Nameless Story 1人孤独に立ち向かわざるをえない者   作:ロイヤルかに玉

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ゴッドイーターの新作出ないかな~


よし、足止めして遅延行為だ。

 

 

 ジュリウスと別れ、アナグラに連絡を入れると予想通り、俺のビーコン反応と共にハンニバルのオラクル反応を掴めなくなったとヒバリちゃんから説明を受けた。

 とにかく無事であることを伝え、ハンニバルについてはまだ生きていると虚偽の報告をしてこのまま追跡することを進言したが、先程のビーコン反応の消失の件もあって上から帰投命令が出たので諦めて指示に従った。

 

 このまま追跡が許可されればハンニバルを追跡する振りをしつつリンドウさんの捜索を行えたのだが……。今回ばかりは仕方あるまい。また新たな個体が出現でもしない限り、俺もリンドウさんの捜索に加えられる可能性だってあるのでまだ不貞腐れるには早いだろう。

 

 

 

 *

 

 迎えのヘリを待っている途中、緊急連絡が入った。

 市街地エリアへ向かえと雨宮教官から指示を受けた。

 

 

「市街地エリアですか……。確かに俺の現在地から向かえば近いですが、何か問題でもありましたか?」

 

『お前が追跡任務に出ている間、リンドウの捜索をしていたブレンダン、カノン、アネットの3人が識別不明のアラガミに襲撃され、ブレンダンとカノンが消息を絶ったのだ。つい先ほど、カノンの腕輪のビーコンは反応を掴み、現地で救出した。そしてブレンダンのビーコン反応が市街地エリアで検知、先程極東周辺を捜索していたユウナに至急向かわせるが、距離が距離だ。お前の方が近いだろう。現場へ先行して偵察・捜索を頼みたい』

 

 ブレンダンとカノンが……大方アネットを逃がすためか……。全く無茶しやがる。

 まだ日が浅いルーキーに悲しい思いをさせるのは流石にアカンだろう。さっさと探し出して連れ帰ってやるか。 

 

「了解した。現場に急行する」

 

 無線を切って、全力で地面を蹴って飛ぶように走り市街地へエリアへと急ぐ。

 

 

 

 もう少しで市街地エリアだと言うところで無線が入り、応答する。

 

 

『ユウ? もう市街地エリアへ到着したの?」

 

 サクヤさんから連絡が入った。

 他にもアネット、ユウナもブレンダンの捜索のためこちらへ向かっているらしく、アナグラから指示で俺が向かっていることも知り、連絡を寄こしたか。

 

「もう少しですね。人が隠れるには絶好の場所ですから、探す側も難儀なもんですがね……」

 

『ビーコン反応の大体の位置はアナグラで感知したのよ。でも、周囲に大型アラガミが徘徊してて迂闊に近づけないの。私たちは先に大型アラガミを叩いて周囲の安全を確保してから捜索に移るわ。今そっちに座標を送るからそのあたりから捜索して欲しいの」』

 

 大型か、確かに気配はするが……サクヤさんとユウナならどうと言うことは無いだろう。ブレンダンの安全を確保すると言う意味でも先に討伐した方が最善か。 

 

「分かりました。そちらもお気をつけ――」

 

 遥か先から3体のシユウが何かから逃げるようにこちらへ向かって走ってくる。

 

『ユウ? どうしたの?」

 

「いえ、ちょいと邪魔者が来たもので」

 

 

 そしてシユウ達の足元に黒い炎が円を描きながら出現してそのままシユウ達の足元で燃えながら回る。

 

「……?」

 

 兎に角、嫌な予感がしたのでシユウ達から距離を取った次の瞬間、炎は黒い火柱となって3体のシユウを焼き尽くして空へ舞いあがり轟音を立てた。

 

「ッ!」

 

 それなりの距離で離れていても、ここまで熱気がやってくる。

 

『ユウ⁉ どうしたの⁉ 応答して!」

 

 サクヤさんも無線の向こうから響いた轟音に驚き安否確認をしてきたので無事だと告げて構える。

 

 黒い炎が地面を燃やし、その中で翼が焦げ落ちたシユウが這って今だなお逃げようとしている。その時、強い気配を上空から感じて上を見れば、黒いハンニバルが鋭い爪を構えて急降下していた。

 

 

「あー済みません。ちょっとそっちに行けそうにないですねこれは……」

 

『ユウ、何があったの?』

 

 よし、足止めして遅延行為だ。

 

「ハンニバルですよ。兎に角、今はブレンダンの捜索と救出を優先してください。俺はこいつが市街地エリアへ行かないように何とか足止めしておきます。アナグラに宜しく伝えてください。流石に無線しながら躱す余裕は持ち合わせてないのでね」

 

 

 それだけ言って無線を切ってポーチへ戻す。

 

 

「黒色……変異種か」

 

 そのまま這っているシユウの頭を爪で貫き、口元から黒い炎を漏らしながら黒いハンニバルは俺の方を向く。

 

 

 「ちッ!」

 

 突然黒いハンニバルが爪で引き裂こうと振りかぶった。

 しかし、何だか一瞬だけ動きに迷いがあるかのように感じた。

 

 バックステップで距離を取ってやり過ごすが、黒いハンニバルは踏込と共に籠手で裏拳の構えを取っていた。

 こちらへ迫ってくる籠手を跳んで体を捻り、ギリギリで回避する。

 

 そしてすぐに距離を開けつつ下がって間合いを保つ。

 

 

 普通のハンニバルと違う点は籠手が逆の手にあるぐらいか……。

 

 観察したところ姿形に差異は見受けられないが、只色違いな訳でもないだろう。

堕天種か……? 色は違うが炎を操ると言う点は同じだ。色が違うというだけではないだろう。

 

 

 だが、厄介な事になったのには変わりはあるまい。勿論、コイツも再生能力を持っている筈だろう。それならこの黒いハンニバルに対する対策が新たに必要になる。

 

 今は適当に相手にして行動パターンや攻撃方法や特性を観察するしかないか……。何とかサクヤさんたちの所へ行かないようにしないとな……。流石にこいつが彼女らと交戦している大型アラガミの所へ乱入したら面倒くさい事になる。

 

 そんな事を考えている間にハンニバルは黒い炎の剣を手に持って斬りかかってくるが、咄嗟に斬撃を躱して次の攻撃に備える。しかし奴は炎の剣を構え直し――

 

「ッ!」

 

 ロングブレードを扱う神機使いのようにゼロスタンスの構えを取った。

 

「な……!」

 

 ゼロスタンスの構えを取った奴が一瞬、リンドウさんと重なった。

 

 

 迫る斬撃を回避するが、素早く2撃目を振ってくる。

 

 咄嗟に跳んで躱すが、ハンニバルも跳んで剣を上段に構えた。そしてその姿がまたリンドウさんに重なる。

 

 炎剣を真上から振り下ろしながら一回転。これでは神機使いとほぼ同じ動きだ。

 

「クッ!」

 

 空中ステップで離脱して着地と共に距離を取るが、ハンニバルも着地と共に駆け出してこちらへ向かってくる。

 

 踏込と共に斬撃が繰り出され、宙返りで躱すが目の前には炎剣の切っ先が迫ってきていた。咄嗟に体を捻って切っ先から逃れ、地面を蹴ってハンニバルの股下に潜り込んでそのまま背後へ抜ける。

 

 しかし尻尾による薙ぎ払いが迫り、再びバックステップで距離を取る。奴も薙ぎ払いと共に振り向き、スムーズに攻撃に移ってきた。

 

 

 奴が炎剣を構えた時――

 

 

『避けろ! 早くッ!』

 

 

「なッ!?」

 

 リンドウさんの叫び声が聞こえて混乱しながらも攻撃を躱す。

 

「な、なんで今……!」

 

 そして黒いハンニバルは炎剣を消して、動きを止めた。

 不審に思い、一歩近づくとすぐに雄たけびと共に襲い掛かってきた。

 

 

『早く逃げろッ! うろちょろすんじゃねえ!』

 

 

 再びリンドウさんの声が聞こえ、まさかと思って迫りくるハンニバルを見る。

 

「まさか……。冗談だろ」

 

 俺は呟きながら攻撃を躱して距離を取る。

 

 

 間違いない。この黒いハンニバルは……リンドウさんだ。

 くそ、手遅れだったか……。ここまで姿が……。しかし、まだ完全に意識まではアラガミにはなっていないようだ。

 だが、時間の問題なのだろうか……。何か、何でもいい。何かきっかけがあれば何とかなりそうな気がしてくるんだが……。

 ここまでアラガミ化が進行しても意識はまだある。少なくても自分の肉体を抑制することができるなら……もしかしたらアラガミ化してもまだ可能性が……。

 分かっているさ。そんな前例なんて存在しないことぐらい。

 だが、不思議とそう考えてしまう。可能性は0に等しい。だが、やる事は決まった。

 

 ただ、ひたすら呼びかける。それだけだ。後はリンドウさん次第だ。

 

 

「リンドウさん! そんな化け物に意識を明け渡すなんて、あんたらしくねえな! 俺が尊敬する雨宮リンドウと言う男はそんなやわじゃねえぞッ!」

 

『GYAAAAAッ!』

 

 奴は吠えるが、それでも俺は言葉を紡ぐ。

 

 ハンニバルに中指を立てて叫ぶ。

 

「たかが雑兵の1人も殺せねえ獣畜生に、あんたが遅れを取る筈がねえだろうが! そんな奴はさっさと捻じ伏せてアナグラへ戻るぞ!」

 

 俺は言いたい事をすべて叫んでから構え、次の攻撃に備えた。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

「ハアッ……ハアッ……ふう……」

 

 大見得切ってからどれくらい時が経っただろうか……。流石に息が上がり始める。

 それもそうだ。今まで休憩なしでひたすらハンニバルの攻撃を躱し続けてリンドウさんに叫び続けた。どっちかって言うと、声の出し過ぎで辛い。

 しかし、呼びかけ続けた甲斐はあったのか時々動きを止めたり、攻撃の際に一瞬だけだが迷いが生じて隙が生まれている。

 リンドウさんも何とか理性を保とうとしているに違いない。正直、なんとかハンニバルを戦闘不能にできればリンドウさんの意識が前面に出てきて活路が見いだせそうな気がするが、アラガミ化した神機使いに有効打を与えれるのはアラガミ化した神機使いの神機のみと言うふざけた方法しかない。

 

 ここまで侵食が進んだら他人の神機が通用するのかわからない。座学じゃ飽きる程アラガミ化した神機使いへ対処法を聞いたが、いざ実践となると勝手が違う。アラガミ化した神機使いに遭遇したことなんて1度もないと言うのもあるが、聞くのと実際に行うと言うのは違う。

 

『GAAAAッ!』

 

 ハンニバルは黒い炎の塊を口からいくつも吐き出してこちらへ飛ばしてくる。

 1つ1つ冷静に回避しつつハンニバルの行動にも注意を払う。遠距離攻撃に気を取られた隙を突いて近接攻撃を繰り出してくるなど頭脳プレイもしてくるので油断ならない。

 

「やはりかッ」

 

 読み通り、ハンニバルは腕を広げて爪を構えながらこちらへ突進してくる。

 この攻撃の対処法は分かっている。よく引きつけて躱すだけだ。

 

 腕を交差させようと動かした瞬間を狙って跳躍して躱す。

 そしてハンニバルの頭を踏みつけて更に高くジャンプするが、ハンニバルも跳び上がって追撃を仕掛けてくる。

 

 空中で体勢を変えて地面へ向かって空気を蹴り、一気に急降下して追撃を凌ぐ。

 奴は空中で炎の槍を形成してこちらへ投擲してくるが、体を捻りつつ跳んで避けて次の攻撃に備える。

 

 次の攻撃は炎剣による斬撃。距離を取りつつ躱せば問題は無い。

 

「こいッ!」

 

 迫る炎剣を最低限の動きで躱し、大きな隙を作らないように後退しつつ凌ぐ。

 途中で籠手による打撃や尻尾を叩きつけてきたりと、こちらの意表を突く攻撃を的確に仕掛けてくる。

 

 炎剣を逆手に持ち替えて地面へ突き刺して突撃を掛けてきた。

 炎は地面へ燃え広がっていき、俺は焦って跳んで腕を交差させて防御を固めた直後、既に眼前まで迫っていた奴の籠手が直撃する。

 左腕に激痛が走り、そのまま吹き飛ばされた。

 

「クッ!」

 

 何とか受け身を取り、靴が地面に擦れてズザザと音を立てながら砂埃を起こす。

 籠手に直撃した左腕が激痛を訴えており、力が思うように入らない。しばらく左手を庇いつつ立ち回らなければいけないか。

 

『GYAAAAAッ!』

 

 ハンニバルはとどめを刺そうと爪を振り上げながら、飛び掛かってくる。

 後ろへ跳んで躱し、次の追撃をバック宙で避けてひたすら距離を取る。ハンニバルが拳を握って叩きつけようと振り降ろす。拳が俺を潰すよりも速く、スライディングでハンニバルの股下を潜って背後へ回り込んで尻尾を警戒しつつ距離を取る。

 

 

 奴は地面を抉り取り、地面だった岩をそのまま持ち上げてこちらへ投げつけてきた。

 

「おいおい、冗談だろ」

 

 岩を避けて構えるが回避後の隙を突くかのようにこちらへ攻撃を仕掛けてくる。しかし、俺へ向かっていた攻撃は中断されて、動きが止まった。

 この隙を逃さずに距離を取って間合いを開けて次の攻撃を待つ。

 

 

「リンドウさん……ッ」

 

『Guuuuuu…………』

 

 ハンニバルが動きを止めて、ふと視線が俺から明後日の方向へ向いた。

 構えを解かず、いつでも動けるように意識しつつ一瞬だけハンニバルの向いた方向を見れば、コンゴウの群れが通っていた。

 

 

『GYAAAAAッ!』

 

 次の瞬間の雄たけびを上げてこちらを放ってそのままコンゴウの群れを追い出した。

 

「なっ、リンドウさん!」

 

 

 追いかけるべきか……。正直、携行品が切れそうだから補給に戻りたいが、リンドウさんの意識が無くなって完全にアラガミ化したら……。

 だが、このまま追うのもあまり得策じゃないな……。

 

 とにかく、サクヤさんたちに合流しよう。




仏像で暴漢をぶん殴る夢を見たんですが流石に罰当たりですかね……?でも抵抗しないと刺されますし……仏様は許してくれるだろうか。
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