Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者   作:ロイヤルかに玉

46 / 78
やっとBURST編に突入。


ふざけやがってェ!このガバガバのポンコツがァ!

 

 

 

「ふー……」

 

 雪が風と共に吹き付ける旧寺院、冷たい雪の上で対アラガミナイフを構えて呼吸を整える。

 

 

「いやー参ったね……。緊急の偵察任務に駆り出されて……こんな化け物に遭遇とは……」

 

 

 年がら年中雪が降る廃寺で正体不明の反応があると聞いた時点で嫌な予感はしていたさ。

 

 

  GUGAAAAAAッ!

 

 

 初めて相対する新種のアラガミ。白い竜人の様なアラガミは爪に炎を纏って雄たけびを上げた。

 

 

 落ち着いて繰り出される攻撃をすべて避けつつ距離を取る。攻撃方法や行動パターンを見極める為に。

 

「さて、おっかなびっくり立ち回るか。テメエの攻撃、全部見切ってやらぁ」

 

 そして俺は奴に向かっていった。

 

 

 

 

「やはり、あの反応は新種だったか」

 

「ええ。確か先日も偵察班が接触してたはずでしたよね。俺も実物みて気づきましたが、防衛戦の時に遭遇した青いアラガミと似たような骨格ですよ」

 

 あのアラガミの攻撃を凌いで粗方情報を集めて撒いてとんずらこいてすぐに報告書を書き、詳細確認の為に雨宮教官の執務室を訪れていた。

 

「全く次から次へと……」

 

 流石の雨宮教官も頭を抱えている。

 

 そりゃそうだ。先日起きた事件がな……。

 突如エイジス島に出現したアラガミ、アルダノーヴァの急襲によってエイジス島は半壊。そして極東支部・支部長ヨハネス・フォン・シックザールが崩落に巻き込まれて死亡。

 

 それが世間の公式見解だった。そして、支部長が秘密裏に進めていたアーク計画は闇に葬られた。

 

 当然極東支部は後始末に追われていた。空席の支部長はどうするか、本部や他の支部から「テメエらに何やってんの? バカじゃね?」とお言葉を頂いたりと様々だ。

 

 そして俺も後始末に追われて書類を整理したり、賛成派の職員が仕事投げ出して箱舟に乗ったおかげで山のように積まれた仕事等を手分けして始末。勿論外部居住区での配給の対応などもしなければいけない。おまけに空気の読めないアラガミとかいう害獣共が攻めてきた際に装甲壁を幾分かぶっ壊してくれたおかげでそちらの補強作業の手伝いなどやる事が多すぎて全く休めていない。ちなみに最近やたらと支部近くでアラガミが目撃されるので神機使いも大忙しだ。

 

 あ、あと先日の防衛戦や今までの偵察任務での戦果が認められ、新兵から偵察兵になりました。パチパチ~。

 どうよ? 俺まだ入隊して半年とちょっとしか経ってねえのにもう新兵卒業だぜ? 

 だけど他の連中の出世スピードが尋常じゃないくらい早すぎて俺が一番遅いんだぜ? 

 

 ユウナに至っては少尉、俺が偵察任務のイロハを叩き込んだコウタは上等偵察兵になった。どんどん追いつかれ、追い越されていくぜ……!

 このままじゃ俺、窓際族確定だな。まあ、社内ニートよりかはマシなんじゃないんですかね……?

 

 

「とにかく、早急に対策が必要だな。近い内に第1部隊に討伐任務を任せる事になるだろう。今日はもう休め。ご苦労だったな」

 

「了解しました」

 

 

 

 

 

 執務室を後にして、俺は榊博士の研究室へ向かう。

 

 何でも話さなければいけない事があり、今日中になんとか来て欲しいとの事だ。

 しかし面倒事の嵐に吹かれているこの現状、明らかに面倒事が舞い込んでくるに決まっている。だから俺は適当な理由で榊博士の頼み事を断らなければいけない。

 過労死だなんて冗談じゃない。

 

 

「博士、入って大丈夫です?」

 

「ああ、待っていたよ。さ、入ってくれ」

 

 扉を開き、研究室に入りソファーに腰を掛ける。

 博士と2人で茶を啜りながら話を始める。

 

「まず、君に調査を頼んでいた島だけど……消滅した」

 

「は……? え……?」

 

 いきなり衝撃的な発言で俺はポカンと口を開けた。

 

「本当に言葉通りなんだ。沈んだではなく、消えてなくなったんだ」

 

「なぜ?」

 

「分からない。ただ、気に留めておく必要があるだろう。アラガミやオラクル細胞など常軌を逸したものが存在するとはいえ、不可解であるよ」 

 

「さ、さいですか……」

 

 しかし、何故か納得がいく。

 あの島は平行世界へ行くための場所で、助けを呼んでいたエレナを助けたから役目を終えて消えたのだと思うと不思議と納得できる。

 多くの兵士が散り、俺達の墓場になった場所がエレナを助ける為の糸口になるか……不思議なもんだ。

 

 

「まあ、仕事が終わったってことですよね?」

 

「とりあえず、報酬は支払っておくよ。手を煩わせたね」

 

「いや、報酬はいいですよ。結局何も分からずじまいでしたから」

 

 エレナを助ける事が出来た。それが最高の報酬だ。

 俺は断りを入れて、研究室を後にする。

 

 

 

 

「とりあえずこの書類、ここに判子押しておいて。内容は確認しているからただ判子だけお願い。もしかしたら、他の班の判子が押されていない書類があるかもしれないから、もし有ったら担当の班で確認してもらってくれ」

 

「分かりました」

 

 事務官から書類の束を受け取ってラウンジで何か飲みながら作業をしようと思い、早速ラウンジへ歩き出す。

 

 

 

 コーヒーに砂糖をたっぷり入れて啜りながら、ひたすら指示された場所に判子を押して次から次へと片付ける。

 

 あ、未記入の書類を発見。

 とりあえず判子を押せるものはすべてやってしまおうと考えてその書類だけ除外する。

 

 ああ……目が痛くなってくる……。マジで書類仕事とか柄じゃないんだよなぁ……。タツミの奴が端末弄りながら疲れた顔をしている理由が良く分かる。

 やっぱり現場が一番だ。しかし不思議な事に人間とは殆んどがあれこれ指示する立場に成りたがる。

 しかし、いつになったらこの書類地獄から解放されるんだろうか……?

 

「あ、ユウ。探してたんですよ」

 

 アーク計画を阻止した功労者の1人、アリサが話しかけてきた。

 探していたと言ったが、何か用だろうか。

 

「ああ、アリサ。どうした?」

 

「はい。先日、ユウが接触した新種、ハンニバルについて聞きたいことが……」

 

 アリサが向かいの席に座って、書類を出す。

 

「先程、討伐作戦が発令されて資料を貰ったんですけど、詳しく聞きたいことがあるんです」

 

「ああ、分かる範囲でなら構わんぞ」

 

 その後、具体的な攻撃パターン等、習性が無いか等を聞かれて知る限りの事を話した。

 アリサが広げた資料を確認しながら意見を交換する。

 

「後留意する点と言えば、資料には載ってないが胸の中にある炎だな」

 

「胸の中?」

 

 丁度胸が良く見えるように映している物が無い。

 

「あ、丁度見えないな。偵察班の部署に行けば、他に写真や詳しい資料もまとめられて居たはずだ。さっき俺が持ち帰った情報もとりあえずまとめられて居る筈。必要ならコピーして持ってくるか?」

 

「あ、是非お願いします」

 

 アリサが頷き、俺も頷き返して席を立った。

 

「ごめんなさい。忙しいのに。そうだ、この書類見ておきましょうか?」

 

「あ、それただ判子押してただけだ。別にいいぞ?」

 

「いえ、私ばかり悪いですから。判子はこの場所で良かったですか?」

 

「ああ、悪いな。そこで大丈夫だ」

 

 

 俺は早歩きで部署へ向かい、資料を取り出してコピー機に掛ける。

 資料のコピーをもってラウンジへ戻る途中、「あっ」って思った。

 

 失敗したな。未記入の書類、整備班の判子も必要だったからリッカに詳しい事聞くのに整備室に寄れば良かった。

 

 ま、後でいいか。別に急ぐ訳じゃねえしな。

 

 

 

~偵察班部署にて~

 

 

コピー機「新種アラガミの写真のコピー何て必要ねぇんだよ!インクを無駄にしやがって神機使いの屑がこの野郎……。もう紙詰まり起こすからな~?ほら見ろよ見ろよ」

 

 

 ガガガガ(迫真の紙詰まり)

 

「ふざけやがってェ!このガバガバのポンコツがァ!動けッ、動けって言ってんだよクソがァ‼」

 

コピー機「乱暴するのやめちくり~紙詰まりしてるから詰まった紙取り除けって言ってるだろルルォ⁉」

 

 

 

 

 

「悪いな。待たせた」

 

 急いでコピーした写真をもってラウンジに戻った。え?コピー機?ああ…………バラしてやったよ。

 

「あ、いえ。丁度こっちも終わったところですよ」

 

 なぬ? 終わった?

 え、もう終わったの? 早くね? 早いよな? まさか書類仕事もできる系? マジかよ、万能だなアリサ。

 

「すげえな。もう終わったのか」

 

「ただ判を押すだけですから。あと、未記入の書類がいくつかありましたよ。

討伐班の記入が必要な書類はリーダーに頼んでおきますよ」

 

「ああ、済まない。何から何まで悪いな」

 

 とてもありがたい事だ。めっちゃ有能すぎるだろ、こいつ。これじゃ初対面でボロクソ言われても黙って頷く事しか出来ないわ。

 

「とりあえず、これが新種の胸だ。中で炎が燃えているように見えるだろう?」

 

持って来た資料のコピーを広げて指しながら説明する。

 

「確かに。でも、何故こんな所に……? ブレス攻撃の為でしょうか……」

 

「それもあるかもしれんが、博士曰く膨大なエネルギーを溜めこんでいるらしい。

もしかしたら、生命維持の危機に陥ったらこれを開放して周囲を吹き飛ばしたりするかもしれないな」

 

「炎に対する対策をできる限り万全にしなければいけませんね……。そういえば、ここの炎の剣と槍ってなんですか?」

 

 アリサが文章を指さしながら聞いてくる。

 

「ああ、手に炎を纏ってそれを剣や槍の形にして攻撃してくる。炎の剣で二刀流になったら注意が必要だ。移動しながら剣を振りつつ暴れ回るからな。対策は距離を取るか、装甲を展開してひたすら凌ぐか、見切って全部躱すかだな。ま、お前らの隊長殿ならカウンターを決めそうだが」

 

 資料を捲りつつ、ハンニバルが剣や槍を構えている写真を探し、発見すると写真を指さしながら口頭でどのような攻撃を仕掛けてくるか説明する。

 

「距離を取るか、防御に専念ですね。分かりました」

 

「大体こんな所だな。資料は持って帰っても構わんぞ」

 

「分かりました。ごめんなさい、忙しいのに」

 

「いや、気にするな。討伐作戦、気を付けてな」

 

 アリサは席を立って資料を持って行った。

 

 俺はアリサが終わらせた書類を纏め、未記入の書類はそれぞれの部署で確認して貰おうと思い立つ。

 

 とりあえず整備班を訪ねようと思い、リッカを探す事にした。大抵整備室かエントランスに居るだろうから、まずはエントランスから見てみるか。

 

 

 エレベーターを降りてエントランス内を見渡すが、リッカは見当たらない。いつも頭にゴーグル掛けてるから見つけやすいので居るか居ないか判断がすぐにできて楽だ。

 

 

「あ、ユウも書類仕事?」

 

 名を呼ばれて見てみれば眼鏡をかけた女子に話しかけられた。

 誰だこいつ――ってユウナか。眼鏡を掛けていたので一瞬、誰か分からなかった。

 

「眼鏡なんてしてたのか?」

 

「生まれつき目が良すぎてね。書類仕事とかしていると、疲れるから眼鏡をしているだけだよ」

 

「ああ、そういう事……」

 

 そう言えば、ソーマもラウンジで本を呼んでいる時は眼鏡していたな。

 

「………………」

 

 ユウナが不思議そうな顔でこちらを見ていた。

 

「なんだ、俺の顔になんかついているか?」

 

「あ、そうじゃなくて……。ユウって髪の毛を黒染めしてたの?」

 

「黒染め? これは地毛だぞ」

 

「あ、そうなの? ユウの髪の毛、数本だけ灰色になってるからてっきり……」

 

「灰色? 白髪の間違いじゃねえのか?」

 

「いや、誰がどう見ても灰色だと思うけど……。アーク計画の時に戻ってきた時からじゃなかった? それにこめかみのあたりの肌がちょっ色白になってて目立つよ?」

 

 

…………髪に関しては多分、エレナだな。灰色と聞いた時点で心当たりはそれしか思い浮かばない。こめかみ周りが色白……まあ、気にすることでもないだろう。

 

「……そうか。だが心当たり何て無いぞ?」

 

「体の調子でも崩れたりしたんじゃない?」

 

「まあ可能性はあるな。さっさと終わらせて休むわ」

 

「うん。それがいいと思うよ。ふー、後は部屋でやろうかな。ユウはまだ仕事?」

 

 種類を纏めてユウナが立ち上がって伸びをする。

 

「ああ、箱舟賛成派の尻拭いを手伝わねえといけねえからな」

 

「そっか、あんまり根を詰めないようにね? お疲れ様」

 

「ああ、お疲れさん」

 

 

 ユウナは書類を持ってエレベーターに乗り、俺も整備室へ向かうために別のエレベーターに乗った。

 

 

 エレベーターが下降し始めると。急に首と胸が熱を帯びて眩暈を起こして壁に手をつく。

 

「…………く、またか」

 

 体に倦怠感を感じ、関節痛が激しく走り、呼吸も荒くなって少し辛い。

 あの防衛戦の直後から倦怠感や関節痛などが生じるようになった。

 

「…………っ!」

 

 頭痛がすると、周囲の気配が全く感じ取れなくなって急な症状に困惑するもすぐにそれは収まった。

 

「ふう……」

 

 日に日に悪くなるわけでは無いが、ぶっちゃけ体調の良い日は無い。体調が悪いか、凄く悪いかのどちらかだ。

 

 

 エレベーターが止まり目的の階に到達した。

 

 

 

 

「リッカ―、居るかー?」

 

「あれ、どうしたの?」

 

 リッカがゴーグルを外してきょとんとしている。

 

「悪いが、この書類確認してくれ。判子も欲しいんだが……」

 

「うんうん。あー前の会議で上がってたやつかー。結局現状維持になったんだ。OK。事務部屋の机に判子が置いてあるから勝手に押しちゃっていいよー」

 

 

「ああ、分かった。悪いな、邪魔して」

 

 リッカは整備室を出て行き、去り際に謝って事務部屋に入り、リッカの机の上の判子を借りて書類に押して事務室を出て行く。

 

 

 整備室を通り、エレベーターを目指す。

 

 

「ッ!」

 

 俺は誰も居ない筈の整備室で何かの気配を感じて振り返って見回す。

 

 なんだ、一瞬なんか妙な気配が……。

 周囲を見回すと、視界にリンドウさんの神機が映った。

 

「………………?」

 

 気のせいと言う事にして俺はエレベーターに乗ってエントランスに戻った。

 

 




まだ無印をプレイしている時、階級がいつの間にか『ゴッドイーター』になっていてファッ⁉ってなった頃を思い出した。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。