Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者 作:ロイヤルかに玉
ホントに2の『原初の荒神』じゃ世話になったよ……。
殺生石で体力残り僅かにしてからの轢き逃げ滑空でNPC諸共床ペロさせやがって……。
ジーナの先制射撃と共にタツミは神機を構えてアラガミの群れに切り込み、俺も後に続いて跳躍して一気に群れの中央へ跳んで鉄骨を叩きつける。
「オラァッ!」
鉄骨をフルスイングして群がる小型をまとめて吹き飛ばす。
「はっ、どうだ! 偏食因子を練り込んだ鉄骨の味は! 吹っ飛ばされてえ奴からかかってきなァ!」
とにかく視界に映った奴を片っ端から鉄骨でぶん殴って吹き飛ばす。
オウガテイルを吹き飛ばした先にはタツミが立っており、吹き飛んだオウガテイルを切り裂いた。
「気を付けてくれユウッ! 味方を吹き飛ばすなんてカノンだけで十分だ!」
「悪いなタツミ! 気を付けるわ!」
タツミに謝罪しながら鉄骨を振ってアラガミ達を空中へ飛ばすと、宙へ吹き飛んだアラガミはすべて、急所をレーザーに打ち抜かれて地面へ落ちた。
「ユウ、ジーナ! 固まって戦うぞ!」
「了解!」
「分かったわ」
俺とタツミは共にジーナの元へ向かい、各々の背中を預ける。
「ジーナは遊撃、ユウは俺と共にジーナを庇いつつ周囲のアラガミを掃討する。俺はオラクルが溜まったらジーナに受け渡す。ユウ、その一瞬の間は任せるぞ!」
タツミの素早く迅速な指示に頷く。
「任された!」
「行くぞ!」
タツミの号令でアラガミの群れに突撃してジーナを庇いつつタツミと共に周囲のアラガミを薙ぎ払う。2人に攻撃を当てないように気を配りつつ、アラガミを吹き飛ばす。
タツミも襲い掛かってくるアラガミの攻撃を凌ぎつつ急所を確実に断ち切って一撃で倒しつつ捌く。
ジーナは上空のアラガミを撃ちつつ、遠距離攻撃を行おうとしてくるアラガミを狙撃する。
「中距離! グボロが攻撃姿勢に入ったわ!」
「ユウ、頼む!」
グボロに一番近い故に即座に指示を飛ばされ、素早く身構える。
「あいよ、任せな!」
グボロの砲門からアラガミ達の間を潜って水の塊が向かってくる。俺は2人の前に立って鉄骨を構える。
「ドリャーッ!」
鉄骨を振って水の塊を掻き消すが水飛沫がかかって制服が濡れる。
「ナイスだ! このまま油断せずに行くぞ!」
「ああ!」
俺の横をタツミが駆け抜け、後を追ってアラガミの群れを突撃を仕掛ける。
「何匹か逃がした様ね……!」
「他の箱舟反対派連中もこっちに向かってる! そいつらに任せるぞ、俺達はここで出来るだけ食い止める!」
タツミが神機を振りながらジーナの呟きに答える。
「ッ!」
多すぎる気配の中、何かがこちらへ向かってくる。アラガミにしては早いッ!
周囲に気を配りつつ気配のする方向をちら見する。
小型のミサイルが5発もこちらへ飛んできている。
「ちッ! クアドリガのミサイルか! 5発来るぞ!」
こちらに向かってきている攻撃に気づいて2人に警告するとタツミが即座に指示を出す。
「ジーナッ!」
「了解!」
タツミの指示に応答したジーナが銃口を空へ構えて引き金を引く。
発射されたレーザーはミサイルのど真ん中を見事貫通。
轟音が空から響き、ジーナは狙撃を続ける。
しかし隙だらけのジーナへ、シユウが爆炎弾を放った。
咄嗟に鉄骨を構えてジーナを庇う。衝撃と熱が身体を襲うが、次は横から攻撃の気配。
もう1匹のシユウが爆炎弾を放つ。
「クソっ! 間に合わ――」
ジーナを庇うようにタツミが立ち塞がり――
「セアッ!」
装甲を展開と同時に神機を突きだし、爆炎弾を弾き返してシユウへぶつける。
「人間卒業おめでとう、大森班長!」
「鉄骨で戦うお前に返すぜその台詞!」
「ふっ、2人とも心強いわ」
ジーナが最後の狙撃を行い、ミサイルはすべて迎撃された。
「弾切れ寸前……タツミ!」
「ああ、今受け渡す! ユウ、頼むぜ!」
「了解! できるだけ急いでくれや!」
隙を突くかのようにコンゴウが跳びかかってくるが、鉄骨を突きだしてコンゴウを押し返し、そのまま前方一帯を薙ぎ払って小型を吹き飛ばす。
「okだ! 助かった!」
「少し減って来たわね。ただ、大型が控えてるわ。ユウ、鉄骨じゃ厳しいわよ?」
「現地調達だな。なんとかするさ」
鉄骨を担ぎ、懐から挑発フェロモンを取り出して使う。
アラガミが一斉に俺を睨み、襲い掛かってくる。その場で高く跳躍してアラガミ達を踏み台にしつつ、飛んで来る遠距離攻撃を躱しながら2人から距離を取る。
「ジーナ、ユウの援護だ」
「分かったわ」
タツミも駆け、俺に気を取られているアラガミの急所に強力な不意打ちを叩き込んで一撃で沈める。
「直上! 注意しろ!」
「あいよ!」
気配は読んでいる。
バックステップで後ろへ後退すると俺が居た場所にヤクシャ・ラージャが降りたつと共に爪を振り下ろして地面を抉った。
ラージャは鉤爪を振り回し、周囲の小型を切り裂きながら俺に向かってくる。
「ッ!」
爪を躱して鉄骨を突きだして顔に当てるとラージャは怯み、頭部にオラクル弾が付着した直後、弾けて無数のレーザーが飛び散ってラージャの顔をグチャグチャにする。
「サンキュー!」
「ッ! ユウッ、上よ!」
ジーナの叫びが聞こえ、上を見るとボルグ・カムランが尾針を構えて襲い掛かってくる。
「ぬぅんッ!」
鉄骨を盾にして針を受け止めるが、あっけなく破壊される。
咄嗟に後ろへ跳び、針を回避する。
しかし、カムランは素早く尾針を引き抜いて再びこちらに狙いを合わせる。
「させるかァ!」
タツミが跳躍しながら神機を振って構えられた尾針を弾く。
『KIッ!? KIEEEEEッ!』
カムランが雄たけびと共にタツミを狙う。
「どこ見てやがる!」
死んでいるオウガテイルの尻尾を掴み、振り回してカムランの足にぶつける。カムランは態勢を崩して転び、タツミは再びジャンプしてカムランの尾針から尻尾の一部までを断ち切った。
宙を舞う巨大な針、これはチャンスだ。
「ジーナ!」
「そういう事ね!」
ジーナが針の先端辺りを狙撃すると弾丸は針を貫いて砕く。
ジャンプして対アラガミナイフを取り出す。
俺を追って小型・中型も跳んで追ってくる。針をチャッチしてナイフの先端に突き刺して無理やり連結させて即席の神機を作る。
そして即席神機を振り回し、追ってきた小型と中型を返り討ちにして地面へ着地する。
「まだ来るわね。ああ、とても楽しいわ」
「ユウ、今のうちにキメ直しとけよ」
タツミが神機担ぎ、首を鳴らしてから言葉を発する。
「そうさせてもらう」
丁度ドーピングの効果時間が途切れる頃だ。ケースを取り出して中の錠剤を口に詰めて噛み砕いて飲み込む。
「その内過剰摂取で倒れるわよ」
ジーナから耳の痛い事を言われるが、神機紛いの武器でまともに戦うにはこれが必須だ。
「なに、その時はその時だ。ジーナ、頼む」
「あら、私は衛生兵ではないのだけど?」
「お前ら、追加のお客さんがお見えだ。相手するぞー」
3人で笑みを浮かべ、再び群れに突撃をかける。
「先陣を切る!」
タツミが高く跳び、空中で神機を捕食形態に切り替えて群れに滑空攻撃を仕掛けて数多のアラガミを喰い千切る。
「神機解放!」
タツミの神機が光を放ち、タツミは先程とは桁違いのスピードで戦闘を続ける。
「流石ッ!」
突きの構えを取ってステップで一気に加速し、コンゴウの顔に突き刺してコンゴウの体を足場代わりに使って跳び、こちらへ向いたコンゴウの口に即席神機を突き刺して生命活動を停止させ、地面へ着地して刺さったままのコンゴウを投げ飛ばす。
すぐ近くでバースト状態に移行したタツミが奮戦して次々とアラガミを斬りつける。上空をオラクル弾が飛び、レーザーが弾けてアラガミを追い急所を貫く。
「ッ! 甘いッ!」
シユウが回し蹴りで不意打ちを掛けてきたが姿勢低くして躱し、即席神機を足へ突き刺して動きを止めると、タツミの神機が頭部を突き刺さり、振り抜かれる。
頭を落とされたシユウはそのまま地面へ崩れた。
俺とタツミは互いに背中を預けて目の前の敵を切り伏せる。
「ん?」
俺達を影が覆い、その影の主は電撃を纏った拳を突きだしてきた。
「ユウ、任せろ!」
「任せた!」
俺は姿勢を低くして構え、タツミは向かってくる拳に対して装甲を展開して受け止める。
襲い掛かってきたのはハガンコンゴウだった。
タツミが電撃を纏う拳による衝撃と電流を根性で持ち応えている間にハガンコンゴウの顎を下から突き刺し、タツミは力が弱くなった隙を逃すことなく拳を弾き返して神機で頭部を一刀両断する。
「ハガンコンゴウか。一撃で首落とすとは……流石だなタツミ」
「やっぱ出て来たか禁忌種。なかなかハードだな」
まさか禁忌種まで来るとはな……。こりゃ激戦だ。
「っ……! 来たか、油断するなよ!」
タツミの言葉と共にその場から跳び退く。
俺達が居た場所を、炎を纏いながらシユウの禁忌種……セクメトが爪を叩きつけてきた。
「うわ、クソメトやんけ。おら死ねや」
即席神機を振るもセクメトは紙一重で回避して反撃してくるがこちらもギリギリで回避して反撃する応酬を繰り返し、セクメトの翼手による打撃を避ける。もう片方の翼手による打撃が迫るが即席神機で拳を貫いてカウンターを決めてそのまま地面へ叩きつける。
『GUOッ⁉』
「斬ッ!」
拘束されたクソメト、そしてタツミは既に左腰に神機を備え、納刀の構えを取っており隙を逃すことなく首へ神機を振り抜いた。刃は見事セクメトの首を捉えた。
血飛沫と共に首が飛び、首のない亡骸が地面に転がった。
「あなた達、ホントにセクメトが嫌いなのね」
「当然だ、硬すぎてイライラする。おまけに他のアラガミと徒党を組んできやがる」
「こいつは生きてきゃいけない奴だ。殺さなきゃ」(使命感)
同じショートブレード使い同士、考えは同じ。
故にクソメトを確実にぶっ殺すための戦術をタツミと考案した。誰かが動きを止めた隙、または攻撃の後隙や不意を突くなどの前提条件はあるがそれを満たしたとき、納刀の構えから居合を繰り出して首を断ち一撃で倒すものだ。
そのため、タツミには真人間時代に会得した居合切りを伝授した。
恐らく今後は教えるのが上手いタツミが、ショートブレードを使う後輩たちに居合切りを伝授してくれるだろう。
禁忌種と交戦を許可されたショート使いはまだ少ないが、極東のショート使いは誰もがクソメト絶対殺すマンと化す運命にあるのだ。
小型、中型がまだまだ向かってくるのを見て気合を入れなおしてタツミと共に再びアラガミの群れに切り込みを掛けようと駆けた時――
群れの向こうから巨体が飛び出して目の前に降り立ち、咄嗟に得物を構えた。
『GYAAAAッ!』
「ッ!? 新種か!?」
「こいつは……!」
俺達の目の前に立ちふさがったのは、平行世界で見たあの両腕に刃を持つ青いアラガミだった。
タツミ兄貴タフすぎてスタメンだった。