉を紡ぐ。この男も中々策士だ。エレナの為と言えば、俺が応じるのを分かった上で言い方を変えたのだろう。

 

「俺も、アンタによく似た男を知っている。そいつとはあまり関りは持てなかったが、仲間思いの良い奴である事は確かだった。あいつには、生き残って欲しいものだ」

 

「そうか、近くに舟を停めている。連絡を取り次第、出発しよう」

 

 アインは俺の言葉を聞くと、片目を一瞬だけ見開いてすぐに元に戻し、通信機を取り出して連絡を取るために外へ出て行った。

 

 

「アインさん、ユウの事を見ると悲しそうだった。そんなに似ていたのかな?」

 

「どうだろうな。だが、このご時世だ。似ている人間を見ると、そうなっちまうんだろう」

 

 

 連絡を追えたようでアインが外から戻ってきた。

 

「待たせたな。案内しよう」

 

 アインがケースを担ぎ、俺もエレナを抱き上げて外へ出る。

 

 

 

 直後に危険を感じた。

 

 アインも危険を察知したようで共にその場から飛び退くと、俺たちが出てきた建物は紫色の炎に飲み込まれ、熱気と衝撃波に襲われ、エレナを庇うように抱きしめる。

 

 

「厄介な奴が来たようだな……」

 

 アインの言葉と共に熱気と衝撃波は弱まり、燃える残骸の上に座するように見たことのないアラガミが降り立つ。

 

紫色の球体に座り、鳥の顔をしたアラガミ……。こいつはただのアラガミじゃない。昨日、灰嵐の中から飛び出した雷を駆使するあの巨人のようなアラガミとほぼ同じか……。

 それに紫の炎とは、また珍しいものを見てしまった。

 

 

『COOOOOOOOっ!‼!』

 

 

 

「灰域種……いや、変異種か……!」

 

 こいつは危険すぎる……だが、恐れる訳にはいかない。エレナを守る為なら、どんな敵が相手でも喰らい付いて噛み殺すまでだ。

 

「来るぞ!」

 

 アインの言葉と共に奴は襲い掛かってきた。

 




オンラインがコンシューマーゲームで発売していたら絶対に購入したと思いますね。
ぶっちゃけバリバリのアクションゲームをスマホでやるのは操作性等の問題で個人的に嫌でしたので。
なんでスマホなんだ……バンナムさんよォ……。
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